塔の中をコツコツとハイヒールで叩く音が響く……  
背筋をまっすぐに伸ばした姿勢が毅然とした印象を与えるオパールネラが歩く…  
「……?……」  
ふと気付いた、ここは何…?  
塔の通路、それは間違いない。柱の位置、天井の高さ、植木の大きさ……  
空間的なものは同じ。………ただ、色が違う。全てがセピア色なのだ。  
(……ああ、分かった、これは夢の中……私の見る夢は…いつ……も…この…色)  
オパールネラは夢であることを認識してるかしていないか……  
近寄ったり遠のいたりする振り子の上で意識が揺らめいていた。  
 
 夢は待ってはくれない、夢の中のオパールネラはどこへ向かうのか  
通路を歩いている。するとあるドアが開いた……出てきたのはアマレット。  
オパールネラはこの女が大嫌いだった、この女がいつの間にか塔に来たと  
思ったら愛しいシャルトリューズの寵愛を一身に受けていた。彼は否定してるが  
オパールネラにすれば恋人の関係にしか見えない。この女が来てからは自分でも  
分かるぐらい心が荒れ精神的に不安定になっていた。事故に見せかけて  
殺してしまおうと思うのもしばしばである。  
 よく見るとアマレットは負傷している、何かに切られたような痕があり  
そこから禍々しい気配が漂っている、アマレットはかなり体力を消耗しており  
やっと歩いている状態だった、オパールネラにすればチャンスだ。  
 
 ……ところで、夢というのは不思議なもので自分のものでありながら  
そのくせ自分の思い通りにはいかないもの、例えばこの2つ。  
 1つは自分が望んでいることの真逆の行動をとることがあること、  
崖があればわざわざ向かって足をすべらせ転落したり、火があれば手を  
入れてしまう…自身の「やめて!」という声も届かない恐怖…  
 もう1つはいい夢を見ていてもいい所で起きてしまうこと。  
いずれも学問で解明されていない、とにかく夢とは不思議なもの…  
 
 憎い恋敵が負傷して目の前に現れた…普段のオパールネラなら  
逃せないこのチャンス。しかしここは夢の中……  
「どうしたの?大丈夫?」  
オパールネラはアマレットを助けようとした。夢の外にいる本人の意識は  
さぞ地団駄を踏んでいるに違いない。   
 
「あ……悪魔が………」  
 アマレットは息も絶え絶えだ。見ると切り傷は浅いものだがそこから  
黒い呪気が出ている、デーモンの爪から受けた傷なのは間違いない。  
そう言えば誰かがアマレットは悪魔から狙われやすい、とか言っていたような…  
「寄るな!悪魔め!」  
交霊術の達人が一喝すると追ってきたデーモンは一目散に逃げ出した。  
「よし…では霊気を送り込んで傷口に入ってる呪気を追い出すわ  
 少し痛いけど我慢なさい」  
「……………」  
 アマレットは黙ってうなずいた。オパールネラは患部に手をかざすと  
少しずつ顔色が良くなってきた、どうやら応急処置はうまくいったようだ。  
「大丈夫のようね…でも体力の消耗が激しいわね、歩ける?」  
「アマレット!」  
 そこへ現れたのはシャルトリューズ、どうやらアマレットを捜していたようだ。  
オパールネラは少し心が痛んだ。  
「!……どうしたというのです!?これは……息をするのもやっとのよう…  
 オパールネラ先生!アマレットに何をしたのです?いくら貴女でも  
 アマレットに何かあったら許しませんよ!」  
「何ですって?」  
 研究の邪魔ばかりする普段の行いが災いしてる上に、このシチュエーション…  
シャルトリューズからすれば自然な考えだがオパールネラにとっては  
とんだ濡れ衣だ。思わずカッとなる。  
「いえ…先生違います。オパールネラ先生は私を助けてくれたんです」  
「え?どういうことですか…?」  
 アマレットが制止した、恋敵がライバルの名誉を守っている…  
この2人の本当の関係を知らないオパールネラは意外だった。  
逆の立場ならチャンスとばかりに負傷したのは私のせいにしてライバルを  
蹴落とすような発想ぐらいしか思い浮かばない。  
オパールネラはアマレットに対して贖罪の念を抱いた。  
 
