「はあ・・・っ、はあっ!!」  
美神除霊事務所に居候中の、妖狐・タマモは隣のベッドから聞こえる苦しそうな呼吸  
で目が覚めた。  
隣のベッドには、同じく居候中の人狼・シロが寝ているはずだ。  
同居人の異常に気がついたタマモはシロのベッドに近づき、声をかけた。  
「どうしたの、シロ?あんた具合でも悪いの?」  
こちらに背中を向けているのでよくは分からないが、シロは身を小さく屈め、両腕を  
交差させて自分を抱くようにしているように見えた。  
「う、うるさいバカ狐・・・、なんでもないでござるよ・・・」  
心配して声をかけてやったのに。シロの返答にタマモはすこしむっとした。  
「時間がたてばすぐに収まる・・・だから、大丈夫でござる・・・よ」  
その言いようだと、もしかしたら過去に何度か経験しているのかもしれない。  
吐く息の合間に聞こえた言葉には、自分への気遣いも感じられて、タマモはシロが気  
になりつつも自分のベッドにもどった。  
「それと、タマモ・・・このこと、美神どのには黙っていて欲しいでござる・・・」  
「え?なんで?」  
「なんででもいいでござる!・・・ともかく、たのむでござるよ・・・!!」  
理由は気になったが、いつもとは違いいやに素直にお願いするシロの姿をみて、この  
場はとりあえず了承することにした。  
それから何分か後、隣のベッドからいつも通りの寝息が聞こえて、タマモは安心して  
眠ることにした。  
 
 
その翌日、昨晩のことがどうにも気になったタマモは、シロと横島が散歩にいったス  
キに美神に相談した。  
「おそらく、発情よ。」  
その返答に、その場にいたおキヌは顔を真っ赤にして驚いた。  
「は、発情ってーーーーーー」  
「人狼は姿形は人間でもケモノの性質を受け継いでいるわ。時期が来たら発情もする  
のよ。ただ――――」  
「ただ?」  
「早すぎるわね。人狼族の発情は心身が充分に発達してから起こるのが普通なのよ。  
これはわたしの推測なんだけど――――シロは私と横島クンの霊力でなかば強制的に  
成長させてしまったから、  
そのせいでカラダのバランスにいくらか支障がでたんじゃないかしら。だから心身が  
未発達なまま発情がきたりするのよ。」  
美神とおキヌのこのやりとりを黙って聞いていたタマモは、昨晩のことを思い出して  
ある程度納得していた。  
発情ならできるだけ他人にもしられたくないだろうから、突き放すような返答したり  
、他人には黙っていて欲しい・と言ったのだ。  
そこでタマモは、一番聞きたかった質問を口にした。  
 
「それで、発情を起こさないためにはどうしたらいいの?」  
「う〜〜〜ん、一度崩れてしまったカラダのバランスをもとにもどすのは無理だわ。  
ただ、発情をある程度おさえてこくことは出来るはずだけど・・・」  
美神はふと、顔を上げてこう言った。  
「シロは確かに、ここ最近何度も経験している・って言ったのね?」  
「うん、今朝聞いたらここ数日はずっと、って言ってた。」  
つまりタマモは寝ていて気がつかなかった・ということらしい。  
その返答を聞いた美神は、なかばあきれた顔でやっぱり・と一言つぶやいた。  
発情をある程度おさえる方法はひとつ。発情のときに”する”ことよ。」  
その返答にもともと真っ赤だったおキヌは、さらに顔を真っ赤にして美神に問いただした。  
「ちょ、ちょっと美神さん!?す、する・って・・・あの・・・その・・・」  
「するって言っても、なにも相手がいなくてもいいのよ。つまり自慰でも発情はおさえられる。  
だけど、人狼族の掟で自慰は禁止されているのよ。もともと人狼の女性は数がすくないから、  
発情が来たら必ず誰かと交わることが絶対なわけ。  
それで、人狼にとって群れの掟は絶対だからシロは自慰を我慢しているんだわ。  
一度やってしまえばしばらくは発情から開放されるのに・ね。」  
なんだかアダルトな話を聞いたようで、おキヌはもちろん、タマモの顔もいつのまにか上気していた。  
「そ、それで、どうしたら・・・?」  
「タマモ、あんたやんなさい。」  
「え・・・ええっ!!」  
 
この結論には、2人とも、つい声をあげて驚いた。耳まで真っ赤だ。  
「シロが自慰できない以上、誰かがやってあげるしかないわ。あたしたちは別に迷惑かけられてないから、  
シロの発情をどうにかしようとは思わないわ。  
・・・ほんとは薬で抑える方法もあるけど、あんたお金持ってるの?」  
そういえばこういう人間だった・とタマモは思った。  
「ま、横島クンがこのまえ忘れていったこの本あげるから、これで勉強しなさい。」  
美神は机の引き出しから女子高生が強調されてる雑誌をタマモに手渡した。  
どうやら百合もののエロ本らしい。  
「な、なんであたしが――――」  
「シロのこと気になるんでしょ?」  
美神の的確な発言に、タマモは一瞬息が止まり、あわてて弁解した。  
「じょ・・・冗談じゃないわ!あたしの睡眠の邪魔だから相談しただけよ!  
バカ犬が発情しようとなにしようとあたしにはなんの関係もないわ!あたしは・・・あたしはしないからねっ!!」  
一気にまくしたてて、タマモは屋根裏に帰っていった。・・・エロ本を手にしたまま。  
そんなタマモの様子をみて、おキヌがおずおずと口を開いた。  
「み、美神さん・・・タマモちゃん、ちょっとかわいそうじゃないのですか?」  
「あら、おキヌちゃん シロとあんなことやこんなことしてみたいの?」  
 
