丹波鉄男は日本天使連盟送迎部第21班たんぽぽ組に所属している平天使である。  
珍しい非番の日、彼は同僚から借りていた猪木のDVDを自宅で寝転びながら鑑賞していた。  
年末は駆け込み死人が多いので忙しいため、束の間の休息と言える。  
試合がややマンネリを帯びてきたその時、携帯電話が鳴り響いた。  
(磯部じゃねぇだろうな……)  
同僚のフリー磯部には四万円借りているが、その金は既に競馬で大半すってしまっていた。  
催促されても、すぐには返せない。  
受信者を見てみるとたんぽぽ組班長・黒鉄美咲からだった。  
「……何だ、班長か」  
通話ボタンを押して鉄男は携帯を耳に当てた。  
「もしもし」  
「テツか……」  
受話器越しに聞こえる女性の声は、いつものはつらつとした調子ではなかった。  
「どうした。腹でも壊したのか?」  
「すぐワシの家ば来とくれ」  
「何があった? 必要なら救急車でも呼ぶが……」  
「事は一刻を争うけん……早う来……」  
電話はそこで途切れた。鉄男はどうも班長の事が気がかりなので  
安物の自転車をこぎながら彼女の住むアパートへと向かった。  
 
   #  #  #  
 
「遅いぞ、テツ……クソでもきばっとたんか……」  
玄関の扉を鉄男が開けると、黒鉄美咲は苦しげに喘いで床に倒れていた。  
鉄男はすぐに彼女の小さな体を運び、布団に横たわらせた。  
「風邪でも引いたのか」  
「風邪なんぞ引かん。これは……」  
美咲は汗ばんだ体のまま、ある時一人で当たった事件の事について説明した。  
二十人以上の女子供を山奥の小屋に監禁して調教の限りを尽くしていた悪漢がいた。  
日々休まず性欲処理を強いられていた女奴隷たちは相次いで土に返ると  
その深い洗脳によって自爆霊となり果てた。  
彼女らの調教成果は真にまで届いていて、全員死んだ後に  
新しい牝奴隷を探そうとしていた主人をすぐさま呪い殺し  
彼が霊となった後も成仏を許さず執拗に追い回して淫行の限りを尽くした。  
公序良俗のために男を天国地獄に連れていく奴が居れば、それが天使だろうが何だろうが襲いかかる  
凶悪極まりない彼女たちの処理を、連盟はたんぽぽ組へと押し付けた。  
美咲は相次ぐ駆け込み死人の処理に尽力してくれた班員たちに  
ささやかな休暇を与えたばかりだった。それにこの仕事は予想以上に手ごわくなると  
長年の勘で判断し、単身で女幽霊たちの蠢く魔巣へと赴いた。  
ベヨネッタとデビルメイクライをやり込み、MUSASHIと特捜戦隊デカレンジャーを  
好んで観賞している彼女は、魂魄廻禁銃を駆使したガンカタで大人数の女幽霊たちと渡り合った。  
当然洗脳された女たちが主人を成仏させるのを大人しく見ているはずはない。  
戦いは凄惨を極めたが、美咲は僅かな隙間を縫うようにして件の強姦魔の眉間に弾を打ち込んだ。  
それを見た彼女たちは、残った力を振り絞って捨て身で彼女に襲いかかった――。  
 
「……それから?」  
「一生の不覚じゃ……ワシは必死でほとんどの幽霊を強制成仏させたが  
 生き残った一人の女が背後からワシにとり憑きよった。  
 奴らは自我を失う覚悟でワシと同化して呪い殺そうとしたと」  
「しかし……万が一霊に乗り移られた時のために『薬』があるはずだろ」  
鉄男は言った。凶悪な霊に呪い殺されそうになった時のために  
幽霊との同化を抑える薬が天国には存在していた。  
それで症状を緩和し、後は適切な除霊を行えば本来彼女の話は済む話である。  
しかし、美咲は首を振った。  
「それがな、今時霊に呪われる天使なんてどこにもおらんゆうて  
 除霊してくれる先生が遠くにしかおらんのじゃ。  
 薬も品薄な上にここ数日で使い切ってしまったけん、動けなければどうにもならん。  
 連盟に頼んだが、在庫ないけん急いで作るゆうが、いつ届くもんかしれん」  
 
