「銀ちゃん…銀楽くん可愛かったアルネ」  
その言葉に銀時が神楽の寝巻きの釦を外す手を一瞬だけ止める。  
気がついたら神楽が押し入れで寝るのなんてたまに新八が来た時位で、それ以外は神楽は銀時の布団で、銀時に抱かれて眠るようになっていた。  
「ん、そーだな」  
「髪もほっぺもふわふわしててほんと可愛かったアル…んんっ…」  
唇を塞いでやっても神楽は何だかうわの空で赤ん坊の事を語るのをやめようとしない。たった数時間一緒にいただけなのに、あの赤ん坊は神楽にかなり強烈な印象を残したようだった。  
「銀楽くん、絶対私の抱っこが一番うれしそうだったヨ!」  
「俺には皆に騒がれて迷惑そうに見えたけどなあ」  
「そんな事ないアルヨお。…ね、銀ちゃん」  
神楽は釦を外す銀時の腕にそっと手を添えた。  
「あのネ銀ちゃん…」  
「何だよ」  
「あのネ…中で、出してほしいアル…」  
「っえ?」  
神楽がちょっと躊躇いながら言う。  
「...私...銀ちゃんの赤ちゃん欲しいアル…」  
「なっ…」  
神楽の言葉に赤面してしまい、銀時が思わず掌で口元を覆う。  
「お前ッ意味分かって言ってんのかよッ!?」  
「分かってるヨ。銀ちゃん…」  
恥ずかしそうな、潤んだ瞳に見上げられる。  
「お願いアル」  
「おまっ!駄目に決まってんだろが!」  
銀時は布団に寝転がって神楽に背を向けた。  
 
ばっかやろ…お前おれがどんだけ我慢してんのか分かってんのかよ…  
 
いつのまにやら、いつもくっついて来て、自分を誰より好いて慕ってくれる神楽が可愛くて仕方なくなってしまった。  
自惚れる訳じゃないけど神楽は自分の事が大好きだ。自分の言う事なら何だって受け入れてしまうだろう。  
それでも欲望の赴くままにしてしまわないのは、それだけ神楽を大事に思っているからだった。  
そうやって我慢してる事を、こいつは絶対知らない。  
「...お前っつーデカいガキがいんのに、んなことできる訳ねーだろ」  
神楽に背を向けたまま銀時が言った。振り向いてあの表情を見たら、絶対理性なんて吹き飛ぶ。誘惑に負けてしまう。  
「銀ちゃん…」  
名前を呼ばれる声にすら心がぐらついてしまうのをひたすら耐える。  
枕か拳でも飛んでくるだろうか。  
けれども枕も拳も飛んでこなかった。  
寝転がった銀時の肩に、温かく、柔らかいものが押しつけられる。一度だけでなく、何度も。それが何なのかなんてすぐわかる。甘い感触がする、神楽の唇だった。  
相変わらず背を向けたままの銀時の背を優しく撫でながら、その肩や腕に唇を落とす。   
銀時が腕を頭の下で組んだまま仰向けになる。  
そのまま横目で神楽の肩から脱がせかけの寝巻がひらり、と落とされ次いでやはり銀時がいつも脱がせてやる下着まで小さな手でそろそろと降ろすのを眺める。         
「銀ちゃん」      
神楽は仰向けのままの銀時の首に顔を寄せた。  
そのまままた先程と同じように口付けして、舌先を押しあてゆっくりと舐め上げる。  
いつも銀時がしてやっているように。  
桜色の髪や微かな吐息がたまらなくくすぐったい。ずっとされていたいような気持ちよさ。  
神楽が銀時の身体じゅうに口づけていくとその小さな、でも柔らかな乳房とそのピンク色の乳首が触れる。  
無意識のうちに銀時は口付けを繰り返す神楽の髪や背中を撫でていた。  
「銀ちゃん...お願い」  
神楽は下にずらして行った手で銀時自身に触れる。先端をつうっ...と指でなぞってみたり、掌でそっとつかんでみたり。  
「神楽」  
体が反応し始めて、声が上擦ってしまったのを勘づかれただろうか。  
子供だ子供だと思っていたのに。  
 
一体何処でこんなおねだりなんて覚えてくんだよ...  
 
こんな風にねだられたらたまったもんじゃない。我慢できる訳がなかった。  
 
あーもう...知らねえからな!         
 
