水音が響いていた。何か粘着性の液体をを舐め取るような音。  
星と月が輝く闇の中で九つの房が上下に揺れていた。金色の残像を揺らしながら、少女は一心不乱に男の股間に顔をうずめ、奉仕していた。  
舌を肉茎に巻きつけるようにして絡め、カリや裏筋を丹念に舐めあげる。  
奉仕されている男は先ほどから一言も発しないままで、少女の奉仕に身を任せていた。  
「――ぷはぁ」  
息継ぎのために、少女が頭をあげた。赤い蜜で包まれている舌根と男の男根が一筋の唾液でつながっている。  
「んぷっ」  
再び少女が男根をくわえ込んだ。喉の奥まで咥え、嚥下しようとする動きで口内の熱い塊に刺激を送りつづける。  
そんな少女の頭に男の手が乗せられた。軽く撫でられただけなのに少女の表情が緩む。  
だが、男が指し出す腕時計を横目で見て、その表情が一瞬にして曇った。  
時計の時刻は十一時を指し示そうとしていた。  
必死にタマモが喉を蠢かせる。それでも男の表情に変化は見えなかった。  
「時間切れだ、タマモ」  
男が声を発した。そして、奉仕を続ける少女を無理矢理引き離す。  
タマモと呼ばれた少女はその場にへたり込み、そして男を見上げた。  
「ヨコシマ…」  
男は笑っていた。楽しくてたまらなかった。次第になりふり構わなくなってきているこの妖孤を弄ぶのがとてつもなく楽しかった。  
男が掌を開いた。掌で輝く《淫》と《縛》の文殊。  
「い、嫌……お、お願いですっ! 許してくださいっ!」  
男がタマモの顎に手を添え、無理やりに上を向かせる。そして、そのまま《淫》の文殊をタマモの口元に運んでいく。  
タマモは、それをおとなしく享受するしかなかった。これは契約なのだから。  
もう二桁に達しっているだろう文殊の効果は抜群だった。  
タマモの体は熱くなり、疼き、快楽を求め始める。  
しかし、身体の動きは《縛》られて、指一つ動かす事もままならないでいた。  
そんなタマモの姿を男はただ黙ってみているだけだった。何もせず、ただ苦しみもがく様を眺めていた。  
 
 
始まりは、不注意からだった。  
いつもの様にシロは主である横島と共に散歩へと出かけていた。とはいえ、散歩は隠れ蓑に過ぎない。実際には、調教が行なわれているのだ。  
辱められ、嬲られ、犯され――どんな事をされても従順に従う雌犬。かつての戦士としての面影がまったく見られない淫らな顔。  
「あはぁん、せんせぇ…拙者、少しは上手く腰が振れるようになってきたでござるか?」  
この奴隷の主である横島はシロに「ご主人様」という呼ばせ方をやめさせていた。いちど、シロが同居人である妖孤のタマモの前で口を滑らせかけたことが原因だった。  
「ああ、少しは上手くなってきたんじゃないのか?」  
騎乗位で腰をグラインドさせるシロの胸を弄りながら横島が言う。常人であれば既に果ててもおかしくないシロの腰使いに、横島は三十分も耐え切っていた。  
「ふあぁ…うれしいでござるよ…」  
既にシロは二桁以上の絶頂を数えていた。横島が文殊でシロの感度を上げているのがその主な理由だ。  
今のシロはキスで口内をなぞられただけで簡単に潮を吹くほどに敏感になっていた。  
人払いの結界が張られたビルの屋上には未だ何箇所かシロの吹いた潮の跡が渇かずに残っている。  
「ひぐぅぅぅぅぅぅぅっっ!」  
シロの体が、横島の一突きで跳ねた。背筋が反りかえり、あっさりと絶頂に追いやられる。  
「今日はここまでだ」  
そう言うと横島は体を起こし、シロの体から陰茎を抜いた。その黒光りする剛棒を放心状態のシロの口元へ持っていく。  
唇に触れると、シロはすぐに舐めはじめ、己の愛液で濡れた一物を綺麗にする。  
横島はそんなシロの乳輪をなぞりながら、人払いの結界を解き始めた。  
後は、文殊で身体を清めて帰るだけだったのだ。ただ、それだけでこの調教は終わるはずだった。  
 
