「あれ〜っ。田宮君‥ って言ったっけ? あんた」  
「え? あ! ウルドさんじゃないですか。  
 こんなところでお会いするなんて、奇遇ですね」  
「ちょっと買いたいものがあって、このへんに来たところなんだけど」  
「あの、覚えていてくれたんですね、自分の名前」  
「ま、なんとなく」  
 
「なんとなくでもなんでも、  
 ウルドさんが‥ 自分の‥ 名前を‥‥  
 不肖、田宮寅一、身に余る光栄であります」  
「あの、そんなしゃっちょこばって感激しなくてもいいから。  
 周りの人が驚いてるじゃない。やめてよ」  
「あ、すみません」  
「そうだ。ちょうどいいや。  
 頼んでみてもいいかも。うんそうしよう」  
「え?」  
「田宮君を男と見込んで、お願いがあるんだけど?」  
 
「この、自分を男と見込んで‥‥  
 うっ、うっ‥‥」  
「泣いてる‥ の?」  
「申し訳ありません!   
 あこがれのウルドさんが、自分を頼ってくれるなんて。  
 つい、うれしくて」  
 
「押忍! 押忍! オス!  
 もう大丈夫です。取り乱してすみませんでした。  
 で、自分は何をすれば宜しいのでしょうか?」  
 
「シュレディンガーホエールをつかまえるとか、  
 ヴェルスパーの法術を解くとか、  
 どんなことでも、ウルドさんがお望みならば」  
 
「ちょっと待った!」  
「はい?」  
「あんた、そこらあたり、知らないはずじゃなかったっけ?」  
「あ! すみません。つい口が滑って」  
 
「それに、猫実工大自動車部の元部長でしょ?  
 さっきの気合、空手部みたいで変だし」  
「あの‥ エロパロなんで、あまり細かいことは‥‥」  
「‥それもそうね。わかった。  
 じゃ何事もなかったかのように次いってみる?」  
「はぃ」  
 
「で、自分は何をすれば?」  
「じゃ、悪いけど、そこのホテルまで付き合ってくれる?」  
「はい、喜んで。で、どちらの?」  
「だから、そこ」  
「ホテルシャンペリア‥ って、ここラブホテルじゃないですか!」  
「そう」  
「そうって‥‥」  
「イヤなの? た・み・や・く・ん?」  
「いえ、そんなことは」  
「そうよね」  
「でも‥ そこって、ふつう男と女が」  
 
「あなた、なんか勘違いしてない?」  
「?」  
「そこであなたとゆっくり話しをしたいな、ってそれだけなんだけど」  
「話し‥ ですか?」  
「そう。 あれ? なんか、別のこと期待してた?」  
「いえ、そんな、」  
「そうよねぇ〜  
 でも、なんかさっきより元気ないみたいだけど」  
「そんなことはありません」  
「じゃ、行きましょ?」  
「はい」  
 
「どれにしようかな〜   
 全室ジェットバス装備なんだ。うんいい感じ」  
「あの、それって、いったい。  
 噴射型エンジンをリアにつけたクルマが、全部の部屋に?」  
「フフッ。あんたホントに知らないの?」  
「はぁ」  
「もしかして、こういうとこ来たことない?」  
「実は、あんまり」  
「じゃあ、 部屋の広そうなこれでいいか」  
 
「で、ウルドさんの話って、なんでしょうか?」  
「3時間あるから、そんなにあせんなくても、いいんじゃない?  
 ちょっと私、先にお風呂入りたい感じなんだけど。  
 それとも、このあと予定あるとか?  
 全国的に日曜日だし」  
「いえ、それはないんですが」  
「じゃ、入ってくる。待ってて」  
 
「バスローブがなかったけど、こっちかな〜  
 あったあった。普通これって、バスルームに置くわよね〜  
 へんなの」  
 
「じゃ、あらためて‥‥  
 あれ、なにこれ。ベッドからバスタブ丸見えじゃないの。  
 むこうで灯りをつけると、こっちから見えるんだ。  
 へぇ〜 こうなってるんだ〜」  
 
