(注意)  
このSSの内容は迷子イベントを経たBルートの最終シナリオを基本軸としつつ、アライ  
メントの上げ過ぎによる性格歪曲を始め、若干以上かなりのアレンジが加えられています。  
特に、ランディウスはキャラメイクの失敗により、ハーミットになれません。(テレポー  
トが使えない)その旨どうか予めご了承下さいます様、お願いいたします。  
 
 
「姫、手を上げる事をお許しください」  
「私に…もっと力が……あれ…」  
「姉さん!」  
「くっ、やはり、彼女に賭けるしか……」  
 
沈痛な表情を浮かべながら、リッキーはメサ○○ンソードでシェルファニールの心臓を  
貫き、まともに戦っても勝算が無いと判断したジェシカはレイチェルに説得させようと  
洗脳魔法の解除を試みた。  
 
「はっ、お兄ちゃん!? 何故魔族と一緒に戦ってるの!?」  
「何を言ってるんだ、レイチェルは?」  
「ボーゼルが施した洗脳魔法を解除したのです」  
「ふん、逆洗脳する方が手っ取り早かったのでな」  
「そんな事を聞いてるんじゃないの! どうしてお兄ちゃんが魔族と手を組んでるの!?」  
 
勇気を振り絞り、魔族の思想を受け入れた兄を糾弾したレイチェル  
が見たのは今まで見た事も無い欲望をむき出しにした笑顔だった。  
 
「奴と手を組んだのは、俺がこの世界を支配する為さ」  
「そんな!?」  
「兄上!?」  
「ランディウス……」  
 
「考え直して、お兄「兄上がそんな事を考えていたとは! もう付いて  
行けぬ! このリッキー、これよりアンジェリナ姫に加勢させ……」」  
「じゃ、お前さんは敵だな。愛しい姫さんの所へ送ってやるよ」  
 
レイチェルの訴えを遮って激昂したリッキーは、直後  
にマクレーンのメ××ヤンソードに首を刎ねられた。  
 
「お前は付いて来てくれるのか、マクレーン」  
「覗きの時にいかなる時も大将に従うと言った筈だ。それで、レイチェルはどうする?」  
 
「……レイチェルは回復魔法の専門家だ。ボーゼル、後でまたあの魔法を使ってくれ」  
「では、カオス様を復活させたらすぐにでもかけてやろう」  
「そう言う事だから、少し寝てな」  
 
当身で気絶したレイチェルをリスティルに後送させ、気を取り直したランディウス  
達はボーゼルの元へ急いだが、アンジェリナ隊の善戦によって足止めを強いられた。  
 
「姫様! 既に前衛部隊は壊滅し、我が本隊もこのままでは……」  
「そう長くは持たないわね。ここは私の直属部隊が支えるから、  
あなた達はジェシカさんと一緒にボーゼルを倒して」  
「危険ですよ」  
「だから私がやるのよ。彼は私に任せて、ボーゼルをお願い」  
「分かりました。少しの間お願いします」  
 
数十分後、護衛のデーモンロードが倒れ、ジェシカ達がボーゼルと刃を  
交え始めた頃、アンジェリナとランディウスの戦いは佳境に入っていた。  
 
「この天才魔軍師アイヴァー様が、今とどめを……」  
「やめろアイヴァー! お前の敵う相手じゃない。下がってヒールを唱えてろ」  
「この私に指図を「危ねぇっ!」」  
 
「マクレーン、大丈夫か!?」  
「何とかな」  
「アンジェリナは騎兵だ。ここは俺に任せて、四人ともボーゼルの援護に回ってくれ」  
「頼んだぜ大将。おら来い馬鹿軍師!」  
「行くよナール。ボーゼル様を助けるんだ」  
「……(カオスドラゴンにナッテイタ方が良カッタカ?)」←バインパイアロード  
 
