「ちょっと……なんだかもう……限界」  
いきなりそう告げ、お妙は震える手でおちょこをテーブルに置き、壁に手をついて  
ふらふらと立ち上がった。  
帯に飾られた細い腰が頼りなげに揺れるのを見て、銀時はつい後ろから  
手をのばしてしまう。  
「おいおい、危なっかしいな。大丈夫か?」  
「平気です……うぷ」  
「ったく、しょーがねーな。ちょっくらコイツ吐かせてくるわ」  
忘年会も4次会ともなると新八・神楽はドロップアウト、残っている大人組も  
ろくに動けない状態の中、銀時だけが軽々と立ち上がった。  
「待て、妙ちゃんは僕が……うぷ」  
「ムリすんな九兵衛。酔っ払いが酔っ払いの介抱出来るわけねーだろ」  
「……私ひとりでいけます……」  
「オメーも意地張ってんじゃねーよ、厠はこっちだぞ。そっちは厨房」  
「……わかってます……」  
「ホント可愛くねェ女だな、いいから来い。まだ吐くんじゃねーぞ」  
手際の良い先導に、お妙は文句を言いながらも素直についていった。  
ガチャリと開けた扉からヒンヤリとした風が頬をなでる。  
お妙は目を閉じて、その気持ち良さに任せて深く息をした。  
「俺は女用には入れないしな、涼しいところがいいだろ」  
店の勝手口を文字通り勝手に開けた銀時は、奥まった路地裏へとお妙を  
連れて行く。  
「あの辺で吐くか。もうちょい辛抱しろよ」  
冷たく新鮮な空気を吸ったおかげで気持ち悪さは引いていたが、後ろから  
背をさする銀時の大きく温かい手に、つい気を許した。  
もう少しだけ、優しくされていたい……常日頃気丈に振る舞うお妙にも心の隙はある。  
──どうせ銀さんだし。口では乱暴だけど、困ってる人間をほって置けない  
優しい人……  
背中越しに感じる銀時の温もりに、お妙はひそかに甘え目を閉じた。  
「まだ気持ち悪ィか?」  
「……ええ」  
「そうかい……」  
お妙の嘘に答える優しい声。だが、そっと太ももに手がのせられる。  
「……?」  
まどろむように閉じていた目を無理に開けるが、見えるのは確かに銀時の手。なぜ……  
しかし何かを考えようとすると酔いで頭が痛む。  
その上さわさわと着物がめくられていく感触に不思議と嫌悪感がないために、  
お妙は混乱するばかりだった。  
あくまで柔らかく優しく、銀時の手は動いていく。  
「お妙、お前いい腰してるな」  
銀時の口からはかつて聞いたことがない自分への賛辞にお妙はとまどう。  
「なぁ……」  
熱のこもった息がふと耳元をかすめたかと思うと、唇が耳たぶをゆっくりとくわえてきた。  
痛みのない刺激にどうしてよいかわからず、ただ顔を赤くするだけのお妙に  
銀時は唐突に告げる。  
「やらせろよ」  
豹変、と言ってよかった。  
驚いて振り向いたお妙の目を見返す銀時の、目の色が違う。  
もしかして銀さん酔ってるのかしら。  
お妙はそう思い、今さらながら慌てて制止しようとするが、いつもの怪力も発揮できず、  
いやがる手をするりするりとかわされては尻をなでられていく。  
「や、ちょっと……銀さん……!」  
「嫌なのか? しゃーねェ、スマタでいいからよ」  
悪びれない声とチャックを下ろす音がお妙の肝を急激に冷やす。  
「?! な、なに言って……」  
 
