………………  
 …………  
 ……  
 
 モニカが意識を醒ましたのは、下半身に違和感を感じたからであった。  
 
 「…………ぅ…………うぅ…………?」  
 
 急速に覚醒する。うっすらと目を開けた。  
 眠って、いた……?  
 いや。  
 段々とはっきり覚醒してくる。  
 気を失っていたのだ。  
 瞬時に、最後の光景が脳裏にまざまざと描かれた。  
 
 犯された。バケモノの生殖器で。  
 出された。バケモノの子種を。  
 たっぷりと、胎内に。  
 
 暗澹とした気分で目を開けると、真っ暗闇だった。ランプの光源はどこにも  
見当たらない。何も見えなかった。  
 ただ、目の前に何か巨大なものが息づいており、それがあの肉塊であろうこ  
とは容易に想像できた。お腹の中で熱く疼く痛みは、先の惨劇の名残りのよう  
で、今は異物が暴れている様子はなかった。  
 しかしもう、どうでもいい感じだった。あの醜悪な姿を見ないで済むのが何  
よりだった。  
 甘い匂いと、すえるような淫臭が混じり合って漂っていた。  
 ここが先ほどの袋小路でないことは明らかだった。何処に連れて来られたん  
だろうか。もう中空に吊り上げられてはいないようで、何か地面ではないもの  
の上に乗っかってもたれかかっているようだった。背中と足の下に生温かい感  
触があるのだ。坑道の土壁ならもっと冷たいはずだった。手で触ってみるとブ  
ヨブヨと柔らかく、じっとりと湿って温かかった。そしてこの場所自体、裸で  
も寒さを感じない気温が保たれていた。  
 裸。  
 そう、モニカは全裸だった。何一つ身につけていなかった──リング・ウェ  
ポンも。赤いリボンも。  
 
 だが、一つだけ付いているものがあった。  
 首に何かが巻かれた感触……手で触れてみると、それは首輪だった。柔らか  
い。まるで、壁や床と同じ材質――どんなに力を入れても取れなかった。  
 首輪からは触手のようなロープが伸びており、お尻の裏辺りの床に繋がって  
いた。首輪の部分も床の部分も、どう探っても繋ぎ目らしき手触りは見つから  
なかった。床から直接伸び、長さはそれなりにある。ただ、どこを引っ張って  
も叩いても弾力豊かにはじき返されるだけだった。  
「ああ……」  
と、モニカは半ば諦めたため息をついた。  
(このバケモノは、私をここに繋ぎとめて……)  
 その先は考えたくもなかった。  
(私、どうなるんだろう……)  
 放心状態でそう考える。唯一の望みは、スレイン達が助けに来てくれること  
だった。  
 お腹にそっと手を添える。意識すると、ズキリと痛んだ。初潮があったのは  
一年ほど前。妊娠してもおかしくなかった。  
 もし、助けられても、もう……。  
 モニカは震える肩を掻き抱き、我が身に降りかかった淫惨な運命に泣いた。  
 
 すると、モニカが意識を取り戻したのに気付いたのか、バケモノが肉をくゆ  
らす音がし、触手がまた陰部に集まる気配があった。秘裂に熱い塊が幾つも当  
てられる感触がする。  
「まだやるの……? もうやめて……うっ……!」  
 一本、はっきりと分かるものがずりずりと入ってきた。さっきよりは一回り  
小さい。また痛みが走ると思ったが、鈍い痛痒感が湧き上がるだけで、耐えき  
れず声を発するほどのものではなかった。  
 それでももう厭と、モニカは闇の中その触手を探り当て引き抜こうとした。  
触手の群れの中にあったが、他の触手は邪魔をしなかった。少し奇妙に思いな  
がらも、粘液にぬめったその触手を引っ張る。ずるっと少し抜けた。しかし、  
触手はまたその分膣内に潜る。その摩擦で、痛みよりも甘い疼きがゾクゾクと  
背筋を走った。  
「うんっ……!」  
 また引く。また潜る。「くぅ……ん……!」  
 遊ばれていると思った。  
 モニカは立ち上がろうとした。足腰に力が入らない。後ろの壁を支えにしな  
がら立った。フラフラしたが、歩けないことはなかった。  
 だが、何歩も歩かないうちに触手に背中を押された。それだけで倒れた。ベ  
チャッと音を立てて、湿った地面に突っ伏す。甘い匂い。  
 それから、肉塊はうつ伏せになったモニカの手足を押さえつけ動けなくし、  
腰を上げさせ股を強引に広げると、再び淫頭付きの触手を秘裂にあてがい、埋  
めていった。「うっ……!」しみるような痛み。  
 今度は荒々しくはなく、ゆっくりとした抽送がはじまった。  
「いや……いや……いやあ……」  
 モニカは泣きじゃくったが、何の抵抗もできず、ただそれを受け入れるしか  
なかった。  
 
 痛みと悲しみ、そしてわずかの肉の疼きがないまぜになった時間が過ぎ──  
また膣奥で熱く爆ぜる感触。  
「ん……!」  
 腰がびくびくと反応する。また――子宮にたくさん注ぎ込まれてる……。バ  
ケモノの精液は無視できないほど熱く、夥しい量だった。  
 一回出しただけでは全然収まらないというように、それからも一本の触手が  
何回も続けて精を吐き、やっとそれが抜かれたかと思うと、次の触手が休む間  
もなくずにゅずにゅと埋まり、肉襞を擦り上げて膣内を往来し、また気持ちよ  
さそうに白濁液を吐き出す。  
 比較的静かに始まった姦辱は、だが、なかなか終わる気配を見せなかった。  
肉塊は執拗に膣出しを繰り返した。ただ、最初の時のような、無理矢理太いも  
のがえぐりこまれることはなく、モニカの小さな秘裂でも抵抗なく挿れられる  
サイズのものだけだった。おかげでモニカは、痛みより快感の方が段々と増し  
てゆき、膣内も子宮も白濁液で満杯になるころには、すっかり膣肉も柔らかく  
ほぐれ、性器を擦り上げ揺すぶられる快感にからだを火照らせてわななき、息  
も絶え絶えという状態になってしまった。  
(私……こんなに適応力あったんだ……)  
 モニカはなすがままにされながら、自嘲するように笑った。  
 力の入らなくなった四肢を支えられながら、精液と愛液でなめらかになった  
肉孔を触手でぐちゃぐちゃと掻き回され、くぐもった嬌声を上げるモニカ。  
「あう……んう……ん、んん……! んは……んあ……んああ……!」  
 しかし、バケモノのザーメンが流し込まれる以上に、モニカの体から何かが  
流れ出していくようで、その目も声も虚ろだった。  
 数え切れないほど膣内射精される中、またゆっくりと、モニカは気を失って  
いった。  
 
