うつらうつらとしながら眺めていたテレビのスイッチが、リモコンでプツンと切られるのに、ソファによりかかっていた神楽の目が一瞬覚めた。
「神楽。もう寝るぞ」
「ん…」
「…神楽。さっさとしろって」
そのままソファに座り直して目をこすると、今度は少しいら立った声がしてきて、半分眠っていた心臓がどきんとする。
苛立った声の持ち主が、神楽の様子にはお構いなしに今度は居間の電気を消すと、神楽が少し小走りにその背中についていった。
薄暗い部屋の中、神楽はパジャマの前の部分をぎゅっと押さえたまま、立ち尽くしていた。目の前の銀時が腰の帯を解くのが目に入る。
事も無げに脱げよ、と言われて、神楽は唇を噛みながらそっと釦に細い指をかけた。
「…下着もだろ」
そのまま銀時は布団の上に腰を降ろすと、相変わらず俯いたままの神楽が服を脱ぐのを眺めた。
パジャマのズボンを下ろすと、うす暗くてもはっきりと色の白いのが分かる細い足が現れる。神楽が身じろぎして、恥ずかしいのか少し内股ぎみに立ち直すと腰骨のあたりの下着の端に手をかける。
やだ…やだ…恥ずかしいヨ…
部屋が暗くてよかったと思う。そうでなかったら、今にも泣き出しそうな表情を見られてしまうから。
「あ…」
神楽が下着から足を引き抜くと、手首を掴まれ引き寄せられ、布団の上に組敷かれる。
そのまま、両の手首を押さえつけたまま銀時が覆い被さって来て、唇を塞がれ神楽はぎゅっと目を閉じた。
無意識のうちに顔を背けようとするが、銀時に口の中まで押し入ってこられて舌を捉えられ、息もつげない程に深く絡み合わせられるともう逃れようもなかった。
舌の裏側に生暖かくぬめるものが押しつけられたと思うと、口蓋を左右になぞり、舌の表面を滑ってくる唾液が喉まで流れこんでくる。
「や…やだ…」
舌をゆっくり引き抜かれると、更に神楽の肌を貪ろうとしてきた銀時の胸を神楽の小さな掌が押さえた。
恐る恐る目を開くと、何の感情もない様な冷たい目に見下ろされていた。
昼間とは違うこの目がすごく怖くて、神楽は逆らえない。
「こんなの…こんなの、」
自分の声が震えているのがわかって挫けそうになりながらも、神楽ははっきりと告げた。
「こんなの…銀ちゃんじゃ…ないヨ…こんな銀ちゃんは、きらい…」
銀時は一瞬動きを止めたが、神楽の手をそれぞれ左右に払うと、白い胸に顔を埋めてきた。
再び目を閉じて僅かに苦しさに眉を寄せた神楽の手は投げだされたまま、銀時を抱きしめることができなかった。
ゆるく揉みしだくだけでは満足できないのか、大きな掌が成長途中の神楽の胸に形が変わる程押し付けられ、力をかけられると一瞬、息を飲むほどの苦しさが鈍く胸に走って神楽は呻いた。
その内銀時の両の手が左右の乳房を包むように添えられ、神楽の胸を上下に揺らしながら空いた親指でその乳首を攻めはじめた。
神楽は荒く息をつきながらも、喘ぎ声を漏らしてしまいそうになるのに耐えた。
指の腹が立ち上がってきたピンクの乳首を緩急をつけて擦り、いくら声を上げまいと我慢しても、今度は熱く、濡れた舌の感触までしてきて、神楽は身体の奥から熱くなって行く気がして来た。
「っん…あぁ…っ」
堪える神楽の唇から漏れる声がわずかに艶を帯びてきて、銀時は口の端を釣り上げた。
ここまできたら、もう神楽はあっさりと快感に屈する。
