○月×日 晴
「戦争も激しくなっているから、召喚術対策と戦争用にもう一人自分を創ろうと思うんだ。」
今日はマスターの実験に付き合うことになった。マスターの話では、魔道生命体作成技術を使って
もう一人のマスターを造る事が目的らしい。この方の発想には時々驚かされる。
・・・でもマギーさんが居なくて大丈夫なのだろうか?
「イライザの提案でマギーさんとフレーネの気分転換のためにハイキングに出掛けてるからな・・・『むしろ好都合』。
でも大丈夫だよユニ。ホムンクルスの作成と精神感応術の応用法はしっかり身に付けたからね。」
・・・今何か不穏な考えが伝わってきたような?
うううん、きっと気のせいよね。マスターは誰にも分け隔てなく優しい方。だから私も好きになって・・・いけない、今はマスターのサポートに集中しないと。
「ユニ、簡単に今回の実験の確認をするよ?まずホムンクルスを造る。不測の事態に備えて今回のホムンクルスは今日一日で消滅するように設定して製作する。次に完全に自我を持たせ無いで、ユニの精神パターンをコピーして理論が正しいか検証する。問題が無ければ早速実験を始めよう。」
ドールハウスとホムンクルス製造機をたくさんのケーブルが繋いでいる。私はドールハウスの中で目を瞑り、マスターの合図を待つ。
やがてホムンクルス製造機が音をたてて作業の終了を知らせる。同時にマスターの合図。私は精神感応術に集中する・・・意識が・・・遠く・・・。
「・・・二、ユニ、大丈夫か?」
ゆっくりと目をあけると、目の前に心配そうなマスターの顔が見えたので思わず顔が熱くなる。慌てて目をそらすとテーブルの上に置かれた私の入ったドールハウスが目にとまる。まさか・・・。
「すまないユニ、精神感応術が効き過ぎたらしい。人格が完全にホムンクルスに転移しちゃってるんだ。でも安心しろ、術を中断すればすぐに戻るからな。」
私は慌てて立ち上がった・・・つもりだったが、慣れない身体のせいかマスターに抱きつくように倒れてしまった。
そんな私をマスターは優しく抱きしめる。この体がマスターの複製でなければ最高の状況なの・・・あら?
ふと自分の身体を確認してみる。胸元には見慣れたふくらみが・・・しかもふた周りほど大きい?
慌てて壁に掛かった鏡に目を向ける、そこには生まれたままの姿でマスターに抱きしめられているマギーさんが映っていた。
「マスター!このから・・・むぐぅ」抗議しようとした私の口をマスターはキスでふさぐ。
舌を絡ませる濃厚なキスをしながらマスターの右手は私の胸を揉み始めた。優しく、時には力を込めながら。だんだん頭の中がぼうっとなってくる。
「ハァハァ、あっ!」唇が離れると同時に乳首を摘ままれ思わず声を上げてしまう。さらにマスターは右の乳首を口に含み舌と歯で刺激する。
「ま、マス・・・あん!およしに・ああっ」必死に抗議しようと思っても、喘ぎ声が漏れてしまう。こんな声を(マギーさんの声だけど)出す自分に驚いてる間もマスターの愛撫は止まらない。
胸への刺激が激しくなり身体に力が入らなくなってくる。もう限界・・・。座り込んでしまった。
『予想通り胸の感度は良いみたいだな。次は・・・』マスターの思考が流れ込んでくる。この状態はまさか意図的に・・・?
「ユニ、ごめん」謝りながらマスターは私を床に押し倒し股間に顔を寄せてきた。恥ずかしさのあまり、せめて足で隠そうとしたけれどマスターに抑えられてしまう。そして敏感な割れ目にそってゆっくりと舐め始めた。
「・・・あっ・・舌を入れないでください!」なんとか口に出せたけれど、マスターの舌が裂け目を押し広げ内側をかき回しさらにクリトリスを舐めることで私の声はすぐに喘ぎ声に変わってしまう。湧き上がってくる感覚を抑えきれない。このままどうなってもいい・・・。
『そろそろOKだな。では』マスターは身体を起こしズボンのチャックを下げる。そしてそこから・・・その・・・。
以前、偶然着替えているマスターのモノを見てしまった事があるけれど、その時よりずっと大きく・・・。
ボーっとする頭でそんなことを考えてると、マスターが私に覆いかぶさり質問する。
「いくよ、ユニ?」。
「・・・はい」私の返事を待ってからマスターのモノが私の中に入ってくる。先ほどとは比べ物にならないくらいの衝撃と快感。
初めての挿入で、私は苦痛を浮かべたのかもしれない。「大丈夫かい?」優しく質問するマスター。私は頷いてマスターのジャケットを掴む。
マスターも頷き返してゆっくりと私の中で動き出した。
マスターが動くたびに快感が全身を走る。もっとマスター・・・いえ、クレヴァニールを感じたい。
「あん、ク、マスター!もっと強く・・・私を」クレヴァニールは軽く頷き、私をしっかりと抱きしめながらより激しく私を貫く。
