その白い身をむつは銀時の眼の前に晒していた。
艶のある肌、かぐわしい芳香に思わず銀時の喉が鳴る。
これから目と鼻だけでなく、舌でもその身を味わえるのだ。
銀時はゆっくりと手を伸ばした…。
「あっ!」
箸を手に取った瞬間、横から切り身をかっさらわれる。
「神楽、テメー俺の西京漬け盗むんじゃねーよ!」
「ふぁふぁいふぁるふぃんふぁん、ふぉのふぉふぁふぁふふぃふふょふふょふふぇ
(甘いアル銀ちゃん、この世は弱肉強食ネ)」
一口で西京漬けを頬張った神楽が、はふはふと熱を冷ましながら勝ち誇ったように言い放つ。
「匂いを肴に晩酌なんてせこい事するからですよ」空いた食器を集めながら新八が
あきれて言った。「おかずはもう胡瓜の浅漬けしかありませんから、それで済ませてくださいね」
「俺の西京漬け…俺の銀むつ…」
なにやらブツブツと呟く銀時を尻目に、新八と神楽はさっさと食器を台所へ運ぶのであった。