マルグリット学園大図書館、その屋上に設置された植物園。
そこには色とりどりの花や樹木たちが生い茂っている。
だが今、植物園に立ち込めるムッとするような甘い香りは、狂い咲く南方の花の匂いだけではない。
九城一弥はその香りの源をただじっと凝視していた、まるで信じられない…そんな顔で。
その視線の先には、こともあろうに自慰にふける妖精のように美しい少女がいた。
ヴィクトリカの様子がおかしい、という話をセシル先生から聞かされたのは今朝のことだ。
食事もとらず、寝所にも帰らずにずっと屋上にこもりっぱなし、
「先生…心配だわぁ、もしかして力尽きて倒れちゃってるんじゃと思って」
だったら自分で行けばいいのに…そう一弥は思ったが、
自分もレポートやらなにやらで、ここ数日図書館に出向く暇がなかった。
「ヴィクトリカ…あんまり人に迷惑を…」
ぜいぜいと階段を上りきりそういいかけて絶句する一弥、見ると本当に食事がまるで手付かずだ…
まさか本当に…あわてて植物園へ向かう一弥、そしてその中で展開されていた光景は…。
一弥は姿を隠すことも忘れ、ぼんやりとヴィクトリカへと近づいていく。
床や柱に付着した愛蜜がぬちゃりと一弥の靴やズボンを汚していく、いや愛蜜だけではなく
排泄物も混じっている…おそらく数日間、食事はおろか入浴も排泄も忘れ、
ぶっとおしでオナニーをし続けているのだろう。
「く…くじょう…きたのか…ああああっ」
「うん…先生が心配してたから」
この異様な光景を目の当たりにしながら、なんでこんな言葉しか口にできないのだろうか?
いや、あまりに異様だからかもしれない。
「九城…君には失望したよ」
柱に擦り付ける腰の動きは止めぬままヴィクトリカは一弥に叫ぶ
「なぜこの快楽をもっとはやくわたしに教えなかった!」
淫らな水音と喘ぎをBGMにヴィクトリカの腰の動きはますます早くなる。
「あっあっ…あああっ…」
長い髪がヴィクトリカの喘ぎに呼応して、ふわふわと宙を舞う。
脱ぐのももどかしかったのだろう、引き裂かれたドレスのボロを纏わりつかせただけの白い肌は
うっすらと上気して赤く染まり、そして一筋の汗と涙が彼女の頬を伝う。
その美しさに一弥はため息をついてしまう。
そして…ヴィクトリカの体がピンと弓なりにしなったかと思うと
「来るっ…くるっ…すごいっ…今までで一番だっ!ああ…あああああっ!」
切なげな叫び声を上げ、首をふるふると震わせると、ヴィクトリカは脱力してその場にへたりこむ
が…。
「まっ…まだだ…まだ足りない…まだ満足できないっ!」
絶頂に達したばかりだというのに、ヴィクトリカはさらなる快楽を求め
今度は机の角に秘所をこすりつけ、またオナニーにふけりだす。
「ああっ…わ、わたしの知恵の泉をもってしてもわからぬ…九城…君に見られていると
さっきより気持ちよくて…たまらない…ああああっ」
普段の理性的な態度とはまるで違う、文字通り獣の叫びをあげながら、今度は哀願するように
ヴィクトリカは一弥の顔を見る。
「君だけ何もしないのは不公平だな…ああっ…そうだ…九城、君もやれ
君がしているところを私に見せて…おおっ…くれ、早く!ま…またイッてしまうではないか!」