「あっ!銀ちゃっ…!んん、ふ、んんっ!」  
銀時はいきなり上体を起こすと神楽を無理矢理押し倒した。驚く間も与えず、深く口付ける。      
「は…!ん、ふ…」    
唇の間から舌を割り入れ、息を継ぐ間も惜しく激しく口内を舐めまわす。    
掌を押しあてて呼吸に揺れる胸を揉みしだいた。          
「んっ…銀ちゃあ…」  
ちょっと鼻にかかった声。神楽のこんな甘い声を聞けるのは銀時だけの特権だった。    
「...神楽ぁ、お返ししてやるよ」        
「…っ!あぁん…!」  
神楽の唇から引き抜いた舌でそのまま首筋から鎖骨に向かってべろりと舐める。  
舌が通った唾液の筋が途端にひんやりして、神楽がぴくん、と肩を震わせた。  
真っ白な胸元に唇を寄せ、紅い跡をつける為にきつくきつく音をたてて吸ってやる。  
「あんっ、あっあっ…!やぁん…っはぁ...」  
神楽の嬌声と銀時の唇が胸を吸う音が響く。  
胸許を吸われる度にくすぐったそうな神楽が膝を摺り合わせる。銀時は神楽の腹を撫でると閉じた太股に無理矢理指を割り込ませ、秘裂に指を沿わせ何度もそこをなぞってやる。  
「あっ、あっあん...」  
快感がじわじわとせり上がってきて、神楽が小さく喘ぎながら腰を浮かせた。  
固くなってきた乳首を唇で挟んで摘みあげてやったり、舌で押しつぶしたりして唾液を絡めながら秘核も沿わせた指で擦ったりぐりぐり押してやると、神楽の声が一段と高くなるがその手の動きは緩めてやらない。  
 
与えられた快感に、愛液が溢れて銀時の指先を濡らす。  
濡れた指先はぬるりと膣内に滑り込んだ。指を抜き差しするのと秘核を擦ってやるのを交互に繰り返してやると自然とくちゅ、にちゅ...と愛液が音を立て神楽がひくん、ひくんと身体を震わせる。  
目を閉じて、達してしまいそうになりながらも止まない刺激に耐えた。  
「あう...ふっぁんッ...!銀ちゃん...はあぁっ...!」  
早くなる息に自分の名前を呼ぶ声が混ざる。  
「ふあっ...我慢できないヨお...銀ちゃあ...」  
神楽が閉じていた瞳を開く。  
「お願い...」  
いつも血色のいい頬が更に紅くなって、長い睫毛が潤んだ瞳に艶やかな影を落としている。  
子供だ子供だと思っていたのに、この表情。  
 
我慢できねえのなんてこっちの方だよ、神楽...。  
 
神楽の拙く幼い愛撫に身体が反応しきっていた。神楽なりに、一生懸命なのが伝わってきて、いじらしくて。  
今日はもう我慢なんてできない。早く神楽の中に入って思いきり抱きしめたい。そしてその身体の奥深くに自身の精を注ぎ込んでしまいたい。今まで抑えていた分まで。  
「っう、ああんっ!....」  
銀時が一気に腰を進めて自身を挿入すると、神楽が苦しげに喘いだ。  
ずぷぷ、ずちゅ、...と音を立て、絡みついてくる愛液と内襞を、自身が掻き分けていくのが分かる。  
神楽が銀時の背に回した腕でその背中をぎゅっと抱きしめる。  
 
「銀ちゃん...っ!」  
自身を内奥まで挿入すると、銀時は神楽に覆い被さり、たまらなく甘い匂いを立ち上らせる首筋に鼻先を寄せる。  
「神楽」  
しばらくそのまま神楽の膣内の温かさを確かめる。いつもキツいそこが今日は更に銀時を離すまいと締め付けを強くしているようだった。  
「...っ!あっ!....あぁんっ!ああんっ...!」  
銀時が腰を打ちつけ始めるとそれに合わせて神楽の身体も揺れる。ぎりぎりまで引き抜いて、思い切り突いてやると神楽の愛液  
が膣から溢れて結合部がどんどん濡れていく。  
「あんッ!ああっ!...は...ん、む、んう...は、はあっ....!」  
銀時が口づけしてやると神楽の喘ぎが一瞬途絶えて、酸素を求めた吐息に変わる。少し苦しそうな呼吸、でも腰を打ちつけながらのキスは止めてやらない。その内神楽の方から舌を絡め始めてきた。  
腰の辺りに加えて、口許からも唾液を絡ませた舌のぴちゃ、ぴちゃ...という水音が響く。  
互いの身体の間には一分の隙間もなくぴったりとくっつき、汗が肌の上で混ざりあう。  
「銀ちゃっ!…銀ちゃんっ!ああっ!あんッ!」  
神楽が頭をのけぞらせ白い喉が露わになる。とめどなく押し寄せ高まる快楽の波に意識がさらわれ、まともな言葉も紡げずただひたすら喘いで銀時の動きに合わせて腰を振る。  
神楽の中は温かく濡れて銀時自身をきゅうっと締めつけ、耳に響く狂おしく甘い喘ぎ声が理性を奪う。  
ただただ目の前の少女に快感を求めて全うな思考ができなくなっているのは銀時も同じだった。  
「…っ!神楽ッ…」   
もっともっと中に入っていたいけど感じ続けてきた快感に身体が限界だった。   
 
