銀ちゃんは今日も帰ってこない。
まるで帰ってこないパピーを待ってるみたいアル。
最初から期待などしてはいない。が、孤独が和らぐこともない。
「もう置いてかれるのはこりごりネ。」
そう言って布団に倒れ込むとほのかに銀時の匂いがした。
少し汗臭いけれど甘い綿菓子のようなその匂いを神楽は思い切り吸い込んだ。
「銀ちゃんの匂い…。」
薄い毛布にくるまっているとまるで銀時の腕に抱かれているような錯覚を覚える。
「これなら寂しくないネ。」
銀ちゃんまたどこぞの女と合併してるアルか。
神楽が「合併」の意味を知ったのは最近のことではない。
それは男と女が交わること。
神楽にとってその行為は低俗で卑猥なこと、子供の自分とは関係のないことに過ぎなかったが、
銀時が自分の知らないところでそのような行為を重ねていることを知ってからというもの、
一人の夜を迎える度に身体の奥を小さな虫が這いずり回るようになった。
それは銀時もやはり男だったのだという失望や嫌悪感からくるものではない。
初めて銀時を男として見たのはいつだったか。
だが所詮13、4の小娘だ。一回り以上も年上の男が欲情するわけがない。
察しの良い神楽にはそんなことは当の昔に分かっていた。
それでも少女はどうにかして男の愛を手に入れかったのだ。
たとえそれがどんな形であったとしても。
たとえそれが一時しのぎでしかないと分かっていても。
神楽にとって庇護されるべき「子供」として接することだけが銀時の愛を手に入れるための唯一の手段だっだ。
「女」としての自分はきっと銀時には受け入れられないのは分かっていたし、
一度「女」の部分を見せてしまえばきっと壁が出来る。
「保護者」と「子供」の間にはない、「男」と「女」の壁が自分をまた孤独の淵に追いやってしまうのだ。
もし女として銀時を求めたとき−それは十中八九ありえないことだが−銀時が自分を受け入れたとしても
こんな幼い身体で銀時を繋ぎ止めることなんてできるはずがない。
そう無理矢理自分を納得させて、今はこの状況に甘んじているのだが、
一人の夜を過ごす度に、「子供」である自分の知らない銀時がどんどん大きくなっていくような気がしていた。
本当は独り占めしたいのにそれが出来ない。
「早く大人になりたいアル」
神楽は早く銀時が認めてくれる「女」になりたかった。
そしたら銀ちゃんずっと一緒にいてくれるアル。そしたらもうこんな寂しい思いしなくて済むネ。
大人になるだけで、愛する男を繋ぎ止めることが可能になるというのはそれこそ「子供」じみた考え方かもしれない。
しかし、大人の「女」になることが、この状況から一歩踏み出す必要条件なのだ。
でもネ、銀ちゃん。私、銀ちゃんが思ってるほど子供じゃないのヨ?
「…あんっ…。」
身体に纏わり付く銀時の匂い、それはまさに媚薬だった。
寝間着のズボンに手を突っ込み、下着の上から割れ目に沿って中指を這わせる。
陰核が下着に擦れて堪らなく気持ち良い。
何度も何度もその行為を繰り返しているうちに、下着に愛液が滲み出していた。
「あふぅ…ん…。」
我慢出来ずにズボンごと下着を脱ぎ捨て下半身裸になった。
そして足を大きくM字に開くと、神楽の女の部分が外気に晒される。
そこはすでに愛液に塗れていて、神楽が呼吸するたびに滴り落ちていた。
「…ふぅ…ん…銀ちゃ…っ。」
いつも自慰に耽るときは目の前に銀時を思い浮かべる。
幻想の銀時に組み敷かれ、自分のあられもない姿を見られていると思うと羞恥と興奮で快楽が一気に押し寄せてくるのだ。
指先でそっと肉の芽に触れてみると、下着一枚隔てての刺激で既に充血して大きくなっている。
「んん…っ…。」
指に絡んだ愛液を肉の芽にこすりつける度に、身体中に電流が走った。
びくびくと身体を震わせ、快感を求めるその姿はとても「子供」には見えない。
「銀ちゃぁん…入れてぇ…?」
普段は出さないような猫撫で声で「銀時」におねだりをする。
左手の人差し指と中指で陰唇を広げて、腰を上下させた。
あらわになった入り口はもう既にいつ雄を迎え入れてもおかしくないほど甘く熟していた。
くちゅりと音を立て右手の中指と薬指を奥へ進める。とは言っても第2関節までが精一杯なのだが。
「銀ちゃん…私のココ…熱いでショ?」
「銀時」を迎え入れた神楽は潤んだ目で微笑んだ。
大好きヨ、銀ちゃん。
「はぁぁん…もぉ…いくぅ…んんっっ!」
そのままゆっくりと指を動かすと程なく達してしまった。
こんな姿を銀時が見たら何と思うだろうか。
生娘のくせに手淫するような女は嫌だと幻滅されてしまうのだろうか。
怖い。
たとえ庇護からくる愛であっても失うのは怖い。
しかしそれだけではもう満足できない自分がいる。
「一体いつまで子供のままでいればいいアルか…?」
終わり