鏡の前で、新しい服を片手に神楽はご機嫌だった。  
銀時が選んでくれたその服は、きれいな刺繍が入っていて、女の子らしく可愛らしい。  
「〜♪」  
夜兎族の動きやすい衣装を好む神楽だが、やはり年頃の女の子、おしゃれだってしてみたい。  
そんな胸の内を見抜いてか、銀時は思いついたように神楽に服を買ってきてくれる。  
今回の服も、そんな一着。  
さっそく着てみたくなって、ぽんぽんと服を脱ぎ捨てる。兎模様のブラとパンツまで。  
そのまま真新しい服に勢いよく袖を通した。  
「へへっ」  
鏡の前でポーズをとり、くるりと一回転。  
くるくる動くたびに、滑らかな布地が胸の先っちょをこちょこちょくすぐる。  
きゅっと足のあたりが切なって、銀時の手のひらの感触を思い出す。  
この服でエッチしたら、銀ちゃんどんな風に触るアルか?  
やっぱり服の上から?  
それともボタン外して襟元から入ってくるアルか?  
あ、スカートの下から、お腹から攻められるかもしれないネ・・・  
「よ〜し・・・ゆーわくして酢昆布貢がせてやるネ!」  
そうと決まれば善は急げ。  
神楽は勢いよく、銀時がいるであろう居間への襖を開け放った。  
 
「ぎーんちゃ・・・アレ」  
ぽかぽか陽気にやられたか、肝心な男は万年床に身を預け爆睡していた。  
「ぎーんちゃん!コラ起きろヨこのヤロー!」  
せっかくおめかししたのに、見てもらえないのが悔しくて、揺さぶってみる。  
「ぎんちゃん!オイコラぎーんちゃーん!」  
ゆすってもたたいてもほっぺたを引っ張ってみても、銀時のまぶたは開かない。  
「も〜・・・美女をほっぽって居眠りなんてありえねーヨ、コンチクショー・・・」  
起きない銀時に、ふくれっつらで尻をつく。  
「・・・襲っちまうゾ」  
ぽてん、と銀時の隣に横倒しになる。顔が目の前にあるのに、まぶたを閉ざしたままの銀時が面白くなく、  
ごろりと反転して銀時に背を向けた。  
と  
「ぎ、銀ちゃん!?」  
するりと伸びてきた腕が、神楽を背中から抱き締めた。  
「銀ちゃん起きてたアルか!?」  
驚く神楽をよそに、お腹の辺りで組まれた手のひらが、上と下に移動し始めた。  
「ぎ、銀ちゃんヤメテヨ!」  
「・・・神楽」  
布団の中から抜け出そうと暴れる神楽の耳元に、銀時の声が囁く。  
「ぁぅ・・・」  
これだけで力が抜けて、抵抗したくなくなってしまう。彼の手のひらにすべてを委ねたくなってしまう。  
おとなしくなった神楽の体を、大きな手のひらが愛撫する。  
一方がお腹の下を、もう片方が、腕を、肩を、まるで安心させるかのようにくるくると撫でさすっていく。  
「あっ」  
ついに彼の手のひらが、服の下に差し込まれた。  
片方はスカートのスリットから、直におへそをなぞってくる。同時にもう片方が、肩口のボタンを外し、開いた襟元からはだかの肩を抱いた。  
あ、襟元から来るってのとスカートから来るっての、どっちも大当たりネ。  
くすぐったい感触の中、神楽は嬉しくなった。  
じらすようにゆっくりと、両の手のひらが小さな胸を包み込む。  
「うひゃぁ・・・」  
指の一本一本が意思を持つかのように、神楽の乳房をもてあそぶ。  
弄り回されるたびに、胸の先に熱が集まっていくようで  
ぷくりと膨らんだ先端が、服の布地に擦れる。  
「んっ!!」  
おもわずぴくりと跳ね上がった体に反応するように、彼の指が先端をつまんだ。  
くりくりと弄り回す、その感触に、体の中の熱が上がってくるようで、吐息が漏れる。  
 
「やっ・・・やだ・・・やだ・・・」  
くすぐられ、きゅっとつねられる。その度に、お腹の下から太ももの間へと、不思議な波が走り蓄積されていく。  
うずうずとくすぐったさが一箇所に集中し、たまらなくなって足をすりあわせる。  
「銀ちゃん・・・切ないヨォ・・・」  
おしりでも・・・アソコでもいいから・・・触ってヨッ!!  
「――ひゃあ!」  
ついに、一番敏感な部分に触れる彼の指。  
嬲るまでもなく焦らすまでもなく、いきなり敏感な突起に爪が立てられる。  
「あっああっ!やだっぎんっひゃあぁ!!」  
びくんびくんと跳ね上がり、足の指までつっぱらせて、いやいやと首を振る。  
さっきまでとは打って変わった、休みなく浴びせられる快感の波。  
もう自分が何を言っているのかさえ分からない。  
「あっ!やっ!やっあぁ――――!!」  
硬直。  
そして、力と意識が、体から抜け出ていくのを感じた。  
 
「バカ銀ちゃんどーしてくれるアルか!せっかくの服がくしゃくしゃヨ!」  
胡坐をかき寝ぼけ眼を擦る銀時の前で、神楽はご立腹だった。  
長い余韻の後、正気に戻った神楽の服は、銀時にもみくちゃにされて見るも無残な状態に。  
「も〜これじゃお出かけなんてできないヨ!」  
「・・・んだオメー・・・そんなにくしゃくしゃにしてどこで遊んできたんだコノヤロー」  
「・・・へ?」  
もしかしてコイツ覚えていないアルか?  
「ったくせっかくいい夢みてたのによー・・・」  
アホみたいにぼやく銀時。  
思わず笑ってしまう。いい夢って何ヨ。人の名前囁いて、あんなにねちっこい手つきで弄くり回して、  
夢の中でも私とエッチしてたアルか?  
「ん?なにアホの子みたいな顔してんの神楽ちゃん?」  
なに言ってるカ、アホの子はオメーだよ。  
「ま、いーや。おかげでもう一回遊べるしネ」  
「え、何だって?」  
アホみたいに聞き返してくる天パーに、ずいっと顔を近づける。  
「銀ちゃん、この服似合うアルか?」  
 
終  
 

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