「経緯は分かりました。アマレット、もう部屋に戻りなさい、歩けますか?」  
「はい……1人でも大丈夫です。…先生方、失礼します。  
 オパールネラ先生ありがとうございました」  
事態を飲み込んだシャルトリューズを後にしてアマレットは去っていった。  
シャルトリューズは振り返って  
「オパールネラ先生、申し訳ありません。アマレットの命を助けてくれたのに  
 失礼なことを言って…お詫びします」  
「まぁいいわよ、彼女早く治ればいいわね」  
 アマレットへの嫌悪感が薄れている瞬間とはいえ自分でも意外なセリフを  
口にしていた。今までの自分の行為を大人気ないと省みているような  
いつになく静かな口調で。  
「いえ、それでは気がすみません。そうだ、私の部屋に来てください。  
 お茶でもご馳走しますよ」  
 思わぬ展開になった。一番やりたくないはずのアマレットを助けることが  
こういうことに繋がるなんて…  
「そうね、じゃ、そうさせて頂こうかしら」  
 もちろん断る理由もない、オパールネラは久々に2人で普通の会話が  
できることを喜んだ。いや、部屋に呼ばれるのだからそれ以上のことも  
期待しないと言えばウソになる……  
 
 シャルトリューズの部屋の前。オパールネラは息を呑む…  
「どうぞ入ってください、少し散らかってますが」  
「貴方の部屋に入るのは初めてね……おじゃまするわ」  
 と、入った途端オパールネラは目を疑った。見渡す限り本だらけである。  
整理する前の図書室のような…少しというレベルではない散らかり様だ。  
獣道のように細い道が机に向かっているような、という感じで足の踏み場もない。  
奥の方にある本の山は最近手をつけていないらしくホコリが溜まっている。  
これではムードもへったくれもない。いや、そもそもどうやって2人も座るのか……  
オパールネラは少し顔を引きつらせながら  
「あ、あの……私の部屋にしませんか?」  
「いや大丈夫ですよ、今片付けますから。本の片付け方は熟知してますよ」  
「いえ……お茶でもこぼしたらせっかくの本が大変ですわ、そうしましょう」  
「そう言われれば……でもそれではまたお世話になってしまいますが……」  
「いえ、私は貴方と話せるだけで十分ですから」  
「……分かりました、ではそうしましょう、すみませんね」  
「いえ…」  
オパールネラは心の中で安堵の息を吐いた。  
 
 改めて仕切り直し……今度はオパールネラの部屋の前。  
「どうぞ、お入りになって」  
「ではおじゃまします…ふむ、整然としてますね、女性の部屋という感じです」  
 貴方の部屋と比べればどんな部屋でもそうでしょう…と言いたくなるのを我慢して  
オパールネラはお礼を言った。  
「調度品も変わってますね…おや?これは何ですか?」  
さすが学者だけあって珍しいものだらけの部屋で目を爛々と輝かせている。  
「それは魔除けですわ、小さいけど効果は大きいのよ」  
「ふむ…悪魔が嫌がる霊素が入っているのでしょうか、今度調べさせてもらって  
 よろしいでしょうか?」  
「どうぞ、それよりアマレットにそれを持たせたらどう?」  
「…………!失礼、これは気付きませんでした。よろしいのですか?」  
「ええ、どうぞ」  
「ありがとうございます。いや参りました、お礼をするつもりが  
 どんどんお世話になってこれじゃ逆になってますよ」  
 それはオパールネラも同じことで、普段やらないことをやればやるほど  
事態は好転している…オパールネラは苦笑した。  
 
 シャルトリューズの信頼を得て今宵は話も弾む2人。時間も自然と過ぎていく。  
「シャルトリューズ先生、こんなお酒がありますの、どうですか?」  
「ほぅ……遠方のお酒ですね」  
「テキーラと呼ばれるものです、刺激は強いですがおいしいですわ」  
「む…頂きましょうか、よろしいのですか?」  
「もちろんですわ……では、きついので量は少なめに……」  
 シャルトリューズの目はグラスに釘付けだ。何にでも熱中する子供のようで  
オパールネラは目を細める…  
「では……乾杯」  
「乾杯」  
 2人でグラスを重ねる音が響く。それはさながら恋人の所為であり  
オパールネラはいつになくいい雰囲気に酔ってしまいそうな錯覚に陥る。  
 