ランディウスとアンジェリナの仲間と部下がボーゼルの元へ赴き、直属兵達は互い  
の指揮官への攻撃を阻止する為に突撃し合い、二人は一騎打ちの状態になっていた。  
 
「もうすぐこの戦いも終わるわね。カオスの復活が先か、ボーゼルを倒すのが先か」  
「君でも邪魔はさせない。俺は自分に正直に生きたいんだ」  
「それでボーゼルの人形になるの? レイチェルちゃんの様に」  
「そうなってでも、俺は望むモノを手に入れる。その為なら何でも利用するさ」  
 
剣戟音をBGMに、アンジェリナはランディウスの告白を聞いていた。  
 
「俺は世界なんて如何でも良いんだ。法も混沌も知った事じゃない。  
俺が本当に欲しいのはね、アンジェリナ。君なんだよ」  
「私を?」  
「森で一緒に出口を探した日からあの女の子の事ばかり考えていた。  
オ○¥%を覚えて以来、ずっとオカズにして、夜な夜な妄想にふけってたんだ」  
 
言い終えた瞬間、顔を真っ赤にしたアンジェリナ  
のアッパーカットがランディウスの顔面に直撃した。  
 
「うぅ、ナイスパンチ」  
「バカ……」  
 
「ブルーノ将軍にカコンシス王が殺されたと知って内心喜んだよ。あの王様相手に  
如何口説くか途方にくれて、『殺してでも奪い取る』と考え始めた矢先だったんだ」  
「……」  
「相手は王族、こっちは名無しの平民。身分が邪魔になるのなら、カコンシス  
を滅ぼしてアンジェリナを一平民にすればそんな境も無くなるだろ?」  
「その為に私達を裏切ったのね? 提督達を殺してまで」  
「そうさ! 例え無理矢理でも、君を手に入れる為なら国も世界も滅ぼしてやるさ!」  
 
それはボーゼルと手を組む事によって解放された彼の本心だった。  
 
「鼻血を垂れ流して告白されてもねぇ」  
「そう言われてもな」  
 
言いながら鼻栓するランディウスの姿は覇者を名乗るには少し格好が悪かった。  
 
「まぁ、それは以外だったわ」  
「何が……」  
 
言い終える前に右ストレートが鳩尾に直撃し、あっさりと気絶したランディウス  
を見るや、生き残っていたロイヤルランサー隊は全員投降した。  
 
「ロットシュタイン!」  
「はい、姫様」  
「彼らを武装解除して後方へ。それから、今の内に負傷兵へ応急処置を」  
「了解しました!」  
「…ジェシカさんが心配ね。まだ戦える者は私に続いて。一気に終わらせるわ!」  
『おおーっ!』  
 
それはジェシカ達がボーゼルに止めを刺した瞬間でもあった。  
 
「ぐはっ! おのれ……」  
「しまった! 大将、すまねぇ」  
「ボーゼル様…」  
 
「これで終わりです。ボーゼル」  
「ぐうぅ……申し訳ありません、カオス様」  
 
必死の防戦も空しく、ボーゼルはホーリーブレイズによって  
燃え尽き、主導者を失ったリスティル達は潔く投降した。  
 
「これでアルハザードは確保しました。後はラングリッサーを……」  
「おい、リスティル。ボーゼル以外でもカオスの復活は出来るのか?」  
「知らないよ。どの道、ボーゼル様が死んだ以上、アタイ達はもう終わりさ」  
「そうヤケになるなよ。大将が何とかするさ」  
 
「残念だけど、それは無いわ」  
「姫さん!? それじゃ、大将は?」  
「一足先に後方へ送ったわ。今頃は捕虜の運搬用馬車で寝てるでしょうね」  
「万事休すか!」  
 
頼みの綱を失い、流石のマクレーンも絶句した。  
 
「一足遅れたけど、もうカオスが復活する事はないのね? ジェシカさん」  
「はい。ボーゼルは死に、アルハザードもここにあります。  
これでこの世界が闇に包まれる事はないでしょう」  
「後は私達人間の問題って訳ね。それじゃ、ラングリッサーを返すわ」  
 
