注1:この作品には女体化描写が含まれています。  
玄田ヴォイスでは絶対に再生しないでください。  
あとふたふた描写も含まれているので嫌いな人はスルー推奨。  
注2:本編と関係ありません。  
元ネタは同じギリシャ神話だしそこらへん許して。  
 
 
神々の契約は絶対である。  
神が成した契約は、その神自身ですらも取り消すことが出来ない、  
人間には理解できないほどの厳重な効力を持つのだ。  
その例を、クロノスの例を見ればすぐに分かるだろう。  
契約の一種、一方的に結ぶ契約を神々の場合予言と呼ぶ。  
"我が子に打ち倒される"その予言通りに、事は成就したのだ。  
最高神すらも、それからは逃れられぬのだ。  
だから、それを彼が逃れられなくとも、不思議ではない。  
それは、クレイトスがアレスに従う事を止め、刃を研ぎ始めたある日の事。  
とはいえ神々に付き従う必要はあり、その任務の途中とある怪物を手に掛けた時であった。  
いつもの通り、漆黒の闇から生まれし炎の刃を、その怪物の口に差し込み、力任せに引き  
、地面にぶつかったところをまた引き、下ろす。  
2度の地面への衝撃を受け、その怪物の体がまたバウンドする。  
もう怪物の抵抗の目は微かなものになっていた。  
止めを刺そうともう片方の斧を振りかぶったとき、クレイトスは見た。  
怪物の左手が、こちらに向けられている。それが呪いの合図と分かったときには、全てが  
遅すぎた。  
呪いも、契約の一種である。神以外の生物が、神に縋るものであるからだ。そして呪いは  
彼に襲いかかった。振りかぶった斧がその怪物の頭を叩きつぶした時、同時にクレイトス  
は身を包む違和感に気付いた。  
自らの体に異変があった。体の内側から、自らの肉体が動かされている。  
戦うために作られた筋肉が、収縮していく。  
しかしその筋肉の束は、無くなると言えばそうではない。  
"それ"に必要な箇所へと、姿を変え移動していく。  
次に骨の軋み。鈍い声を出し、クレイトスは膝をついた。  
がっしりとした骨格すらも、"それ"に合うように丸みを帯びたものになっていく。  
 
最後に変化が合ったのは頭部であった。  
針が刺さるような痛みが彼を襲ったかと思うと、たちどころにそこから髪が産声を上げた。  
その色は、皮膚と同じ、灰をまとったような銀の髪。触手のようにうねりながら伸び上が  
ったそれは、地面にたどり着きようやく成長を終える。  
体が自由に動かせるようになったクレイトスが近くの水面を見ると、思わず驚きの声を上  
げた。前と変わらぬ、体全体に彫られたタトゥー以外は、病的なほどに白い肌。  
精気無いその肌に食い込むように、両腕に痛みを伴い巻き付く"混沌の焔"の鎖。  
だがしかし、体全体が彼に驚きを見せていた。  
半牛人-ミノタウロス-をも力で打ち勝つ豪腕は、しなやかなものへと変化しその鎖を支え  
ているのが不思議なくらい。  
戦士の証である丸太のような両足は、シカを思わせる、美味をぎゅうぎゅうに詰め込んだ  
すらりと伸びるものへ。  
剣を受け、槍を弾いてきた胸は、体中の筋肉がそこに変化したと思うほど十二分な大きさ  
を持つ乳房へ。  
彼の顔は、変わらない。名前は、である。  
野獣を示す顔は、同じ名前を持つ獣、アマゾンのような女豹へと変わっていた。  
針のような痛みは、顎もそうだったのか、  
顎に蓄えられた髭は全て抜け、かわりに水面まで長い銀髪がその身を揺らしていた。  
今や、近づき難き彼の印象は、同じそれを抱きながら違う理由のものとなっていた。  
他者を恐れさせるもの百獣の威圧から、他者を雲の上から魅了する高貴な者の威圧へと。  
 
