快楽による涙で私の視界はうっすらと歪んでいた。  
今、私の尻穴の中には幾つもの小さな球体が押し込まれている。  
それ自体が動くわけではない。だが、その球体が私の神経を刺激していた。  
訳も無く蜜は溢れ、腸壁から生まれ出でる快楽という感覚。  
「ふあ…っ」  
風が吹いた。その僅かな刺激が体内に宿る快楽を増幅させる。  
何故、こんな事になったのだろう。彼はどうしてしまったのだろう。一体、何が起こっているのだろう。  
修行に訪れた人狼の少女の様子もおかしかった。彼の一言で、瞳が潤み、そして変貌する。  
「んくぅっ!?」  
急に、快感が襲ってくる。風も無いのに、だ。唐突に訪れる感覚に私は声を上げてしまう。  
自分が快楽に弱いほうだと言う事は自覚している。  
時折、無性に自分を慰めたくなり、無駄な時間を費やす。  
そのたびに、自分の意志の弱さを痛感する。自慰を控えるように心がけてはいるが、それでも思わず股間に指を伸ばす事がある。  
そう、股間だ。けして尻穴などに手を触れたりしたことは無い。そんな、汚らわしいところに――。  
だが、今自分を襲っているこの感覚はどうしたものだろう。  
身体を思うように動かせない。触りたいのに触れない。  
意識を尻から逸らしたいと思っても、体内から染み出る悦楽がそれを許してはくれない。  
必死に、意識をそらす。  
そういえば、ヒャクメはどうしているのだろうか。  
嫌な考えが浮かぶ。彼女は、横島さんといっしょにいたのだ。  
ひょっとしたら自分のように――。  
愛液が、溢れた。  
 
淫らに腰を振る彼女の姿が浮かんだ。こんな事を考えてしまうなんて…。  
心の中で謝罪を述べる。述べただけだ。一度想像してしまった彼女の痴態は消えてくれそうに無い。  
何故こんな淫らな事を考えてしまうのだろうか。  
大切な友人の乱れる姿を思い浮かべ、股を濡らすなんて…。  
……いや、これこそが私なのだろうか?  
友人の蕩けきった表情が浮かぶ。喘ぎ、懇願し、ようやく得られる充実感に吐息を漏らす。  
なんて、いやらしい…。  
友人の艶事を想像し、露を垂らす自分の姿が容易に想像できた。  
いま、私はひどく妖艶な顔をしているのではないだろうか。  
まるで、変態だ。  
いや、変態なのだろう。  
先刻から、涙が溢れていた。  
もどかしいのだ。ひどく疼くこの身体が。  
瞳以外に唯一動かせる部位といってもいい舌を、犬の様に伸ばす。  
そこに誰かがいる事を想像して、想像の相手とを深い口付けを交わす。  
無駄な行為だと、自分でも思う。それでも、体が求めているのだ。  
馬鹿らしいかもしれない。滑稽かもしれない。  
それでも、舌を伸ばさずに入られない。  
何か満たされぬものを埋めたいと願い、舌を伸ばす。  
肛門が、ヒクリ、と蠢く。それが私の情炎を誘う。自分の肉体の反応が激しい欲情を生じさせていく。  
尻穴が求めているのだ。  
 
今まで、一度も得た事が無い物で埋めて欲しいと、求めている――。  
それは、きっと熱いのだ。身も心も焦がされ、溶けるほどの熱を持っているに違いない。  
そして、硬いのだろう。肉をえぐるようにして、私の穴が突かれる。  
太いものが、穴を広げていく。  
涎が、舌の先から滴る。  
欲しい。  
男の人を、感じたい。  
埋めて、犯して、嬲って、抉って、弄くって、突き刺して捏ね繰り回して揉んで抓って引っかいて掴まれて舐めさせられて!  
生まれる、充実感――!  
…私はなにを考えているのだろう。  
脳裏に浮かんだのは狂った私。  
尻穴を責められて、歓喜の声を上げ、腰を振る奴隷の私。  
…その主人は?  
あの、横島さんだろうか。  
彼はどうしてしまったのだろう。  
いや…、そんな事は、どうでもいいのではないだろうか。  
彼は、快楽を与えてくれるだろう。  
尻穴を犯してくれるだろう。  
想像しただけで、疼きが増した。  
「…欲しい…」  
どうなってもいい。誰であろうといい。この、疼きを収めて欲しい。  
 