 2人はテキーラを飲み干す。シャルトリューズは感心したように開口する。  
「おお…!これはすごい、舌が燃えそうな感覚だ……これは面白い…」  
「気に入ってもらえて何よりですわ」  
「キツイけどこれはこれでいいですよ」  
「ではチョコレートを持ってきましょう、これがまたいいんですのよ」  
「チョコ?……お酒にチョコレートの組み合わせですか?」  
「普通はそうでしょうけどテキーラには相性がよくておいしいですのよ、  
 先ほどキツイと言われてましたので、これでどうかと」  
「へぇ……」  
 シャルトリューズは感心しきりだ。ボトルを見たりグラスを底から  
覗いてみたり…激しく上半身が揺れている。  
「どうぞ、チョコレートよ…まぁ御賞味されてはいかが?」  
「ええ、ありがとう…」  
今度は2人、チョコを頬張りテキーラを飲んでみる。  
「……なるほど…!こんな組み合わせが結構いけますね…」  
「ふぅ…おいしい…1人で飲むよりずっと………」  
 シャルトリューズはチョコレートの匂いを嗅いでいる、オパールネラは  
愛しい人の純粋な目に惹かれていた…次の言葉を聞くまでは。  
「これをキメラの生成に応用したらいいかもしれないな、  
 パワーは間違いなく上がりそうだ、あとはその制御をどうすれば…」  
 オパールネラはピクッと反応した、この人は研究のことばかり考えて  
私のことを見ていないのでは……?もしそうなら今までのこの雰囲気は何?  
このときめきは何……?オパールネラは思い切って聞いてみた。  
「シャルトリューズ先生はどんな時でも研究から頭が離れないのね…」  
「もちろんです」  
はっきり言い切るシャルトリューズに胸がグッと締まる。  
「私の気持ち、知ってるでしょう?私の愛を受け入れる隙間は無いのですか?」  
 とうとう聞いてしまった…返答次第ではテーブルのグラスを弾き飛ばし  
部屋からシャルトリューズを追い出してしまうだろう…  
内なる感情は抑えきれないところまできていた。  
「……オパールネラ先生、私は思い出したことがあるのです」  
「え?」  
YesでもNoでもない言葉にオパールネラの気持ちは鎮まった、  
この人は何を言うのだろう…  
 
 突如、視界からシャルトリューズが消えた…と思ったら景色がセピア色から  
いつもの部屋の色になった……オパールネラは目が覚めた。  
 
「…………夢?」  
 
 いい夢を見ていてもいいところ覚めてしまう、夢の不思議……  
もちろんシャルトリューズはいない。あるのはいつもの部屋。  
酒棚に目を向けるが飲んだ形跡はない、魔除けも壁に掛かったままだ。  
窓からはいつもと同じ朝の景色が見えるだけ……オパールネラはがっかりした。  
「せめて夢でもその先の返事を聞きたかったわ……」  
 けだるそうにそうつぶやく。しかしそこはリアリストのオパールネラ、  
すぐに気分を現実モードへ。支度を済ませるといつものように部屋を出た。  
(まぁまぁいい夢だったわね……)  
(それにしてもしょせんは夢、あんな甘いことをしてちゃダメね……)  
とか考えながら塔の通路を歩く。夢に出てきた通路に近づく。  
(ああ、ここだわ……確かもうすぐあの泥棒女があの部屋から出てくるのよね…)  
と、そこでその部屋のドアが開いた。………出てきたのはアマレット。  
びっくりするオパールネラに更に追い討ちをかけたのがその様子。  
アマレットは負傷している、しかも夢と同じ箇所を。  
(こ、これは…どういうこと………?)  
 