ジェシカは手早く二振りの剣を水晶に戻し、天界へ帰って行った。  
 
「……さて、事後処理が大変ね。姉さんもいないし」  
「俺達はどうなるんだ? 殺すならさっさとしてくれ」  
「こいつ等皆殺しにしてやる! ウィラー提督の仇だ」  
「私に考えがあるわ。一先ず捕虜として連行しましょう」  
 
「是非とも私目に八つ裂きをお命じ下さい」「一ミリ毎にウィンドカッターを!」  
「闇の法衣を着せて、デクライン後にホーリーブレイズだ!」「ミンチにして馬の餌に!」  
『『『『『姫様!』』』』』  
 
「姉さんがいない今、カコンシスの王はこの私。あなた達は王の命令が聞けないの?」  
 
その瞳は冷たく、復讐を渇望する部下達を一瞬で黙らせた。  
 
「……分かりました」  
「元は私達の仲間だったから、彼らの身柄はカコンシスが預かるわ」  
 
ランディウスを倒した本人が提案した事もあり、反対する理由はあっても力量が無かった  
ので、連邦兵は素直に承諾した。不承不承の兵達に捕虜の運搬用馬車へ担ぎ込ませ、アン  
ジェリナは連邦の王城へ戦勝報告をしてからカコンシスへ戻って行った。  
 
(その晩)  
 
二人分の足音で目が覚めたランディウスは自分の置かれた状況を確認した。  
そこは人気の無い牢屋だった。腕は背中で組んだ形で拘束され、足も縛られている。  
足音の主がアンジェリナと側近だと判ると、やっとの思いで姿勢を整えた。  
 
「気が付いた様ね」  
「ここはどこだ?」  
「カコンシス城の地下牢よ」  
「アンジェリナ、俺は「ロットシュタイン」」  
「はい、姫様」  
「案内ありがとう。暫く二人きりで話がしたいの。席を外して」  
「了解しました」  
 
水汲み兼任の副官が去り、静寂が二人を支配した。  
 
「入るわね。ランディウス」  
「勝手にすれば良いだろ」  
「そうね」  
「何しに来たんだ? 笑いに来たのか? 首を刎ねに来たのか?」  
「それはあなたの態度次第ね」  
「マクレーン達は無事か?」  
「今の所は無事よ。でも今後は……」  
「俺の態度次第か?」  
「そうよ」  
 
ランディウスは観念した様に頷いた。  
 
「……あの時以来ね。二人きりになれたのは」  
「そうだな」  
「姉さんもウィラー提督もセレナ将軍も、皆死んでこの城には誰も居なくなったわ」  
「ああ」  
 
リッキー・マクレーンと一緒にボーゼルの誘いに乗り、魔族と  
手を組んであのメ△イ△ンソードで、ランフォード達を葬った。  
 
「私を強奪する為にね」  
「ああ」  
「一応確認するけど、こうなった事を悔やんでる?」  
「いや、提督達には悪いが後悔はしてないよ」  
 
嘗ての仲間と殺し合う事も、負ければ裏切りの首班として惨めな死が待っている事も  
覚悟していた。片思いの、しかし最愛の相手に見下ろされ、せめて彼女の手にかかっ  
て死にたいと考えていた。  
 
「頼みがある。アンジェリナ」  
「何?」  
「好きな男はいるか?   
その…交際とかはしてるのか?」  
「どうしてそんな事を聞くの?」  
「何も知らないままじゃ死んでも死に切れない。死ぬ間際に他の  
男と一緒に居る君を見たくないんだ。頼む、教えてくれ!」  
「……いいわ」  
 