彼の肉体は、女体と化していた。  
 
「アテナ。どうすればいい?」  
髪の毛だけは邪魔なので動きやすいところまで切り、その他はいつもと変わらぬ――腰布  
1つの野獣の出で立ちで――クレイトスは神像に話しかける。  
石像は、その言葉に光を放つ。光は止まらず、その場所をほんのりと照らし、その石像は  
アテナの代理人と変わっていた。  
「クレイトス。それは女体化の呪いです」  
「見れば分かる。私が知りたいのはどうすれば戻れるかだ」  
その言葉に、アテナは暫し沈黙を保つ。クレイトスはその口が開かれるのをずっと待った。  
「それではアルテミスを訪ねなさい。彼女ならその方法を知っているでしょう」  
「分かった」  
それだけ伝えると、アテナの姿は神像から消える。もはや、ここにクレイトスの用は無い。  
提示された場所へ、行くだけである。  
 
「それではこの泉にサルマキスを呼びだします。準備はよろしい?クレイトス」  
「いつでもいい」  
狩猟の女神アルテミスが示したのは、1人の森妖精-ニンフ-の名であった。  
いや、正確にはもうニンフの体は捨てている。泉と一体化し、存在しているのだ。  
その元ニンフの名はサルマキス。クレイトスで無くても、そのニンフと泉の事は知っている。  
1つの特徴は狩猟の神アルテミスの愛娘らしからぬ、狩猟を愛せず耽溺に身を溺れさす反骨。  
弓など1度も持つことなく、花で自らを着飾り水面に写すのが日課であった。  
泉に姿を写していたアルテミスの姿がかき消える。再び泉が元の姿を現し、水面に今のクレ  
イトスの、高潔そうな女戦士の顔が写る。  
既に、これがその泉であることをクレイトスは悟った。水辺には何も浮かんでいないという  
のに、ほんのりと香る、熟した甘き果実の匂い。  
迷い旅人を誘うその甘美さは、逆にクレイトスを不快にさせた。  
さて、どうするか。そのタイミングを計っている矢先であった。  
「むぅっ!?」  
覗き込んだ顔が首ごと取られる。そのまま泉に引きずり込まれる。  
抵抗は無駄に終わった。首に巻き付いてきたのは水。取ろうとしても、その中に指が嵌りつ  
かみ所が無い。足で踏ん張りもするも、すぐにそれは意味のない行為となった。  
同じように、足もその水によって掬われる。そのまま頭ごと、クレイトスは泉の中に引きず  
り込まれた。  
 
「サルマキス!姿を現せ!」  
呼吸や言葉は出来るようであった。水に捕らえられながらも、クレイトスは声を張り上げた。  
泉の中は、思ったよりも広い。女性になっても長身のクレイトスの体が、右往左往しても土  
面にはつくことはない。  
「あら、これは珍しいお客さんねぇ」  
クレイトスの目の前で、水が渦を巻く。そこだけくっきりと、顔、胸、腕、足、手、が浮きでる。  
サルマキスであった。泉と同化した彼女が人形を取る必要はないが、単なる彼女の趣向である。  
「用件は分かっていよう。大人しくこの体を戻す術を教えるんだな」  
クエイトスの言葉に、ため息をついて森妖精は彼を見やる。  
「私そういうの嫌いなんだけど……子犬の吠え面を見るのわね」  
「斧の錆にでもなりたいのか?」  
「怖い怖い。でも、それはあなたが言う台詞じゃないわね」  
クレイトスの首に巻き付いた水が、さらに強められる。思わず再び両腕を伸ばしても、結  
果は先ほどと変わらない。  
「諺の意味を知りなさい。陸に上がったなんとやらってね。この場合は逆だけど」  
浮き出た姿が消える。少しの水の流れ。気付けばちょうどクレイトスの背後にサルマキス  
の顔が浮き出ていた。  
「まぁ一生私に付き従う、ってなら考えてもいいわよ。私好みに作り替えて上げるから」  
2つ目の特徴。彼女を宿した泉に入浴すると、男性は全てその心を抜かれてしまう。  
女性の体に作り替えられ、そして、恥辱の証としてそのシンボルだけを残されるのである。  
 
