「銀ちゃんなんてもう知らないアル!」
ばたばたと大きな足音を立てて、神楽は万事屋を出てきてしまった。目じりからぽろぽろと
涙を流しながら日も暮れた歌舞伎町を走り抜けていく。
はぁはぁと苦しそうに息を吐きながら走る神楽には、前も見えていなかったのか、通りの
曲がり角で誰かとぶつかってしまう。
「……!」
「大丈夫か?」
ぶつかった衝撃で尻餅をついてしまった神楽に手を伸ばしたのは、よく知った男だった。
ふわりと煙草の匂いが神楽の鼻を掠める。その匂いに一瞬顔をしかめて見上げると、そこに
いたのは真選組副長、土方だった。
「お前……」
土方のほうも泣きはらした神楽に驚いたのか少し目を見開いたが、すぐに神楽の手をとって
立ち上がらせる。神楽もそれに素直に立ち上がり、こぼれる涙を拭う。
「泣いてたのか?」
「泣いてなんて無いアル」
頬を膨らませて土方を睨む神楽を見て、土方は一瞬可愛いと思ってしまった。いつも憎まれ口を
叩く彼女でも、幼い子供らしい面があるのだと改めて思う。
いつもこうしていればいいのに、と思いつつも、土方は神楽に泣いていた理由を問うた。
けれど神楽は押し黙り、目をそらしてしまう。ここでは話したくないのかと勝手に思い、
とりあえず万事屋に送っていこうと神楽の手を引き、来た道を戻るが、その隊服の裾を片方の手で
握られてしまう。土方は後ろから引っ張られる感覚に足を止めると、神楽が気まずそうに佇んで
いた。
「……家に帰りたくないヨ」
頑なに家に帰ることを拒む神楽に、土方はどう対応していいのか分からず、一旦神楽を屯所で
保護することにした。もうすっかり日も暮れて、辺りも暗くなっている。少し肌寒い風が吹く中、
少女を放ってはおけない。
屯所に行くか? と問えば神楽は素直に土方に着いてきた。どうやら屯所へ行く分にはなんら
問題はないようだ。大きな橋を渡った離れのほうに屯所はある。
門をくぐって山崎が迎える。その山崎に茶を頼んで、土方は神楽を副長室に迎え入れる。
山崎が茶を持ってきた後、二人の間には静寂が漂っていた。未だ涙目で俯く神楽に、土方は
かけてやる言葉が見つからない。昔から、土方は女子供が宥めるのが苦手だ。
気まずそうに煙草を吹かして必死に言葉を探す。そしてようやく発した言葉はその理由を問うもの
だった。
「……どうして泣いてたんだ?」
その言葉に、神楽は一瞬間を置いたあとそっと口を開いた。声が震えているんじゃないかとも
思ったが、意外としっかりした声で神楽は話し始めた。
「銀ちゃんと喧嘩しちゃったアル。それで私出てきたネ、銀ちゃんが私の酢昆布食べたアルヨ」
「そんなくだらねぇことで……」
「くだらなくないヨ! 私の最後の酢昆布だったネ」
土方の言葉を遮って神楽は声を上げる。それに土方も分かった分かった、と宥めると、ぴたりと
神楽はおとなしくなった。それと同時に神楽の腹が悲鳴をあげる。
「あ、」
「腹へってんのか」
ちょっと待ってろ、と言って土方が脱いでおいてあった上着を漁る。そこから取り出したのは
一粒の飴玉。見回り中に顔見知りの定食屋の親父からもらったものだ。
「ほらよ」
そう言って飴玉を投げ渡す。上手く受け取った神楽がその両手を開いてみると、赤い大きな飴玉が
ある。それを嬉しそうに摘んで包みをあける。美味しそうに口にした神楽を見て、思わず土方の
口元にも笑みがこぼれた。
「お前いいところあるネ。私丁度お腹すいてたアル」
「そいつァ良かった」
「この飴中々美味しいネ」
口の中でころころと飴玉を転がす神楽は、とても美味しそうに満面の笑みを浮かべている。あとで