アンジェリナはランディウスの瞳から自棄の色が抜けるのを待って  
寄り添い、恋人に身体を預ける様に身を委ね、胸に顔を埋めた。  
 
「アンジェリナ……?」  
「これが答えよ。好きな男はいる。交際は今からする。  
私はね、ずっとこうしたかったの。やっと夢が叶ったわ」  
 
アンジェリナは安らぐ様にランディウスの心音を聞いていた。  
 
「動かないでね。ファーストキス、味わいたいから……」  
 
それは長い年月を埋める様に長く、二つの舌が互いの口腔内を蹂躙する深いキスだった。  
 
「今だから言うわ。私ね、あなたが思う様な理想の女じゃないの」  
「どうして?」  
「あの置き手紙を皆に見せたのは私なの。あなたと、世界を手に入れる為に」  
 
キスの後、アンジェリナは顔を胸に埋め直し、意外な告白  
に驚くランディウスの反応を楽しみながら打ち明け始めた。  
 
「提督達は確かに頼れるけど世界を取る事に興味は無いし、むしろ  
反対してくるから。幾ら有能でも、命令に背く様なら必要ないわ」  
「じゃあ、ランフォード達も?」  
「連邦最強の勇将とその副官が居なくなったし、連邦を攻めるのが楽になったわ」  
 
今のアンジェリナは、ランディウスがレイチェルに向けたそれと同じ笑顔をしていた。  
 
「それに、単純に一緒に居たいだけなら後を追えば良かった。でも、その為にボーゼル  
の言い成りになりたくなかったし、言い成りになったあなたを見たくもなかった」  
「……」  
「だから、ジェシカさんと協力してボーゼルを倒す事にしたの。  
神も混沌も、私以外にランディウスの自由を奪う事は許さない」  
「それじゃ、皆アンジェリナの思惑通りだったのか?」  
「そうよ。最初から告白された事意外は」  
「俺の告白が?」  
「だって、姉さんの方が女の子っぽいし、私より出来も良いし……」  
「それで俺がシェルファニールに気があると?」  
「うん。それにね、私は姉さんの事を前々から憎んでたの」  
 
いつも周りから可愛がられ、大事にされ、泣きたい時に先を越されて、  
私が欲しいモノを全部手にして、ランディウスにまで色目を使い始めた。  
 
「あの時リッキーが殺してなかったら、私がこの$サイ$ンソードで殺していたわ」  
「混乱に乗じてか?」  
「そうよ。この上あなたまで取られたくなかったから」  
「シェルファニールには悪いけど、そういう目で見た事は無いな」  
 
「ね、さっき言った事は本当なの? その……私が好きだって事」  
「もちろんだよ」  
「私が、『あの』お父様の娘で目的の為には仲間も殺す、野心の塊の様な女でも?」  
「変らないし、むしろ惚れ直したよ」  
 
今のランディウスは絶世の美女に目が眩み、交際を渇望する男の瞳をしていた。  
 
「夢みたい。大好きな、それも初恋の人にそう言われるなんて……」  
「俺は君より魅力的な女性を見た事が無いよ。男勝りなんて、とんでもない」  
「私がそう言われてた本当の理由はね、何時か本当に好きな人が出来た時、力ずくでも  
手に入れる為。抵抗を撥ね退け、その人に好きな女性がいても強奪出来る様になる為」  
「そして、俺を虜にする為」  
「その為に必死で特訓したわ」  
 
ファランクス相手に騎馬戦を挑んだり、ロイヤルランサー相手に格闘したり……  
 
「君の本当の強さを、俺は身をもって知ってる。でもね、男の立場から言わせて貰うと、  
強奪されるより、する側でいたいんだ。それにアンジェリナばかりずるいよ。俺だって  
君を抱きしめたいのに、これじゃ生殺しだ」  
「お預けよ。強奪したのは私なんだから」  
「くぅ……」  
 
ランディウスの両腕は背中でもがきながら主の未熟を恨んでいた。  
 
「ダーハッハッハ! 天才魔軍師アイヴァー登場!」  
(しばらくお待ちください)  
 
「クラレットさん、これは一体?」  
「カルザスの新しい特産品候補よ」  
「どろリ……濃厚?」  
「ピーチ味だけじゃなくて、メロンやマンゴー味もあるわよ」  
「僕は甘い物はちょっと……」  
 