 正夢、という言葉は知っている。こんな言葉が存在するぐらいだから  
世の中には夢が現実になることを体感してる人間がいるのかもしれない…  
ただ、オパールネラには全く無縁なものなはずだった…  
 それがどうしたことか、傷の場所まで同じなんてここまで詳細な部分まで  
夢と同じなんてことがあるのだろうか、もしかしたらまだ夢を見てるのかと  
思ってしまうぐらい非現実的だ、ありえない……しかし紛れもなくこれは現実。  
とにかく目の前でアマレットが負傷している。さぁどうする………?  
 オパールネラは決めた。夢と同じようにやってみようと。さすがにここまで  
同じだとやってみたくもなる。さっき甘いと思ったはずなのに…  
オパールネラは心の中で笑った。  
「どうしたの?大丈夫?」  
(うわ……なんて言い辛いの、この言葉!)  
自分で自分に文句を言いながら夢のようにやってみる。もちろんここで  
助けた挙句アマレットがシャルトリューズにべったり寄り添う形になれば  
オパールネラとすれば悔やんでも悔やみきれない。  
 応急処置を済ませたオパールネラ、頭の中で夢を再現している。  
(ここでシャルトリューズが現れるはず……)  
「アマレット!」  
……シャルトリューズが出て来た。現れる場所、走り方、服装は同じ……!  
「!……どうしたというのです!?これは……息をするのもやっとのよう…  
 オパールネラ先生!アマレットに何をしたのです?いくら貴女でも  
 アマレットに何かあったら許しませんよ!」  
……セリフも同じ!これは……!  
その後アマレットが事情を説明してシャルトリューズが謝罪、  
部屋に誘われる…オパールネラはあの部屋は正直見たくなかったが  
ここで断ると夢と違ってしまうのでとにかく承諾してみる。  
「どうぞ入ってください、少し散らかってますが」  
「貴方の部屋に入るのは初めてね……おじゃまするわ」  
……部屋の中も同じ、ここまで一緒じゃなくてもいいのだが……  
とにかく間違いなく正夢なのはこれで確信した。夢の通りやれば  
あの返事の先が聞ける……!オパールネラは何に感謝すればいいのか  
分からなかったので運命に感謝することにした。  
それからはとにかく夢の通りにやってみた。  
そして夢の途切れたシーンへ……  
「……オパールネラ先生、私は思い出したことがあるのです」  
「え?」  
YesでもNoでもない言葉にオパールネラの気持ちは鎮まった、  
この人は何を言うのだろう…  
 
「偉大なる発見や発明というのは日常の些細な事がヒントになることがある、  
 ということです」  
「?……ええ、よく言われることね…」  
「今日の貴女と話をしてみて分かりました。貴女の知識への探究心は  
 研究に没頭している私にも劣るものではないということです。  
 先程も貴女のお酒の知識が私の研究のヒントになるかもしれないと思った」  
「……………」  
「私は今まで研究のためなら他人と話す時間さえもったいないと思っていました。  
 でも私だけで習得できる知識なんて微々たるもの。貴女にも協力してくれるなら  
 これはすごくありがたいことなのですが…」  
「それは…私の愛を受け入れる、ということなの…?」  
「私も悩んでいるのです…厳密に言えば貴女は必要だと思ったんですが  
 研究のパートナーとしてなのかもしれません…私は研究に命を捧げることに  
 変わりはありません、愛と言われると正直戸惑ってしまいます。  
 こんな身勝手な考え方をしてる私に他人とお付き合いをする資格があるのか?  
 と自問してみたのですが分からない……」  
 こうして話をしてみて初めて分かる…シャルトリューズにも孤独に対する  
怯えみたいなものがある、ということだ。彼の場合は1人で覚える知識量に  
限界があるのを自覚しての研究への道のりの辛さを指すようなので  
やはり普通の人間の感覚ではないが。しかしこれでオパールネラの腹は決まった。  
「でもそれは私には関係ないわ、私が必要と言ってくれたわね、  
 それが唯一の指標…」  
「愛と研究を天秤にすらかけない思考を持つ私ですよ…?」  
「歌手やスポーツ選手のカップルを想像したのよ。人並み外れた才能を持つ人は  
 似たようなものと思うわ。私は言い切れるわ、こうしてお酒を飲みながら  
 語り合うシャルトリューズが好き、そして研究室で研究に没頭してる  
 シャルトリューズも好きということを」  
「不思議だ…今日の貴女は昨日までの貴女とは別人に見えます。  
 何か……私を魅了するものを感じます」  
「それは少しでも私を理解しようとしてるのね、私の愛が少し届いたわね」  
「なるほど……この顔でなければキスしてるかもしれません」  
そう言われてオパールネラは納得した、口より先に鼻に当たってしまうんじゃね…  
「じゃあ……ベッドなら出来ることはあるわね?」  
 