美咲は肩を竦めて首を左右に振った。  
班員の休みが重なった間に美咲がこんな危ない仕事を請け負った事は初耳だった。  
鉄男は彼女の気遣いも知らず休みを取った事を申し訳なく思った。  
「……。そんな事より、俺にどうしろと言うんだ?」  
「何、難しか事は言わん」  
布団を捲った美咲はその場で胸襟を開き、着物を脱いでいった。  
「なっ……何をっ!?」  
テツは思わず条件反射で目を袖で覆った。  
しかしそんな彼の前で、美咲は何事もなかったかのように幼乳を晒したまま話を続けた。  
「女幽霊たちは皆、一人の例外なく男に身体の隅々まで調教され、堕ちとった。  
 そのおなごば吸って同化した事でな、ワシの身体も変になりよった。  
 ……男を見ると、身体の芯が熱うなってたまらんのじゃ」  
「だったら俺を呼ばなかったら、いいじゃねえか!」  
「そうは行かん。何せこのおなごは男を求めちょるんじゃ。  
 さっきも言うたように抑制薬もない。このままじゃいずれ色に狂って  
 自我が乗っ取られるかもしれんのう……」  
「じゃあ、どうすればいいんだよ!」  
美咲は鉄男の手に自身の細指をつっと絡めた。  
その目は既に半分恍惚に囚われた女の目になっている。  
「この女の『業』を満足させる他にないじゃろ……」  
 
   #  #  #  
 
アパートの狭い部屋の中、鉄男は服を脱ぎ捨てて諸肌を異性に晒した。  
普段黒装束に隠れていたその体は適度に鍛えられていて、人相の悪い彼を逞しく健康的に魅せていた。  
そんな彼を美咲はニヤニヤした顔つきでまじまじと見ていた。  
「こげなべっぴんば抱けるとは、役得じゃな、テツ」  
「そんな平坦ムネで疚しい気持ちなんか起きねぇよ。  
 ……この忙しい中、無理して休みを入れてくれた班長に  
 少しは恩返ししねぇと寝覚めが悪い……それだけだ」  
「ふーん……相変わらず素直に喜べん男じゃな。ほれ、早よこっちも脱がせ」  
「自分で脱げばいいだろっ!」  
「ワシじゃのうて中の幽霊が求めちょるんじゃ」  
半脱ぎになっていた美咲の薄い着物を、鉄男は文句を垂れながら脱がせた。  
自分よりも年上とはいえ、外見は子供料金で電車に乗れる程度の童女である。  
そんな彼女の服を剥いでいくのは、正当な理由があったとしても  
泥のような罪悪感と背徳感が付きまとった。  
衣服を床に落とすと、ほとんど膨らみのない可愛らしい乳房と  
くびれのない童腰、そしてそれらとは不釣合いな程豊かに茂った春毛が目に映る。  
 
「ほらよ」  
「脱がして終わりという訳にもいかんじゃろ?」  
「とは言っても、いざとなると何し……」  
そこまで呟くと、鉄男は慌てて口に手をやって言葉を噤んだ。  
美咲の顔がやらしくにやけて歪んでいる。  
「……ああっ! くそっ! あんたの幽霊に何してもらいたいか聞けよ!」  
「ふふ……そうじゃのう。まずは軽くここば舐めてもらいたいそうじゃよ」  
美咲は自身の毛深い下腹部を指先で軽くトントンと叩いた。  
鉄男は彼女を仰向けに寝かせ、その小さくまとまった股に顔をうずめる。  
幼女然とした造りにもかかわらず、恥唇はしっかりと牝の薫りを放っていた。  
初めて嗅ぐ濃厚な牝香に、彼の愚息はいつになく勃隆を早める。  
「ちゅぴ……」  
膨らみの薄い恥丘の肉溝を左右に押し開いて、鉄男はおずおずと舌を差し出した。  
AVでしばしば前戯をスキップや早送りで飛ばす彼には、  
女を悦ばせるような口淫がどんなものか全く分からない。  
とりあえず舌で適当に肉色の花弁を舐め清めていった。  
上司の恥部を公認で弄んでいる事に彼は思わず興奮を覚え、自然と鼻息が荒いでいく。  
 
