「う…ん」
私はゆっくりと身体を起こして、ベッドに視線を移した。
だけど、そこにはあるべき人の姿は無かった。
きっと、マスターは想い続けていたあの人のところにいるのだろう。
今頃マスターとあの人は―――考えると胸がずきりとする。
私はベッドに向かってふらふら飛んで、枕元へと降りた。
微かに残るマスターの温もりと匂いを感じながら、私は服の留め金を外す。
「あ…駄目です…」
マスターのことを想像しながらゆっくりと左手をさし入れた。
こんなことをしても虚しいのは分かっている。
それでも身体はマスターのかわりに自分の手が触れることを待ち望んでいた。
胸のふくらみをゆっくりと撫でると、口から熱いため息が零れた。
そして、包むように優しく、次第に強く乳房を揉んでゆく。
「はぁ…っ」
揉みながら指の腹でふくらみの先端をさする。
ふくらみを揉んでいるうちに先端部はぴんと硬くなり、少しさすっただけでも刺激を敏感に身体に伝える。
「あぁっ」
先端部を摘むと、より強い刺激が身体を駆け抜けた。
乳房への愛撫だけではもの足りなくなって私はショーツを膝元まで下ろした。
右手で太腿の上をなぞりながらしだいにその付け根に辿りつく。
溝を指で撫でてみると、そこはしっとりと濡れてきていた。
本当は男の人を受け入れるために身体はこうなるのはわかっている。
でも、それは使い魔である私には叶わないこと。
瞼を閉じて、いまからマスターのものを受け入れるのだと自分に言い聞かせた。
ほんの少しだけ脚を開き、扉を軽く撫でてから入口へ中指を進ませる。
「んっ…」
内壁に沿ってゆっくりと身体の中へ指が入ってゆく。なかは蜜で溢れかえっていて、すぐに中指を根元まで受け入れることができた。
「…マスターが、私の中に…」
受け入れた喜びをしばらく感じてから、私は中指でゆっくりと前後に動かし始める。
「あっ…やっ…」
身体の中心から送られる心地良さに頭の中がぼーっとしてくる。
「んっ…あっ…ああっ…」
私の脳裏に浮かんでいるマスターは私のなかを何度も突き上げる。
そんなにされたら、私は―――。
「ああっ、マスターっ」
私は身体を強張らせて、てっぺんまで上り詰めた。
(Fin)