あの侵略者インフィニトーとの戦いの後、諸々の事情により人間となった私ことユリィは、自らお仕えしていた勇者メークリッヒ様と結ばれることが出来ました。  
二千年前の戦いにより私たちは歴史を変えてしまったのですが、時の修整力もあり、そこまで劇的に私達の知る世界と違いはありませんでした。  
そうして新たな世界で勇者様(名前で呼んでくれていいと仰られましたが、やはり恥ずかしくて…)は再びモノポリス社に入社し、その本社近くに居を構え、私はそこで毎日勇者様のお帰りをお待ちする日々を過ごしていました。  
そう、今日もこうして…  
 
 
「ただいま、ユリィ」  
 
ガチャリと扉の開く音と共に、柔らかな微笑みを浮かべた勇者様の姿が現れました。  
私はお鍋を掻きまわしていた手を止めて、勇者様に駆け寄ります。  
そして満面の笑顔で勇者様の胸に飛び込もうと――  
 
「お帰りなさいませ、勇者さ――」  
「おっ邪魔しま〜す!」  
「お邪魔します」  
 
したところで勇者様の背後にいた二人の人物に気が付きました。  
一人は桃色の髪に巨大な肩当と乳首のところに妙な細工の入っている鎧を身にまとった明るい感じの女性  
もう一人はいくつものベルトのついたコートを羽織った…その、なんというか、ものすごく胸の大きな大人しそうな女性でした。  
 
「ウェンディさんにアニータさん…」  
「は〜い、遊びに来たよ〜」  
「夜分遅くに失礼します」  
 
にこにこ笑うお二人に、私は辛うじて『また来たんですか』という言葉を飲み込みました。  
そう、このお二人が私達の家に来るのは初めてではありません。っていうかこの人たち、毎日のようにやってきます。  
勇者様がモノポリス社に再び入社して数日後、ウェンディさんはヒンギスタンの国境警備隊を辞めて再びモノポリスに入社。  
アニータさんに至っては勇者様が入社したその日のうちから我が家に入り浸っていました。  
 
「二人ともユリィに会いたいんだって」  
(昨日も一昨日もそう言って来たじゃないですか〜!)  
 
優しく微笑む勇者様でしたが、私の心はそう言って号泣していました。  
私の思い描いていた生活は、誰にも邪魔されずに二人きりでイチャイチャ、キャッキャッウフフ、というものだったのに…ぐすん。  
 
「ウェンディさん、ヒンギスタンを放っておいていいんですか?」  
「大丈夫大丈夫! マクスウェル兄様が裏で頑張ってるから!」  
「う…! そ、それじゃあアニータさん、お仕事の方は大丈夫なんですか?」  
「御心配には及びませんよ。重要なものは全て片していますから。今残っているのは量が多いだけの書類仕事だけです。あれなら兄さんにでも十分勤まりますよ、ハンコ押すだけですから」  
 
嫌みを言って帰らせようとしても全然通じません。  
私ははあ、と大きく溜息をついてがっくり肩を落とし、食事の準備を再開しました。  
 
「う〜ん、何だか素朴な味ねえ。このお肉はもっと柔らかめに焼いた方がいいんじゃない?」  
「そうですね」  
 
食事の時間も小姑達の口撃は止まりません。っていうかいつまでいるつもりなんでしょうか、この人たち。  
 
「ゆ、勇者様はこれ位の味付け、これ位の焼き加減が好みだって言ってるんです!」  
 
ナイフとフォークを握りしめ、必死に反論すると勇者様もそうだよと頷いてくれたのですが、それでもまだお二人はぶちぶち言っています。  
 
「それにこのお肉、あまり上質なものでもないみたいです。お給料は十分渡している筈ですよね?」  
「…ええ、まあ確かに。お給料は十分頂いています。そりゃもう十分過ぎるほどに。始めて明細を頂いた時は目が飛び出るかと思う位でしたから」  
 
