「それではみなさん、ごきげんよう〜〜〜ほほほほ」  
理事長が校庭をのほほんと散策しながら、三々五々と散っていく学生たちに声をかける。  
六道女学院の、今日一日の授業が終わったのだ。  
 
一文字魔理、弓かおり、そしておキヌ。  
いまや完全に心を許しあう、いい仲間になった3人は、途中でクレープを  
こっそり買い食いしながら、芸能にファッションに音楽にドラマ、そんな  
取り留めの無い話をしながら下校途中の道を楽しんでいた。  
もう、それが空気のような日常になっている。  
 
道草がてらの道のりだから、少しばかり遅くなる。弓の実家はお寺だから少し  
中心部からはずれ、薄暗くなる頃には人通りもさびしくなるが、身の危険は  
感じない。一文字はナチュラルに強いし、弓も武道に精通している。  
おキヌだって、人を操るネクロマンサーの笛は立派な護身道具になっていた。  
しかし、まさかあのようなことになろうとは・・・  
 
三人の前に、突然立ちふさがるように飛び出した男がいた。  
弓と一文字が、ほぼ同時に身構える!!  
「てめえ、何者だ!!」「曲者!」・・・しかし、ちょっと見ただけで、自然と  
この二人からも警戒心が抜け落ちていた。  
 
年齢はほぼ彼女たちと同じ世代か、やや後輩かもしれない。ごく細身で、髪も  
やや長髪。顔立ちはというと意外なことにかなり整っており、少しカワイイ系  
かもしれない。純情というか、すごく内気な雰囲気の男子だ。  
 
そのイメージの通り、彼はか細い声でこう話しかけた。  
「あ・・・あの・・・・六道・・・女学院の、おキヌさん、ですよね?」  
「え? ええ、そうですよ。わたしがキヌです」  
 
「あ・・・ご、ごめんなさい、忙しいところに、とつぜん、断りもなく  
出てきて。迷惑、迷惑だと思うんですけど・・・・」言葉が途切れる。目を  
あわせられないようだ。  
少しの沈黙のあと、ありったけの力を振り絞ったように、今度は叫ぶように  
声をあげた。「ちょっと、大事な、お話があるんです。少しでいいから、  
二人きりでお時間いただけませんか?」  
 
「あらあら」「ははーん。」  
一文字も弓も、なるほどという感じでニヤニヤしながらおキヌに視線を  
向けたが、肝心のおキヌが鈍くて意味するところがわからないようだ。  
二人は拍子抜けすると同時に、ちょっとムッともしつつ、この二人に  
チャンスをあげようと思うようになった。  
 
「なにか、大事な用事らしいわね。じゃあ おキヌちゃん、私たち急用  
思い出しましたから。あなたはちょっと彼のお話を聞いてあげるのが  
よろしくてよ?」「じゃーなボウズ、しっかりやんなよ」  
 
そそくさと二人はその場を離れる。ただ、その前に彼女たちは  
「おキヌちゃん、あなたは優しいコだけど、こと男女のことなら自分の  
想いが別にあるならはっきり言うのが優しさよ?」  
「俺、あんなスケベのバンダナ男よりこっちがいい気もするけどな。ま、  
これは自分で選ばないとダメだぜ?」とおキヌにささやいた。  
 
この忠告で、ようやく意味が呑み込めたおキヌ。瞬間的にある人物が  
脳内に浮かび、ぼっと顔が赤くなる。「あ、二人とも行かないでえ・・・」  
恋愛の場面に直面した不安があったが、気を利かせた二人ははや姿が  
見えないところまで消えていた。  
 
「ごめん、ごめんなさい。ほんとに無理に・・・。ちょっと、歩きませんか?」  
丁寧な言い方で、男の子はおキヌを促す。  
「え、ええ・・・」  
緊張しているようだが、性格は穏やかそうな彼におキヌもややペースを取り戻し、  
促されるまま歩いた。  
その道の行く先が、さらにひと気がなく、曲がりや障害物で人の目がほぼ届かない  
死角がある場所であることに気づくはずもなかった。  
 
その男の子は、すばらく歩いて人気のない路地にまでおキヌを連れて行くと、  
ようやく振り返って、おキヌと目を合わせた。でも、すぐに視線を逸らす。  
なにかにおびえたような目だ、とおキヌは感じた。  
 
「いきなり会っただけなのに、ほんとに非常識なお願いなんだけど・・・」  
いよいよ告白?え、あたしに---? どうすればいいの???  
 