 
 次に気付くと、肉塊の気配は無かった。モニカは安堵に胸を撫で下ろした。  
 モニカは汚臭を放つ水たまりに浸かっていた。肉塊の射精だけでできたザー  
メンプール。どれぐらい吐き出されたんだろうか。股間に手を伸ばして確かめ  
てみると、恥部は粘液でべちゃべちゃの状態であった。少しためらったが、中  
まで指を入れてみる。  
「ん……」  
 ヌロォ……と、指はおろか手が見えなくなるぐらいにヌトヌトになった。  
 こんなになるまで……  
 かえって笑いたくなるぐらいだった。  
 真っ暗闇の中、モニカは何とか立ち上がってこの場所を探ろうとした。ザー  
メンにまみれた柔らかい床をぐちょぐちょと踏みしめながら、縛めが届く範囲  
いっぱい歩いてみた。  
 どうやら、ここは肉塊の巣穴のようだった。壁と床は厚いクッションのよう  
になっていた。内壁となって巣の中を暖かく保つ効果があるようだ。なんとな  
く、脂肪膜が連想された。モニカが素裸でも体調を崩さないのは、これのおか  
げらしい。嬉しくも何ともなかったが。  
 ここは巣穴でも一番奥まった場所らしく、縛められ届かない向こうに穴は続  
いていた。おそらく、そちらの方に出口があるのだろう。だが、縛めの長さが  
倍あっても出られない気がした。  
 首輪もロープも柔肉のようなのに爪一つ立てられないほど固く、またどんな  
に引っ張ってもびくともせず、どう足掻いても抜け出せなかった。  
 モニカはその場にへたり込み、呆然とした。  
 
 どうすればいいの……。  
 
 暗闇の中で独りぼっち。  
 次々と衝撃的な出来事が起こり、心が麻痺していて投げやりな気持ちになり  
つつあるが、こうして闇の中に独りでいると、今置かれた状況がにわかには信  
じられなかった。  
 しかし、首に填められた縛めの感触も、全身に残る触手の感触も、甘い匂い  
も、すえた臭いも、そして……あれだけ膣内に出された精液の感覚も――幻で  
も何でもなく、現実のものであった。  
 
 もう……ここから出られないの……?  
 
 外にも出られず……ここで……一生を終える……バケモノの慰みものになっ  
て……?  
 
 改めて考えてみると、そのあまりに無惨な自分の運命に、絶望の慄(おそ)  
れと怯えがじわじわと湧き上がり、モニカの精神を蝕んでいった。  
 もう一度首輪を引っ張ってみる。  
 しばらく格闘が続いた。  
 だが、どんなに力を籠めてもだめだった。  
 
 モニカは脱力し、すとん、と腕を落とした。  
 目が虚ろになってゆく。  
 
 私……ここでもう終わるんだ……独りぼっちで死んでいくんだ……  
 
 小さい頃家を出て行った父のおぼろげな姿が脳裏に浮かぶ。亡くなった母。  
両祖父。ポーニア村の人々。ミシェール。フェザリアンたち。そして、ここに  
一緒に来た仲間達の姿。  
 助けに来てくれるだろうか。時空融合計画にはもう時間がないのだ。私のこ  
とは後回しにするかもしれない。  
 そして、スレイン達がここを離れてしまえば、この国には最早、一つの街、  
一つの村すらなく──人っ子一人もいなくなってしまうのだ。  
 
 他にだれもない。私しか。この薄暗い地の底で。  
 
 独りぼっち。  
 
 私だけ、ここで、独りぼっちで──  
 
 その想像は、身も心も凍りつくほど恐ろしかった。  
 本当の独りぼっち。  
 真っ暗闇の中、モニカは震えながら両肩を掻き抱いた。  
(そんな……いや……いや……いやよ……)  
 
 ダンジョンの何処とも知れない奥底で、まったく助けを期待できずに、この  
まま誰からも遠く離れ、本当に独りぼっちに……  
 そして、あのバケモノに死ぬまで辱められる……  
 
 これが、私の運命――?  
 瞳孔が開いた目から、ポロポロと大粒の涙があふれた。  
「いや……いやよ……こんなのいや……誰か助けて……助けて……」  
 まるで幼児に退行したかのように、モニカは体を縮こませて丸まり、静かに  
いつまでも泣いていた。  
 
 
 救いの福音──ではなかった。  
 あの這いずる音だった。  
「ひっ!」  
 悲しみと絶望にくれた心に、気丈な気持ちはもうなかった。  
 心が折れそうで、それを支えるのが精一杯だった。ガクガクと恐怖に身を震  
わせる。  
 また……また……  
 モニカは迷子の子猫のように奥に逃げ、端っこに縮こまった。  
「いや……いや……来ないで……来ないで……」  
 脚を固く閉じ、汚液にまみれた秘部を隠す。  
 かろうじて心の片隅にかすかに残っていた理性と勇気が、なんでこんなに恐  
怖を顕わにするのか、となじっていた。こんなみっともなく怯えて震えるぐら  
いなら、他の手段を考えろと。だが、今はもう、逃げられない事も何ら抵抗す  
る手段もない事も充分にわかっている。唯一残ってるとすれば、自らの命を絶  
つこと――  
 だが、モニカはまだ十二歳の少女だった。  
 死にたくなかった。こんなところで、こんな惨めに死にたくなかった。  
「いやあ……いやよ……」  
 心が……折れそう……折れちゃいそう……  
 祈る。時間よ止まって。もう、私に酷い事しないで。  
 しかし──肉が這いずる音が間近まで来た。あの甘い匂い。触手が蠢く音。  
「ひっ……ひいぃ……!」  
 モニカは頭を上げなかった。  
 
 仲間達と一緒に戦っていた時の勇姿など微塵もなく、モニカは腕で頭とお腹  
をかばいながら、縮こまって震えて泣いた。無力だった。魔法はまだ使えるは  
ずだった。しかし勝てる見込みなどないのだ。そんな事をすれば、代えって怒  
らせるだけだろう。モニカの生殺与奪は、もはやこの肉塊が全て握っている。  
あの地獄の鞭のような触手が淫虐の代わりに殺気を籠めてモニカの体に振り落  
とされれば、それで終わりなのである。  
 モニカはガタガタと震えた。  
(死にたくない……死にたくないわ……!)  
 だから、モニカはこの肉塊に、言いようのない恐怖を感じずにはいられなか  
ったのである。  
 自分はもっと感情が少ないと思っていた。もう幾つかの激戦を経験し、この  
鉱山でも何回も戦闘を潜り抜けた。その中で死ぬ覚悟はできたと思っていた。  
敵に倒されてもし死ぬことがあっても、それも自分の選んだ道だと。  
 違った。全然違った。怖い。死にたくない。  
 死にたくない。  
 
 こんなところで──独りで──死にたくない――!  
 