「困っちゃったな、どうしよう」  
 
「ねぇ。私がお風呂入ってる間、見ないでいてくれる?」  
「あ、はい。当然です。覗きは恥ずべき行為ですから」  
「そう、よかった」  
 
 
「あ〜 いいお風呂だった。あんたも入ってくれば?」  
「自分は‥‥」  
「なにビクついてんの? ‥‥もしかして、見たの?」  
「いえ、そんなことは」  
「冗談よ。ちらちら見てたの、中で気づいてるわよ、とっくに」  
 
「大丈夫、怒っちゃいないから。  
 でもあんたも固い男だね〜  
 知ってる限りの悩殺ポーズしたのに、反応ゼロなんだもん。  
 つまんないったらありゃしない」  
「‥‥‥」  
 
「ま、いいや。どうぞ、お風呂」  
「はい」  
「だからどうぞ、って」  
「はぃ‥‥」  
「変ねぇ あれぇ〜 もしかして」  
「え?」  
 
「‥これって、なんだろう」  
「やめてください! ウルドさん。  
 そんなとこ、つかまないで下さいよ〜」  
「ここも固いんだ。田宮君って。  
 それに‥‥ かなり大きいし」  
「‥‥」  
「なんか、ズボンの中で窮屈みたい。  
 出してあげようか、つらそうだから」  
「あ、あ、」  
 
「おいしそう〜!  
 わハヒ、ホんなに、おおフぃの、はヒめて」  
「そ、そんなこと」  
「んぐ、チユプ、んぐ、んぐ」  
「あ、あ、あ、  そ、そこは」  
 
「ふぅ。しんどい。休ませて。  
 こんな大きいの、初めて。  
 あごがはずれそう、ほんとに」  
 
「で、さっき言ってたお話って‥‥」  
「え? なんのこと?」  
 
「あっ。あぁ、あれね。あれは‥‥ ウソ」  
「うそって。じゃどうしてウルドさんは」  
「分ってるくせに」  
「?」  
「欲しかったのよ」  
「なにが?」  
「こ ・ れ ・ が!!」  
 
「ああっ女神様!」  
 
「‥あんた、ずいぶんとベタなんだね」  
「あ、すみません。シチュエーションがうれしくて。  
 副部長だった大瀧には里子ちゃんがいるのに、  
 こっちはそう言う役得が全然なくて。  
 自分は‥‥ 自分は‥‥」  
 
「ああっ もう!!  
 暑苦しいわね。うじうじしてて。  
 なんかもうだめ。そんな姿見てて、  
 あんたとやる気、全然なくなっちゃったわ。  
 あたし帰る!」  
 
「‥なによ。あたしを止めるの?  
 ほほほ、いい度胸してるじゃない、田宮君?  
 あたしが二級神管理限定免許取得女神だと知ってて、  
 それでもやる気?」  
 
「でも、ほらここ」  
「こら、そこ触るんじゃない。どさくさにまぎれて」  
「言葉のわりには、びちょびちょなんですけど」  
「‥‥‥」  
 
「こら、降ろしなさい」  
「いやです」  
「三つ数えるうちに降ろさないと、あんたなんか法術で」  
「ウルドさん。もっと自分に素直になったほうが」  
 
「ずっと昔、梅の精霊に恋焦がれていた、  
 そのときの気持ち、ウルドさん、覚えてますよね?」  
「なんでいま、そんなことを?」  
「忘れちゃったんですか? こんな大切なことを」  
 
「梅の精霊‥‥‥ 遠い日に私の愛した人」  
「そうです。彼の代わりになることは出来ないけど、  
 今のウルドさんの心の渇きをいやすお手伝い、  
 させてください」  
「あんた‥‥」  
 
「バスローブ、僕らの間には邪魔ですね」  
「何すんの!」  
「殴りたかったら殴ってくれてもいい。  
 でもそれは、ウルドさん、あなたの本心じゃない。  
 それはわかってるから」  
「‥‥‥あんた。みかけによらず優しいんだねぇ」  
「ウルドさんほどじゃありませんが」  
「‥‥‥」  
 