総帥直属とはいえ、護衛のお仕事の年収が中堅会社の年商に匹敵する位の額でしたから。  
その時にふと脳裏に浮かんだ疑惑は未だに消えそうにありません。  
本当にこれは総帥警護に見合った額なのかと。他の何かについてのお手当てだったりしないかと。  
特に勇者様が入社してすぐに、他にも何十人といた総帥警護の方が一斉に他の部署に回されて、ただ一人勇者様だけがアニータさんの専属となって四六時中一緒にいるらしいことを聞いて疑惑は膨らみました。  
そのことについてアニータさんに遠まわしに聞いてみても、  
 
『クィーンスクリーパーを一人で倒せるような人が一人いれば、他に護衛なんていらないでしょう?』  
 
とさらりとかわされてしまいました。  
話がずれてしまいましたが、頂いたお給料は何だか怖いので出来る限り使わず、以前の旅で稼いだお金を少しずつ切り崩して生活しているんです。  
こんなことなら家を買うとき、もう少しランクを落とせば良かったです。  
そんな風に後悔していると、ふとドアをノックされる音に気づきました。  
 
「? どちらさまで――」  
「よう、遊びにきたぜ」  
 
そんな言葉と共にずらずらと入ってくる新たなお邪魔虫――ああいえ、お客さんたち。  
先の言葉を放ったルキアスさんを先頭にイリステレサさん、ホフマンさん、ゼオンシルトさんにコリン、という四人と一匹が挨拶しながら続々と入ってきました。  
 
「いや〜、ずっと大地の里にいるのも暇でさ〜」  
「はい、たまには出かけるのもいいだろうと思いまして」  
「軍というのは息が詰まってねぇ。息抜きがてら寄らせてもらったよ」  
「ああ。俺も似たようなものだよ」  
「そうそう、大変だよね〜。…あ、ユリィ、あたしにはナトンの実よろしく」  
 
皆さんにお茶を出していた私でしたが、流石に嫌味を言わずにはいられませんでした。  
 
「すいません、折角来ていただいたのですからお食事をだしたいところなんですが、まさか皆さんが来るとは思ってもいなかったので…」  
「それなら心配いらないぜ。俺がちゃんと作ってきたからさ!」  
「「「「おおーー!!」」」」  
 
私の嫌味を最後まで聞くこと無く、ルキアスさんがどこからか大きな包みを取り出しました。  
その中には様々な料理が…ああ、またこれでどんちゃん騒ぎが…(くらくら)  
 
「…うっ、もうこれ以上は限界だ…ッ!」  
 
どこか遠くの方でそんな声が聞こえました。  
ふとそっちを見るとホフマンさんが一升瓶を抱えて唸っていました。  
どうやら男性陣で飲み比べをしているようです。  
それを笑いながら囃し立てる女性陣。  
そして私はというと、正座してコリンに説教されていました。  
 
「…聞いてんの、ユリィ!! だいたいあんたはうんたらかんたら…」  
 
眼前には赤い顔をして据わった目のコリン。あなたお酒を飲みましたね? お酒臭いですよ。  
どうやらコリンは私がこうして人間になって勇者様と結ばれたのが気に食わない、というか妬ましいらしく、しょっちゅう恨みがましい目で睨みつけられます。  
羨ましいならあなたもコールドスリープすればいいじゃないですか。まだ使えるかどうかわかりませんが。  
 
「そういえばユリィ。あんたロッティに何か変なこと言わなかった?」  
 
ふと思い出したように訪ねてくるコリン。  
ロッティですか? そういえばどこで聞いたのか私が人間になったのを知って手紙を送ってきてくれましたね。  
あいさつや近況やら様々なことが書いていましたが、要約すると自分も人間になりたい、どうしたら人間になれたのかという内容でした。  
私は全てを説明するととても長く面倒くさ、いえ難解になってしまうと思い、簡潔に、  
 
『ご主人さまと一緒に永い眠りについたら次に目覚めたら人間になってて結ばれた』  
 
とだけ書いて返信しました。  
 
「大変だったんだからね。錯乱したロッティが心中騒ぎ起こして」  
 
コリンがなんだかぶちぶち愚痴を溢していましたが、何かあったのでしょうか?  
そんな些細なことより私達の甘い新婚生活(きゃっ♪)を死守する方法でも一緒に考えてほしいです。  
そうしてふと勇者様の方をちらりとみると―――!?  
 