「ヨコ……シマ?」  
結界を解いた、屋上への入り口。そこに、タマモがいた。  
 
「……何故ここに?」  
横島が下半身を晒したままでタマモのほうへと向き直った。  
「え…さ、散歩だって言うから…付いてきて…でもここで匂いが切れてたから……」  
ちらちらと、横目ではあったがタマモは横島の股間に釘付けになっていた。敏感なタマモだから感じる、雄の臭い。  
「ずっと待ってたのか?」  
横島が一歩タマモに近付いた。タマモの目が、正面から横島の股間にぶら下がるものを捉えた。  
 
タマモの中の獣が叫び始めていた。  
 
服従しろと。  
この雄に服従しろと。  
 
それと同時に理性も声をあげる。  
 
これは、関わってはいけないものだと。  
 
だが、タマモの体は言う事を聞かなかった。次第に風に流されているもののまだ濃厚に香る体液の臭い。  
体が興奮して仕方が無い。抑える事が出来ない。  
 
そんなタマモの様子を気にせず、横島がまたタマモとの距離を詰めた。  
もう、手を伸ばせばタマモの体に手が届く。  
そして、横島は再び結界を形成した。  
再び外界と区切られた屋上に、一匹の雄と二匹の雌が取り残された。  
そして、横島は被っていた皮を脱ぎ始めた。  
溢れ出る異質な妖気。そのあまりにも濃密な気配が、タマモの精神を正気に戻した。  
「ねえ……ヨコシマをどこにやったの?」  
タマモの指先に火が灯る。腰を落としすぐにでも動き出せる体勢を取る。  
「この体の持ち主なら、喰らってやったぞ…それがどうした?」  
ヨコシマが言い終わるのが早かったのか、それともタマモが動いたのが早かったのか。  
どちらにせよ、タマモはヨコシマに向かって狐火を飛ばしながら突進していった。  
だが、狐火もタマモ本人も横島の元へと辿り着く事は無かった。  
横から飛び込んできた、一陣の風。  
「っ!? 馬鹿犬っ?」  
シロの霊波刀が狐火を切り裂き、そのままの勢いでタマモの突進をも止めていた。  
「先生、どうするでござるか?」  
すぐさまタマモを組み伏せたシロが横島に向かって訊ねた。  
「先生? 馬鹿犬っ! そいつはヨコシマじゃないのよ!?」  
タマモが地に伏しながらシロに食って掛かる。  
自分と同じようにヨコシマに好意を持っていたシロが何故偽物だとわかっても先生と呼ぶのか事情をしらないタマモには知るよしもなかった。  
「それは先生が拙者のご主人様だからでござるよ?」  
 
何を当たり前の事を聞くのだ。そんな雰囲気を漂わせるシロの返事にタマモは愕然とした。  
そして、仲間を変えてしまっただろう相手を睨みつける。  
「残念だなぁ、タマモ。お前は身体で理解してくれると思ってたんだが…」  
横島が力の解放を進める。その妖気にあてられ、タマモの顔が一瞬にして赤く染まった。  
力の強いものに惹かれる獣の本能が、じわじわとタマモの精神を侵していく。  
「安心しろ。お前も俺の肉奴隷に変えてやるから」  
その声はタマモの記憶の中のヨコシマと同じ声だった。ただ、表情だけが恐ろしく違う。  
彼は、こんな表情をするような人間ではなかった。こんな表情をするヨコシマを、タマモは目にした覚えがなかった。  
横島が自分に向けて文殊を使う。《抽》《出》の2文字が輝き、横島の体から何かが文殊に集まり出でていた。  
「……せんせぇ、いいにおいがするでござる……」  
嗅覚の優れたシロにはすぐに察しがついた。これは横島のオスの匂いだと。  
濃縮されたフェロモンが閉鎖された空間に漂っていた。  
そして、横島は新たに《絶》《頂》の二文字を生成する。  
「な、何するのよっ!? 離しなさいよ馬鹿犬っ!」  
シロの下でタマモが暴れ始めていた。横島の能力はタマモもよく知っている。そして、その文字がどのような効能を持つものかも簡単に理解できた。  
だが、タマモの予想は少し裏切られる事となった。横島はまず始めに《抽》《出》の文殊をタマモに近づけたのだった。  
鼻腔に広がる、濃密な横島の匂い。  
「―――――――――――――――――――っ!?」  
そして、いきなりの絶頂。  
そこから先は、横島にとっては作業に過ぎなかった。  
 