山崎に夕食でも持ってこさせようと思っていた土方だったが、いつのまにか再び隊服を漁って飴玉を
探す自分がいた。
「本当美味そうに食うな。……俺にもくれよ」
冗談交じりに言った土方だったが、その言葉に神楽が身を乗り出して土方に迫る。突然のことに
土方も対応できず、そのまま唇が触れた。
驚きに声を出そうと僅かに口を開く。そこに素早く舌を侵入されて、口内を蹂躙される。
少女の唇はもちろん、その舌も熱を持ったように熱く、自らの口内が蕩けてしまいそうだった。
唇が離れた瞬間、土方の口内に甘い香りが広がった。舌で溶けるその塊は、先程まで神楽の
口内にあった飴玉。どうやら神楽が土方の口に移したらしい。
「まだもう一個あるからお前にやるヨ」
「元はといえば俺がやったんだろ」
そう言いながら土方は飴玉を受け取った。無邪気に笑う神楽に土方の口元にも思わず笑みが
浮かんだ。そこに再び神楽の顔が近づいた。
双方の瞼を閉じた神楽の温かい舌が土方の唇をなぞる。甘い、と呟いて微笑む神楽に、今度は
土方から啄ばむようなキスを仕掛けた。神楽の小さい、形の良い唇が、土方の唇に挟まれて
吸い付く。
すると白く色を無くしていた神楽の唇は鮮やかな桃色に染まる。潤んだ唇がまるで土方を誘って
いるようで、土方は何度も何度も神楽に口づける。拒絶するつもりもないのか、神楽も土方の
口付けを従順に受け入れ、唇が離されると同時に口を開いた。
「……私、お前嫌いじゃないネ」
その言葉にどういった意図があるのかは定かではないが、そう言って土方の耳たぶを甘噛みした
のが合図だった。
土方が神楽を押し倒し、その時肌蹴た白い胸元に吸い付く。
まるで真珠を溶かしたかのようなまっさらな肌に、鮮やかな朱が映えた。早急に衣服を剥ぎ取ると
まだ成長途中の小さな膨らみが露わになった。形のいい丸みを帯びたその胸の双方には小さな蕾が
芽を出していた。綺麗なサーモンピンクの乳首は、土方に触って欲しいと懇願するように硬く尖って
いる。畳の感触が心地悪かったのか、神楽が軽く身じろぎするとその胸も軽く上下した。土方が
それを包み込むように手を添え、やわやわと揉みしだいてやると、神楽はくすぐったいのか、口元に
弧を描く。それは少女特有の幼さの残る笑みだったが、確実に土方を引き寄せる瞳だった。
そしてその芽を摘み取るように軽く摘んで引っ張ってみる。少し痛かったのか、神楽は眉間に
皺を寄せるが、摘む力を弱めてみると、軽く開いた唇から吐息が漏れる。
「っ、あ……」
声が漏れたところで、土方が神楽の乳首に爪を立てた。その瞬間、神楽の身体がびくりと震えて
甲高い声をあげる。じくじくと熱く疼く乳首を早く土方に慰めてもらいたくて、痛みで涙を浮かべた
瞳で土方を見つめた。
それに気がついた土方が神楽の胸の飾りにそっと舌を這わした。ねっとりと舐めあげると、神楽は
甘い声をあげて喘ぐ。先端を突付いて吸い付いてやれば神楽の背筋が弓のように撓る。
「あっふぁ、ぁ……っ」
必死に畳に爪を立てていた神楽が、その快楽に耐え切れず土方の背中を抱く。背中に爪を立てら
れて痛みを感じるはずなのに、この少女に縋りつかれて優越感に浸る自分がいた。
もっと、もっとこの少女をめちゃくちゃにしてやりたい。
そんな加虐心が土方の心に芽生える。その乳首を弄りながら骨張った手は神楽の細い腰を辿り、
下肢にたどり着く。下着と共にその着衣を引き抜けば、少女のか細い肢体が目に入る。