「な、な、何をしているんですかーーーー!!」  
 
思わず叫んでしまいました。  
そこには胡坐をかいた勇者様に纏わりつく女性たち。  
 
「彼は私の護衛ですから、私を守ってもらわないと」と勇者様の膝の上にちょこんと座り、その胸に縋りつくアニータさん。  
「私は彼の相棒だもん。彼の背中を守るのは私の役目よね」と勇者様の背中に頬を当て、うっとりと呟くウェンディさん。  
「たとえ歴史が変わろうと、彼は私のブレイブガードです」と勇者様の右手をぎゅっと胸に抱くイリステレサさん。  
「私にこんな温もりを与えた責任は取ってもらわないとな」と勇者様の左手を抱くネーリスさん。一体いつ現れたんですか!?  
 
困ったように微笑む勇者様。ですが別の方向からも熱い視線が注がれていました。  
 
「アンタが俺の憧れなのは変わりない。そうだ、『お兄ちゃん』て呼んでいいか? 何ならサンタルック着てもいいからさ」  
「…うっ、もうこれ以上は限界だ…ッ!」  
「俺が友と呼べるのは君だけだ!」  
 
何ですかその怪しげな言葉の数々は! お酒ですよね!? あなたたちの顔が赤いのもお酒のせいですよね!?  
 
 
「ふぅ〜……」  
 
溜息と共に手にしていた食器をシンクに沈めました。  
あれから数時間、どんちゃん騒ぎを続けた皆さんは全員轟沈し、リビングの床で仲良く寝息&鼾を立てています。  
私は一人キッチンでカチャカチャと後片付けをしているとふと背後に気配を感じました。  
 
「ユリィ、お疲れ様。代わろうか?」  
 
勇者様でした。  
 
「い、いえ。私は殆どお酒を口にしていませんから…」  
「その代わり給仕に忙しかったろ?」  
 
そんな言葉の後にそっと背後から抱き締められました。  
勇者様の温もりが背中から伝わって、とても心地良いです。  
 
「すまないな。みんないつも大騒ぎするから」  
「いえ、そんな…」  
 
気にしていません、と言おうとしたのですが、その言葉は最後まで言えませんでした。  
背後から回された勇者様の右手で顎を上げられ、私の唇が勇者様の唇によって塞がれたからです。  
それと同時に勇者様の左手が私の胸を優しく揉んで…。  
 
「んんっ、ゆ、勇者様っ、駄目、です…ぁん…隣に皆さんが、いるのに…ふぁ…」  
「ああ、だから…あんまり声出しちゃダメだぞ?」  
「そ、そんなぁ…あっ、そ、そこは…っ!」  
 
胸の先端をこりこりとしごかれ、思わず甲高い声を上げてしまいそうになり、私は自分の指を噛んで必死に声を押し殺しました。  
そんな私の努力も空しく、勇者様の愛撫の手は更に激しくなっていきました。  
首筋に口づけられ、荒々しく乳房を揉みしだかれ、下着越しに割れ目をなぞられ…。  
 
「んんぁっ! はぁっ、はぁんっ、ひんっ、んっ、ゆ、勇者さまぁ…」  
「もうこんなに濡らして。ユリィは感じやすいんだな」  
「そ、そんなこと、あ、ありませ…ふぁぁぁっ!?」  
 
私のか細い悲鳴に勇者様は満足そうに目を細めると、そっと私の耳元に口を近づけ、ぺろりと舐めた後に囁きました。  
 
「ユリィ、いいか?」  
「は、はい。来て下さい、勇者様」  
 
もう隣の部屋のことも他の皆さんのことも考えられず、ただ勇者様が欲しい、勇者様に愛されたいとしか思えなくなった私は喘ぐように荒い呼吸のまま頷き、自分から下着を下ろし、キッチンに手をかけたまま勇者様にお尻を向けました。  
振りむいて見ると勇者様も下着を脱ぎ去り、屹立した剛直を私の秘所にあてがい――そのまま一気に突き刺しました。  
 
