日も暮れたというのに、横島は美神除霊事務所に呼び出されていた。  
「美神さん、こんな時間に話ってなんスか?」  
シロが吐かされた事を知らない横島は、普段の調子で美神の居る事務室に入る。だが、すぐに寒気を覚えずにはいられなかった。  
「み…みなさん、どうしたのでせうか?」  
青い顔の横島が何故か古い言葉使いで事情を伺う。  
その先には、ワークデスクに着いて静かに怒りに燃える美神が見える。  
「……よく来たわね。それを今から、じっくり話してあげる」  
その横には、幽体離脱で幽霊に逆戻りして塞ぎ込んでいるおキヌが見える。  
「信じてたのに‥‥横島さんはいい人だと信じてたのに‥‥こうなったら、わたしと一緒に死んでもらうしか‥‥」  
おキヌは何やら物騒な事を呟いている。その人魂を背負った姿は、どう見ても悪霊にしか見えない。今にも横島を祟りそうだ。  
更にその横には、普段と変わらない様子のタマモがソファーで漫画を読んでいる。  
「ヨコシマも大変ね。せいぜい、死なないように頑張りなさいよ」  
タマモはどんな時でもマイペースだ。  
そして決定的なのが、天井からロープで吊るされ、みの虫状態にされているシロの姿だった。  
横島は瞬く間に理解した。シロへの強姦がばれたのだ。今から自分はお仕置きされるに違いない。これは生命の危機だ。早く逃げなければいけない。  
必死に逃げる術を考える横島に、先に囚われたシロが許しを請う。  
「先生…申し訳ないでござる。拙者が約束を破ったばかりに‥‥」  
 
今の言葉で、横島は死が確定したことを悟った。もう逃げられない。横島は少しでも機嫌を取ることにした。  
「み、美神さん、シロがかわいそうだから、降ろしてあげたほうがいいかなぁ……なんて思ったり」  
「せんせぇ‥‥こんな拙者を気遣ってくれるでござるか?嬉しいでござるぅ」  
シロは感激で滝のような涙を流す。しかし、美神は鬼の形相で横島を睨みつける。  
「誰がかわいそうだって?私はシロを騙して楽しんでいた横島クンの方が、よっぽどかわいそうな事をしていたと思うけど?」  
「ハイッ、ごもっともでありますっ」  
ビシっと敬礼した横島は、美神の意見を即座に肯定する。それでも、横島に忠実なシロは美神に反論する。  
「先生は悪くないでござる!先生は拙者のことを想ってしてくれたのでござる!」  
美神が椅子から立ち上がり、シロの口に猿轡としてハンカチを詰め込む。  
「あなたは黙ってなさい」  
「――んむむっ…むむうっ……」  
「マ…マジですか?」  
美神の容赦ない態度に横島は戦慄する。そして、美神の凍て付く視線が横島に向けられる。  
「横島クン、覚悟はできているわよね?」  
美神がおもむろに神通棍を引き伸ばす。大きく振りかぶり、一直線に振り下ろされる。  
「い…嫌じぁああああっっ」  
それはまるでスローモーションを見ているようだった。逃げようと思っても、体がうまく動かない。最後に、鈍い痛みが頭に走り、横島の記憶はそこで途絶えた。  
 
 
横島が意識を取り戻すと、そこは薄暗い部屋だった。空気がしっとりとしている。どうやら地下室のようだ。  
「――あれ?」  
仰向けの体を起こそうとしたが、どうもうまくいかない。よく見たら、両手足が留め金で台にしっかりと固定されていた。  
「げっ、裸かよ」  
しかも、横島は全裸だった。  
どうにか抜け出そうともがいていると、暗い部屋の隅から美神が現れる。  
「気がついたようね。気分はどう?」  
いくらなんでも、これはやりすぎだと思う横島は、怖くても美神に抗議する。  
「美神さんっ、これはシャレにならないっスよ。いったい、これは何ですか?」  
「これは拷問用の処刑台よ。今の横島クンにはお似合いじゃないの」  
「冗談やろ?俺の悪事は全部ばれとんのやぁ!拷問なんか必要あらへんやないかあああっ」  
今から拷問されると聞き、横島は泣いて暴れだす。美神が神通棍を手に取り、横島の顎に突き付ける。  
「おとなしくしないと、本当に拷問するわよ」  
「ヒィィイイイ――」  
横島は情けない悲鳴を上げて身を強張らせる。横島が静かになったのを見て、美神がお仕置きメニューを伝える。  
「横島クン。あんたがシロに特訓したように、私もあんたを特訓してあげる」  
「と、特訓って?」  
「こうするのよ――」  
美神は長い髪を左手で押さえると、横島の下半身を目掛けて前屈みになる。そして、横島のモノを口に含んだ。  
「はうっ…」  
予想外の美神の行動に、心の準備ができていなかった横島は、快感に声を漏らす。そして、反射的に疑問を口にする。  
「美神さん、どういうつもりで…」  
早くも直立している男根を口から引き抜き、さも当然のように言う。  
「だから、特訓だと言ったでしょ?今から、横島クンの耐久力を鍛えてあげる」  
なんだかんだ言っても、美神は横島のことが気になっていたのだ。シロとの関係を知った時、最初に感じたのは焦りだった。その後のシロの態度も、その焦りを大きくするばかりだった。  
美神が横島を自分に繋ぎ止める機は、弱みを握った今しかない。美神は脅迫概念に似たものに背中を押され、この行動に至ったのだ。  
言い終わるなり、返事も待たずに男根を口に挿し込み、激しく頭を上下する。  
「…んんっ…んぶっむむぅっ」  
美神がくぐもった声を上げ、辺りに口からの空気漏れと唾液をすすり上げる卑猥な音が響く。  
 