「知らねーの? こうやって股の間に挟んでしごくんだよ」  
後ろからグイッと強く腰を抱き寄せられ、お妙はおぼつかない足元のまま  
銀時に密着してしまう。  
ぬるっとした感触が勢いよく太ももをなであげ、何やら熱い棒が股の間に収まり、  
その硬さにお妙は自分が恥ずかしくなっていく。  
「あんまり待たせるから先走りが出てきやがったじゃねーか」  
銀時は長い指をお妙の股に潜り込ませてぬるぬるした液体を割れ目に  
なすりつけた。  
「あっやだ……!」  
男の指先が大事なところに割って入りヌメヌメと動きだしたので、お妙は身を  
よじろうとするが、銀時は片手で巧みに抱き寄せ、耳元に低い声でささやく。  
「入れられたくなかったら黙ってな」  
指を結い髪にからませながら銀時はもう一度お妙の耳たぶを甘く噛んだ。  
ぞくぞくっと背筋を震わせる女の反応を嬉しそうに眺めながら、ローション代わりの  
ぬめりを互いの性器にぬりたくった銀時は、  
「おら、動け」  
とお妙を揺さ振った。  
「やだっ待って、だってこんな、どうしたらいいのか……」  
流されていると自覚しながらも、この唐突な展開にお妙は混乱し的外れな  
言葉をはく。  
「ちったァ自分で考えろよ」  
銀時は呆れたように溜め息をついた。  
そうしてお妙の目を覗き込んで雄の目で笑みを浮かべ、耳の近くでなおもささやく。  
「どうやったら男が満足するか、わかんだろ?」  
近づき寄せ合った頬が熱くて、酔い以上にお妙の頭をおかしくする。  
「なァ、お妙さんよォ……」  
熱っぽい銀時のささやき声が混乱に拍車をかける。  
何より股の間にはさまったままの一物が脈打っているのがわかるだけに、  
身じろぎひとつ出来もしない。  
銀時はそんなお妙のしっとり汗ばむ太ももをなでながら、  
「ん、どした? ……やっぱ入れられたくなったのか」  
優しい声でさらりと言い放った。  
火照った顔をさらに赤くしながらお妙は必死に首を横に振る。  
しかし銀時はお妙の腰を掴みなおし、肉棒の角度を変えた。  
「いいぜェ。ずっぽり挿入といこうや」  
「待って! だめ!」  
銀時の躊躇の無さにお妙は慌てて腰を揺り動かしスマタなるものを試みたが、  
あまりの生々しさとクリトリスに響く快感に、自分の腰をわしづかむ銀時の手を  
思わず握りしめた。  
「あんだよ?」  
決して否定的ではないつぶやきにお妙の心が乱れる。  
犯されそうになっている状況でときめくなど自分が理解できない。  
目をギュッとつぶり、湧き出す感情を無理やり押し殺す。  
とにかく純潔を守るためにはスマタだろうが何だろうが、銀時をイカせて  
満足してもらうしかない。  
酔った勢いで、しかも路地裏で、処女を捧げるなど有り得ない。  
霞む頭でお妙は結論を下し、壁にもたれかかりぎこちなく腰を動かしては  
熱くそそり立つ肉棒をしごいていく。  
腰を動かすたび銀時の先走り汁が自分を濡らしていく感触に、お妙は  
震えるように首をふる。  
ぬるぬるになった屈辱感と羞恥が心を責めてやまない。  
 