 肉塊の触手がのびてきた。  
「ひっ……」  
 腕に巻き付かれ、引っ張られる。体が開かれていく。逆らうことなどできな  
いほどの力。  
(いや……いや……)  
 モニカは顔をくしゃくしゃにして弱々しく首を振ったが、引っ張られるまま  
によろよろと歩き出るしかなかった。  
 肉塊の前まで引き出され、前も後ろも、左も右も、頭の上も脚の間も、無数  
の触手で囲まれた。震え上がる。どこにも逃げられない。  
 甘い匂い──  
「あ……あ……あ……」  
 肉塊の醜悪な姿を見上げながら、へなへなとくずおれる。足腰に力が入らな  
かった。股の下から生暖かい液体が広がっていく。  
 こわい。こんなところでしにたくない。こわい。こんなところでしにたくな  
い。こわい。こんなところでしにたくない……  
 そんな少女のからだに、日没を迎えた花びらが閉じていくように、触手達が  
包み込んでゆき、その姿が触手の群れの中に消えた……  
 
 
 やがて淫猥な音と哀切なあえぎ声が聞こえる。  
 
 ………………  
 …………  
 ……  
 
 
 モニカがこの肉の巣に置かれてから、何日かが経とうとしていた。この真っ  
暗闇の中では何も時を計るものがないため、モニカは次第に時間の感覚を忘れ  
ていったが、この数日間は少女にとって地獄の処罰に等しいものであった。肉  
塊はその間ほとんど傍を離れることなく、このフェザリアンの混血少女を犯し  
続けたのである。モニカの肉孔はすっかりこなれた。バケモノの触手とザーメ  
ンをいやというほどなじまされ、すりこまれた。子宮内に太い触手をねじ込ま  
れても痛みをあまり感じなくなるまでになった。口腔も同様だった。喉の奥ま  
で突っ込まれ無遠慮に射精され、苦く臭いザーメンにむせいで吐き垂れ流す。  
 肉塊は直接子宮の中で射精するのがお好みらしかった。これだけ膣内射精ど  
ころか子宮内射精をされていては、孕まない方がおかしい、とモニカはぼんや  
りと思った。妊娠の恐怖はさんざんに味わい、麻痺してしまった。子宮のどこ  
かで自分のように、バケモノの精子にさんざん陵辱された卵子が着床している  
ような気がした。それともザーメンと一緒に流れ出てくれただろうか。  
 食事は――バケモノの精液だった。初めは頑なに拒否したが、無理矢理口を  
こじ開けられて流し込まれた。甘かった。あの匂いの味。どうやら普通のザー  
メンとは違うようだった。どう抵抗しても結局は身体を縛り上げられて無理に  
流し込まれるので、やがて諦め、ザーメンミルクを出す触手が差し出されれば、  
まるで母乳に吸い付くように大人しく飲むことにした。苦い方を吐くまで流し  
込まれるよりは遙かにマシだった。  
(いつもこれを飲ませればいいのに)  
 それ以外に食料は無かったが、衰弱することはなかった。かえって気分が安  
らぐ感じすらした。この甘い液体を飲むと、ぼうっとしてきて、お腹の中に感  
じる液体の温かさが心地よいのだ。  
 
 モニカは一回、わざと激しく抵抗して、バケモノを怒らせて打たれ殺されよ  
うとした。消極的な自殺。だが、肉塊は力加減を心得ていて、意識を失わない  
ほどに、だが滅多打ちに打ちのめした。そして、それから数日はモニカを手酷  
く扱った。死に至らしめることはなかったが、モニカはトラウマになるほどの  
痛みと出血と恐怖に泣きじゃくり、しばらくは触手を見ると身がすくみ、厭な  
汗と涙が出た。それ以降、逆らわなくなった。  
 残された手段は本当の自殺だったが、手段はあまりにも少なかった。  
(舌を噛むぐらいね――)  
 そう思うのだが、実行に移せなかった。殺されようとはしたくせに、自ら死  
ぬことが出来なかった。自殺してもおかしくないぐらい身も心も絶望に包まれ  
ているはずなのに――  
 なぜ、こんなにまで酷い目にあって、まだ死にたいと思わないんだろう。怖  
い。確かに怖かった。あれだけ打擲されて……痛くて……死にそうだった。も  
ういや……死にそうな目に遭うのはもういや……。  
 だけど、それとこれとは違うような気がした。ちょっと気持ちを押すだけで  
死ねる気がする。だけど死ねない。  
 なんでだろう。  
 死ぬ気も起こらないほどの自棄状態になってしまったんだろうか。  
(なんで私、死なないんだろう……)  
 そう思いながら、食事の時間になると、摩滅した意識でぼんやりと甘いザー  
メンミルクを飲む。食事と休眠の時間だけが安らぎを与えてくれる。  
 モニカは気付かないが、何の躊躇もなく、喉を鳴らして甘い液体を嚥下して、  
お腹の中で温かく感じるのを無意識に楽しんでいた。  
 
 
 さらに何日か経った。  
 モニカはあまり動かなくなった。その方が楽だった。  
 触手がのびてきて求められれば、足を開き、口を開く。  
 もっとも、それしかやることはなかったのだが。  
 肉塊はいまだモニカにつかず離れずで、モニカが気をやるか、限界を迎えて  
ピクリとも動けなくなると、何処かへ消えた。  
 
 モニカの反応は日に日に乏しくなっていった。  
 からだの中も外もザーメンまみれにされ、ザー汁の海に漬かり、むせ返るよ  
うな精臭に包まれても、ちょっとも動かず、表情が変わらなくなった。  
 
(あー……)  
 モニカはホッとしていた。  
 このままなら、何もしなくても死ねそう。  
 これなら、楽でいい……  
 このまま……  
 
 
 と──  
 
 匂いがした。  
 
 匂いなど、もうとっくに気にしなくなっていたのだが、あの甘い匂いが鼻に  
漂ってきた。  
(……?)  
 思わず意識が深い絶望の泥沼から引き起こされるほど、濃密かつ凝縮された  
鮮烈な匂いだった。  
 あの匂いで、あの匂いではなかった。  
(なに……この濃い匂いは……?)  
 チクリと、首筋に何かが刺さった。  
「……!?」  
 一瞬、何が起こったのか分らなかった。  
 首を回して見ると、耳のすぐそばに一本の細い管のような触手が揺らめいて  
おり、その先端には淫頭ではなく、まるで注射針のような鋭く細長い針がつい  
ていた。どうやらこれで刺されたらしい。そして、この強烈に薫る匂いの正体  
は、この触手だった。あの注射針の先だ……あそこから薫ってきているのだ。  
 こんな細い一本の触手から……?  
 