「私の泉に来てくれた餞別よ。ほら、喜びなさい。あなたの欲しがっていたものよ」  
再び水が浮かび上がり、クレイトスの股間の部分に当てられる。今度は外部から無理矢理  
開かれているような感触。何かを探るように動かされ、そして一気に引き抜かれる。  
彼の男性器がその姿を現していた。しかし、その実像は似て非なるもの。  
睾丸に当たるものは引き出されていない。生み出されたのは、彼の体と同じようにそれも  
灰色に染まった肉棒のみであった。  
それが示すところはサルマキスがその口を開かなくても誰にでも分かる事。  
ただ、快楽だけを貪る器官。その為だけに、それが彼女の手で作り出されるのである。  
「溺れましょう。もう、あの煩い女神もいないんだから」  
水の中の動きに、彼女が制限を受けることなど無い。浮き出た顔だけを動かして、その唇  
を奪う。  
長い、立場を分からせる為の接吻。口を離すと、満足の笑いをサルマキスは上げる。  
「なんだ、もう素直じゃない。素直な子は好きよ」  
顔はそのまま下へ向かう。鍛えられた筋肉は、グラスマスな肉体へと変化を遂げている。  
それのもっとも顕著な場所が胸である。衣類の類を付けることなくそのままさらし出さ  
れた乳房、は理想のラインを描きながらも、その大きさを誇っている。  
両手、いや、さらにたくさん、10を数える水の手が姿を表す。それぞれが、前から、  
横から、後ろから、つかむように、もみ上げるように、なぜる用に、その胸を愛撫する。  
50本の指はそれぞれが自由意志を持つように、その任務を遂行する。  
ある1つの手は左胸を横からこね合わせるようにそれを動かす。こそばゆいような撫で回  
しから、指の腹でそれ全てを味わう。  
ある1つの手は右胸を正面から強く揉みしだく。未開の地ではなく、他の手が"開発"した  
場所を、その行為を決定づけるように、力強くその後を残す。  
ある1つの手は3本の指で果実を嬲る。既に立ち上がった乳首を、親指の腹で撫で、食指  
の背で押し、中指の側面で弾く。3つの刺激がどれもが明快で、鮮やかなリズムを刻む。  
もう片方の乳首にはサルマキスの顔が張り付いていた。たまに柔らかな歯で甘噛みしなが  
ら、倒錯の言葉を投げかける。  
「ここから出るようにしてあげてもいいのよ。こっちもとても気持ちがいいのよ」  
舌でそれを何度も舐め、次は吸い上げる。水平に引っ張られ、その形が水中で楕円を描く。  
 
惜しむようにそこで唇から乳首が離される。元に戻るそれに、余暇を得ていた手が再び這い  
回る。  
「それにしても無口なのね。こういう事、淡泊な訳でもあるまいし」  
再びサルマキスの顔が上昇し、クレイトスの眼前に迫る。10の腕は未だ動かしたまま。  
身を襲う、未知の衝動。開始早々激しい行為を受けても、クレイトスの顔に変化は無かった。  
「止めておけ」  
ようやく出したのがその一言。その言葉を面白そうに笑いながら、サルマキスの唇はその  
目へと向かう。  
「勿体ぶるわね。じゃぁ、こんな刺激はどうかしら?」  
閉じようとした瞳が器用に唇で開かれる。露出した器官ではもっとも敏感な器官に、その  
舌が刺し込められる。本来なら何物も阻む場所。あっさりと舌は進入し、その味を確かめる。  
受けてみなければ、この感覚は分からないだろう。水で作られたものだからか、それに痛  
みはない。抉られるように、と言えば分かるか。仄かな暖かみを持った何かが、中をまさ  
ぐっている。生理的嫌悪感と、屈辱感。奇妙なその感覚は、それらの感情に乗せて加速さ  
れる。それには、これと同時進行で未だ50の指が巨乳をこねくり回しているのももちろ  
ん関与している。  
ようやく舌が抜かれる。ふやけた、と言う表現がそれには等しい。しばらくは視界がぼや  
け、目の前もほとんど見ることが出来ないのだから。  
快楽とは、感覚の一種である。であるからして、一番それらを感じるのは、様々な感覚が  
触れあったときだ。だからサルマキスはその愛撫に所々そんな奇妙なものを混ぜる。相手  
を揺さぶる物、責める物。動かす物。  
次に向かうは耳の後方。何もない、と思うならば試してみるといい。今度は唇では無く1  
本の指だ。さっと一撫でするだけで、不可思議な震えを背筋に感じるだろう。  
その次は下って喉仏。女性の小さなそれに舌が這う。安心できる、落ち着いたテンポ。  
次はまだ指が奮闘を続ける胸を下って腹部。贅肉の欠片も見えない美しい形のそこに、窪  
んだへそに舌を突き入れる。舌は形を変え、細く長い水蛇を思わせる物に。奥までその身  
を差し込み、下半身を揺らす衝撃をそこに送り込む。  
 