「着物が邪魔だな……」  
お妙の心情を知ってか知らずか銀時は淡々と裾をよけていき、細い腰から  
頼りなげに膨らむ白い尻が己の怒張をしごいている様を見ると、  
「うはっやらし〜」  
と楽しそうな声をあげた。  
そして黙ったまま腰を動かすお妙のあごにそっと手を触れさせ、誘導するように  
こちらを向かせ、火照った頬を優しげになでる。  
泣き出しそうだったお妙が思わず眉間をゆるませ、吐息をもらしたところに顔を近づけ、  
「お前コレ自分が何してるかわかってんの?」  
冷静な声音でお妙の心をひねりあげた。  
やわらかな身体が一瞬でこわばる。  
「ちょっと下向いてみ。見えやすいようにしてやるから」  
銀時は密着ぐあいを高めて腕を伸ばし、手際良く恥部の毛をかきわけて  
ねっとりとクリトリスをさらけだすと、お妙の頭を下へとおさえつける。  
「どうよ、俺とお前の卑猥な部分が丸見えだろ?」  
太い肉棒に押し上げられて形を変えたクリトリスが銀時の指で晒されて  
濡れたまま尖っている。  
自分で思っていたよりも赤黒いそれらをつい見てしまってから、目を  
開けたことにお妙は後悔した。  
無言で後ろから銀時がゆっくりと腰を動かす。  
お妙のクリトリスは濡れ合うように肉棒に身をゆだねて快楽を訴えてきた。  
ジンジンと疼くような気持ち良さが身体中に響き、口からは嬌声がもれそうになる。  
だがこの快感は隠さなければならない。  
たとえ心のうち全部を見すかされていようとも。  
お妙は必死に唇をかみ、もれ出そうになる喘ぎを飲み込んだ。  
銀時もまた黙ったまま、互いの立てる微かな粘着音が響くのを聞いていた。  
ねちょりねちょりとクリトリスをこすりつけいたぶる音に混じる、押し殺せぬ  
小さな喘ぎに銀時が気づくのに時間はかからなかった。  
口の端に満足そうな笑みを浮かべ、無言のうちにぬるりと指先を這わせて  
クリトリスの先にやわらかく触れる。  
ビクンと背を震わすお妙の首筋を眺めながら、なでるように指の腹を動かして  
円を描きながらクリトリスを根元からゆっくりとこねまわした。  
荒い息をもらしつつも声を忍ぶ女の姿が銀時の嗜虐心を心地良く揺さぶっていく。  
熱をもち堅くなってきたクリトリスをくちゅくちゅと音を立ててこねあげ続け、お妙が  
肩を震わせ始めたあたりで根元からきゅっとつまみあげた。  
ごまかしようのない喘ぎ声が強く響き、そこからはもう隠すことを忘れたかのように、  
銀時の指の動きにあわせてお妙は喘ぎだす。  
「いい声出すじゃねーの」  
銀時の満足そうな声が冷ややかにお妙を我に返す。  
羞恥に頬を染めていやいやと首を振るきぬ擦れの音と、小さい叫び声が重なる。  
「……もうやめて……!」  
こんな愉しいことやめられるか。そう銀時の目は告げていたが口には出さなかった。  
酔った女の抵抗などタカが知れている。  
銀時はお妙を抱き寄せ、目尻の涙を舌で舐めとりつつも、クリトリスを責める手を  
止めなかった。  
もはやスマタではなくなっている。  
銀時の肉棒と指先がお妙の未開発な幼いクリトリスを虐めているにすぎない。  
今さら逃げようにも腰を密着させて壁に押しつけられ、あふれ出る愛液が  
摩擦を快感に変え、お妙には悶えるしか術がない。  
徐々に高まっていく己の興奮がお妙を不安にさせる。  
それをまったく無視するかのようにクリトリスの感度はあがっていき、  
巧みな責めに翻弄されては無理やり絶頂へと連れていかれる。  
「いっいやぁっ……あ、あ、だめぇぇ!」  
自分の身体が快楽を求めていることをはっきりと悟り、お妙は涙をにじませ  
波のように襲ってくる快感に飲み込まれることを覚悟した。  
せめて喘ぎ声だけはこれ以上出すまいと着物の端を噛みしめて目をきつく閉じる。  
 