 ドクン――  
「え……?」  
 ドクン――  
「あ……? あああ……!?」  
 ドクンッ!  
「あ、あ――あああああ〜〜〜ッ!?」  
 
 モニカのからだの中で、何かが爆ぜた。身体が一気に過熱する。  
 世界が変わった。  
「あ……あ……あ……」  
 心臓の鼓動が。血の脈動が。筋肉の収縮が。骨のきしみが。内臓のうねりが。  
神経の細部までが。一つ何かが動くたびに、ドクンドクンと熱を発散し、甘美  
な官能に変わった。  
「あ……あ……あ……」  
 身体を動かすだけで、それだけでイッてしまうだろう。動かなくとも、から  
だの内奥からとめどもない性感が源泉のように湧き出てきた。それを抑えてイ  
クのを耐えるだけで精一杯であった。  
「あ……あ……あ……」  
 だが、モニカが動かなくとも、肉塊が触手を動かす。  
 集まってきた触手が、ヌチュリと、秘孔に触頭を埋めてゆく。  
 入り口を擦られただけで、凄まじい快感がモニカのからだ中を突き抜けた。  
「ふああああああッッッッッ!!!!」  
 脳の裏側で起こる激しいスパーク。ショート寸前までホワイトアウトする。  
「――あ、あ、あ……」  
 脳天を突き刺すような快感に歪むモニカの顔。「――あたまが、あたまがわ  
れるううぅ……!!」  
 あたまが、からだがおかしくなりそうだった。どうにかなってしまいそう!  
 
「ダメェ、ダメ、ダメエエェェェッッッ!!!!」  
 ジュップ、ジュップとモニカの肉壺を掻き回すような荒々しいピストン運動  
がはじまった。ザーメンの海が荒波を立ててモニカのからだが揺さぶられる。  
 それだけで白い国に飛ばされる。だが、次から次へと肉欲が湧き出し、それ  
らがモニカの意識をもとのところへ連れ戻すのだった。  
「イ"ア"ッ、イ"ア"ッ、イ"ア"ア"ア"ア"ッッッ!!!!!!」  
 モニカはザーメンの飛沫をはね散らかしながら、白いからだをくの字つの字  
にくねらせ、熱狂死するような肉悦に喘ぎ悶えた。  
「なにこれなにこれッなにこれへえええェェェッッッ!!!???」  
 頭を、胸を、お腹をかきむしる。しかし、そんな事をしても少しも収まらな  
い。全身の肌が桃一色に染まり、甘く薫る汗がとめどもなく吹き上がる。  
「死ぬっ死ぬっだめへえッだめへえッ!! 死んじゃうしんじゃうしんじゃうう  
うううッッッ!!!!!!」  
 モニカの幼い媚肉を嬲っていた触手が限界を迎え、喜々としたように膣奥で  
ザーメンを吐き出した。  
 
 ドビュビュビュリュリュリュッッッ!!!!  
 ビュビュルルルルルルルッッッッッ!!!!  
 
「あああああッッッ!!?? ン"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ッッッ!!!!!  
 ア"ア"ア"ア"ア"ーーーーーーーーーーッッッッッ!!!!!!!!」  
 ひぐううううッッッ!!!! だめッだめッだめへええぇぇッッッッッ!!!!!!  
 ア"ッア"ア"ッア"ア"ア"ア"ア"ーーーーーーーーーーッッッッッ!!!!!!!!」  
 
 理性の砕け散った恍悦の表情で、モニカは手足の指の先まで痙攣させ、あら  
れもない言葉をまき散らしながらイキまくった。  
 
 
 それから後のことはよくおぼえていない。  
 
 モニカの腹の中はまるでどろどろのシチューになったように熱くとろけ、一  
切の痛みを感じなくなった。痛みの全てが快感になったのだ。やがてお腹の中  
だけでなく、全身の感覚が完全に狂った。どこを触られても弄られてもからだ  
がとけるような官能しか得られなくなる。理性が浸食され、思考が全停止し、  
フェザリアンの血が創った優れた頭脳は、ただ性と肉の悦びを感じるだけの動  
物以下の機能となった。  
 触手が腹を突き破らんまで貫いても、一本また一本と太いのが侵入してきて  
肉孔を無理矢理拡げられても、生じるのは気がおかしくなるほどの官能だけ。  
ただ、感覚だけが狂った証に、無惨に掻き回されて秘孔が裂けたらしく、赤い  
血が流れたが、それすら大量の愛液と精液に飲み込まれほとんど見えなくなっ  
た。膣肉は熱く茹だったようにふにゃふにゃになり、そこへさらに熱いザーメ  
ンをのべつまくなしに射精され、ぐちゅぐちゅにふやけていく。肉襞はただた  
だ熱狂に駆られて触手を擦り上げ、どこで射精されても悦んで迎え入れて歓喜  
に震えた。触手たちはザーメンをまき散らしながら暴れ回り、モニカの至ると  
ころを犯辱してゆく。幾つもの触頭で膣奥や子宮口をこづき、ブシュブシュと  
濃厚なザーメンを浴びせる。  
「あうっ、あうっ、あうあああ〜〜〜〜〜ッッッ♥♥♥!!!!」  
 普通のよがりようではなかった。目、鼻、口すべてからはしたない体液を垂  
れ流し、気が狂いそうなほどの快楽に顔いっぱいに喜悦をひろげ、モニカは甲  
高い嬌声を上げて悶え狂った。  
「イグッ! イグッ! イッチャウ"ウ"ウ"ウ”〜〜〜〜〜ッッッッ♥♥♥!!!!」  
 極短の間隔で何度も何度も絶頂に投げ込まれる。  
 
 二次性徴を経ていた子宮が、原始の本能に孵(かえ)っていた。子宮口をこ  
じ開けて内部にまで触手がねじり入ってくると、その茹だるような熱気に発情  
し、精子を欲するように蠕動した。媚液によって敏感になったからだで、モニ  
カは小指の爪の先までその感触を克明に感じた。  
「子宮に"ッ、子宮に"い"ッはッ、はい"ッでぐるう"う"ゥ〜〜〜〜ッッッッ!!!!」  
 膣内もそうだが、子宮の感覚がそれほど鋭くなるのは、普通はあり得ない事  
だった。だが、モニカは確かに感じた。幾つもの触手が子宮孔を拡げ潜って子  
宮粘膜を擦り、圧し、こねくり回し、灼け爛れるザーメンをところ構わず大量  
に叩き付けるのを。  
「ウ"ア"ッ、ウ"ア"ッ、ウ"ア"ア"ッ!! イグッ、子宮で"ッ子宮で"イグッッ!!  
 入っでる"ッ!!!! 入っでる"う"う"ッッッ!!!! 精子がッ、精子がッ!!!!  
 精子がッでッ出でイグう"う"う"う"〜〜〜〜〜ッッッッッ♥♥♥!!!!」  
 もはや胎内にバケモノのザーメンをいくら吐き出されようが、おぞましい存  
在の子種を植え付けられる絶望感は、淫熱に浮かされた激しい絶頂感にしかな  
らなかった。確実に蝕まれていく心が、からだが、あられもない言葉を次々に  
生み出していく。  
「せいしイグッ!! せいえき出てるッッ!! きもちイ"イ"ッきもちイ"イ"よう   
うッッ!!!! せいし胎内(なか)でッッッ!!!! いやあッ! だめえッ、だめ  
ええッッ!! 孕んじゃう!! 孕んじゃうッ!! 私まだ子どもなのにッッッ  
 肉の赤ちゃん孕んじゃう"う"う"〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッッッ♥♥♥!!!!!!」  
 