まだ発達途中のその身体は、同い年の少女達よりも強い色香を放っているように見え、少女が
性を知ってしまっているのを感じる。相手はおそらくあの銀髪だろうか。
普段外気に晒すことの無い内股は、なぞると柔らかくて皮膚も薄い。青白いその足は、愛撫の所為か
少々火照って赤く染まっている。
ふと土方は顔をあげて神楽を見つめた。与えられる快楽にきっと瞳を濡らしているだろうと期待
して。
すると神楽は案の定、気持ち良さそうな笑みを浮かべて土方を見つめていた。
「私が誘ったアル。もう我慢できないヨ……土方」
初めて名前を呼ばれて土方は驚きに目を見開いた。神楽はそんな土方のつむじに軽くキスを落とし、
自ら足を開いて土方を誘う。それに引き寄せられるように土方は、神楽の濡れた秘所に口付けた。
愛液を全て舐め取るように丹念に愛撫していく。膣口を舌でつつくと、神楽は甲高い声をあげる。
そして赤くぷっくりと膨れ上がったクリトリスを強く吸ってやれば、神楽は背筋を仰け反らせて
喘いだ。
「っあ……いや……っは、あっあぁ……」
喘ぎ乱れる姿は、とても少女のようには思えない、まるで娼婦のようだった。普段とのギャップに
土方は少し感心していた。そしてそれを楽しむかのように神楽を攻め立てる。涙を浮かべた瞳で、
早く入れて欲しいと言わんばかりに懇願している。
土方ももう我慢の限界だったらしく、神楽の身体が二つに折れ曲がるほど足を開いて、自身の
雄雄しい性器を神楽に突き入れた。
思ったよりもすんなり挿入されていく性器。だが、神楽はそれでも苦しいのか、肩を大きく上下
させて呼吸をしている。汗ばんだ額を拭ってやりながら、土方はどんどん奥へと進んでいく。
「ひぁ……っ苦しいヨ……あ、はぁっあっ」
折れ曲がる柔軟な身体でも、その体勢はかなり辛い。土方は苦しそうな神楽を見て、神楽の足を
己の肩に預けると、歩くような速さで律動を開始する。膣内を大きな質量が行き来する。逃げる
神楽の腰を掴んで、土方は律動を早めた。そして膣内のある一点を擦れば、神楽が大きく反応した。
「やっああぁ……っひっ」
「ここか……」
神楽が最も感じる個所を発見した土方が、そこを執拗に擦りあげてくる。強い快感に、神楽は
土方の背に必死にしがみついている。
「っあ――っ」
土方が最奥を突くと、神楽は一際大きな声をあげて達する。その時の強い締め付けによって、
土方も神楽の中で射精してしまった。
荒い呼吸を整えながら、土方は萎えた性器を引き抜く。すると、神楽の膣口からは止め処なく射精
された精液が漏れ出てくる。それを丁寧にふき取ってやりながら土方はふと神楽に目をやった。
神楽は疲れきって眠っているようだ。それにしても、この少女の感度は並の女以上だった。それとも
彼女が天人だからだろうか、と土方はふと思う。
そこらに散らかった衣服を纏めて置くと、先程神楽にやった飴玉の包みが舞う。
それを拾い上げてみてみると、そこには天人製の媚薬成分が入っている、と表示されていた。
神楽はそれを食べてしまったがために、こんなに乱れてしまったのだと、土方は納得した。そして、
何も知らない少女には申し訳ないことをしたと思う。そんな罪悪感が土方の心を支配するが、少女が
誘ってきたのだと、勝手に自分を納得させて、眠る神楽をおぶさった。
これから万事屋に引渡しに行くのだ。いつまでもこんな男所帯の真選組に置いておくわけにも
いかない。
少し名残惜しい気もしたが、仕方が無い。
できたらまたこの少女と身体を交わしてみたい、そんな気持ちを押しとどめて、土方は屯所の
門を出た。
END