すっかり日も暮れた歌舞伎町。土方はいつも羽織っている  
黒い隊服を肩から下げて大通りを歩いていた。  
 いつもの咥え煙草に、仕事の疲れが溜まっているのか、その足取りはとてもゆったりだ。  
 前日のテロ事件の件で心身ともに疲労が溜まっていた土方は前方から走ってくる少女に  
気がつくわけも無く、少女の肩と土方の腕とがぶつかり合った。  
 「……っ」  
 ぶつかった衝撃で尻餅をついてしまう少女。土方はぶつかってしまった少女に詫びると、  
その手を差し伸べる。  
 自分をじっと見つめる少女は、土方がとてもよく知る人物だった。  
 「お前…万事屋の……」  
 チャイナ娘じゃねぇか、と神楽を起こしながら土方は言った。けれど、どうもいつもと  
様子が違う。  
 よく見るとその瞳には涙が浮かんでおり、頬が赤らんでいる。何かあったのだろうか。  
 「いつもと様子が違うじゃねェか。何かあったのか?」  
 武装警察真選組といえど、困っている町民を助けるのは警察のモットーだ。それに  
見知った少女が泣いているのを見て放っておけるはずも無い。  
 ――それに、神楽のその表情に微かに動揺してしまった自分がいる。だからついつい、  
その少女に構ってしまうのだ。  
 「……銀ちゃん、さっちゃんと家でやらしいことしてたアル…もうあの家に居辛いヨ…」  
 土方の手を借りて立ち上がった神楽は、震える声でそう漏らした。  
 瞼は赤く腫れており、走ってくる間に泣いていたことがはっきりと分かった。  
 それと共に、銀時に対する憎悪が土方の胸を支配する。  
 「……ったく、子供の前で何やってんだあいつは……」  
 舌打ちしてふぅ、と煙草の紫煙を吐いた。苛々する。銀時も、こんな幼い少女に  
少しでも心揺さぶられた自分も。  
 「私、これからどうすれば良いアル…。もう普通に銀ちゃんと話せないヨ……」  
 涙ぐんだ瞳で見つめられて、土方はたじろいだ。どれだけ自分は疲れているんだと、  
自分で自分を批難する。  
 まさか、こんな少女に欲情してしまうなんて。  
 
 一夜限りで良い。この気持ちを捨てるくらいで。  
 強引に神楽の腕を引っ張り、土方は元来た道を駆ける。強く腕を引っ張られて、神楽は  
もつれそうになる足を何とか正して土方に着いていく。  
 「どこに行くアル……っ? 酢昆布でもおごってくれるアルか?」  
 「酢昆布よか、良いモンだよ」  
 切羽詰っている気持ちが伝わってくるかのように早口で捲くし立てた土方が向かったのは、  
歌舞伎町ではそう珍しくも無いラブホテル。洋風な外観はまさに天人仕様だ。  
 「前からここに行ってみたかったアルよ。  
  綺麗な家ネ! でも銀ちゃんは連れてってくれなかったアル」  
 「当たり前だ。ここは大人しか入れない場所だからな」  
 やたらと大きな扉を開けて土方が中に入っていく。神楽もそれに着いて中に入っていった。  
 広いロビーには誰もいない。受け付けらしき窓口にはすりガラスが張ってあり、  
中やこちら側は見えないようになっていた。  
 土方が受け付けから鍵を受け取ると、神楽の手を引いてずらずらと並んだ扉ある廊下を  
歩いていく。その時にも、誰一人とすれ違う人は居なく、神楽は徐々に不安を覚えていた。  
 目的の部屋らしき扉の前で土方がドアを開ける。中に入るとそこは一面オレンジ色の光で  
照らされ、中央には大きなベッド。結構な部屋に、神楽は先ほどまでの不安を忘れてその瞳を  
輝かせた。  
 「お姫様の部屋みたいアル! さすが高給取りは一味違うネ」  
 ふかふかのベッドに腰をおろすと、神楽は飛んだり跳ねたりしてはしゃぎまわる。こういう所は  
歳相応の少女だと、土方は苦笑した。  
 そんな神楽に近づいて、そっと肩を持った。顔を近づけてそっと神楽の唇に己のそれを合わせると  
先程までの態度はどうしたのか、神楽は急におとなしくなった。  
 「いきなり何するネ」  
 怪訝とした表情で問う神楽に、土方は意地の悪い笑みを浮かべてこう言った。  
 「言ったろ? 慰めてやるって」  
 一瞬目を見開いた神楽だったが、土方を押しのける前にその視界が反転した。  
 押し倒されたと気がついたのは、上半身を暴かれてからだった。  
 