「甘いのが苦手なら、甘くないのもあるわ」  
「マリーさん、これは?」  
「パンにつけるのよ。さぁ、食べて」  
「あっ、それじゃ戴きます……」  
 
「……(お、おい、大丈夫なのか? アルフレッド隊長が白目向いてるぜ)」  
「……(きっと、今頃は臨死体験してるわね。一体どんな味なのかしら?)」  
「……(頼むから浮気のお仕置き用に貰わないでくれよ。ハニー)」  
 
「まだたくさんあるから、疲れたら言ってね」  
 
「……(冗談じゃないぜ。それはダレたら即あの世行きって事じゃないか!)」  
「……(どの道このままでもあの世行きよ。やるしかないわ)」  
 
「よし、今から俺の能力を使う。皆の想いで、ペイリアの衝突を止めてくれぃ!」  
『『『『『イヤッホーゥ!』』』』』  
『『『『『シグマ最高!!』』』』』  
「アルハザードを超えるぜ!」  
『『『『『シグマ最高!!!』』』』』  
「愛の力で!」  
『『『『『シグマ最高!!!!』』』』』  
(しばらくお待ちください)  
 
「もうやめなさい。すでにボロが出ていますよ」  
「お、お前は!?」  
「私はジェシカ。魔動巨兵の改修監督を務めていました。  
ギザロフに仕えていたのなら、名前を聞いた事はあるでしょう?」  
「うぐぐ…一体、何処から出てきたのですか!?」  
 
「よう、ジェシカさん。その馬鹿軍師を締め上げるのなら手伝うぜ」  
「マクレーン……動けるのですか?」  
「忍者マスターをなめちゃいけない。それに、  
こうなった原因はこいつのデクラインの誤爆だ」  
「アタイ達にもやらせておくれよ」  
「……」  
「15禁ならいざ知らず、18禁で伏せネタをやるとは良い度胸だな」  
「「「覚悟は(いいか)(いいですね)(いいかい)?」」」  
「うわぁー!」  
 
「ところで、ランディウス」  
「なんだい?」  
「さっきから気になってたんだけど、この硬くなってるのは何?」  
 
指差した先は張り詰めたテントがあった。  
 
「これは…いや、その……」  
「出してあげるね」  
「ちょっと!」  
「きゃっ!」  
 
開放されたソレはアンジェリナの思考を一瞬停止させた。  
 
「すごい……」  
「出来れば、仕舞ってくれないか?」  
 
(男のバリスタ)を見られ、情けなく頼むランディウスの心を占めたのは、先程の戦い  
まで開放されていた欲望ではなく、互いの想いを確かめた後の気恥ずかしさだった。  
 
アンジェリナはそんなランディウスの(バリスタ)を握り、程よい刺激  
を与えられたソレは主の意志に背き、声高に存在をアピールしていた。  
 
「コレを私にどうして欲しかったの?」  
「えぇっと……」  
 
ランディウスとしては、もう少しマシな状況で使いたい為に今すぐにでも  
隠したかったが、(バリスタ)もアンジェリナも引っ込むつもりは無かった。  
 
「この先何回も私の中に入るんだし、今から顔見せしたって良いじゃない」  
「そりゃそうなんだが……」  
 
好き合っていると判った以上、出来るだけ紳士的に迫りたいと考えるランディウスとは  
裏腹に臨戦態勢の(バリスタ)はアンジェリナの吐息を浴びてピクピクと蠢き、更なる  
刺激を求めた。  
 
「……(ここは我慢だ。頑張れ、俺!)」  
「痩せ我慢は身体に悪いわよ。素直になりなさい」  
 
胸を押し当てながらそっと囁かれ、ランディウスの何かが切れた。  
 
 ・初めてを捧げる  
 ・愛しそうに咥えてもらう  
→・扱いてもらう  
 ・他の選択肢へ  
 
「……もう少し握力を強くして、上下に動かしてくれないか」  
「こうかしら?」  
「もう少し早く。そのまま袋を優しく揉んで」  
 
快感に身震いしつつ、初めてながら懸命に応えようとするアンジェリナを見て  
ランディウスの息は一秒毎に荒くなり、(バリスタ)は潤滑液を吐き出している。  
 
「次はどうするの? このまま動かせばいいかしら?」  
「出てきた汁を先端から窪みまで広げる様に……」  
 
既に理性は飛んでいた。アンジェリナの手淫を少しでも長く味わう為、汗を滲ませなが  
ら股間に全神経を集中させ、湧き出る衝動を抑えたが、我慢の崩壊は以外に早かった。  
 