おキヌは先走って、いろいろ考える。  
言いたいことは決まっている、彼の気持ちは、残念だが受け入れられない。  
でも、その理由をなんて言えば-----。あたしは好きな人がいる、って? 横島さ-------。  
 
まとまらない思考は、次の出来事で中断された。  
男の子は、いきなり土下座して、とっぴなお願いを始めた。  
「お願いします。おキヌちゃんの、アソコを見せてください!!!」  
 
…あそこ?  
 アソコ?って??  
 まさか、  あ  そ  こ??  
 
「あ、あの、それってどういう・・・・」  
「非常識なお願いだって分かってます!でもどうしても、お願いするしかないんです!!」  
 男の子は、涙を目に浮かべていきさつを話し始めた。  
・・・彼の学校は、六道女学院ほど大きくも名門でもないが、特別科としてやはり除霊科が存在した。  
その中で、女学院にあとから編入して、世界にまれなネクロマンサー使いとして名を知られた女性、  
つまりおキヌの存在が話題になったのだ。  
 
話題の中心は、彼女の能力や美貌もさることながら、一度幽霊として存在した子が生き返った、  
という点であった。そしてその議論は、足があるかないかといった話しから始まって・・・「一番  
重要な部分になにか違いがあるはずだ!!」という結論になり・・・  
 
「そして、それを調べてこい、と先輩に無理やり言われて・・・」  
男の子は、こらえきれないように涙を流し始めた。  
 
「あ、あたし、どこも普通の女の子と変わってるとこなんかありません!!  
だいたい失礼じゃないですか!!」さすがのおキヌも、憤然と抗議した。  
 
「分かってるんです、僕が無理なお願いをしていることは。でも、僕はやらざるを  
得ないんです・・・ああああっ!!!」  
 
その男子は、突然うめき声を上げた。右の二の腕を抑えている。  
「ちょ、ちょっとどうしたんですか?大丈夫?」おキヌが、たちまち本来の優しさを  
隠さずに介抱する。そのとき、彼の腕の部分が不気味に動くのを見つけた。  
 
「ちょっと、その腕は?」おキヌが腕をまくると・・・不気味な人の顔があった。  
「きゃっ!! これは・・・人面瘡? それも、人工的に植えつけた呪術の一種ね!!」  
 
「はっ、離れて!!」男の子が、弱弱しくおキヌを突き飛ばす。  
 
「僕は・・・・学校でいじめられてるんだ。ずっと地獄だった・・・。上級生のやつらが、この前これを  
植えつけたんだ。『おキヌって娘のマンコを、ちゃんと確認して来い。見たら、この人面瘡は自動的に  
外れるようにしてやる。ダメだったら、一生このままだけどな』って・・・ぐっ、苦しいっ!!」  
 
「ああ、しっかりして!!」  
「本当に・・・ごめん、自分のことばっかり考えてて。関係ない君には、迷惑かけられないよ。  
なんとか・・・耐えてみせるさ。こんな苦しみ、自分だけで十分・・・・う、ううううああっ!!」  
うごめく人面瘡を必死で抑えながら、その男子は言葉を続けた。  
 
おキヌは、そんな有様をじっと見ていたが・・・  
「--------- 一瞬だけで、大丈夫ですか?ほんの少しのお時間だけですよ」  
そう言うとくるりと、後ろを向いた。そしてスカートの両脇から手を入れて、なにやら  
ためらいがちにもぞもぞ動かすと、ちょうどひざ下の部分まで、白いものをずり下げた。  
そう、それはおキヌちゃんのパンティ。  
スカートにまだ覆われているため外からではわからないが、おキヌちゃんはひざ下まで  
パンツをずりさげた状態になっているのだ。  
 