頭の中が真っ白になり、今までで最大の快感が私を襲う。『ユニはそろそろだな、ではオレも』
私の中に熱い物が流れ込んでくる。「ハァッああ、クレヴァニー・・・」力いっぱいクレヴァニールを抱きしめながら私の意識は闇に沈んでいった。
どのくらい失神していたのだろう?気が付くと私は、ソファーに寝かされクレヴァニールのジャケットをかけられていた。
クレヴァニールは・・・マスターはどうしたんだろう?とりあえずは落ち着いて状況の確認。起き上がって辺りを見回す。
「目が覚めたかい、ユニ?」目の前でマスターが微笑む。マスターの顔を見た瞬間、先程までの事が頭の中を駆け巡りまた顔が熱くなる。
このままじゃいけない。とりあえず深呼吸をして・・・と。
「マスター!今回の実験はマスターの複製を造る事が目的のはずです!何ぜマギーさんの身体なんですか!そして先程の」
そこまで一息で叫んだ途端、マスターが私を抱きしめ耳元に口を寄せ「可愛かったよ♪」・・・卑怯です・・・。
黙り込んだ私を見て、急にまじめな顔つきで喋り始めるマスター。
「さっきの質問の答えは・・・オレは男が相手でも全然OKなんだが、いくらオレでも自分自身と乳繰り合うのは遠慮したかった。
次の質問は・・・シルヴァネール卿かユリエルも良かったんだが、残念ながらホムンクルス製作用のデータが手に入らなかった。
最後の質問は・・・オレもユニが好きだからな。」・・・え?今なんて?
「時々一人で慰めてただろ?」・・・☆●#▽@×%!!気付かれてた事の恥ずかしさで、わけの分からない事を口走る。
「オレの事を名前で呼んでくれて嬉しかった。」マスター・・・。
「ま、絶対に手に入らない高嶺の花を同時に手に入れるために今日の実験を行った訳さ。ごめんな・・・」今度は唇を重ねるだけのキス。
「知りません!」私は怒ったふりをしながらそっぽを向く。『・・・やり過ぎたかな〜』マスターの心の声。やり過ぎです!でも・・・嬉しいです。
「マスター!」急に声をかけ、驚いてるマスターの不意を付いて逆にマスターにキスをする。
もう一度抱き合おうとした時に、ホムンクルス製造機が音をたてる。せっかくいい所なのに、今度は何?
「おっと!アリバイ作りのためのホムンクルスが完成したみたいだな。続きはまた今度・・・な。」製造機の扉が開くとそこには・・・
「ただいま〜」「お帰りなさいませ。」玄関から皆さんの声が聞こえる。
「さて、皆を出迎えに行くか!」「・・・」
「お帰り。気分転換になったかい?」
「はい。おかげで新しい絵のイメージが固まりました。」
「マギーさんは?」
「うむ。昼寝をしていたらちょっとしたアイデアが浮かんだ。これで研究もはかどる。ところで研究といえばそちらの研究はどうなった?」
「半分成功、半分失敗ですね。ユニ!」マスターの呼びかけで物陰から皆さんの前に出る。
「ご主人様が二人居るニャ!」「やったじゃない!」「まあ・・・。でも失敗って?」
「誰かの人格を完全に移さないと能力を発揮できないんだ。戦闘技術や魔法なんかの一部のデータのコピーを移す事は出来た。
闘技場の戦闘専門なら問題ないけど、戦争や探索にはそれだけじゃ足りない。オレの記憶や人格の完全なコピーは出来なかったんだ。だから失敗。」
皆さんとの雑談で夜も更けてきたので、ホムンクルスの身体は製造機の機能で原料に戻し私の人格を本来の身体に戻す。
やっぱり自分の身体が一番落ち着く。今日は少し疲れたけれど、忘れられない一日になった。
絶対に叶わないと思っていた願いが叶ってしまった。マスターと(マギーさんの身体だったとはいえ)使い魔以上の関係になれるなんて・・・。
○月☆日
マギーさんにあの日のことがバレていたらしい。マギーさんの『実験』を手伝わされて帰って来たマスター。
何を聞いても震えるだけで答えてくれない。一体何をされたのだろう?
・・・あら?こんな所でフェイト?運命が変わっていなければ・・・私も・・・!?
○月△日
あの日以来マスターとの繋がりがより強くなった気がする。遠見の能力でかなりはっきり未来が見えるようになった。
でもマスター自身は以前とあまり変わらないビジョンしか見えない様子。おかげで少しほっとしている。
闇の封印がうまくいった後のことはマスターには絶対に秘密にしておきたい。マスターが消滅してしまう未来なんて。
マスターの消滅はどうしても防げないみたい。せめてマスターだけは・・・!
そうだ、マギーさんにあの時のデータを元にマスターのホムンクルスを造っておいて貰おう。
そしてもし・・・もしもマスターが私の想いに応えてくれる未来が現実になったら・・・その時は私自身の分も・・・。