 ちょっと大胆だったかもしれない、しかしこうでもしないとシャルトリューズは  
私のシグナルに気付かないかもしれないからしょうがない、と自分を納得させる。  
「……それは挑発ですか?いいでしょう…」  
シャルトリューズの眼光が鋭く輝いたような気がした、オパールネラは  
ゾクッとしたものを感じた、と思ったその時  
「グウゥゥゥ……オオオオオー!!!」  
突然シャルトリューズが吠えた。  
(野獣……?)  
「オパールネラ先生、服を脱いで下さい」  
「何…?」  
「私はこの顔です、下がよく見えないので服のボタンはうまく外せないでしょう  
 今はこうやって無理して本能を抑えてますが、半人半獣の私が本能むき出しにしたら  
 服なんて全部破り捨てて襲い掛かりますよ」  
私の声が届いた!これだけでオパールネラは小躍りする気分になる。  
研究一筋のシャルトリューズでも今日のこの展開ならなるべくしてなったのよ、  
彼の前では少しずつ失いかかっていた余裕が取り戻されていく。  
「フフフ…普段は知的な学者なのにベッドでは野獣なんていいじゃない……」  
 オパールネラは髪留めを外す、ばさっと落ちた長髪はしなやかで若々しい。とても  
魔女として人間の倍は生きてるとは思えないものだ。そして悠然と脱ぎ始めた。  
襲い掛かると言われてるのにいつも通り。あえて獣におあずけ状態にして弄んでいる。  
「この学校では初めて見せる裸……貴方にだけなのよ……」  
 シャツのボタンを外し脱ぎ始める…だんだんオパールネラの肌があらわになっていく。  
脱ぎ終えてハラリと舞い落とす仕草はまるでモデルを意識したような艶やかさだ。  
肉体の方も美しく鮮やかな肌色のボディに重量感を感じさせつつしっかりと  
張っている乳房、理想的な曲線美が形成されている。計算されて作られたとしか  
思えないその体は妖艶という言葉では物足らない威風を放っている。  
 続いてスカートに手をかける。チャックを外しロングスカートが床に落ちると  
オパールネラの美脚が現れた。膝から下はスラリと細く上は肉付きがいい。  
一教師にすぎないこの女性がモデルのような肉体を持っている…  
シャルトリューズはしばらくヨダレを垂らしながら見ていたが思い出したかのように  
ズボンを脱ぎ始めた。  
「もう…我慢できなくなったのね、せわしないわね。ちょっと待って、あと少しよ……」  
「グォオオオオ!!!」  
 と、ショーツを脱いだ途端にシャルトリューズは慟哭と共に襲い掛かった。  
シャルトリューズが脱いだのは下だけで上着はつけたままだ。  
「ちょ、ちょっと、ブラがまだ……」  
 オパールネラが言うのも聞かずシャルトリューズの舌がオパールネラの裸体を  
腰から舐め始めた。獣特有のザラザラした感触が性感を刺激する。  
「ん……」  
 胴を舐め回すとシャルトリューズはライオン顔なためその鬣がオパールネラの  
乳首をこするような感じになる、それがまたいい塩梅でオパールネラを狂わせる。  
「んはっ………」  
 普段はシャルトリューズの外見を毛嫌いしているオパールネラだが  
この人間にはない感触はクセになりそうな感覚を感じた。  
 
 続いてシャルトリューズは股の間を舐め始める。ザラザラな舌が局部に触れる。  
「ひぁぁっ!……ひっん……っ…」  
 オパールネラは自分でも訳の分からない言葉が口からはみ出した。  
何なの?これは…気持ちいい………いやそんなものじゃない………  
「シャルトリューズ……お願い、もっとやって………」  
 あまりの快感にせがむオパールネラ。そのセリフに興奮したのか  
シャルトリューズはさらに力を込めてリズミカルに舐める。  
「あっ!あっ!………はぁっ!……んん!………はぁ……んに………」  
オパールネラは理性が飛びそうだ。局部はじっとり濡れている。  
もうどうなってもいい……  
 