 バケモノの精液の熱蕩に悦び打ち震える子宮。翻弄されるがままの瓦解した  
理性が、生理的嫌悪感を抱くまでに厭がっていた存在を胎内に受け入れる不条  
理。生命の本能的欲求が劇薬によって狂走した故の、淫惨な光景であった。  
 ぬ"だぬ"だぬ"だぬ"だ――と、淫裂から触手を伝って絶え間なく白濁液が溢  
れ落ちてゆく。  
 ヴァギナに収まりきれずにあぶれた触手たちが、後ろにもう一つ残っていた  
穴――アヌスに襲いかかる。ほかほか湯気をたてている菊蕾を押し拡げると、  
一本が抜け駆けし、まったく開発されていない狭隘な孔の中に強引に圧し入っ  
ていく。  
「い"ぎいぃ! そこッは、はいっちゃダメッダメッ――イ"ア"ッ、イ"ア"ッ、  
イ"ッイ"ッイ"ッア"ア"ア"ア"ア"〜〜〜〜〜ッッッ!!!!」  
 いくら心身ともに発情化したとはいえ、元は十二歳の未成育な少女の肉体で  
ある。お腹が膨らむほどヴァギナに触手を満たした状態で、その上アヌスを圧  
迫されるのは、快楽神経の限界を超えた。  
「いだいッいだいッいだいよう〜〜〜〜〜ッッッ!!!!」  
 快楽に転化しきれない激痛に、死にそうなほどの絶叫を上げるモニカ。触手  
が千切れるほどに肛門を締め返す。それでも直腸に挿(はい)った触手は、汗  
のように分泌されてくる腸液と自らの粘液を潤滑油に、えぐるように奥へ奥へ  
と潜り込んでいく。  
「う"お"ッう"お"ッう"お"お"ッッッ!!!!」  
 ヴァギナとアヌスに挟まった肉壁が触手の蠢動で押し潰されるように擦られ、  
「おひりっおひりらめらめらめあああああいだいいだいかんじぢゃうっかんじ  
ぢゃああああがあぁらめっらめへぇえぇぇッッッ!!!!」  
と、モニカはほとんど声にならない絶叫を上げる。  
 
 細い触手一本だけですらその調子なのに、もう一本がさらにアヌスへ突入し  
た。括約筋が限界まで押し拡げられ、二本の触手が直腸をネトネトとした粘液  
でまみれさせながら絡み合い、蠢き、壮絶な苦痛と快感をモニカに与えた。  
「イ"ギッイ"ギッイ"ッイ"ッイ"ア"ッア"ッア"ア"ア"〜〜〜〜〜ッッッ!!!!」  
 ずりゅずりゅ、ずりゅずりゅと腸内をたっぷり擦られ拡げられる感覚に、悶  
絶寸前のモニカ。  
 ぐぱぁ――と菊蕾が二本の触手に拡げられ、ギチギチの孔に隙間が空いた。  
モニカにとっては、そのわずかな隙間を作られるだけでも、かつて体験したこ  
とのない地獄の苦しみである。  
「いだいだいだいだいッッッ!!!! おひりっいだいっ!! い"だ――あ、あッ、  
あけっあけ"ないでぇっひろげないでひろげないでえぇーーーーーッッッ!!!!」  
 その隙間に、甘い薫りを放つ媚液注射の触手が潜り込んでゆく。これほどの  
淫激を与えている強制発情媚液を、腸内にもう一度射とうとしているのである。  
 お腹の奥にまた、何か点のような熱い感触があったかと思うと――頭の中で  
何かがぷつんと切れたように――その瞬間、アヌスに残っていた全ての苦痛が  
快楽に変わった。  
「あ"――あ"――あ"――♥♥♥」  
 頭をガクガクと痙攣させるモニカ。泡を吹き、ほとんど白目を剥いている。  
「おしりッおしりッおしりッぎッぎでる"う"う"う"う"う"〜〜〜〜〜ッッッ!!!!  
 これッこれッダメッダメッダメエエエェェェ〜〜〜〜〜ッッッ!!!!  
 こわッこわッこわれへええぇッ♥♥♥!!  
 うあ"ッうあ"ッア"ッア"ッア"ッウア"ッウア"ッッウア"ア"ッッッッッ  
 ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッッッ♥♥♥♥♥!!!!!!!!」  
 
 全身の毛穴、汗孔が開き、爛れた熱と水分が甘い淫気とともにモニカの肉体  
から噴散される。媚液注射の触手は役目を終えると引いていったが、二本の触  
手はそのまま残った。もう一つの淫孔に変貌した祝いとばかりに、先ほどにも  
増して直腸を盛んに掻き回しはじめる。  
「うぎッうぐゅッうぐゅッうぐゅぐゅぐゅううう!!!!  
 ウ"ウ"ウ"ア"ア"ア"ア"〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッッッ♥♥♥!!!!!!」  
 
 ドビュッ! ドビュッ! ドビュッ! ドビュッ!  
 ドプッ! ドプッ! ドプッ! ドプッ!  
 
 腸内をグチョグチョとさんざんに嬲りながら多量のザーメンを吐き出す。不  
浄なる体液による腸内洗浄。白濁液は茶色いものと混じってでろでろと菊門か  
ら流れだし、肉床に垂れ落ちてゆく。  
 ヴァギナを嬲っていた触手も負けじとばかりに、さらに淫辱の度合を増して  
白濁液を吹き出していった。子宮がぱんぱんに膨らみ、ザーメンが逆流を起こ  
す。だが、流れ出す量よりも噴入する量の方が凌駕し、モニカのお腹が臨月を  
迎えた産婦のようにまるまると膨張していった。  
 それすらも気持ちよかった。  
「ン"ア"ッン"ア"ッン"ア"ッン"ア"ッン"ア"ア"ア"〜〜〜〜〜ッッッ♥♥♥!!!!!!」  
 背骨が砕けんばかりに仰け反り、脳の回路が焼き切れたように絶叫を上げる  
モニカ。  
「お"な"がッお"な"がッお"な"がッお"な"ががッお"な"ががッ  
 とげッどげち"ゃう"どげち"ゃウ"ウ"ウウ〜〜〜〜〜〜ッッッッッ♥♥♥!!!!!!」  
 