「玉を付ける様に寄せて……ぅあ!? 出る!」  
「出るって?……きゃ!?」  
 
(バリスタ)の吐き出した白色矢はアンジェリナの  
顔に飛び掛り、二人は暫くの間呆然としていた。  
 
「……じ、事前に言うべきだったね。汚してごめ「ランディウス」はい!?」  
「夜な夜な妄想の中で私にこんな事をさせていたのね?」  
「あっ、いや。もっと別の「『別の』何をさせていたのかな?」」  
「うぅ……」  
 
アンジェリナは顔を拭おうともせずに妄想の中身を追求し、射精によって一気に興奮が  
冷めたランディウスが平身低頭の思いで只管謝り、返答に困り果てた所で縄を切った。  
 
「まぁ、言い辛いなら、無理に言わなくてもいいわ。さ、今度はランディウスの番よ」  
「俺の番って……良いのか?」  
「あなたを強奪するのは満喫したから、次は私を強奪して」  
 
その申し出に、ランディウスの(バリスタ)はナイトプレート・ソニックバンドの組み  
合わせの如き迅速さで復活し、戒めを解かれた両腕がアンジェリナの服に襲い掛かるの  
を必死で堪え、アンジェリナの顔を自分の胸に埋める様に抱きかかえた。  
 
「それじゃ、お言葉に甘えさせてもらうよ」  
 
二人が力強く抱き締め合い、キスを繰り返し、互いの身体を  
弄り合い、キスマークを付け合っている頃、厨房では……  
 
「何時まで経っても出て来ないって事は、明日の朝食は決まったな」  
 
待ち草臥れたロットシュタインが赤飯を作り始めていた。  
 
「俺の初めて、受け取ってくれ!」  
「い、痛い! もう少し優しく……」  
「す、すまない。  
……こうか?」  
「うん。そのままゆっくり」  
 
ランディウスの(バリスタ)はアンジェリナの(アエネアスの鎧)を突き破ったが、  
想定していた以上に中がきつく、覚悟していた以上に痛みが強かった為に、二人は  
進退窮まってしまった。  
 
「想像していた様には行かないモンなんだな」  
「そう…ね。このままでは埒が明かないわ」  
 
ゆっくり丁寧に優しく動くランディウスと、初めての痛みに耐えながら腰の  
動きを合わせようとするアンジェリナは、互いに相手を気遣いながら短期に  
状況を打開する方法を模索した。  
 
「よし、魔法を試してみよう」  
「やってみる」  
 
しかし、その結果は散々なものだった。  
 
プロテクションは中の圧力が強まって余計に進み難くなってしまい、アタック  
やスローを唱えても傷口をグリグリと押さえつける様な痛みに襲われ、ヒール  
を唱えたらやっとの思いで抉じ開けた(アエネアスの鎧)が復活してしまい、  
もう一度突き破る羽目になった。  
 
「クイックは危なっかしくて使えないし、残りの二つは何の役に立ったんだ?」  
「知らないわよ。それより、コレ……軟らかくなってない?」  
「言われてみれば、握られても、あんまり気持ち良くないな」  
「私も、さっきまで触れられて感じてたのに、今は何ともないわ」  
 
身体の変調を確認した二人は、やがて一つの結論に辿り着いた。  
 
「どうやらファインで興奮が冷めて、レジストで感じ難くなってしまった様だな」  
「それじゃ、効果が切れるまで待つ?」  
「いや、まだ試してない魔法があった。ミュート!」  
 