 
その夜、シロは体が火照ったような感覚に目が覚めた。人狼の霊力が最も高まる夜中に発情がはじまるのだ。  
(うっ・・・また・・・今日もはじまったでござるか・・・っ)  
体の芯が熱い。着ているパジャマの感覚ですら、敏感になった肌には刺激だった。  
「―――――――――――――――っ!!はっ、はあっ!!」  
足の付け根がじんじんと痺れる。シロは無意識に自分の右手を下腹部にもっていき、パジャマのなかに手をいれて太ももを撫でる。  
左手は胸に添え、パジャマの上から自分のあまり大きくない乳房を触った。  
「あぅぅっ!!くぅぅん・・・」  
ぞくぞくとした感覚が体に広がっていく。そのまま快感におぼれそうな理性をなんとかつなぎとめて、  
太ももをなぞっていた右手をふらふらと下腹部からはなし、ベッドにたたきつけた。  
「く・・・ぅぅん・・・」  
(拙者にとって、群れの掟は絶対でござる・・・こんな、こんな浅ましいこと・・・)  
目をぎゅっとつぶって、体から湧き上がる甘い感覚に必死で耐えようとする。  
この疼きのままに手をすすめられたら、どんなに楽だろう。  
次の瞬間、シロは唇に暖かい感覚を感じ、はっ、と目を開けた。  
タマモがシロに唇を重ねていたのだ。  
「んっ・・・ぅぅん・・・?はあっ・・・ぁぁ・・っ」  
タマモが唇を離し、吐息が感じられる距離でシロは今の状況を確認した。  
タマモがシロに覆いかぶさるようにして口付けをしているのだ。  
「タ、タマモ・・・どうして・・・」  
「あんたが寝苦しそうだから、手伝ってあげようと思って」  
そういって、タマモは再度シロに口付けをした。シロはいやがってタマモをおしのけようとするが、  
発情のために力が抜けてしまい抵抗はほとんど意味をなさない。  
「はぁっ!ぁぁ・・・んんーーーーっ!」  
そのうちに口の中にタマモの舌が潜り込んできた。  
いやらしい音をたてながら、シロの舌を絡めとる。  
シロは、この口付けによって急に体が熱くなっていくのを感じていた。  
 
抵抗する両手は、タマモの左手でシロの頭の上におさえつけて、空いてる右手はシロの胸のふくらみを撫で回し、優しく揉む。  
シロはタマモの唇が、首筋、鎖骨に触れる感覚に、ぎゅっと目をつぶって睫毛を振るわせた。  
「やあっ・・・ぁぁん、タマモ・・・やめるでござるよぉ・・・」  
タマモの唇は鎖骨の下へといき、シロの胸の頂の小さな尖りに口付けた。  
「はぅぅっ!」  
今までよりも大きな刺激に、シロは喘いだ。  
タマモの右手と唇でシロの硬く尖った乳首を蹂躙する。  
そのたびにシロは切なく息を漏らし、声をだして反応した。  
「は・・・あはっ、あくぅっ!」  
そのうちに、タマモに心境の変化が現れた。  
はじめは発情をおさえるため、しかたないという気持ちでシロを愛撫していたが、自分の愛撫によって敏感に反応するシロをみて、  
嗜虐心がむくむくと起き上がってきたのだ。  
「シロ、あんたいやがってるわりには感じてるようじゃない?」  
「あぅぅ、そんなこと・・・っ!ああんっ!!」  
いつのまにか、タマモの左手による拘束は放たれ、足の付け根に左手が添えられている。  
それだけなのに、シロの体はビクビクと反応した。  
(くぅぅぅん、添えられているだけなのに・・・!!)  
 