絶頂が近づくにつれ勝手に背が弓なりになっていき、壁についた細い手が震え、  
両脚がピンと硬直してうまく立っていられない。  
クリトリスがにゅるんにゅるんと執拗に芯ごとこすりあげられていき、  
お妙は気が遠くなるような気持ちでのぼりつめていった。  
しかし銀時はぴたりとその手を止める。  
はぁはぁとお妙が息を荒らしつつ後ろを振り向くと、悪巧みの瞳が自分をうつしていた。  
「イカせてなんかやらねェよ」  
涼しい目でお妙を見据え、銀時はうそぶく。  
寸止めを施したクリトリスをゆるりと指先でつまみあげ、皮の中で勃起した芯を  
コリコリともてあそんだ。  
お妙が目線をそらし震えながらうつむくのをにやにや眺め、脈打つクリトリスを  
左右に強く割り開く。  
「ああっ……!」  
たまらず皮から飛び出てきたクリの芯に肉棒をあてがい、容赦なくなぶりたおした。  
優しい愛撫から一転、鋭い快楽がお妙に喘ぎ声を強要する。  
「だめぇっだめぇっ銀さん……っだめぇ!」  
イク直前で焦らされたクリトリスが今度は激しく芯ごと虐められ、心のタガを  
はずされ流され、身体を許してしまいそうになる。  
快楽に負けるなんて女としてあってはならないのに。  
そうお妙が思えば思うほど、黒い欲望があばれ出してもっともっとと腰を  
悶えさせてしまう。  
銀時からの手加減のない責めに、激しく悶える小さなクリトリスはすぐにまた  
絶頂へと連れていかれるが、瞬時に察知した銀時はまたもや動きをとめてしまった。  
「………っ!」  
お妙は言葉にならない叫びを必死で飲み込み、震える指先を握りしめ荒れた息を  
整えようとしたが、じわりと自分の中から濡れ出てくる熱い液体に気づく。  
つつ、と肌に添い、銀時との触れ合う箇所をごまかしようもなく濡らしていき、  
それが驚くほど熱くて、銀時にもバレていると思うと羞恥で胸が焼けそうだった。  
なのにクリトリスはますますジンジン響いて責めの続きを要求する。  
貞操がどうとか目眩までしてきて、後ろの銀時に腰を押しつけてしまいたくなる。  
だが自由奔放にはなれない自分をも知り尽くしているお妙は、そんな性癖を  
恨みながらもぐっと堪え、白い尻をブルブル震わせながら再開を待った。  
しかし銀時の指はクリトリスではなく溢れる愛液を探り出し粘ついた音を響かせ  
お妙を虐めるのみ。  
指先でくちゅりと卑猥な音がする度に低い笑い声が響く。  
言葉でねじられるのも辛いが、言葉がないのもさらに辛い。  
女としてのプライドを自らの隠微な音が削っていく。  
うなだれる首筋にキスが落ち、そのまま衿を少し開けるようにして銀時の舌が  
肌に滑り落ちてきた。  
そうして鎖骨から首筋を上にたどられ、耳の穴にねっとりと舌が入ってくる。  
お妙は掻き乱される心と裏腹に、想像すらしたことのない男の舌使いに身動きも出来ず  
耳の中を隅々いたぶられる熱い感触に我知らず喘いでいた。  
「動きがとまってるぜ、腰振れよ」  
優しい舌とはまるで違う、出てくる言葉は羞恥を煽る容赦ない命令ばかり。  
それに……ここまでされても自分は愛されてはいないのだろうか。  
お妙は痛む心の意味を考えず、むしろかき消すようにもう一度腰を使いだした。  
銀時の指先は相変わらずクリトリスを広げて芯をさらけ出している。  
そこにちょうどこすれるように肉棒でクリをこねまわした。  
それは一瞬我を忘れそうになるほどの快感だった。  
ゆっくりと、だが確実に快楽を求めてお妙は腰を動かしていく。  
 
