「…ッ、はァ…」
唇を離した瞬間、私は空気を求めるように胸が大きく上下した。
唇の端からは、私のものかも勲さんのものかも分からない唾液が溢れる。
「妙、息しなかったの?」
勲さんが苦笑を浮かべながら、私の顎を伝う唾液を指で拭った。
「…どうやって…したらいいか…」
「はは…新八君のDVDには無かったんですか?」
「みんな普通にしてましたし…それにこんな…」
――気持ち良いと思わなかったです。
言いかけた言葉を慌てて飲み込む。
こんな事を言えば勲さんは調子に乗りそうだ。
彼と結婚を決める前、求愛を示す彼を何度も無碍にしてきた。
その頃からずっと、彼の前では素直になる事が出来ないのだ。
「こんな…何ですか?」
「何でもありません」
咄嗟に視線を逸らす。
変に思われたかしら?チラリと横目で視線を戻すと、勲さんの視線とぶつかった。
「な、何です?」
「あー…いや、ええと、今日は何でその格好なのかなァって」
「ダメでした?初めてのシリーズは大抵この格好でしたので…」
勲さんの視線が私の身体へ移る。
セーラー服のスカートの裾で視線が止まると、勲さんの喉が大きく上下した。
「…いや、すごく良いです」
「ふふ、勲さんったら変態なんですね」
身体を倒され、上に覆い被さるように勲さんが重なる。
「重くないですか?」
「大丈夫です」
「…本当に良いの?」
勲さんが私の顔を窺う。
何をそんなに不安がっているのかしら。
私が初めてだから?そう言えば初めての女の相手は面倒だって、お客さんが言ってた事があったわ。
「良いです。勲さんのバナナで私を…うぐ」
言い終わる前に手で口を塞がれる。
「一体どんなDVD見たんですか」
「ダメでした?」
「ダメです。ちょっと興奮するけど、女の子は軽々しくそんな事言っちゃダメ」
勲さんのDVDで見た筈なのに。
昼間、勲さんに内緒で見てしまったので、言い返す事は出来ないけれど。
「…でも、じゃあ、辛かったり痛かったら言って下さい」
「左手を挙げれば良いですか?」
「それは歯医者です。口頭で言ってくれると…」
「気持ち良かったらどうすれば良いですか?」
「それも口頭で言ってくれると…」
―とても喜びます。
少し照れながら言う勲さんにクスリと笑みを零す。
可愛いゴリラだわ。
触れるだけのキスをして、勲さんの背中に手を回した。
「…優しくしてくださいね?」
**** *** **** ***
「…ン、…」
妙からのキスを逃さず、何度も唇を重ねながらセーラー服の上から胸に触れる。
僅かな、でも柔らかい膨らみを揉むと、妙の身体がビクリと揺れた。