痛みももちろんアクセントの1つ。細い腰に反比例して大きく反った尻に軽く新しく生ま  
れた指が抓りを入れる。それまでのとは全く違うものに、僅かな痛みであっても身は固く  
なる。それを確認し、最後に唇が2つの性器を持つ股間部に近づく。  
開き始めた女性器の上部にある突起を、強く吸い付く。  
「ぬっ……」  
クレイトスで無くてもそれには声が出る物。様々な行程を経て、ようやく許される強烈な  
快楽。胸の愛撫は再び激しさを増した。それぞれの指が場所を奪い合うように、その指を  
白い肌へ埋めていく。  
「まずは、こちらから開発していきましょうか?綺麗な桃色ね」  
再び舌の姿が変わる。平べったく、肉厚の厚い物へと変化していく。それは産毛に守られ  
た未開の園を全て味わおうとするものに他ならない。この瞬間をサルマキスは、いつも楽  
しみにしている。その場所に進入を許すのは彼女が必ず初めてと決まっている。未踏の場  
所、それに自分が足跡を残すのは誰でも焦がれる物。  
だからこそ、惜しむようにゆっくりと平べったい舌を挿入してゆく。入り口はその舌を押  
し戻すように遮るが、その抵抗は僅かなもの。すぐにその中いっぱいにその舌が進入する。  
それ自体が発する液体は、未だ僅かな物。しかし元が水のその舌だ、その柔らかな場所を  
すいすいと進んでゆく。その舌が限界を迎えるまで、それは続く。サルマキスの味覚に、  
甘酸っぱい物が混じりだしてくる。  
ふたたび元来た道を引き返す。名残を惜しむように、その舌を動かしながら、ようやくそ  
こからはいずり出る。すぐに舌は普通の形に戻る。その舌を口内に戻すと、見せつけるよ  
うにクレイトスの眼前にその顔を移動させ、動く喉元を見せつける。  
「とても美味しかったわよ。ほら、まだ残っているからあなたにもあげるわ」  
強引に唇を奪い、それをこじ開ける。次のキスは舌同士を絡めさせる物だった。  
クレイトスが動かなくとも、サルマキスの舌が変化しまとわりつく。へそを嬲ったときの  
ような細い物へと。味わった物の共有を強制する。  
顔をしかめるクレイトス。それに満足の笑みを再びサルマキスは浮かべた。  
 
「さて、それじゃ早いけどそろそろ本番に行きましょうか」  
10の腕が水の中へかき消える。サルマキスの全身が、くっきりと水中に浮かび上がる。  
「私がこうしてこの姿になれたのもヘルマプロディトスのおかげ。だから、最初はこう  
やって犯すって決めているの」  
サルマキスが口にするのは、そもそもの原因である、彼女を恋に落とし、そして彼女を  
この泉へと変化させたある王子の名前。  
彼女がそれを手にした時と同じように、再び水流がクレイトスを捕らえる。  
両腕は頭上で固定され、大きく体を反らされる。そのまま両足はそれぞれ斜めに開かれ、  
男性器を強調する体勢を強制される。  
サルマキスはその股間部に馬乗りになる。そしてクレイトスに悪戯な目を向けた。  
「すぐにその気になるわよ。ほら、これだけで……」  
密着した性器通しの、横の空いた隙間に両腕の指をそれぞれ差し込む。次の瞬間、それが  
渦を巻いた。渦が雄槍全体を包む。意志を持った渦は全てがそれを刺激するために作られ  
た物だった。渦の内部で、流れ1つ1つが甘噛みをする。尿道へも入り込み内部からもそ  
の強烈な刺激が襲いかかる。すぐに、雄槍は十分過ぎるほどにその姿を誇示していた。両  
指が抜かれ。その猛々しさを持てあましている背に、サルマキスの花弁が甘いじゃれ合い  
を見せる。  
「ふふ、それじゃ、いただきます」  
腰を持ち上げると、つられるように剛槍がその実を持ち上げる。性器同士がもう引き合っ  
ているようにも見えた。ぴとりと花弁にその口を付け、もうそれ通しで口づけを交わして  
いる。  
 