「あ・・・なんかお尻がスースーする」おキヌは、最初にそう感じた。  
 
「じゃあ・・・」  
おキヌは、男子の前に向き直った。しかし、これから行う羞恥に満ちた行為の  
ことを考えると、とてもその眼を正視することはできなかった。真っ赤になった  
顔をうつむき加減にそらして、目をつぶる。  
そして、両手でスカートの両脇をつかむと、そろそろと持ち上げた。  
 
ついに、彼女がまだ誰にも、ましてや同じ年代の男性になどは絶対に  
見せなかった秘密の扉を、男の子の目にさらけだすことになった。  
見も知らぬその子を、理不尽な暴力と呪いから救うためだけのために。  
そして、神秘のゾーンを隔てる幕---おキヌのシックなスカートはめくれ上がった。  
(我が侭言うけど、だれかこのシーンの挿絵を描いてくれ・・・)  
 
「ああ・・・見られてる・・・・」  
目をつぶったおキヌだが、男の子の視線が突き刺さっているのは痛いほど  
判った。  
 
その、おキヌの秘所は・・・・まったくの無毛。パイパンだった。  
細身ながら、柔らかさとむっちりさはグラマー美女にも劣らないような  
太ももが二本。その付け根に、抜けるように白い秘丘がある。  
それは、こんもりと盛り上がり、その白さは真ん中にぴっちり引かれた  
割れ目の線を、いやが上にも目立たせた。それを劣情の試練から防ぐべき  
茂みは、思春期の女性にもかかわらず一本も無い。  
いや、目を凝らすと、金色のうぶ毛が見えてはいた。だがそれは、割れ目の  
筋を強調する役目しか果たしていなかった。  
 
「・・・お、おキヌちゃん、毛・・・毛は?」  
「ああん、言わないでください」  
おキヌは目をつぶったっま、搾り出すように声をあげた。  
実は本人にとっても、この無毛の陰部はだれにも言えないひそかな  
悩みだったのだ。そのことを指摘され、おキヌの羞恥心はさらに刺激  
されるばかりだった。だが・・・・・・。  
 
「へえ・・・・・?」にやり。  
”いじめられっ子”の男子の口調が突然変わり、表情に冷たい笑みが浮かぶ。  
「パイパンかあ。これなら、ますます楽しめそうだな」  
「!?」  
 
そのとき、フラッシュが光った。彼が隠し持っていた携帯のカメラが作動したのだ。  
動かしたのは・・・いつのまにか腕から移動して、胸のボタンを開けた隙間から  
小さな腕までを生やした人面瘡だった。  
 
そして、脇から別のフラッシュが一斉に何度も光る。  
そしてぞろぞろと、チーマー風、不良高校生風の一団が登場した。  
「サイトーさん、おみごとっす」  
「こんなお嬢さんっぽいコを、自分から股広げさせちゃうんだもんなあ。  
それもお得意の呪術や催眠術抜きでだもん」  
「あー、俺もさすがに最後は無理やりやるもんだと思ってたよ。  
別のとこに賭けとけばなあ。大損っすよ」  
 
「な・・・なに? この人たちが貴方をいじめてた先輩?」  
おキヌが事態を呑み込めずうろたえる。周囲は、どっとわらった。  
「ギャハハハ、リーダーをイジメるって・・・」  
「まったく失礼だよなあ、サイトーさんに向かって」  
「まあ、見た目がこういう人だからなあ。得ですよねえ」  
「リーダー・・・・?」  
そのとき、おキヌの股間に、なにかが触れた感覚があった。 
 
おキヌの股間を、無遠慮にまさぐるのは、その男の指。  
いや、指だけではない。もっと複雑で、無遠慮で、そしておぞましくも  
乙女の性感を刺激するものだった。  
 
「んああああっ」  
思わず清純派のおキヌが色っぽい声を上げる。  
「どう?気に入った?『弟』もけっこうおキヌちゃんのマンコ、気に入ったみたいだよ」  
サイトーはにやにやしながら、指でのおキヌの秘裂の刺激を続けた。  
いや、それは、指だけではなかった。  
 