「うおおっ、ワイも男や。こんなん耐え抜いたる!」  
煩悩パワーが目覚めた横島は、水を得た魚のように調子を取り戻す。今の横島は最強に近い。横島は驚異的な忍耐力を発揮する。  
「ぶぷっ――プハァッ…しぶといわね」  
一向に果てない横島。顎が疲れた美神は、やむなく顔を上げて中断する。  
横島が我慢に疲れた表情ながら、勝ち誇ったように言う。  
「ど…どうやっ。何とか耐え抜いたったでぇ」  
場が膠着し始めた時、暗闇から新たな人影が美神の助けに入る。  
「美神さん…わたしも手伝います」  
その声が信じられなくて、横島は驚いてその声の持ち主の名を呼ぶ。  
「え?おキヌちゃん!?嘘だろっ?」  
横島の視界におキヌの顔が入る。おキヌは頬を染め、目に薄っすらと涙を浮かべている。悲しげでもあり、恥ずかしげでもある。自分の感情を持て余しているように見える。  
おキヌは暗い地下室の片隅から、美神と横島のやり取りを見ていた。この宴に最初から参加する勇気がなかったのだ。だが、おキヌも美神と同じく、横島に好意を寄せている。美神と同じ理由で、この狂宴にいつかは参加するしかなかった。  
今になって参加した理由の一つに、二人を見て興奮し、欲望が恐怖に勝ったこともあるだろう。  
横島を真上から見つめるおキヌ。二人の視線が重なり、おキヌが小さな唇を開く。  
「横島さん、あの時の言葉をもう一度言います。あなたのことが大好きです。いいえ、愛しています。だから、横島さんをわたしにください‥‥」  
二度目の告白を終えたおキヌは静かに目を閉じる。そして、その小さな唇が横島の視界を占めていく。  
「ちょ…おキヌちゃん――んんっ!?」  
身動きの取れない横島の唇は、おキヌによって容易く奪われた。  
横島がおキヌに気を取られていると、再び下半身に衝撃が走る。  
「――んむ!?」  
おキヌに唇を奪われている横島は見えなかったが、感触で大体の想像がつく。柔らかい二つのマシュマロに挟まれる感じ。そう、それは美神の豊満な胸によるパイズリだった。  
「私の胸はどう?気持ちいいでしょ」  
おキヌへの対抗心も手伝って、美神の行動も大胆になる。  
美神が胸の谷間から覗く男根の先端を舐める。おキヌは欲望のままに横島の口内に舌を這わせる。  
「んふっ…よこ…ひま…はん‥‥」  
 
「はむ…あ、あかん……」  
二人に責められるという初めての体験に、横島は限界を迎えようとしていた。  
「――んんんっっ」  
横島の塞がれた口から絶頂を迎えた声が響く。横島は射精と同時に、口内の唾液腺からも唾液を噴出する。  
美神が胸に挟んだ男根に口をつけ、白濁液を飲み干す。  
「んぐ、んぐ…横島クン、いっぱい出したわね」  
おキヌが横島の唇を舌ごと吸い上げ、唾液を飲み干す。  
「ずず…じゅるっ…んふぅ――横島さんの…おいしい‥‥」  
まだ、おキヌは物足りないのか、恍惚とした瞳で横島の口を見つめ、その口内に人差し指を突き刺す。  
「お、おヒヌひゃん?」  
横島は口に指を入れられてうまくしゃべれない。そんな横島の様子を気にせず、おキヌは横島の舌を回すようにして犯す。  
そして、唾液がたっぷりと付着してから指を引き抜く。そのまま、唾液で糸を引く指を、自分の大きく開けた口に持っていく。  
「あーん……ちゅぷ、ちゅぱ…おいひい‥‥」  
うまそうに自分の指を舐め回し、今までになく色っぽい仕草を見せるおキヌ。その様子に、果てたばかりの横島のモノが反応する。  
「あ…また元気になってますね」  
それを見つけたおキヌが、ゆっくりとロングスカートを下ろし始める。  
こちらも理性のぶっ飛んでいる横島が、興奮して喚き散らす。  
「うおおおっ!おキヌちゃんがしてくれるんかっ!?」  
「はい。わたしは美神さんのように胸が大きくないから、こっちで満足させてあげます」  
おキヌは言いながらパンツをずり下ろす。  
全裸になったおキヌは拷問台に上り、横島を跨いで見下ろす。  
「いきますよ」  
「いつでも来いやぁっ!」  
おキヌの腰がゆっくりと落とされていく。次第におキヌの股が大きく開き、大事な部分も丸見えになる。そこはまだ触ってもいないのに、愛液でぐっしょりと濡れていた。相手が横島だからこそ、キスだけでこれだけ興奮できたのだろう。  
横島の先端がおキヌの秘所を捉える。そして、意を決したおキヌが自重を加えて自ら貫こうとする。  
「ういっ…痛…い……うぅんっ」  
先端も入りきっていないのに、おキヌは痛みに涙を見せる。それでも、おキヌは自重を加え続ける。  
 