そんなお妙の変化を逃さず銀時は意地悪く耳元で笑った。  
「散々嫌がっといてコレかよ」  
唇をきつく噛み、お妙は黙った。黙って限界まで焦らされたクリトリスを  
銀時の肉棒を使ってねちょりねちょりとしごきあげた。  
──はぁっああん、もうちょっと……もうちょっとで……  
イク、その瞬間、やはり銀時はストップをかけた。  
悶えんばかりに身をくねらすお妙のあごに手をかけ無理やり振り向かせると、  
「なんか勘違いしてねェ? 俺をイカせんだろ? 何自分だけ気持ち良くなってんの」  
上からお妙を見下ろし銀時は薄く笑いかける。  
「ここに入れてもいいのか?」  
言うが早いか中指をぬぷりとねじ込み、恐怖と羞恥と性欲にお妙の心が  
ねじ切れていく様を見ながら返事も待たず指を抜くと、透明なぬめりが  
まとわりついたその指で、熱く膨らむクリトリスをつまみあげ指の腹で転がしては  
ビクンビクンと疼く感触とお妙の漏らす泣き声まじりの喘ぎを愉しみながら、  
「おねだり、してみる?」  
と執拗に寸止めを繰り返した。  
喘ぎにまみれて言葉も出ないお妙をいたぶるように何度も何度もクリトリスは  
もてあそばれ、もはや痛いほどに膨らみきってお妙の神経を限界まで苛む。  
ぐちょぐちょにぬめったクリの根元が指ではさまれ上下になぶられ、  
指先で皮を剥かれた芯を肉棒に押しつけられては左右にねっとりとこねまわされる。  
弄られるとすぐにでもイッてしまいそうなのに、どう察知するのか銀時は  
直前で必ず手を離した。  
お妙は必死にこらえていたがもう限界だった。  
「い……いかせ、て……」  
身体と頭がおかしくなって死ぬんじゃないかと、お妙はよだれのこぼれる唇から  
言葉もこぼした。  
「あん? まーだ勘違いしてんのか?」  
言ってしまったことで安堵に浸りかけていたお妙に返ってきたのは、  
至極サディスティックな反応だった。  
お妙は身も心も引き裂かれんばかりの疼きをこれ以上抱えようもなくて、  
自分を止めることも出来ないまま銀時に小ぶりな尻をこすりつけた。  
それを何の合図と思ったか銀時はお妙の腰を掴みなおすと、  
「身体は正直だよなァ」  
とニヤニヤしながら肉棒の先っぽをひくつく割れ目にあてがう。  
太ももまで滴るお妙の愛液をまとわりつかせ、カリ首のシワでクリトリスを  
ゆっくりなぶりだした。  
熱くて張り裂けそうな感触でにゅるにゅるとクリトリスをなでまわされ、頭のどこかで  
お妙は悟った。入れてくださいと言わなければならない。  
自分から処女を捧げる葛藤は確かにあった。  
だがもう立ってなどいられないほどに手籠めにされている。  
純潔を失うよりも、銀時のおもちゃになってでも快感と絶頂を求める己が悔しかった。  
そしてそれ以上に、焦らしに焦らされた女の性には抗えなかった。  
甘美な背徳までが背を押して、朦朧とする頭で刹那の決断をする。  
細い腰をねじり銀時の耳元に唇を寄せて、い・れ・て、と震えながら精一杯囁いた。  
「……たまんねェな」  
銀時の勝利宣言と間髪入れず熱くそそり立つ肉棒が一気にお妙を貫く。  
痺れるようにお妙は背をのけぞらせて呻きをあげた。  
想像を超える痛みと灼熱感が腰をくだけさせる。  
銀時の首に絡ませていた腕がほどけそうになり、着物にしがみついた。  
無理やり奥までねじ込んでから短く息を吐いた銀時は、合意成立、と独り言のように  
そう言うと、お妙のぷっくりと膨らんだままのクリトリスを優しくこねまわしだした。  
「ま、俺も鬼じゃねェ。満足させてやるよ、安心しな」  
痛みとは別次元でやってくる快感にとまどいながらも、お妙は待ち望んだ愛撫に  
とろけて流され身を任す。  
処女を犯される痛みも、動かずに入ったままだとクリトリスへの快楽のほうが勝った。  
 