 だが、全ての触手の動きが止まった。  
 
「……!!!???」  
 モニカは淫蕩にたゆたう目を開き、驚いて触手と肉塊を見た。  
 今までの陵辱劇が嘘のように、静まり返ってしまった。  
 気が抜けたように肉孔がゆるみ、今とばかりにザーメンがぼちょぼちょと脱  
出していき、お腹が萎んでいく。  
「ハァ……ハァ……ひゃめ……ひゃめ、ひゃめないでええぇ……!!」  
 からだが疼いてしょうがないモニカ。自分から腰を振る。腰をぐりぐりと動  
かして、膣肉で触手を締め上げる。「ああああんッ♥」と快感にさえず  
るが、あまりにも昂ぶりすぎたからだは、それだけでは全然満足できない。  
「どうしたの!? うごいて!? うごいてようぅ……ああああ!!!???」  
 肉体が快楽を欲して気がおかしくなりそうだった。髪の毛先に至るまで快感  
を求めている。性欲が悦感に餓(かつ)え、官能を貪るのを厳命していた。し  
かし、どんなにグチュグチュと腰を動かし続けても、中で触手たちに暴れられ  
なければ全く快感を得た気にならなかった。  
「たすけてっ、たすけてっ、うごいてえッうごいてよううう!!!! あ、あア、  
アア、しぬ、しぬ、このままじゃしんじゃううウゥゥゥッッッッッ!!!!!!」  
 
 すると、肉塊がぶるりと一震えしたかと思うと、その震えが伝播したように  
触手たちも一斉に震えはじめ、その振動がモニカの体内にも伝わってきた。  
「あ、あ――あは、あは、あは、あはははあああああ……♥」  
 モニカの目に、全ての触手の本体から、肉茎が波打って瘤を運んでくるのが  
映った。触手を膨らませながら中を通って、何かがこちらにやってくる。モニ  
カにはそれが何かわかった。来る。来る。来る。  
 色欲以外死んだ目を輝かせ、  
「きて、きて、きてええええ〜〜〜〜〜ッッッ♥♥♥!!!!」  
と絶叫した。  
 瘤が体内に入り、ボゴォと破裂せんばかりに下腹部が膨らむ。ヴァギナを、  
アヌスを、モニカの拳の何個分もある瘤が押し通ってゆく。  
 
「――〜〜〜〜〜〜ッッッッッッッッ!!!!!!!!」  
 
 想像を遙かに突き抜けた快感に力抜けそうな必死に歯を食いしばって、さら  
に来るであろうその“瞬間”を待ちかまえる。  
 そして――全ての触頭が破裂した。  
 
 
 ドビュッ! ドビュッ! ドビュビュビュッッッッッ!!!!  
 ドビュルルルルルルッッッ!!!!  
 ドプッドプッドププププッッッ!!!!!!  
 
「ウ"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ーーーーーーーーーーッッッッッ!!!!!!!!!!  
 ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ーーーーーーーーーーッッッッッ!!!!!!!!!!」  
 
 おびただしい大噴射を胎内中はおろか腸内にも浴びせ散らし、淫裂と菊門か  
らまるで瀑布のように白濁液が噴き出してくる。  
 触手の射精は外でも起こっている。全てがモニカのからだめがけて、まるで  
塊のような汚濁液を浴びせかけてゆく。それすらも気が遠くなりそうなほどに  
気持ちよかった。  
 熱いザーメンのシャワーがひっきりなしに噴射され、モニカのからだがザー  
メンの蝋人形と化すほどに浴びせかけられる。人格を崩壊させるほどの快感に  
脳髄まで官能に支配されてゆくモニカ。  
 ザーメンプールの水位が上がり、本当に溺れそうになるところを、触手がモ  
ニカのからだを持ち上げ、さらに浴びせてゆく。  
 
「あづいいいいぃぃぃ!!!! あづう"う"い"い"い"い"い"ッッッ!!!!  
 らめぇッ!!!! もうらめええらめええぇッッ!!!!  
 もうらめえええええええぇぇェェェッッッッッ!!!!!!!!」  
 
 モニカは苦痛とも快楽ともつかない狂わんばかりの絶叫を上げ続けながら、  
途方もない快感に身も心も貪られ、徐々に気を失っていった。  
 
 ――が、失えなかった。  
 
 今度もまた、お腹に鮮明な感触を覚えて意識が戻った。  
「ハァー……ハァー……ハァー……ハァー……」  
 下はもう白く濁る大海になっていた。その海原に溶けてゆくアイスのように  
全身からザーメンをしたたらせながら、モニカは宙に吊され、さらなる淫辱が  
咥えられようとしていた。  
 アヌスではない。ヴァギナ――でもない。  
 おしっこの穴に、細い細い触手が取り付いていた。  
 快楽にふやけた意識にも、恐怖が湧き上がってくる。  
「……しょ、しょこちがう!? らめ、らめ、しょこはらめぇぇぇ……あ……!!」  
 モニカの語尾が上擦った。尿道口の触手が強く吸い込みをはじめたのだ。  
 
 ジュッチュッジュルッジュチュチュチュッ  
 
「あ、あ、ああ……!!?? すわないでえぇ、おひ、おひぃ、おひっこ、おひっ  
こもれちゃうう……!!!!」ガクガクと震えるモニカの顔だったが、すぐに恍惚  
感に変わってゆく。「ア、アウ、アアウ、ダメ、ダメヘ、オシッ、オシッコ、  
オシッコもれちゃうウウウゥゥ……♥♥♥!!!!」  
 
 尿道を通って透明な体液が吸われてゆく。じゅるじゅる。じゅるじゅる。甘  
美な排泄感に、全身の力をも吸い取られていくようであった。  
 
 じゅるじゅる、じゅるじゅる――  
 
「んひゃ、んひゃ、んひゃああああ……」  
 言葉にならない。腰がカクカクと震え、膀胱と尿道を中心としたその周りの  
感覚がとけてなくなっていくようだった。その中で快感だけがハッキリとから  
だのすべてに浸透していった。これも一種のオルガズムだった。  
「んあ、んあ、んはあああ……♥」  
 小指の先っぽを動かす力すら出なくなる。触手は美味しそうな音をたてて膀  
胱に溜まったモニカのおしっこを吸い続け、水面に広がる波紋のようなオルガ  
ズムが幾重にも生み出された。  
「らめ……らめ……おひっこ……おひっこのんぢゃらめぇ……♥  
 おしっこじゅるじゅるのんぢゃらめへぇ……♥  
 きもちいひ……おしっこきもちいひいぃぃ……♥  
 んお♥……んあ♥……お、おしっこきもひいひいいぃ……♥♥♥」  
 
 膀胱が空になるころには、モニカは無上の幸せを味わっている表情で、  
「ア……ア……ア……♥」  
と、うわ言のようなあえぎ声を漏らし、ほとんど忘我状態であった。  
 