更に舌で小さな胸の突起を押し潰したり吸ったりしながら、その腰を上下に撫でさする。
ハリのあるみずみずしい肌が掌に心地よく、更に力を入れていくと、銀時の掌は神楽の身体に沈んで、神楽は深く息をするたび銀時の熱さやその手の大きさを感じざるを得なかった。いや、やめて…と繰り返す神楽が瞬間、震える。銀時の指が下の方に降りてきた。
「やっ…やめ…やめてヨ…」
少女らしい恋心を知る前に無理矢理男を教えられた身体は既に反応していて、骨ばった指が愛液をかきわけ膣口に触れてくるのを感じた。
なんで…私…もういやヨ…
自分の身体の浅ましさに、神楽は唇を噛んだ。
「…神楽ア…気持ち良いんだろ?」
神楽の脚を開かせ、そこに沈ませた指を抜き挿しすると神楽の膣から愛液が溢れる。狭い入り口に無理に入れられそこが擦られる度に、小さな身体が揺れた。
「そういやお前…俺のガキが欲しいんだっけ…?」
神楽のなかに指を沈めたまま、銀時が神楽にのしかかりその柔らかな頬をべろりと舐める。
「な…ちが…んんっ…」
そんな、そんなつもりで言ってたんじゃないヨ…
こないだの赤ん坊の事ならそこまで考えて…銀時と自分の子供なんてものを想像した訳では決してなかった。
幼い神楽にとっては子供なんて到底現実味を帯びない。
否定しようとしても唇に唇で噛みつかれ、逃れようと息をする度銀時の指は神楽の一番いい所を擦ってくる。
指の動きを早められると呼吸に、目の前の男を悦ばせる響きが混ざるのがわかった。
「はぁ…ん…あん…っ…やあ…やだ…ぁ…」
「可愛くねえんだよ。素直じゃねえなあ…」
神楽の唇を開放してやると銀時は神楽を見下ろしクッと笑った。
「っ…ん…」
音を立てながら神楽の膣を弄っていた指を抜きとると銀時はぬらぬらと光り滴り続けていた愛液を舐めとった。
「っとにお前は可愛くねえな…生意気だしよ」
先程迄仰向けにさせられていた神楽は、その身体を銀時の前に晒すのが恥ずかしいのか横を向いて、裸の自分を抱きかかえるようにして小さくなっている。
視線は決して銀時と合わせようとはしない。大きな瞳の端にきらきら光る涙を僅かに浮かべて、息を殺している。
本当に、幼い少女なのだと思う。弱々しい小さな白い兎そのものだった。可愛い神楽。
今の神楽の頭の中は、こんな銀時は嫌いだと…いつもと違う銀時なんて銀時じゃないと、もう自分の事で一杯だろう。
銀時が無言で神楽の脚の間に頭を埋めると、神楽はその細い腕で顔を覆った。
いや、いや…ぁ…
銀時は指を神楽の入り口に添えて少し開くと、そこに舌を割りこませ愛液を舌で掻き出したり、唇をきつく押し当て吸いあげたりする。
感じやすく濡れやすい神楽のそこは刺激を受ける度に水音を立てた。
指の腹で反応してきたクリトリスを嬲りながら何度も割れ目を舐めあげられる。
「ふ、ふぁあんっ…やぁっ…あぁんっ」
止めどなく溢れる愛液と銀時の唾液にまみれて、そこがもうぐちゃぐちゃになってしまっている。
神楽はこれからどうされて、またどんな風に乱れてしまうか、よく分かっていた。
何度も何度も繰り返し、身体に教え込まれてきた。
幼い身体にこの行為が辛くて、幾らやめてと懇願しても、銀時はやめてくれた事なんてなかった。
今はもう気持ち良くて仕方なくて、舌や唇の濡れた感触の合間に吹きかけられる熱い吐息にすら、神楽は感じてしまう。