 拙い、少女の甲高い声が不規則に漏れる。  
 それと共にぴちゃりと厭らしい水音が部屋に響き渡る。  
 「……っあ……やめるアル…! 私、またおかしくなっちゃうヨ……っ」  
 まだ成長途中の小さな胸の膨らみを舌でなぞられて、神楽はそうつぶやいた。  
 土方は空いた片方の手で、神楽の乳頭を弄っている。するとたちまち硬く尖って、その存在を  
主張しているかのように立ち上がり始める。  
 下着まで取り払った下半身をもぞもぞと蠢かしている様は、まるで娼婦が誘っているかのように  
厭らしく、少女特有の柔らかい香りは今ではその色香を増長させるものとなっていた。  
 神楽の言葉に、土方が反応する。頑なに足を閉じる神楽の下肢を曝け出すように足を開くと、  
そこはもう透明な愛液に塗れていた。まだ誰も触れたことの無いであろう秘所は、綺麗なピンク色を  
していて、土方は思わず息を飲んだ。  
 「また……? ってェことは銀髪と女のセックスを見てお前自身も欲情しちまってたのか?  
  厭らしいガキだぜ……」  
 そんな罵声を振り掛けるが、今の神楽にはその言葉をきちんと理解出来るほどの理性が  
残っていなかった。自慰でも感じられなかった快感が神楽を襲っているのだ。  
 土方自身も、自分の声が掠れているのを感じていた。煙草の所為ではない。その渇きを  
潤すのは今、快感のみ。  
 そんな劣情が土方の中に湧きあがってきて、頬に汗が伝う。神楽の秘所にそっと顔を近づけて  
ひくひくと蠢く襞を掻き分ける。そこから現れたのはぷっくりと膨らんだクリトリス。  
 もっと触って欲しいと言わんばかりに主張するそれを、土方は期待に添うように舐め始めた。  
 時折歯で引っかいてやると、神楽が一際甲高い声をあげた。  
 
 「ひゃ……っあ、あぁん……っやだァ…! おかしくなるヨォ……っ」  
 「おかしくなってもいいぜ……俺を悦ばせてくれよ」  
 そう言って、神楽の膣に舌を侵入させる。思ったよりすんなりと入ることから、そこが十分に  
愛液にぬれていることが分かる。  
 神楽も痛がってはいないようだ。やはり自分で自慰でもしたことくらいはあるのだろうか。  
 侵入させた舌を、ゆっくりと動かして膣内を慣らしていく。それから舌を抜き去り、  
自身の骨張った指をそっと侵入させる。  
 自分でするのとは全く違う違和感に、神楽は思わずくぐもった声を上げる。  
 「んん……っは、ぁ……あっ」  
 自分の細い指とは違う男の指に神楽の腰が自然と揺れた。それを見計らって土方は指を二本三本  
と増やしていく。それでも神楽の秘所はそれを柔軟に受け止め、締め付けて離さない。  
 勢い良く指を引き抜けば、それを引き止めるように強く締め付ける神楽の膣。  
 指の代わりに土方は己のベルトに手をかけ、スラックスを寛げると、自身の反りたったペニスを  
挿入した。  
 「あっああぁぁ……っは…痛……っふぅ……っ」  
 「……っキツ…」  
 惜しげも無く締め付けてくる神楽に、土方も思わず眉間にしわを寄せる。内壁が土方のペニスに  
纏わりついてどんどん奥へといざなっていく。  
 あまりのキツさに、土方は神楽の胸をやわやわと揉みしだいた。それだけでもとても感じて  
いるようで、下半身にこめられていた力はすぐに抜けていってしまう。  
 それを見計らったように、土方が律動を開始する。ゆったりとした律動は、神楽に程よい快感を  
もたらし、激しくなるにつれて、もっともっとと強請るように神楽の方から腰を揺らしてきた。  
 「い…っあ…っやぁぁ……なんか、意識、飛びそうアル……!」  
 「あァ、イッちまいな……」  
 イク、という快感の絶頂を知らない神楽が、拙い言葉でそう叫んだ。それに応えるように、  
土方は神楽の最奥を突く。  
 
 「あっひぁ……っ! ああぁぁぁぁぁ―――っ!」  
 白い首筋を仰け反らせて神楽は達した。その真珠を溶かしたような真っ白い首筋に、思わず  
土方は獣のように噛み付いていた。  
 それと同時に神楽の身体がびくびくと震えて膣内が強く締まった。その快感に耐え切れず、  
土方もまた、神楽の中に精を吐き出した。  
 
 
 ――ホテルを出たのは翌朝の午前五時。  
 喘ぎ疲れた神楽が、中々起きない為、土方が背負って万事屋まで運ぶことになったのだ。  
 昇り始めた朝日が視界に入るたび、昨夜の出来事が夢のようだと、土方は思う。  
 けれど、神楽の首筋に残った鬱血の痕が目に入るたびに、それが夢でないことを物語っていた。  
 「……まさか、な」  
 ぼそり、と土方がつぶやく。  
 
 まさか、こんなにも幼い少女に本気になってしまうなんて――。  
 
 
 END  
 

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