「――はぁっ…どうにか…先が入りました‥‥」  
やっとの思いで先端を飲み込み、更に押し進める。そして、次の障害に突き当たる。  
「くぅっ、な…何かに引っ掛かってるぅ」  
処女膜に立ち塞がれ、おキヌは苦痛で焦りを見せる。煩悩全開モードの横島が待ち切れずに提案する。  
「それは処女膜だ。なんなら、俺が破ってやろうか?」  
苦痛に耐えるのも辛くなってきたおキヌは、恥ずかしがりながらも受け入れる。  
「は…はい、横島さんなら――」  
「ううぅっしゃあああっ!!」  
おキヌの許しが出たとたん、話が終わらないうちに、横島の股間はロケットスタートを開始する。横島のロケットは天高く打ち上げられ、おキヌの股間を深く突き挿す。  
「――カハァッッ!!」  
想像を絶する痛みに、おキヌは悲鳴すら上げられずに大きく仰け反る。目と口は限界まで開けているが、ショックで呼吸ができていない。  
そんな事はお構いなしに、横島の腰は激しく上下を始める。  
「――が…あぐっ、ひぎぃっ…い…痛いよぉっ」  
痛みに耐え切ろうと、おキヌは横島の胸に縋りつく。堅く閉じた瞳からは大粒の涙が続けて零れ落ちる。そして、横島の剛直が出入りする所からは、純潔の証が滴り落ちる。  
横島が夢中で腰を振る中、おキヌはひたすらに耐え忍んだ。そして、おキヌの狭い道筋が、早くも終わりを近づける。  
「おキヌちゃん……出そうだから…抜いて――」  
動きを止めた横島が限界を伝える。だが、それを聞いたおキヌは必死に食い下がる。  
「嫌ですっ!横島さんは放しません。わたしと一緒になるんですっ!」  
そう言って、おキヌは股間を強く押し付ける。そして、横島の限界も超える。  
「くぅっ…だ、駄目だ…で、出るっ」  
「出してっ!わたしの中に横島さんをいっぱい出してっ!」  
「くあっ……」  
おキヌの最も深い所に、横島の精液が一気に放たれる。  
「ああっ…感じる‥‥横島さんの熱いのが…こんなに‥‥」  
横島の子種がおキヌを身体の芯から熱くする。おキヌは肉体的な快楽ではなく、横島に染められたと思うだけで絶頂に達し、歓喜に打ち震える。  
そして、いまだに射精を続ける男根を最深部に咥えたまま、横島の頬に両手を添える。  
「やっと、横島さんと一つになれた‥‥もう放さないから‥‥」  
言葉を実行するように、おキヌは口付けで横島の唇の自由を奪った。  
 
 
おキヌが横島の上で完全に自分の世界に浸っている中、ずっとそばで見ていた美神が呆れ気味に声を掛ける。  
「おキヌちゃん、そろそろどいてくれる?」  
「嫌っ。横島さんはわたしと一緒なのっ」  
おキヌが横島と抱き合ってから、かれこれ一時間近く経つのだが、おキヌが駄々っ子のように離れようとしないのだ。  
「次がつかえてるんだから、我侭を言わないの」  
言い聞かせるのを諦めた美神は、おキヌを無理矢理に引き剥がす。  
「横島さーんっ、わたしを離さないでええっ」  
そう言われても、今の横島は手足を拘束されていて、どうしようもならない。  
泣き叫ぶおキヌを横目に、横島は先程の美神の言葉に思い当たる。  
「美神さん、「次」ってことは、まだやるんですか!?」  
「当然よ。まだ、私は満足してないし」  
「アタシも控えているしね」  
美神の横にひょっこりとタマモが顔を出す。  
煩悩バカの横島は、何も考えずに喜び出る。  
「よおしっ、今夜はオールナイトだっしゃあああっ」  
 
この日から、横島は死と隣り合わせの泥沼の肉体関係に溺れていくのだった。  
 
 
 
おわり  
 
 

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