垂直にすっかり立ち上がったとき、サルマキスはすぐに腰を下ろしていった。  
入り口は狭く、抵抗は大きい。しかしそれの抵抗はすぐに破られ、その中へと身を躍らせ  
ていく。腰をゆっくりと下ろしているのは、サルマキスが久々の"大物"に自らも楽しんで  
いるからだ。本来の体でどこまでそれを味わえるか。そんなことを心の中で呟きながら、  
その感触を自らに記憶しているのだ。  
かなりの時間がかかり、それが全ては入り終える。サルマキスは一息つくと、微笑みをク  
レイトスに返す。  
「なかなかの物なのね。今までで何人泣かせてきたのかしら?」  
楽しみを顔に出すサルマキスと違って、クレイトスは未だ渋い顔を崩さない。  
「止めておけ」  
「ふん、二度目は飽きたわよ」  
出す言葉は先ほどと一緒。その言葉を、笑い飛ばし、本来の段階にサルマキスは入る。  
「ヘルマプロディトスはそのときすごく抵抗したのよ。だから、もっと抱きしめたの」  
腕が現れ、それが新たな水の戒めとなる。両足に、両腕に、胸に、腰に、巻き付くという  
表現が相応しいほどにその身を固定する。  
サルマキス本来の両腕もクレイトスの背に回される。象をも戒めからは逃れられない、そ  
んなように拘束されていた。  
 
「そして、彼が楽しいように、もっと気持ちよく。ここ、だけでね」  
「むぅ?」  
中の形状が変化したことをクレイトスは感じる事ができた。  
ゆったりとそれを受け入れていたものから、今の彼の体全体と同じように、拘束し、有無  
を言わせぬ強制をするものへと変わる。  
また、あの渦だった。しかも、それは先ほどのような優しい物ではない。  
その早さが次第に増していく。甘噛み程度だった流れは、その刺激を強烈なものへと変え  
ていく。  
「余裕はあげない。分からせてあげるのアプロディトスに、どんな相手を恋に落とさせた  
 のかを」  
相手を嬲ったりする類のものではなかった。さらに早くなるそれは、強制的に相手を達さ  
せるためのもの。その通りに猛々しい雄槍はその身をさらにはちきらんばかりに膨張させ、  
今すぐ欲望を果たそうと脈動する。  
それを敏感に察知したサルマキスは、声を高々と上げて腰を動かし始めた。  
「あはは、すぐに出ちゃうわよ、私の中に注ぎ込みなさい」  
腰を動かすその動きは、円状に快楽を与える流れに縦のアクセントを加える。  
「耐えられるはずが無いでしょう?アプロディトスも、一瞬で出しちゃったんだから」  
その言葉通りの快感がサルマキスの花園から送られていた。  
強すぎて本来ならば痛みに転じるはずの動きは全て快楽へと変換されているよう。  
何人も迎え入れたそこは、純粋に快楽を追求する魔性の口。  
震えるような動きが男性器に起こる。最後にその再奥まで、サルマキスは腰を打ち付けた。  
思い切り感情をはき出すような、荒い息をクレイトスの口から滲み出る。  
もう一度の震えとともに、その再奥へと欲望の液がはき出されていた。  
サルマキスの腕が、再びクレイトスの背に回された。サルマキスがその胸に出す荒い息は、  
彼女も十分に楽しんだという証であろうか。  
「本当、良かったわよ。もっと作り変えて上げるわ」  
彼女の賞賛。再びキスを求めるサルマキスに対し、またクレイトスの表情は苦虫をかみつ  
ぶしたような表情であった。  
 