「―――――――――――ッッ!!!」  
 
その瞬間、言葉にならない声を上げ、私はビクビクと身を震わせ、軽く達してしまいました。  
 
 
 二千年の眠りから覚めたあの日、大地の里の近くの浜辺で勇者様に純潔を捧げて以降、変わってしまった世界を巡る旅の中、毎日のように勇者様に求められ、可愛がられて、私の身体はすっかり開発されてしまったようです。  
さざ波のような快感に身を委ねつつも、私の身体は更なる大きな快感を求め、勇者様の分身を締めあげ続けていました。  
 
「…ユリィ、動くぞ」  
「は、はい。…あっ、あっ、あん、あんんっ!」  
 
勇者様が腰を動かし、剛直を抜き差しする度にどうしても甘い声を洩らしてしまう私。  
勇者様の分身に突き上げられるたびにズン!ズン!と重く強い衝撃が私の全身に広がり、その度に気が遠くなりそうでした。  
そうしているうちに勇者様が身を乗り出すようにして私に覆いかぶさってきて、片手を私の手に合わせるようにキッチンの縁に置いて身体を支え、もう片方の手で私の乳房を揉み始めました。  
 
「ユリィ、気持ち良いか?」  
「は、はい、気持ち良いですっ! 勇者様、もっと、もっとしてくださいっ!」  
 
勇者様の問に羞恥すら忘れ、髪を振り乱して懇願しました。  
すると私の背中に口づけの雨を降らしていた勇者様が両手で私をきつく抱き締めなおし、私の髪に顔をうずめ、その動きを激しくさせ始めました。  
 
「あんっ、勇者様、そこ、いいっ! あんっ、あっ!!」  
「相変わらず、ユリィの髪は綺麗でいい匂いがするな」  
 
耳元で囁かれた言葉に胸がきゅんとなりました。  
甘い痺れは全身に広がり、更に身体が熱くなってまるで溶けてしまいそうです。  
思考には白いもやがかかったまま、何だかどんどん高い所に連れて行かれそうな、けれどそこからすぐにでも落とされてしまいそうな、そんな不思議な感覚に包まれたまま、私は勇者様に愛されました。  
 
「ユリィ、ユリィ、ユリィ…ッ!!」  
「勇者様! 勇者様、勇者様ぁ!!」  
 
お互いに名前を呼びながら遥かな高みに登っていく私たち。  
高揚感と本能の命じるままに身を委ね勇者様を受け入れる私。私を貪る勇者様。  
獣のように交わり続ける私たちは次の瞬間、同時に絶頂を迎えました。  
 
「……っぐ、うぅぁぁぁぁ!!」  
「ああああぁぁ……ッッッ!!!!」  
 
私の胎内の最奥に大量に注ぎ込まれる勇者様の精。  
その熱さを幸せに感じながら、私はぐったりと崩れ落ちました。  
 
「………ユリィ、大丈夫か?」  
「…あ、はい。大丈夫です」  
 
しばらくして情事の後のけだるさに浸っていた私に勇者様がそう言って私を労わってくれました。  
 
「悪い。久しぶりだったから、かなり激しくしてしまった」  
「そんなこと…。私も嬉しかったですから」  
「そうか。…なら、もう一回、いいか? 今度は寝室でさ」  
「は、はい、もちろんです! 私の心も体ももう勇者様のものなんですから遠慮なんかなさらないで下さい」  
 
照れたように頬を掻く勇者様に私はにっこり微笑んで頷きました。  
愛する勇者様。私は、ユリィは永遠にあなたのものです。  
ドMにもホルスタインにも年増にもツンデレにも、ましてショタやホモや根暗には絶対負けるわけにはいきません!  
 
 

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