「あっ!…ッあああッ!銀ちゃあっ…ッ!」     
神楽がまた身体全体をのけぞらせて布団をぎゅうっと掴む。     
「…ッうっ…!」  
銀時は腰をまた激しく打ちつけた。ドクン、ドクンと脈打った陰茎が神楽の中を精液で満たしていくのが分かった。        「っぁ…!」     
その感触に茫然とした表情の神楽がかすかな声をあげる。荒い息に小さな胸が揺れていた。           
すぐに引き抜いてしまうのも惜しくて、銀時は神楽にそっと口付けてやると神楽が目蓋を伏せた。  
しばらく重なりあって抱き合い、乱れた吐息を僅かに紅潮した首筋に吹きかけてやる。  
「う...」  
自身をゆっくり神楽の身体から抜いてやると、神楽はその衝撃に小さく息を吐く。  
小さな身体に収まりきらなかった精液が、膣からとろとろと溢れ出していた。  
 
 
 
「銀ちゃん、腕枕して」  
「ん」         
銀時が腕を広げてやると、神楽が転がり込んでくる。  
「…銀ちゃん、私とっても嬉しかったアル、なんだか」  
神楽の肩までの髪がさらりと銀時の腕を撫で、次いで心地よい重さが加わる。  
「銀ちゃんといつもよりもっと近付けた気がしたヨ」        
神楽が銀時を見つめながら言った。      
「…ああ」       
神楽の言葉に銀時の顔に笑みが浮かぶ。    
 
めっちゃくちゃ嬉しかったのなんてこっちの方だっつの…  
 
「銀ちゃんの赤ちゃんが欲しい」なんて言われて。  
 
嬉しくない訳がなかった。       
 
「なあでも神楽、赤ちゃんつくんのはまだまだだぞ。可愛いからとかそーゆー理由で、安易に作るもんじゃねえんだし。大体、その前にやる事あんだろ」   
「え、何ネ」      
「…自分で考えろ」   
神楽のきょとんとした表情に銀時は何も言えなくなった。      
 
ったく普通は結婚すんのが先だろーがアアア!だからできちゃった結婚なんて爛れた考えがでてくんだっつの!  
 
けれども結婚なんて言葉照れ臭いし、うっかり口にだしたら早く銀ちゃんのお嫁さんになるアルとか騒ぎだしそうなのでとても言えない。          
「あ、分かったヨ。その前に私が大人になんなきゃネ!」      
神楽が合点がいったという感じでにっこりする。          
「…ん、まァそうだな。」          
「銀ちゃん、私楽しみにしてるアル」     
「…お前なア、自分で言った事忘れんなよ?」   
銀時は神楽の額を小突いた。微笑んだ神楽の表情があまりに可愛くて、つい不安がよぎり釘を刺してしまう。   
…折角大人になった時他の男に心変わりされちゃたまったもんじゃない。         
「早く大人になりたいアル…」        
疲れて眠たいのか、神楽が目を閉じたまま言った。         
「焦んなくていーんだよ、んな事は」     
神楽がまたうっすらと瞳を開く。       
「俺ァ、待っててやるからさ」        
「…うん」       
銀時の言葉に安心したのかまた目を閉じた神楽の口元に一瞬ふわっと笑みが浮かぶと、小さな寝息を立て始めた。           
 
―――俺の隣で、大人になってってくれよ。頼むから。  
 
子供だ子供だと思うけれど、他の男をどうしようもなくひきつけてしまうようになるのなんて実際、すぐだろう。  
普段ならとても面と向かって言えない本音を、神楽の寝顔に銀時は心の中で呟いた。  
 

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