 シャルトリューズはむっくりと上半身を起こし舐めるのを止めた。  
いよいよ………オパールネラは彼の一物が視界に入る。  
(まぁ…………)  
半人半獣の一物は…いや、ここは読者の想像にお任せします。  
これを見たのはオパールネラ1人だけなのだから……  
 シャルトリューズの肉幹がオパールネラの秘穴にゆっくりと挿入する。  
お互いの緊張と興奮が高まる。  
「ゴォォォォォオ!!」  
 急発進した車のようにシャルトリューズが吠えると猛獣の体が前後に  
猛然と動き出した。激しく、荒く、逞しく………あまりの力強さに  
オパールネラは命綱を忘れて快楽の谷に落ちる恐怖と快感を味わう。  
「いい………いいわ……シャルトリューズ………もっと…もっと……」  
「グル、グルル…」  
 シャルトリューズは人間なのか?そんなおかしなことを頭によぎるほど  
エネルギッシュだ。その肉幹が体を突き立てるたびにオパールネラは  
脳天を何かが抜き出るような気分になる。  
「ああああああ…んんんん!!」  
「グォオオオオ!!!」  
「ああ!ああ!!イク、イクわ、シャルトリューズ!!」  
「オオオオオオオオオオ!!」  
2匹の獣は同時に果てた、オパールネラの腹の上にシャルトリューズの  
白い愛液がこぼれた…………  
 
「激しかった……シャルトリューズ……良かったわ……」  
「オパールネラ先生、私は………」  
「もう、こんな所で先生なんて………不義というものでしょう?」  
 シャルトリューズは黙ったままだ。研究第一がポリシーのはず男が女性と  
こんな関係になっている現実に戸惑っているようだ。  
「後悔してる、なんて言わないで頂戴。お願い」  
「そんなことは思っていません、そんな失礼なことは……」  
「じゃあ…何?」  
「私は先にも言いましたが研究を優先させる男です、こんな私に  
 関わると不幸になるかもしれないですよ」  
「ねぇ、シャルトリューズ…いいじゃない、私は貴方のためなら  
 何だってできるわよ、研究の手助けも、夜の話し相手だって…  
 好きな男を束縛してカゴの鳥になれだなんて私は全然思ってない  
 貴方は好きなようにやってくれても私は受け止められる、  
 こうやって共になるだけでそう思えるの…」  
「ふぅ………そうですか……」  
「分かってくれたかしら…」  
「…貴女がパートナーならもっと前に進めそうです、あと  
 生徒の前では先生と呼んでください、いいですね?オパールネラ」  
「………ええ!」  
 叶わない望みと考えたこともある。それを乗り越えて今オパールネラは  
片思いの相手が恋人となった………  
 
「そうだわ、このことはハイラムに告げてあげないと……  
 あの子には悪いけどあの子にはもっと相応しい相手がいるはず。  
 早く切り替えさせてあげるのも教師の務めですから」  
そう独り言をいいながらも機嫌の良さは顔や行動にでるもの。  
「先生、おはようございます」  
「おはようマルガリタ、いい朝ね………あら、そっちの子は…」  
「こちらは入って間もないですけど新入生です、名前はリレですわ」  
「そう言えば……」  
「ええと……リレ・ブラウです。よろしくお願いします」  
「リレ・ブラウ…入学おめでとう、交霊術を習いたいならいつでもいいわよ」  
…………  
「あれ…?今日のオパールネラ先生どうしたのかしら?リレは初対面ですから  
 分からないでしょうけど、あの先生もっとキツイんですわ…  
 何かいいことあったのかな、機嫌良さそうですわね?」  
「え、ええ、そうね…確かに」  
「これは多分あれですわ!恋に関係あるわね、女の勘がそう思わせるのですわ!」  
「…オパールネラ先生の魔法陣は完璧じゃない…これをどうするか……」  
「え?何か言いました?」  
「へ?い、いや……」  
「あ、もしかしたら私の話聞いてなかったのではないのです?」  
「……ごめん」  
「何それ、も〜!もう一回言いますわ!オパールネラ先生がね………」  
……………  
………そう、オパールネラは知らないのだ、このリレ・ブラウという生徒が  
数日後に鐘の音を聞くことによって強制的に5日前に戻され、今までの出来事  
そのものがなくなってしまう、ということを…………  
 

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