タマモは、力が抜けきったシロの上体を起こして背後から抱くような形で愛撫を再開した。  
首筋や唇を吸われ、タマモの両手で胸を揉まれると、シロは体をぶるぶると震わせた。  
「あふっ!あああっ!いやでござるっ・・・こんなことッ・・・ッ!!」  
「さっきの続き、してほしいよね?」  
そういってタマモは、その細い指をパジャマの中の足の付け根に進ませ、シロの秘部をショーツの上からなぞった。  
「あぁぁぁぁっ!」  
ショーツはすでにびっしょりと濡れ、すでに直接触られたかのような感覚に、シロは前に屈んでつい大きな声を上げた。  
「そんな大きな声だすと、美神さんたちに聞こちゃうよ?」  
「そ、そんなこと言ったって・・・こんなの、ダメでござるよぉ・・・」  
息も絶え絶えに、シロはなんとか返事をしたが、もはや抵抗は言葉だけになっていた。  
パジャマの中でタマモの指が動き、そのたびにシロは激しく息を漏らした。  
なんとか足をとじようとするが、両足はタマモのひざのうえにあるためにとじられない。  
両足を大きく開いて、なんて恥ずかしい格好なんだと思うと、シロは目の奥まで熱くなるような、恥ずかしさに襲われた。  
「やぁぁぁあっ!!は、んあっ、あはあっ!!」  
タマモの指がショーツの内側に入り込み、その入り口を上下に刺激する。  
「だめっ、だめでござるっ!!ああぁっ!!」  
シロは涙目になって訴えたが、タマモの舌が耳に不意に侵入してきて、その刺激に言葉を失い息を詰まらせた。  
そのすきにタマモは指を中にすすめる。  
「ああっ、くぅぅ・・・――――――――――――ッッッ!」  
そのあまりの刺激に、シロは大きく喘いだ。  
 
秘部を嬲るいやらしい音が、シロの耳にも届いた。  
「ねえ、こここんなにしているのに、なにがいやなの?」  
タマモの意地の悪い言葉に、シロは「いやいや」をするように首をふって否定しようとしたが、強烈な快感にもう言葉も出ない。  
「ひああっ!ああんっ!もっ、もう・・・!!」  
タマモを一度指を抜いて、花びらに隠れた小さな真珠をさぐりあてた。  
「―――――――――――――――――あッ・・・くう!!」  
腰がしびれる。  
ぞくぞくするような官能に、シロは絶頂の予感がした。  
しかし、タマモはそこで秘部への愛撫を止めた。  
「はあっ・・・はぁ・・・ぁ・・・?」  
名残惜しそうにシロはタマモを見た。  
「ふふ・・・もっとしてほしいの?あんた嫌がってたじゃない?」  
「あっ・・・ち、違・・・」  
シロの返答をまたず、タマモは後ろからかぶさるようにして、シロをベッドに四つん這いにした。  
「な・・・なにをするでござるか・・・?」  
「なんだと思う?」  
タマモは妖艶な表情を浮かべてそういうと、「変化」と言った。  
シロは肩越しにタマモを見たが、タマモはさっきとかわらない。  
「・・・?」  
タマモの様子を不思議に思ったその瞬間、  
「あッ!!ああぁっ!!」  
自分の秘部に、背後から刺激をあたえられて、つい声がでた。  
(は・・・入ってくる・・・あ・・やああ・・・)  
さっきの指より何倍も太い何かが、自分のなかにはいってくるのを感じてまたシロのなかの官能が高ぶった。  
「うぅ・・・はあっ!!」  
「どう?最後まではいったよ。」  
その圧迫感に、シロは手も足もがくがくとふるえた。  
 
「ああっ!!いやあっ!やぁぁぁっ!!」  
タマモがシロの奥までつきあげるたびに、強烈な快感にシロは嬌声をあげた。  
「はっ・・・あんっ!くぅっ!!・・・ひあぁっ!!」  
「シロのここ、すごいことに、なってるよ。我慢しなければ、よかったのに!」  
「タマモっ・・・!やめっ!もうっ、もう許してぇっ!!」  
びくんびくんと跳ね上がる腰を押さえつけ、タマモはシロを貫いた。  
タマモにとってもこういうことははじめてだったのだが、発情で敏感になったシロには、  
タマモの単調な動きでもこれ以上ない快楽だった。  
タマモが変化でつくったそれを、シロはきゅっ、きゅっ、と締め付けた。  
シロの腰は快楽に泳いで無意識に動いて、タマモのそれを逃がすまいとゆれた。  
「ねえ、腰が動いているけど、気持ちいいならそう言ったら?」  
「ひあぁっ、あ、はぁぁぁっ!駄目ぇぇぇッ!これ以上は・・・拙者、拙者・・・もう・・・ッ!!」  
タマモはシロの様子から、「絶頂」というのが近いのだと思った。  
そして、今までよりいっそう動きを大きく、そして早くする。  
肉と肉があたるおとが大きくなり、シロはカラダ全体をがくがくと震わせて、タマモの動きに合わせて喘いだ。  
この快感に、シロはシーツをぎゅっと掴んでぶるぶると震えた。  
「駄目っ!だめえっ!ひあっ!ああぁぁ!やぁぁぁぁぁぁっ!!!」  
シロの秘部がタマモのそれを何度も締め付け、ついにシロは絶頂に達した。  
 
そのままベッドにつっぷして、シロは眠ってしまった。  
あまりの刺激に意識がとんだらしい。  
そんなシロをかわいい、と思って、タマモは寝ているシロの首筋に、もう何度目か分からないキスをしてこういった。  
「おやすみ、シロ。」  
その後、たまに屋上から聞こえるシロの喘ぎ声に、美神とおキヌは悩まされることになるのだった。  
 

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