しかし、レジストによって効果は全く出なかった。  
 
「……考えてみたら、喋れなくても大して意味は無いんじゃない?」  
「そうだよな。すまない、大人しく待とう」  
 
それからランディウス達は備え付けの毛布の中で互いの温もりをかみ締めながら、レジスト  
の効果が切れるのを待った。二人がデクラインの効能に気付くのは、もう数日先の事となる。  
 
「魔法に頼っちゃダメか」  
「そうね。自力で何とかしましょ」  
「ああ」  
 
二人は前戯をやり直したが、片方は何年もこの時を待ち望み、片方は予定と違っていた  
とは言え、やはりこの時の為に数日前から処理をしていなかった。その為、緊張の糸が  
切れた後の徒労感からすぐに復活して(バリスタ)は強度を取り戻し、止血のヒールで  
再び復活した(アエネアスの鎧)も受け入れる体制を整えた。  
 
「……これも『初めて』なのかな? 三回目だけど」  
「何回目でも俺が貰い受けるよ」  
「出来るだけ丁寧にやってね。結構キツイから」  
「頑張るよ」  
 
ランディウスは名誉挽回にと意気込み、水中へ入った重装  
歩兵より遅い速度で(アエネアスの鎧)を穿ち始めた。  
 
「うぅっ」  
「大丈夫か?」  
「段々慣れて来たから、遠慮しない…で」  
「……分かった」  
 
アンジェリナの我慢と好意を無にしない為にランディウスは全力で動いた。  
 
それはぎこちなく、拙い動きだった。先日までイメージトレーニングで鍛えた  
動き方はその成果を見せる事なく忘れ去られ、相手を気遣う主の心を無視して  
(バリスタ)は快感を求め続ける  
 
「も、もうすぐ出そうだ」  
「いいわ。中に出して」  
「良いのか?」  
「これがどういう行為かは知ってる。  
それに、私も欲しいから。ランディウスの赤ちゃん……」  
 
ランディウスはトキの声を上げた。  
 
「ハァ、ハァ……」  
「元気な子供、授かりたいな」  
「きっと逞しい子になるわ」  
 
「……俺は世界を手に入れる。そして君に相応しい男になるよ」  
「楽しみにしてるわ。ランディウス」  
「一緒に、来てくれるね?」  
「うん!」  
 
(数年後)  
「やれやれ、これで今日の分の仕事は終わりか」  
「お疲れ様でした」  
「それにしても、紙だって無限の資源じゃないのに、毎日コレ  
だけの報告書を作るだけの量を何処から調達してるんだ?」  
「ははは。今は魔法工学も充実してますからね。原材料作りの時間の  
短縮に成功してますし、生産工場も一層人員を増やしてるんですよ」  
「つまり、多少無駄遣いしても平気な訳だ。する気は無いが」  
「では、私はこれで失礼します」  
 
表向き、恩赦によって釈放されたランディウスは僅か一年でイェレス大陸全土を制圧し、  
その功績によって正式にカコンシスの王となる。近い未来エルサリア大陸ヘ侵攻する為の  
準備や、戦乱で疲弊した国の復興等の激務を愛する妻と共に精力的に励んでいた。  
 
「入るよ。アンジェリナ」  
「あら、どうしたの?」  
「ちょっと出かけないか?」  
「そうね。私も一息入れようと思ってた所。それで、今日は何処へ行きたいの?」  
「イグナス渓谷で、君の山菜料理を食べたいな」  
「ええ。いいわよ」  
 
「……あ、やっぱりビコースの森に行こう。俺達の出会いの場所に」  
「それもそうね。ロットシュタイン」  
「はい、姫様」  
「この書類を各部署に渡して。私達は少し外の空気を吸って来るわ」  
「了解しました。ごゆっくり」  
「それじゃ行きましょ。テレポート!」  
 
後年、ビコースの森は数多の恋人・夫婦が互いの愛と、  
幸せが末長く続く事を願い、巡礼される場所となる。  
道に迷わぬ様、男がリードして外にでるのが通例だとか。  
 

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