一息ついて、サルマキスが次に行ったのはクレイトスの両足の改造であった。  
「今日はこれまで。その足で、明日からの蜜月を待ちなさい」  
気に入った獲物は自らの欲望に使う。それがサルマキスの答えであった。  
たちまち女体ながらすばらしき力に満ちあふれた足が、収縮してゆく。  
足全体を覆う水脈は、無駄な物も、必要な物も、すべてそぎ落とそうとする流れ。  
ここが水中で無ければ彼の体はすぐに崩れ落ちていただろう。  
その流れの後から生まれた足は、アンバランスな、素足で歩いたことなどまるで無い赤子  
のような丸い足に変化していた。拘束はそれで十分と思ったのだろう、彼の体を戒めてい  
た水脈は姿を消す。変わりにその目の前にサルマキスが妖精の姿を取りその体を現した。  
「泉のそばで待っていなさい。また面白い趣向を用意してあげるわ」  
水と一体化していた体が完全に浮き出る。妖精らしい華奢な肢体が、哀れな犠牲者に一時  
の別れの接吻をしようと思ったときだった。  
サルマキスは異変に気付いた。再び、その瞳が野獣の目を成していることに。  
再び水に姿を戻そうとする暇もなかった。息をつく暇もなく斧が抜かれ、2つの紅がサル  
マキスの両椀に絡みつく。思わず悲鳴を上げ体を変化させようとする。しかし、それは適  
うはずがない。  
彼女は知らないのである。この斧が、冥界の炎を宿していることを。  
冥界の炎は全てを焼き尽くす。それがたとえ、水の形態を取っていたとしても。  
たちまちサルマキスの身は炎に包まれ、縋る目はそれを投射したクレイトスに向けられた。  
その力が、ただ単に彼女を傷つけるだけではないということを本能的に彼女は理解した。  
存在を、魂をも全て焼き尽くす紅蓮。即ち、彼女の消滅を意味していた。  
 
「教えるんだ。方法を」  
また同じ、不満を露わにする渋い顔でクレイトスは呟いた。  
教えなければ、という仮定など考えるまもなくサルマキスは理解した。  
あわてて水脈が動き出し、再び彼の身に宿る。  
女性がその泉に入ればどうなるか、その場合男性の体へと変化を遂げるのである。膨らん  
だ胸と女性器を残して。彼女が、呪いによって女体化した肉体を元に戻す事など造作も無  
いことだ。たちまちクレイトスの体が脈動する。今度は体勢を崩すことは無かった。  
減った部分をどこからか調達し、筋肉が体の中から盛り上がる。  
大きく張り出していた乳房は厚い胸板へと変わり、頼りなさげな腕は牛をたとえに出せる  
ほどの逞しい物へとかわり、足はその筋肉を支えなお余裕がある事を周りに見せつける丸  
太のような物に。  
最後に銀の髪が抜け落ちる。顎髭が生え替わり、クレイトスは元の姿を取り戻した。  
「ほ、ほら、直したから……」  
「礼を言おう」  
理解した、とは語弊があったか。そんな仮定など、当の本人は口にも出していないし思い  
もしていないのだから。  
片方の斧が左腕からはぎ取られる。それだけでかなりの痛みがサルマキスには襲いかかる  
が、次にはもうそれを言う場所は無くなっていた。  
次に斧が貫いたのは首。それを潰し首に斧が完全に差し込まれる。  
サルマキスの体をふわりと持ち上げると、それを地面にたたき付ける。その反動で再び浮  
かぶサルマキスを今度は岸へと。再び衝撃とともに、それを支えにしてクレイトスはその  
泉から抜け出した。最後にもう一度。思い切りその泉にサルマキスの体をたたき付ける。  
斧を背に戻したときには、既に泉は地獄の業火に捕らえられていた。  
 
「見事戻ったようですね、クレイトス」  
「ああ、感謝する」  
それだけ言うと、そのまま彼はそこを去ろうとする。いつもの通りの素っ気ない態度。  
そんな彼を、泉にその身を宿したアルテミスはふと呼び止めた。  
「待ちなさい、クレイトス」  
「どうした、まだ何かあるのか」  
質問を考えていたような沈黙の後、アルテミスはその口を開く。  
「さすがですね。アテナがあなたに助力を貸した理由も分かる気がします」  
「ふん、話はそれだけか」  
悪い気分ではないのか、気を害したのか。その判断はいつもの無表情な彼の事だ、それは  
アルテミスであっても捕らえることができぬもの。  
「……ええ、それではクレイトス。オリュンポスの神々はあなたを見守っています」  
相槌を返すこともなかった。泉から消えていくアルテミスを背に、クレイトスは再び神々  
の試練に戻っていった。  
クレイトスの旅は、まだ続く。  
 

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