 肉塊の責めはまだ続いた。  
 今やぱっくりと開いた孔に、さらに触手を埋めていった。ヴァギナだけでは  
ない。アヌスにも。そして――尿道にも。  
「うあっ……うあっ……うああっ……!」  
 同時に三つの孔に触手が入り込んでくる感触に悶え狂うモニカ。さっき初め  
て肛虐の性感に目覚めたばかりだというのに、今度は尿道強制挿入。狭間の肉  
壁がたっぷりと擦り上げられるとともに、おしっこを出す管に異様な悦感を覚  
え、まるでヤスリで削られるように知性が小さくなって、代わりに快楽で塗り  
固められてゆく。モニカの表情が痴呆同然にゆるむ。  
 さすがに身体が条件反射のように反応して激しく暴れようとするが、肉塊は  
何本もの太い触手できつく縛めてそれを抑え込んだ。モニカは震える唇から涎  
を垂らしながら中空を凝視した目をいっぱいまで見開き、三つの孔に触手が入  
り込んでゆく、この世のモノとは思えない性感に、その身体をひっきりなしに  
ビクンビクンと跳ねさせた。  
 お腹がどんどん膨らんでいく。水腹ではない。中に入っていたザーメンは、  
触手が入った体積分、孔から溢れ出していた。体内でとぐろを巻く触手の形が  
まるでみみず腫れのように浮かび上がっているのだ。  
 それでも触手は入り込んでくる。ヴァギナを犯した触手は子宮でとぐろを巻  
き、アヌスのものは盲腸までも到達し、尿道に入った触手は膀胱を圧迫した。  
それでもまだまだ余っている。  
 
「うああ……うあああ……ああああッ……!!」  
 触手でいっぱいになっていくお腹。前も、後ろも。ザーメンの比ではない重  
みが心地よかった。でも怖かった。張り裂けちゃう……触手がちょっとでも暴  
れれば、お腹が破かれちゃう……。  
 そしたら、どれぐらい気持ちいいのかな……  
「うふ……うふうふ……うふふふ……」  
 モニカは快楽とも恐怖ともつかない微笑を浮かべた。  
 やがて、モニカの腹は三倍以上にまで膨れあがった。お腹の皮膚が限界まで  
伸びた破裂寸前のミミズ風船。媚液の効果がなければ、今頃、モニカは激痛で  
とっくに失神してるだろう。  
 
「あ……が……が……」  
 
 もう、モニカはほとんど白目を剥いて痙攣していた。涎がとまらない。激痛  
ですら快感に置き換えられているが、痛みを受けているのと変わらなかった。  
「も……も……や……や……や……」言葉が出せない。  
 
 このバケモノは何をするんだろう。  
 やっぱり、このまま体を引き裂いて食料にするのだろうか。  
 いっそのこと、その方が良かった。生きながらさばかれて食べられるのは痛  
いだろうけど、それでこの地獄が終わるのなら――  
 
 だが、触手の侵入はそこで終わった。  
 触手の動きが止まったことに気付くモニカ。  
 肉塊は静かになった。  
 
 モニカは、ともすればバラバラになってカタチを成さない思考の中で、何と  
か言葉を縒り集めて、これから起こることを想像した。  
 これ以上……はいらない……やめて……もう限界なの……。こっからお腹を  
裂くの? 私を食べるの?――いや違う……そんな様子じゃない。  
 もしこの肉塊が人語を喋り、これから行うことを教えられたのなら、いくら  
媚液に侵された肉人形状態のモニカでも、死を予感しただろう。  
 その時、三つの穴に埋まった触手が、ちょっとだけ抜かれる感触があった。  
まるで抜き具合を確かめる予行のように――  
「あ……あ……」  
 何をやろうとしているのかが……わかった。  
「ひっ……ひいっ……ひゃ……ひゃめてえぇ……」  
 快楽で呂律の回らなくなった舌で懇願するが、無論、人語は通じない。そう  
でなくても、そんなことで肉塊が行動を中止するとは思えなかった。それでも  
言わずにはいられなかった。  
 他の触手が昂奮ぎみに揺れた。  
「ひゃめてぇ……ひゃめてえぇぇ……」  
 頭を左右に振り、泣きながら哀訴するモニカ。  
 だが、それを合図とするかのように、三つの孔に埋まった淫虐の触手が、動  
きを再開した。  
 彼らは、一斉に、寸分違わず揃って――  
 
 ――引きはじめた。  
 
 ズリュルルルルルルルルルルルルルル!!!!!!!!!!  
 ヌリュリュリュリュリュリュリュリュ!!!!!!!!!!  
 チュルルルルルルルルルルルルルルル!!!!!!!!!!  
 
 膣、腸、尿道――三つの孔いっぱいに広がり、挟まった肉壁を圧迫しながら  
肉孔の粘膜を擦り上げ、一挙に全ての触手が引き抜かれていく。  
 
「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!  
 !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」  
 
 声など出なかった。想像など軽く絶する快感。いや、快感、と一口で呼べる  
ものではなかった。大人でも簡単に気をやってしまうだろうとてつもないオル  
ガズムが立て続けに何十回も炸裂し、モニカの意識は嵐に舞う羽根のように貪  
られ弾かれ吹き飛ばされた。からだの境界線が一気に消し飛び、意識の器の輪  
郭がどこまでもどこまでも膨らんで薄らいでいく。  
 
「――ッ!!――ッ!!――ッ!!――ッ!!――ッ!!――ッ!!――ッッッ!!!!」  
 
 もし、一つの孔でも触手が中で絡まってしまうようなことがあればどうなる  
か。この勢いで引き出されるのであれば、絡まった部位が抜かれる時に容易く  
孔を裂傷させるだろう。だがもし抜けないほど絡まってしまったら、どうする  
のか。中でほどければいいが、もしダメならば、腹を裂いて出るしかない――  
 
 モニカはもう何も考えてなかった。考えられなかった。思考する意識が官能  
の彼方にトンでるのだ。全身を硬直させ白目を剥きながら快楽の深海、あるい  
は成層圏で張り裂かれ、恍惚に声にならない口を大きく開き、ガクガクと痙攣  
していた。  
 キモチイイ。何もかもが忘我の彼方に押し流され、均一の白い世界で埋め尽  
くされていく。キモチイイ。父と母が見えたような気がした。すぐに絶頂の波  
濤の向こうへ消えてしまった。キモチイイ。何もかもが消えていく。キモチイ  
イ。キモチイイ。痛みの恐怖も束縛の絶望も混血の懊悩も虐待の苦しみも無理  
解への怒りも孤独の悲しみも――なにもない――ナニモナイ――ナニモ――カ  
モ――キモチ――イイ――  
 
 キモチイイ──  
 キモチイイ──  
 キモチイイ──  
 
 ズリュルルルルルルルルルルンッッッッッ!!!!!!!!!!  
 ヌリュリュリュリュリュリュンッッッッッ!!!!!!!!!!  
 チュルルルルルルルルルルルンッッッッッ!!!!!!!!!!  
 