タマモの秘所から愛液が飛び散った。  
簡単に訪れる絶頂。  
それも今では《絶》《頂》の文殊無しに訪れるようになっていた。  
匂いを嗅ぐだけで訪れる絶頂。  
身体に染み付いた条件反射が簡単にタマモに快楽を与える。  
既に横島とシロはタマモの事を放置していた。  
横島はシロの穴をその太い陰茎で埋め、さらに《巨》《大》の文殊でシロのアナルを拡張していた。  
二人が交わるところから僅かに香る横島の匂いに、タマモは酔っていた。  
しかし、既に《抽》《出》の文殊は消滅し、あの濃厚な匂いが鼻腔を襲う事はなくなっていた。  
あの濃厚な匂いと比べると、かすかでしかない匂いを必死でタマモは嗅ごうとしていた。  
もう、我慢が出来なかった。だんだんと弱くなっていく快感。始めに訪れた絶頂を越えるものはまだ経験していない。  
そんな自分の目の前でヨコシマとシロは快楽を共有していた。  
愛液を垂れ流すシロの姿を羨ましく思う。  
だから、のろのろと横島の元へと向かった。  
 
「おね…がいです」  
本能が叫ぶ。これでいいのだと。  
「犯し、て?」  
だけど、ヨコシマはこっちを向いてくれなかった。ただ、シロと一緒に快楽を得ていた。  
その腕を掴んで、必死に願い出た。目で訴え、足に口付けをした。  
それでもヨコシマはあたしに手を触れてくれなかった。  
だけど、その代わりに契約を…申し込まれた。  
 
「ンむっ! あむぅっ!」  
必死でヨコシマのペニスを咥える。  
契約を、申し込まれたのだ。  
口だけで、イカせる。  
それが課題。  
罰は…身体の疼きをどんどんと増幅される事。  
十分単位で時を刻み、挑戦と罰が口語に訪れる。  
まだ一度もあの匂いを味わう事は出来ていない。  
もう何度ヨコシマに《淫》の文殊を飲まされたのだろう。飲まされた後に待つのは十分間の放置。  
そして、乗り越えた十分の後に待つのは、壊れそうな程に欲求を高められた状態での奉仕。  
だけど、もうイカせるなんて言う自信は無くなりつつあった。  
意識が朦朧とする。イキたい。あの匂いを感じたい!  
舌が上手く動かない。動かさなきゃいけないのに。イキタイノニ…。  
動きが止まったせいか、ヨコシマが顔を上げさせた……何故だろう、視線がぶつかる事がすごく嬉しい。  
 
彼が、優しい口調で囁いてくれる。  
 
「イキたいのか、タマモ?」  
 
一瞬の当惑。だけど、すぐ必死になって頷いた。  
 
イキタイ。  
 
何でもいい、この身体を静めてくれるのなら。  
 
イキタイ!  
 
「しょうがないなあ…」  
彼が、体を持ち上げて膝の上に座らせる。  
そのまま彼は屋上に寝そべってしまう。  
 
「入れてもいいよ?」  
 
涙が、出た。  
すぐに、彼のペニスの上へ腰をやる。  
ゆっくりと、狙いを定めて下ろしていく自分の腰がもどかしかった。  
そして、先が入ったことを確認して、一気に腰を下ろす。  
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!」  
初めてなのに、最高の、快楽。  
何回も、イク。何度達したのか覚えていない。文殊によって高められた身体は、一度得た快楽を簡単には手放せなくなっていた。  
途中から、シロもまじえて、とにかく絶頂を味わいつづけた。  
絶頂を迎えるたびに、彼が聞く。  
「奴隷になるか?」と  
頷く。断れるはずが無い。やだ、止めないで。この快楽を、ずっと――。  
 
「あうっ! イクッ! イキます――――」  
指が、お尻の穴を行き来していた。それだけで迎える絶頂。  
そんな中で彼がペニスをあたしの顔に向けて数度しごいた。  
白濁液が、顔にかかり、そして――  
 
広がる、匂い。  
 
「えっ!? ま、また――! イク――あはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!」  
 
 
横島は荒い呼吸で地面に横たわるタマモを見つめていた。  
その手には《倍》《増》と書かれた文殊が握られていて――  
 
「ヨ、コシマ? これ、からも……これからも、犯して、ね?  
いっぱい、いっぱい、かけてね?」  
 
始めに、突進してきたあの面影は、無い。  
犯され、絶頂をむかえ、笑うその姿は――他の雌奴隷たちと違わぬものだった。  
 

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