執拗に指先がクリトリスを責め抜き、絶妙な力加減で瞬く間にお妙は絶頂へと  
追い立てられていく。  
「いく、いくぅっいっちゃう……っ!」  
外で立ったままだということすら忘れてお妙はよがり叫び、きゅうっと背を弓なりに  
反らせると、初めて男にイカされる絶頂を捻れた心で貪った。  
心得たように銀時の指はとまらない。じんわりと芯を押し潰しながらイったばかりの  
ビクビク震えるクリトリスを左右に転がしてやる。  
焦らされすぎて恐ろしいほどの快感で埋めつくされた小さくも激しいクリトリスを、  
絶頂の余韻まであますところなく味わわせた。  
ふと、血と愛液がとろりとあふれ出てお妙の太ももを伝っていくのを銀時は見た。  
鮮やかな赤い色に胸が疼く。  
「……動くぞ。力抜いとけよ」  
何事もないような声音で銀時は告げると、じゅぷりと音を立てさせゆっくりと  
動き出した。  
クリトリスでイカされる激しさに茫然としかけていたお妙の身体の中を、銀時の肉棒が  
じっくりと犯していく。  
ギリギリまで引き抜かれては、またぬめりねじ込み奥まで入ってくる単純な動きが、  
例えようもない圧倒的な享楽でお妙の全神経を満たしてゆく。  
くまなく張り巡らされてゆく快感の糸に搦め捕られて身動きすら出来ずに  
ただ喘いで悶えて、銀時を受け入れていった。  
腰をつかむ手の指先ですらふれるたびに快楽を送り込んでくる。  
ずるりと内をこすられる痛みが麻痺していき、奥を突かれる快感がそれに取って代わる。  
抜き差ししながらも慈しむような銀時の腰の動きと、いまだクリトリスをもてあそぶ  
手加減のない指の動きがお妙から理性を奪っていく。  
「もっと声抑えろって……」  
たしなめにも気づけないお妙のあごに手をかけ、銀時は唇を重ねて声を塞いだ。  
まさかファーストキスじゃねェだろうなと、銀時は思いながらも舌を絡ませていった。  
お妙の紅く染まる頬をつたう涙も、見ないフリをした。  
冬だというのに着物の中を汗が一筋伝い落ちる。  
片手ずつ脇のほうから手を突っ込み、お妙の膨らんでいるのかいないのか  
判断つかない胸をさぐり、ピンと勃つ乳首を指先にとらえると、揺するように  
愛撫しながらお妙の身体を支え、キスをしたまま腰を打ちつけていった。  
やっぱ胸ねーなァ。でも腰が抜群なんだよなコイツ……  
銀時は乳首の感度を確かめるように弄びながら胸中でつぶやく。  
少女のように固い乳首をコリコリつまんでみると、首に絡みつくお妙の腕が  
震えてほどけそうになり、銀時はキスを諦めた。  
もう思う存分喘いでもらうことにして、お妙の上半身を壁にあずけ、胸から離した手を  
腰にまわすと尻を持ち上げるようにして抱え込んだ。  
「次はゆっくりヤろうな」  
狂わんばかりに快楽に酔うお妙にこの声が届いたかどうか。  
銀時は初めて苦い笑みを見せると、それきり躊躇もなくピストンを速めていった。  
スマタ虐めも気持ち良いが、やはり挿入には敵わない。  
ましてやぬるぬるにほぐしたとはいえ処女のきつさにたまらなく締めつけられては  
あっけなく達してしまいそうだった。  
やべーわ、最高。そう銀時はうっかり口にしてしまうところだった。  
腰をじわりと突き上げてくる快感のほとばしりを辛うじてこらえるついでに、  
称賛もこらえた。  
ハマリそうだお前の身体。  
そう言われて喜ぶ女がいるとは思えない。  
なぜだか悔しくなって、銀時は自慢の腰振りを駆使してお妙を責め抜いていった。  
じゅっぷじゅっぷと鈍く響く音と快楽の愛液があたりに飛び散る。  
ここが路地裏だという意識もともに飛び、人に見られる心配など微塵も  
浮かんではこなかった。  
「言いたいことあんなら言っとけよ」  
後から文句言ってきても知らねェからな。  
俺たちは男と女で合意の上だ。苦情の出る筋合いはねェ。  
銀時は乱れる結髪を眺め、揺れる帯を眺め、着物の合間にのぞく白い尻と  
卑猥な割れ目を蹂躙する自らの肉棒を眺め、熱に浮かされたかのように呟いた。  
 
「……もっと……」  
耳を疑うとはこのことか。  
「もっとして……もっとしてぇもっと……っ」  
もはや羞恥も自我もなく鳴くように甘く喘ぎよがるお妙に、後ろから犯す銀時は  
目眩を覚えた。  
心臓の鼓動が、息が、限界まで荒れていく。  
高揚していく気分の中で、あんあんとかわいい鳴き声を聞いているうちに、  
全部ぶちまけたいという思いがつのっていった。  
お妙の中に全部注ぎ込んで俺の女にしてしまいたい、と。  
こんなに身も心も預けてよがってんなら、俺のモノにしても構わないんじゃね?  
決断は一瞬だった。  
銀時は指が食い込むほどにお妙の腰をわしづかみ、欲望そのままに抜き差しを速め、  
我慢していたぶん爆発しそうに留まっていた快感の塊を引きずり出すように  
何度もずちゅずちゅと責め抜くと、絶頂の瞬間に壊れるぐらいにお妙を抱きすくめ、  
きつく目を閉じて奥の奥まで突き入れた。  
腰からほとばしる激烈な射精感に呻きながら、容赦なく白濁を注ぎ込む。  
熱さと勢いにお妙の背がびくんと跳ね、かすれた声が銀時の名を呼ぶ。  
その小さな響きに心臓を握り潰されるほど銀時は動揺した。  
動悸と目眩でうまく動けないまま着物を汚さないよう自身を引き抜き呟く。  
「……ごめん」  
なぜ謝ったのか自分でもわからない。  
白濁と交じり合い流れ落ちる血の色が、自分を責めているような気がして、  
ただ胸が熱くてどうしようもなかった。  
 