 三つの孔全てから触手が一本残らず出し尽くされ、大きな肉洞が三つ生まれ  
た刹那、別次元に飛ばされるぐらい圧倒的な快感に、声も上げられなかった口  
から、  
 
「――ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!  
 ア"ア"ア"ア"ア"ア"ッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!  
 ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ーーーーーーーーーッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!」  
 
 ――下等生物のごとく性と肉にまみれた絶叫が誕生した。  
 
 
 ビク――ビクビク――  
 まるで陸に上がった魚のように痙攣するモニカ。白目を剥いている。酸欠状  
態が長く続いたための、その寄せ返しだった。  
 意識を失ったのはどの段階からだろうか。絶頂が下がるごとに新しい絶頂が  
起爆し、引いては寄せるを繰り返した。徐々には収まっていったのだが、その  
間、モニカはどれほど死にそうなほどのオルガズムに狂い続けたか。途中で気  
を失ったのは精神の自衛策であった。肉欲の極みを垣間見たその顔は恍惚その  
もので、淫悦の涎をいつまでも垂れ流していた。  
 
 ニュジュル――  
 
 肉塊はようやく落ち着きはじめたモニカの様子を見定めるように、だらんと  
垂らしていた触手を持ち上げた。  
 大股に開きっぱなしのまま伸びて反応が無くなったモニカのからだに取り付  
くと、湯気のたつ赤く爛れた淫裂をネチョッと割り、再び何本もの触手を膣内  
に潜り込ませていった。緊張を失った女性器は、何の抵抗もなしにそれらを飲  
み込んでいく。  
 しばらくもしないうちに、モニカのお腹がビクビクと揺れた。反応したわけ  
ではない。触手が子宮の中で蠢き、卵巣めがけて射精したのだ。卵管も卵巣も  
バケモノの精液であますところなく陵辱された。  
 モニカの子宮が肉塊のザーメンで溢れかえるのにそう時間はかからなかった。  
 お腹を気持ちよく満たす熱いモノに、モニカのとろけた顔がピクリと微笑む  
ように反応する……  
 
 
 そうして徹底的に犯され尽くしたフェザリアンの混血少女は、それからも何  
日も何週間も何ヶ月も犯され続けた。肉の巣からは出られなかった。助けも来  
なかった。反応が弱まれば強烈に甘く薫る媚液を注入され、全身性感帯になっ  
たからだの隅々まで触手に犯されまくり、ついには脳の随まで肉欲にまみれ、  
どろどろに溶けながらバケモノと交わり続けた。生殖活動以外のことは許され  
ず、モニカの子宮は常にバケモノの触手と精液で満たされ続けた。そのうち媚  
液を注入されなくても、モニカの血肉は甘く薫るようになった。そして、どん  
なにいたぶられても悦びに享受する、柔らかくとろけるようなからだに成り果  
てた。  
 いつしか快楽のことしか考えられなくなった。  
 やがてバケモノの仔を産んだ。陣痛はなく、むしろ巨塊が子宮や産道を押し  
分けながら通り抜ける尋常でない快感に、悶え狂い泣き叫んだ。ベチャリと産  
み落としたのは、肉塊の仔だった。仔は産み出されてからしばらくの間は母体  
よりも甘く薫っていた。  
 それからも何度も何度もバケモノの仔を孕らませられ、何匹も産み落とした。  
 モニカはおぞましい生物の生殖母胎となったのだ。  
 フェザリアンの混血少女は、バケモノの仔が体外に出るたびに、その濃密な  
匂いを嗅ぎ、  
(おなかまたからっぽになった……うれしいまたからだのおくまでいっぱいい  
じめてくれる……ずりゅずりゅずりゅずりゅってやってくれるわ……うふ……  
うふ……うふふ……)  
と、穴という穴から淫辱の体液を垂れ流しながら、肉虐の悦びにいつまでも満  
たされていったという……  
 
                                (終)  
 
 
 
 
 モニカがようやく助け出されたのは、何年か経った後であった。スレイン達  
の活躍によってローランド王国も復活し、鉱山も再開するために徹底的なモン  
スター討伐がなされた。ダンジョンの奥深くに隠されていた肉の巣からモニカ  
が発見された時、視力は弱くなり、皮膚からも色素が抜けて真っ白になってい  
たが、命に別状はなかった。母胎として良好に生かされていたため、健康面に  
問題はなかったのだ。彼女の主と仔どもは残らず退治され、鉱山の外に死骸を  
晒されているのを見たが、特に何も言わなかった。  
 助け出された夜、発見した隊のリーダーが静養所にこっそり訪ねてきた。夜  
這いであった。男はモニカがどんな目に遭ってきたのかを薄々感づいていた。  
太い触手でさんざん拡張され肉塊の仔を何匹も産んだ性器で、今さら人間が満  
足できるはずもないとモニカは思ったが、からだが疼いてしょうがないことも  
あり、彼の相手になった。意に相違して彼女の性器はまるで絞り上げるように  
肉棒を包み込んだ。男はとろけるように柔らかく、また甘く薫るからだを抱い  
て、深い満足に何度も精を吐き、朝方までモニカのからだから離れることがな  
かった。その次の夜には隊の男全員がやってきた。救助してくれた恩もあり、  
また、収まらない肉欲に悶えていたモニカは、肉塊から与えられた快楽を返す  
ようにして男たちに奉仕した。全ての男たちがモニカにむしゃぶりつき、透き  
通るような白いからだに狂ったように精を放った。  
 モニカが完全に快復するまでに何ヶ月もかかったが、二ヶ月目の夜、お腹に  
痛みを感じ、そっと静養所の裏庭に回った。下着も脱いでしゃがむと、激しい  
陣痛が襲ってきた。すっかり狭まった膣孔を掻き分けながら、最後の仔が出て  
きたのである。産褥の激痛に霞む目に、短い触手を揺らしながら茂みの中へ消  
えていく小さな肉塊の姿があった。その後背部には、今までの仔にはなかった  
翼が、ちんまりとついていた。  
 甘い薫りがいつまでも漂っていた。  
 
 
 モニカが歩き回れるほどまでになると、噂を聞きつけて夜な夜なやって来る  
男たちの数は、鉱山街の成人男子人口のほとんどに達した。全て街の人間であ  
り、スレインやヒューイの姿などはなかった。  
 いるはずもないと分ってながらも、ここにいればそのうち噂を聞きつけて来  
てくれるかしら、とも思ったが、ひとまわり小さくなったように見える翼をわ  
ずかに揺らし、数日のうちに彼女の姿は鉱山街から消えていた。  
 
 以来、町から町へ流れる少女のようなフェザリアンの娼婦の噂があちこちで  
囁かれるようになった。そのからだは天使のように純白で甘い蜜のような薫り  
がし、どんな女を抱くよりも素晴らしい快楽に包まれ、天国のような一時を約  
束されるというのである。だが、それがモニカであったかどうかは定かではな  
い。その後しばらくして、ぷっつりと途絶えるようにその噂が消えてなくなっ  
たからである。  
 
 話しによれば、彼女は旧知の知り合いと再会して平穏な暮らしに戻ったとも  
言うし、甘い匂いを放つ奇妙なモンスターが棲息するという薄暗いダンジョン  
の中に、一人で入ってついには帰ってこなかったとも言われている。  
 
                                (完)  
 

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