「手をどけて。そう。  
 きれいな胸だ。ふたつの頂上が僕を誘ってる。  
 とっても淫らに」  
「ダメ、いやっ」  
「柔らかい、とても。素敵だ」  
 
「足を、そう、力を抜いて。  
 思ったとおり、きれいな眺めだ。  
 おせじじゃなくて」  
 
「もう‥ 言わないで‥ お願い」  
「いや、やめません。  
 ウルドさんの法術が呪文で始まるように、  
 僕のこの言葉は、ウルドさんをとろけさせる魔法だから」  
 
「ふるえてる。ここが。  
 恥ずかしい? さわってほしい?  
 でも、まだ、できない。  
 そう言ってるそばから、次から次へと、中からあふれているね。  
 ほら、湧き出るように」  
 
「じゃ、始めようか」  
「んっ‥  だめ、やめて‥ そこは」  
「やめない。この真珠のようなものがウルドさんの」  
「いやっ うっ そんな だめ」  
「ほら、手でにぎって。そう、これ好きだよね。そうだろ?」  
 
「そう、安心してずっと握ってればいい」  
 
「うっ うっっ」  
「もう少しだね、ほら」  
「いやっ もう だめ いっちゃう」  
 
「だめ やだ いやぁ〜〜〜〜〜っ」  
 
 
「落ち着いた? 入れるよ」  
「見える。ウルドのピンクのひだを、かきわけてる。  
 ほら、入って、行く」  
「んっ んっ ん〜〜っ」  
 
「‥‥‥」  
「なに?」  
「‥‥‥もっと‥」  
 
「もっとなに?」  
「お、く、‥‥」  
「奥? な〜に?」  
「いじわる」  
 
「こう?」  
「あ〜っ いい! それ、いい!   
 もっと もっと奥に 入れて、はやく」  
 
「はぁ、はぁ、 好き! いい」  
「ウルド! そんなに締め付けたら、こっちも、いっちまう」  
「来て! きて! 今 おねがい」  
 
「やだ〜 何で抜くのよ! もうちょっとだったのに」  
「考えたことがあって」  
「何でもいいから早く入れて、変になりそう」  
 
「え、どうして、こんな?」  
「いいから。お尻をもっと高く上げて」  
 
「昔さ」  
「‥‥?」  
「こんなふうに、 スレイプニールとも、 やっとことあるって、  
 噂で、 聞いたこと、 あるけど」  
「うっ ううっ‥‥ え? 今、何て?」  
「だから、あの8脚の馬と。  
 こんなふう、にバックで、24時間、ぶっつづけで」  
「そんな、うぅ、ことも、あった かも」  
 
「こんなふうにか」  
「やだっ、奥にあたっちゃう」  
「それともこんな感じか」  
「く、苦しい、息が‥  だめ、あたし、もう  
 あっ、あっ、そこ! もっと!」  
「ウルド! 俺、もう」  
「いいの 来て お願い 出して! 奥まで!」  
 
「イク! いっちゃう! だめ〜〜〜っ」  
「うぉ〜〜〜っ」  
 
--------*--------*--------*--------*--------  
 
「え? なにを」  
「こんどはあたしが上で、ね?」  
 
--------*--------*--------*--------*--------  
 
「もういいだろ。終わったばかりなのに」  
「ダメ、駅弁って一回やってみたかったから。ほらほら」  
 
--------*--------*--------*--------*--------  
 
「お願い、勘弁。もう4回目。無理。俺、もうたたない」  
「大丈夫、とっておきの女神の秘儀があるから」  
「え? あ〜〜っ!  
 ウルドさん、どこに指を入れるんですか、やめてください」  
「ここで、中指をくいっと。ほら立った」  
「そんな無理やり」  
「いくよ〜〜〜」  
 
--------*--------*--------*--------*--------  
 
「あーすっきりした。しばらくご無沙汰だったからネェ。  
 しかしだらしないねぇ〜 最近の男は。気を失ってるよ。  
 こいつはもうちょっと骨のあるやつかと思ったけど。  
 まあいいや。  
 こんどは大瀧がいいかな。  
 背徳の快楽っていうのも。あ、考えただけであそこが‥  
 でも‥ あたし何を買いに来たんだっけ?」  
 
 

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