「テツ……お前、童貞じゃろ?」  
頭に注がれた美咲の言葉に、鉄男は淫水を喉に詰まらせてむせた。  
「隠そうとしても無駄じゃ。無難に徹した平凡な舌テクに比べて  
 異様に鼻息荒うしちょったらワシでのうても気づく。性欲が抑え切れとらん証拠じゃ」  
がさつな性格と丁寧な舌使いがかえって、美咲に違和感を起こしたらしい。  
「悪いかよっ! 仕事柄爺さん婆さんばかりを追っかけ回してんだから  
 出会いなんてあるはずがねえんだよ! 有給もめったに取れないしよぉ……!」  
「そこを青臭い情熱で工面しておなごの一人や二人パンパンとコマさんか。  
 そうして男は一人前になる、とおとんが言うとった」  
「おい! あんたのオヤジ、娘に何教えてんだよっ!」  
「ワシがテツくらいの年には、両手に余る位アバンチュールば楽しんだとに、見かけによらず草食系じゃのう……」  
「ただの尻軽じゃねえか! ……変な病気持っていたりしてねぇだろうな」  
「安心せい。身体の調子くらいしっかりやっとるわ。ほれっ、膣内(ナカ)を見てみぃ」  
美咲はその小さな手で蜜唇の内側を広げてみせた。  
先程まで男の舌で慰められていたその部位は  
外からかかった蜜唾と内から溢れた淫水とで、しっとりと濡れている。  
 
「ば、バカっ! 女の子がいきなりそんなもん見せびらかすんじゃねぇよっ!」  
鉄男はプライドから美咲のそれから顔を背ける。  
しかし一度見た柔らかそうな女の蜜穴が悩ましくひくついている様は  
目を瞑っても色濃く視床下部に焼きついてしまった。  
「さっきまで可愛い舌でペロペロと舐めとったくせに何を照れちょる?  
 ほんにおなごに免疫がないようじゃなぁテツ」  
何か言葉を返そうとする鉄男をひょいと転がし、美咲は彼を体の下に敷いた。  
ちょうど彼女の小尻に彼の肉幹がぴとと寄り添った。  
 
「仮性のわりに中々の大きさじゃ。これで小便と自家発電にしか使っとらんのは勿体無いのぅ」  
「ほっとけっ!」  
「ほれテツ、今からお前の童貞チンポを男にしてやるぞ」  
美咲は美尻を上下させ、もちもちとした尻肉で鉄男の雁高をこすり上げた。  
挑発的な仕草に彼の肉具は微かな律動をもって自然とその身を硬くしていく。  
「んーん、尻の谷間が火傷しそうじゃわい……」  
「あ……遊んでないで、早くしろ!」  
「急かすな、急かすな。ワシももう辛抱しきれんし本番にいく。  
 なぁに、こんだけ濡れとったらテツの無洗チンポでも痛とうはないじゃろ」  
美咲はにこりと笑って呆れている鉄男の肉槍を垂直に立てる。  
濡れそぼった秘唇を膨らんだ肉帽に宛がい、ゆっくりと腰を下ろす。  
太い肉根を彼女の愛尻が少しずつ頬張り、迎え入れていった。  
 
「んっ……ふぅぅ……!! 久々のナマチンポは効くのぅ……!」  
秘肉を熱く貫いた異性の肉杭を美咲は深呼吸をしてひしと感じた。  
桜色の口唇を小さく舌で舐め、彼女はゆっくりと尻腰を男の上で動かしていく。  
「んっ……! あっ……!! んくっ、……ふあぁっ、あはぁっ……!」  
「くっ……チンポが、肉ごと持っていかれるっ!?」  
熱い肉の交合が始まると、鉄男の顔からすぐに余裕が消えた。  
今までに味わった事のない、とろけるような甘い官能がそこにあった。  
「んふふっ……テツ、どうじゃ? おなごの牝肉にモノばしごかれる気分は?  
 一人寂しくこくセンズリとは訳が違うじゃろ?」  
腰下でただただヨガり悶えている鉄男を見下ろし、美咲は小悪魔のような笑みを浮かべていた。  
揺れる膨らみのない幼躯は、容赦なく雄を攻め立てて快美にうち震えている。  
更に彼女は腰にきついツイストを交えて貪欲に雄を挑発し、淫悦を搾り取った。  
「くっ……!! そんなに動くなって!」  
「おかしか事を言うのぅ……二人してマグロなってもうてはイクもんもいかんじゃろうな」  
「イったらマズいから言ってんだろうがっ! ゴム被せてねえんだぞっ、こっちはっ!」  
それを聞いて美咲は頬を膨らませて噴き出した。  
「ぷぷっ……! そげな事を気にしとったんか、テツのくせに。  
 ナカに射精しても構わんから、遠慮せんとイキたい時にイったらええ」  
「で、でもよぉ……ガキこさえちまったら、大変じゃねえか?」  
「心配ば無用じゃ。憑依されちょる間はワシの体であってワシの体でないけぇ。  
 除霊ば行えばそん時体の状態もリセットされけん、孕みはせん」  
 