さきほどは懐にあったはずの人面瘡が、今度は彼の手のひらに移動している。  
サイトーは指でおキヌちゃんの割れ目を弄ぶだけではなく、その人面瘡の舌、歯、小さな手  
すべてで陵辱に取り掛かっていたのだ。  
 
「へへへ、色っぽい声で鳴きやがるぜ」  
「ボスの指とアの化け物は、真珠入りなんかより女をよがらせやがるからな。何人拉致って  
リンカーンしても、結局はメロメロになって貢ぐようになるんだからトクだよなあ」  
サイトーは振り向いて、にやりと笑う。  
「そうやっかむなって。あとでいつも、おすそ分けは食わせてやってるだろ?」  
 
力が抜けたおキヌは、膝をがっくりとついた。  
しかし、男の指と人面瘡の責め苦はやむ気配もない。しつこく、ねちっこく、時に激しく。  
そして、ある一線を超えた時、おキヌは自分の理性が砕け散る音を感じた。  
 
「あーーーーーーーーーっ、だめぇぇぇぇーーーーーーー」  
そして、物凄い勢いで、おキヌは自らの股間から愛液をほとばしらせた。  
 
「うわっ、なんだこりゃ?」  
「失禁して、ションベンもらしたんか?」  
「いや、違うぜ・・・潮だよ、潮吹き女ってやつだよ!!」  
「すげえ、潮吹き女ってはじめて見たぜ!!」  
 
その勢いで、思わず人面瘡付きの手を離したサイトーも、さらに淫猥な笑みを浮かべた。  
「こんな上物の牝犬とはね・・・・これは本格的に、楽しまなきゃソンかな♪」  
そうつぶやくとベルトに手をかけた。  
 
そのとき!  
「爆」の文字が光る玉が中に浮かぶと、周りの取り巻き子分たちが一瞬にして吹っ飛ばされた。  
次の瞬間には、オーラで出来た円盤状の物体が男をめがけて飛んでくる。  
 
「大丈夫かおキヌちゃん、正義の味方ヨコシマン登場!!」横島がカッコつけて見得を切る。  
「くっ、あの横島か! 美神事務所の死と隣り合わせの訓練と事件を生き抜き、お尋ね者として  
知られた雪乃丞がライバルとして認めているという・・・・」  
 
微妙に情報がねじれて伝わっているw   
美神事務所で死と隣り合わせなのは、主にシャワーのぞきに関してだw  
それでも、その虚名はこの際、役に立った。  
 
「くっ、相手が悪いぜ、ここは逃げるしかないか。覚えてろよ!!」そういって男は駆けていった。  
 
「えーーーん横島さん、怖かったよお」  
おキヌが抱きつく。  
 
「大丈夫かおキヌちゃん。学院の二人に聞いて来て見たんだけど、こんなことになってたとは・・・」  
二人は、戻る途中、街中でしょーこりもなくナンパに精を出す(失敗)横島を見て、あきれながらも  
二人の関係を焚き付ける為に告白の男子のことを教えたのだ。それが幸いした。  
 
ゴト。  
なにかの弾みで、横島のポケットから封を切ったばかりの「写ルンです」が落っこちた。  
横島は大慌てで拾った。こう叫びながら。  
 
「わっ、この貴重な、おキヌちゃんが自分から生マンコを見せる羞恥プレイを写した使い捨てカメラ  
は無事かっ!見せろ見せないでもめてた時にわざわざコンビニに立ち寄って買い求めて、首尾よく  
不良どもにまぎれて自分も撮影成功したのはいいが、その後その光景を反芻していたら助けに行く  
タイミングが遅れるぐらいの苦労を払ったものが壊れたりしたら泣くに泣けないんじゃー!!」  
 
SSのオチ要員としてはお馴染みの横島の本音発言噴出で、感謝と安堵で泪目だったおキヌの  
顔にはたちまち青筋が走り・・・・横島は「おキヌちゃん、いつからリンチ技術を美神さんから  
ならったんやろか」と薄れゆく意識の中で考えるのだった。(おしまい)  
 

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