どうせやめてくれないなら、この快感にとことん身を任せてしまえばいいと理性も吹き飛ばされそうになる。
「っ…神楽ぁ…」
神楽の溶けかけた意識が、突然自分のなかに分け入ってくるものによって引き戻される。
「んうっ…」
小さな身体に大人の男のものがやはりキツくて、更に脚を広げられる。銀時のペニスが内に内にと内襞を掻き分け突き挿してくる。
「はー……はぁ…っぁ、ぁんっ…ぁあっ!ぁあん!」
馴らす間もなく律動が始まり、神楽はぎゅっと目を閉じた。
銀時は神楽にのしかかると、その所在なげな細い腕をとって自分の首に絡ませる。
神楽が自ら、自分に腕を回してくれたら、と一瞬思う。この少女も、いずれ自分を抱く男に微笑みかけるようになるのだろうか。
「あんっあっ!あぁっ!っはぁ…!」
もとから狭い神楽の内壁が、擦りあげてやる度にきつく締まってくる。
更に腰を早く動かし、小さな身体が壊れてしまいそうな位に奥まで突きまくる。
愛液を飛び散らせながら互いの身体がぶつかる音がしてくる。
銀時が動くのに釣られて神楽の身体も激しく揺さぶられた。
「っあ!あはぁっ!銀ちゃっ…!ぁんっ」
神楽の首筋に熱い息を吹きかけながら喘ぎ声を聞く。いつのまにか、背中の小さな手がわずかに爪を立てていた。
「いいぜぇ神楽…たまんねーよ……」
部屋に響くぐちゅぐちゅいう音に混じって、うわ言のようにか細く名前を呼ばれる。
もっともっと聞いていたい。
もっと困らせてやりたい。神楽の頭の中も、身体の中も、自分でもう一杯になってしまえばいい。
「ふぁっ…ぁッ!ぁあんっ!銀ちゃ…銀ちゃぁっ…!」
白い首を仰け反らせる神楽をしっかり抱きしめ離れないようにすると、銀時は大きく突き入れる。
「…っう、神楽ぁッ」
そのまま銀時は欲望を吐き出し、小さな身体の奥を白濁で満たしていった。
しばらく神楽の中に入れたままでいて、身体を起こしてゆっくりペニスを引き抜くと、神楽の膣から白い糸が引いて、白濁が少し溢れてくる。
銀時は征服感に口許を歪めた。
ぐったりとして息を整えている神楽の、紅潮した頬を小突く。温かくて、柔らかい頬。
「…何か言えよ。コラ」
神楽は一瞬銀時を睨みつけると、ふい、と横を向いてしまう。
銀時が大げさにため息をつくと、小さな声がしてきた。
「…なんで……」
その声に、銀時は神楽の背中に目を遣る。
「なんで…待っててくれなかったアルか……」
神楽の言葉はそれ以上続かない。銀時は隣に仰向けに寝転がった。
いつだか、言われた事があった。
銀ちゃんは、私の地球でのお父さんみたいネ、と。
何だよそれ。気持ち悪ィ、ふざけんな、と嫌悪を込めて言い返してやると、神楽は一瞬、複雑な表情を見せたのだった。
この時程神楽が可愛くないと思った事はなかった。
無邪気な笑顔が憎たらしいと思った事も。
ふざけんなよ…俺ァ、お前の事そんな風に思った事はねぇんだよ…
このまま、神楽が大人になるのを、すぐ隣で父親面して見ていろと言うのだろうか。
神楽に無理矢理、こんなことをしたい訳ではなかった。
けれどもそういう意味での好意なんて辛いだけだとその時初めて気づいたのだった。
銀時は神楽の方を向いて身体の下に腕を回し、無理矢理引き寄せる。相変わらずそっぽを向いたままの神楽を力を入れて抱きしめると、その甘い香りのする髪に顔を埋める。小さな肩もすっぽり腕の中に収まって、温かさや柔らかさに、またたまらない気持ちになった。