 
 
心の内はさておいて、あまりに戻るのが遅すぎると後で言い訳が面倒でもある。  
銀時は互いの後始末を素早く終えると、お妙の汗ばみ乱れる前髪を  
なでそろえながら言った。  
「お前は先に帰したことにするからな。口裏合わせとけよ」  
息は整ってきたものの、まだぼんやりとした目でお妙はうなずく。  
しばらく意味のない沈黙が続き、  
「その、なんだ、処女奪って悪かったな……」  
ぽつりとこぼれた銀時の言葉にお妙は心の底から怒りがわきあがった。  
「わ、悪いと思うならっ……どうしてあんなことしたんですか!」  
振り下ろした鉄槌を真顔で受け止められ、お妙は握りしめられた自分の手首を  
思わず見た。  
「ちょ、離し……」  
最後まで言う前に唇を奪われる。  
この感触には覚えがある、快感に溺れていて記憶がはっきりしていないが、  
確かにされた。  
入り込んでくる舌のやわらかな動き、逃げる自分の舌を遊ぶように追いかけてきては  
からめとり熱を伝えてはまた離れていく、巧みな翻弄に腰が砕けそうだった。  
制裁を与えるための拳から力が抜けてしまうと、ぎゅうっと強く抱きしめられ、  
唇を強く吸われた。  
お妙が不安になるほど強く強く、銀時は力を緩めなかった。  
が、ふっと身体全部の力を抜かれドサリとふたりはもつれあって倒れた。  
「いたた、……どうしたんですか?」  
返事の代わりに寝息が聞こえた。  
今夜は何度も絶句したが、あまりの唐突さに呼吸まで忘れた。  
お妙はやっとのことで息を吸い、冷たい夜空を見上げて嘆息する。  
店の扉の奥からは今さらのように騒がしい物音がしてくるが、現実感がしごく薄い。  
挿れられ擦られたヒリヒリ焼けつくような痛みのほうがよっぽどリアルだと思った。  
眠っている男が重くて下敷きになったまま這い出すこともできず、崩れた襟を  
正そうとなんとか手だけは引き抜き、ふと思う。  
目が覚めたらきっと……この人は慌てて土下座して謝りたおすに違いない。  
そうお妙はなぜか確信する。  
なにしろ護れなかったというだけで、自分が殺したような罪悪感を背負ってしまう  
男なのだから。  
 
酔った勢いで女を犯したなどと、良心の呵責に耐えられないに違いない。  
別人のように責められはしたが、素面の彼はただの人情家だと知っている。  
──こんなことになってはもう普通のお付き合いなんて出来ないけれど、  
またの逢瀬を偲んで暮らすのも悪くないかもしれない。  
それより今は、その背に負うものを残らず全部取り払ってあげたい。  
お妙は自分の細い指先が何の役にも立たないことを知りながら、それでも  
寝息を立てる愛しい男の肩にそっと、すべらせるように触れていく。  
ふわりとした銀色の髪に唇を寄せ、知られることのない口づけをし、  
閉じたまぶたで想いを隠す。  
結婚前に身体を許す女など馬鹿でしかないと思っていた。  
だけど今の自分にはそれを笑えない。  
なにしろ付き合ってすらいなかったのだ。  
銀さん──  
「……いいですよ」  
この胸をよぎる淋しさも一緒でいい。  
夜風に自由気ままにそよぐふわふわの銀髪をぎこちない指にからませて、  
お妙は独り言を淡々とこぼしていく。  
「責任とか……取らなくっても……」  
月があんなに遠くにある。  
私もなんだかずいぶん遠くまで来てしまった──  
 
 
 
「……いいか、一度しか言わねェぞ」  
寝ているとばかり思っていた銀時の、小さいけれど確かに響く声がする。  
そうして重なり合ったままだるそうに呟かれた愛の言葉に、お妙はうつむき、  
ため息をついた。  
「一度だけなんてケチな人」  
「もう言わねェっつったろ、誰にもな。あ〜頭いて」  
くしゃくしゃと天パをかきまわす大きな手を眺めながら、お妙はまたため息をついた。  
──幸せそうなため息を。  
 
 
 
完  
 
 
 
 
 

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