【第*夜】  
 
その夜リレ・ブラウは召喚術を一人で練習していた。全ては運命をねじ曲げる為の努力である。  
これから又、運命が望まぬ形で現れるとも知らずに・・・・・。  
 
リレは杖を振ると、その場にいるエルフ達を一斉に呼んだ。  
「はーい!」「御用ですか?」  
反応するエルフ達にリレはそのまま、クリスタルを杖で指した。簡単なマナ回収作業だ。間違えるはずもなかった。  
「「「「お安い御用さっ!」」」案の定、元気よくエルフ達は行進していく。そしてクリスタルにー……クリスタルを通り越し…  
……………あれ?  
リレは首を傾げ、次いで慌てた。  
「ちょ、ちょっと待ってよ!どこ行くの?クリスタル通り過ぎないでよ!後ろにあるってば!?」  
…そんなリレの叫びを無視してエルフ達はスタスタと歩いていき、クリスタルを警護していた1人のフェアリーを空中から引きずり降ろした。  
「ちょっ‥と何するのよぅ!」  
怒ったフェアリーをエルフ達は気にせず、  
「わーい☆」と口々に言いながらフェアリーを取り囲んでいく。まさか?  
…………しまった!  
リレは今更ながら自分のミスに気がついた。マナ回収の命令をする際にクリスタルではなく、隣のフェアリーを杖で選択してしまったのだ。フェアリーはカンカンに怒った。  
「話しなさいよアンタ達っ!!」  
と怒鳴り散らしている。ところがエルフはそれも気にしない。  
そしてー…ああ、なんという事だろう。  
エルフ達は同郷の仲間が着た木の葉色の服をあちこちから引っ張り引き裂いていく。  
 
 

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