「本当かよっ、それ!?」  
「ふふ……ワシはよう分かるぞ。このおなごはな、男に種付けをしてもらいたくて堪らんのじゃ。  
 おなごを満足させワシを救うために、テツの子種が必要なんじゃ……それ!」  
そう言うと美咲はか細い己の身体を鉄男の胸に倒して覆い被さる。  
平坦な胸に硬くなった可憐な乳突が身の丈以上の興奮を約束していた。  
彼女は腕も絡ませて胸と胸を更に密着させる。  
鼻がぶつかりそうな距離で彼女のつぶらな瞳は男を見つめた。  
「おなごを知らんかった坊やが遠慮するもんじゃなか。  
 この際じゃ、おなごに種付けする悦びをちぃとばかしその体に教えてやるけん」  
美咲は強引に鉄男の唇を奪って舐めた。乾燥でざらついた唇肌はどことなく男の味がする。  
キスを済ますと彼女はしがみついたまま、腰だけを大きく振り動かした。  
「んんっ……! くっ……っ、ああっ……! んうっ……テツのチンポ……チンポォ……っっ!」  
膣孔を穿っている逞しい淫茎を捏ねるようにして、美咲は幼尻を情熱的に乱れ揺らした。  
あまりに激しいその動きに、膣間より滴る蜜汁は白泡となり、結合部に淫靡な花を咲かせて散っていく。  
雄槍の根元の根元から、本気で白種を搾り出さんとする淫迎である。  
「くっ……!!」  
「んうう……っ、あっ、あはぁ……っ! いけん……チンポ気持ちいいっ!  
 気持ちの良いとこぉ、一杯こすってっ……はぁうぅ……っっ!」  
「は……班長ぉぉ……っ!」  
感極まった鉄男は美咲の柔らかな愛尻に無骨な指を食い込ませ、下からズンと突き上げた。  
「!……かはぁ……っっ!?」  
根元まで埋没しぬいた淫根は、そのまま美咲の出来上がった蜜壺の口をぐりっとえぐり叩いた。  
「いぎぃぃぃ……っっ!!」  
「で……出るうううぅぅ――っっ!」  
弛緩してぽっかりと開いた子宮口に、鉄男の豪根から大量に爆射された白淫が  
ビュルビュルゥゥと快音を響かせてなだれ込む。  
強かな肉色の律動を幾度も繰り返し、生命の苗床を青臭い雄種で襞の裏まで塗りたくった。  
夥しい射精を女の部位で受け止めきった美咲は、双眼から随喜の涙を流し  
鉄男の肩に十指の爪を立てて歯を食いしばったまま極楽を見た。  
「ふぅ……はぁ……はぁひ……」  
数十年ぶりに本気で快頂を体験した美咲は、冗談を言う余裕もなく少し一息つこうとした。  
しかし、快淫の妙に壊れた鉄男は体を翻し、そのまま彼女の体を荒々しく覆い被さった。  
そして、若さゆえに全く萎えていない性槍を再び膣門に姦挿し  
欲望の炎に炙られるまま淫突を繰り返した。  
「こっ、こらぁテツぅ!? もう……もう終いじゃ! いつまでサカって……んう……っっ!」  
美咲は彼を止めようとしたが、亡霊を屠る腕前はともかくとして男と女では単純に力では適わない。  
その上、男に重い体を押し付けられて思うように抜け出せないでいる。  
おまけに先程気を昇らせたがために、淫穴を突かれると体中が甘く痺れ  
理性が見る見るうちに小さくなっていくのだ。  
 
(いっ、いかん……! テツの奴、完全にイッてもうて……!)  
 
