ああ、どうしよう。五日目の鐘が鳴るまで、もう、あまり時間が無いわ。鐘が鳴ってし  
まえば、また、この悪夢を繰り返してしまう。なんとしても止めなくちゃ。  
 「……リレ、眠れない……?」  
 「ああ、ううん。違うわ、アマレット」  
 もぞもぞと、ランプの光にむずがるアマレットの頭を撫でて、寝かしつけるように促す。  
おやすみのキスもそこそこに、私はランプの気管を一捻りして消すと、また逡巡の海に戻  
っていった。いや、戻りたく無くても戻ってきてしまうから質が悪い。  
 「ああ……どうしよう」  
 そうだ。またあの日に戻ってしまえば、私の極秘ノートである<実録アマレットの全て>  
が台無しになってしまう。アマレットの身長、体重、3サイズ、好きな食べ物、嫌いな食  
べ物、好きな歌とその傾向、おはようからおやすみまでを徹底して調べ上げた至高<嗜好>  
の一冊がまた白紙に戻ってしまう。それだけは避けたい。幸い記憶は残っているみたいだ  
けれど、白紙になるなんて耐えられない。ああ、アマレット可愛いわアマレット。もう学  
校なんて不良債権! きゅんいきゅんい!  
 
 
 
ゴーン ゴーン ゴーン  
 
 

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