我慢が、出来なかった。  
イキたいのに、触れないという苦痛。  
静かだった、静寂だけが聞こえてくる。  
あまりに静かで、愛液が溢れる音まで自分の耳に届きそうだ。  
いや、先ほどから実際に何度も耳にしていた。  
尻穴から生まれる快楽が、愛液を垂れ流しにしている。  
高められた感度が、それを留める事を許してはくれない。  
足を開いて立たされている私の足元。そこだけが、濡れている。  
時々、耳に響く水音。ポタリと、股間に溜まっていた愛液が一滴垂れた。  
静かなのだ。自らの水音が聞こえるほどに。  
だから、その声が聞こえたのも不思議ではなかった。  
遠吠えの様に獣じみた声。だが、間違い無くその声には快楽が混ざっている。いや、快楽のみがその声を構成しているといっても過言ではない。  
叫び声に近い、喘ぎ。  
人狼の少女が叫んでいた。その雄叫びが、耳から私の精神を侵していく。  
やめて。もう、止めて――。  
なぜ、何故自分は嬌声を上げることが許されていないのだろう。  
嬌声を上げたい。欲望を吐き出したい。  
なぜ、彼はここに来てくれない?  
いきたいのに。絶頂を迎えたいのに。どうして私の身体は疼く事以外を許されていないのだろう。  
 
…淫乱だと、思う。淫らで、ひたすらにどうしようもなく。  
だが、これが本性ではないのだろうか?  
ずっと、ずっと抑えてきた本性ではないのか?  
淫乱でも、いいではないか。きっと、彼はそんな事で私を見捨てたりはしないと思う。  
ひょっとしたら――ひょっとしたらずっと可愛がってくれるかもしれない。イカせてくれるのかもしれない。  
淫乱。そう、淫乱なのだ。本能が刺激されていた。  
強い雄に、犯されたいと願う、子を孕まされたいと思う、強き種を保ちたいと願う本能。  
欲しい。彼の性器を、咥えたい――。  
「ひぃっ!?」  
何に反応したのだろう…。尻穴の奥の疼きが、増した。  
触りたい。少しでいいから。この疼きを止めたい。  
触らせて。指を入れさせて。穴を広げてさらけ出してもいい。どんな仕打ちにだって耐えられる!  
耐えられないのは、きっと今のこの疼きだけだ。  
…どうして、動かないのだろう。  
頭に、靄がかかる感覚。  
壊れていく気持ち。  
誰か、お願い。  
疼きを止めて――。  
 
 
「あ……はぁ…」  
どれだけの時が流れたのだろう。永遠とも思えるときが流れ、風に乗って届いていた叫び声はいつの間にか消えていた。  
風も止み、聞こえるのは私の荒い呼吸だけだ。  
……足音が、聞こえる。板張りのろうかを、誰かが歩いている。  
すぐに、横島さんだとわかった。  
どこへ、行くの?  
私の元へは来てくれないの?  
遠くなる足音が、絶望感を植え付ける。  
そして、強くなる尻穴の疼き。  
疼く。どうしようもないほどに――。  
壊れてしまえば楽だと思った。  
壊れてしまえば――。  
絶頂を迎えたい…もっと、強い刺激が欲しい…。  
もう、壊れたのだろうか?  
「さわ、りたい……いや…いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!」  
箍が、外れる。  
 
「触りたいの――いやだ…、疼くの! だれでもいいの、お願いだから――この疼きを――止めてぇぇぇぇぇぇぇぇ!」  
返事は、無かった。  
「あは……あははは……横島、さん? どこへ行ったの? ねぇ、……見捨てないで下さい…横島さん……」  
それはきっと僅かな時間だったのだろう。先ほどまでの耐えていた時間に比べればはるかに短い時間。  
だけど、私の心はもう限界だった。横島さんが、私のところへ来てくれると思ったのだ。嬲って、奴隷になれと囁いてくれると思ったのだ。  
……だけど来なかった。きてくれなかった。  
ねえ、横島さん?  
どこに、いるんですか?  
「…いや…疼くのに…触れない…助けて……いやぁ…」  
気が、遠くなりそうだった。  
もう、いいや。壊れれば楽に――  
そう思った時だった。差し込まれる、温かくて、硬い棒。  
「ひゃああああああああああああああぁぁぁぁぁぁんっ!」  
一瞬にして意識が引き戻される。沈みかけていた意識が瞬間的に天へと持ち上げられる。  
「どうする? もっと太くて硬いものでお前のその穴を埋めて欲しくは無いのか?」  
耳元で、誰かが囁いている。だけど、ようやく登りつめた私の心はなかなか元には戻らなくて。  
「…後十秒以内に答えろ…答えない場合はまた放置してやる」  
放置、される? また、あの疼きを抱えたまま?  
「い、嫌です…お願いします。それは止めてください…」  
一瞬にして、天に登っていた気持ちは引き戻された。あの、苦しみをもう一度味わうなんて――。  
「ならば、奴隷になるか? 忠誠を誓う変わりに他では味わう事の出来ない快楽を与えてやろう」  
…いまさら、何を聞くのだろう。決まっている。  
私のような、快楽を求めてしまう淫乱な女には――  
「貴方が誰だろうと、横島さんであろうとなかろうとかまいません…犯して…犯して下さい!」  
必要なのだ。  
淫乱な私には、彼のような――  
 
ご主人様が。  
 

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