鉄男は肉欲剥き出しの淫突を執拗に女穴に味わせる。  
淫水と白精の混ざり合ったえもいわれぬ卑臭が、狭い部屋にムッと広がっていく。  
「はぁんっ……! ああっ、テツぅ……あはあぁ――っっ!!」  
猛突の末、鉄男は再び美咲の蜜膣へ肉欲の種をどっと解き放つ。  
一向に勢いの衰えない豊精ぶりには百戦錬磨の美咲も驚かんばかりである。  
蜜襞の蠢動が収まらないうちに鉄男は種元が尽き果てるまで淫姦し続けた。  
 
「はぁ……はぁ……」  
五時間にも及ぶ交歓の末にたどり着いた静寂の中、美咲は荒い桃息を立てる。  
肉茎の形にぽっかりと開いた膣口からは、淫熱のこもった黄色い種汁が後から後からトロトロと垂れていた。  
 
   #  #  #  
 
「おめでとう」  
「おめでとう」  
「おめでとう」  
「おめでとう」  
「おめでとう」  
「おめでとう」  
「おめでとう」  
「おめでとう」  
「おめでとう」  
「ありが……って、うるせぇぇぇっっ!!」  
 
拍手つきの祝福を受けた鉄男は、自分を囲んでいる各班員たちへ怒声を返した。  
 
「テツ、あんま大きな声ば立てんな。お腹の子に響くじゃろ」  
その輪の中へ、幼い身体に対してふっくらと膨らんだ下腹部を拵えた美咲が入ってきた。  
 
「思っくそ、孕んでるじゃねぇかぁぁっ!」  
鉄男は美咲の豊かな妊娠腹を指差して言った。  
「そうじゃ。膣内から溢れる程射精したんじゃ、孕むんは自然の摂理じゃろ」  
「除霊でお流れになる云々はどうなったんだよ!」  
美咲が説明するに、鉄男のマシンガンピストンが酷く心地良かったのか  
女幽霊は除霊を待たずに性交の途中で美咲の体を捨てて成仏したという。  
だが彼女が昇天した後も、肉欲に支配された鉄男は快夢の醒めるまで  
美咲の言う事も聞かずにその女陰へ精子を注ぎ込み続けた。妊娠した経緯はこのようなものである。  
「まあワシもそろそろ身ぃ固めんといかんし  
 テツならよぅ知っちょる間柄じゃし、尻に敷けそうじゃけー丁度ええわい」  
鉄男はさっきから同僚の男たちに冷やかされて頭を抱えていた。  
「凶犬のテツが嬢ちゃんを孕ませた時は驚いたよな」  
「AV貸し合っていたが、まさか美咲を孕ますとは……ロリコンならロリコンと言ってくれよ。  
 ハッチやクジラックスぐらい貸したのに」  
「ちげえぇっ!」  
「えっ。ひょっとしてテツは……うさくん派か?」  
「だからちっげぇぇぇ! あれは事故だ事故っ! 俺は別に班長の事なんかどうだって……っ!」  
あちこちで燃え立つ野次の炎を必死に鎮火しようと声を荒げる鉄男に美咲が寂しげな目を向けた。  
「……。のう、テツ。テツがそげに嫌ならワシだけで生むけー、構わんよ」  
「……!? そ、そんな事言ってねぇだろうっ! 俺の不始末くらい俺がっ……!」  
「まぁ、不始末で結婚する気なんて丹波さんデリカシーがないわね」  
「義務感丸出し……女の子の気持ちを何だと思ってるの!」  
今度は女の同僚たちから総スカンを食らってしまった。  
肝心の美咲は彼に背を向けてうなだれている。  
「あーあ、美咲ちゃんかわいそぉー」  
「あなた、最低です!」  
「あの子あれでいて結構純な所あるのにねぇ……すっかり傷つけちゃって」  
「……。じゃあ、どうしろって言うんだよ……」  
「さぁ、本人に聞いてみれば?」  
仲間たちに背中を押されて、鉄男はしょげ返っている美咲に謝った。  
その時、美咲が耳元でささやいた条件を聞いて鉄男は目を丸くする。  
「はぁっ!? こんな所でそんな事出来ると思っているのかよっ!?」  
「嫌ならええ……生まれてくる子には『おとんはホモ』と言うとくけー」  
「〜〜――っっ!! ああっ! くそぉっっ!!」  
鉄男は同僚たちが見守る中で、美咲をぎゅっと自分の胸に引き寄せて口付けした。  
口笛と冷やかしが飛ぶ中で彼は額に汗を掻き、頬を赤らめながら数秒間接吻を通した。  
「……きっちり十秒じゃったな?」  
「くっ、今までで一番長い十秒だったぜ……! 言っておくけどな、俺は大家族に憧れているから  
 一人だけじゃ絶対納得しないからな! 覚悟しておけっ!」  
「おう、安心せい。ワシは丈夫さには自信あるけー、なんぼでも生んだる。  
 その代わりたっぷり仕込み頼むぞテツ!」  
屈託のない眩しい笑顔を、美咲は伴侶の鉄男に向けた。  
 

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