「不束者ですがよろしくお願いいたします」  
「あ、ああ。よろしく」  
 
 銀時と同じ布団の上で向かい合い、妙は正座して三つ指をつく。銀時もそれに習い頭を下げる。  
互いに全裸なのが滑稽だったが、本人たちは至って真面目である。  
 銀時が肩にかけた手を押し留めて、妙は逆に銀時の身体を仰向けに倒す。  
 素直に従う銀時に妙はやはり微笑んだままで――上に乗り、秘部を銀時で一気に貫いた。  
 
「――い、ッ……!!」  
「ッ、馬鹿野郎!」  
 
 声にならぬ悲鳴を噛み殺す妙に、銀時は思わず声を張り上げる。妙の体重で深く繋がった部分を見遣ると、つうと一筋破瓜の血が流れるのが見えた。  
 
「――っ、は、あ……ッ」  
 白い咽を思い切り仰け反らせて、それでも妙は声も涙も溢さない。布団を掴んだ手は痛々しい程に強く握られ、血管が浮き出ていた。  
「おい、大丈夫かよ……今、抜いて」  
「だめッ!」  
 銀時の言葉を妙が強い口調で遮る。びくりと動きを止めた銀時の視線と、妙の視線が初めてかち合う。  
 妙は今にも泣きそうで、それでも笑っていた。  
 
「ぬか……ないで、ください。私、銀さんに、弱いって……思われたく……ない……」  
 息も絶え絶えに、妙は言った。  
 その瞳からぽろり、と一滴だけ涙が零れる。  
 
「私、銀さんに相応しい、女になりたい、から。だから」  
 内側から裂かれる痛みと戦いながら、妙は続ける。  
「動いて……ください、銀さん。辛いでしょう?銀さん……好きです。私で、きもちよく、なって」  
 
 ――ああ、こいつはこんな女だった。  
 ――何でも自分の力で解決できると思って。一人合点して背負い込んで。空回りして一人で泣く。  
 ――暴力ゴリラみてえに振る舞って、誰にも弱味を見せまいとして。そうして結局馬鹿を見る。  
 
「……かわいくねー女」  
「え?んむっ、ん、んんっ!!」  
 
 銀時はそう吐き捨てると、妙の身体を引き寄せて接吻をした。  
 開いていた唇の間に舌を入れて咥内を愛撫する。乱暴にではなく、あくまでも優しく。  
 上顎、歯茎、舌の裏。粘つく唾液を絡めて啜り、吐息を混ぜあい身体を寄せる。  
 妙の身体から力が抜けた頃合いを見計らって、銀時は唇を離した。  
 
「は、あっ……ぎん、さ」  
「馬鹿かおめーは。んなことされてもちっとも嬉しかねーんだよ」  
「……っ」  
 わざと辛辣に告げてから、唇を噛んで俯く妙の頭を撫でてやる。  
「お前が弱かろうが強かろうが。……俺にとって、お前が大事なのに変わりはねーよ。ちったあテメーを大事にしやがれ」  
 
 妙の頬を両手で挟み、真っ向から言い放つ銀時の声に迷いはない。  
「銀さん……」  
「相応しいだとかなんだとかごちゃごちゃ考えてんじゃねーよ。俺に惚れてんなら――黙って俺の、傍にいろ」  
「……っ、はい!」  
 
頷く妙が見せたのは、花が開くような笑顔だった。  
 
「ったく、無茶しやがって。ほら、もっと脚開け」  
「え……でも、その」  
「今更恥ずかしがってどーすんだよ。気持ち良くしてやるから」  
「……はい」  
 
 頬を赤らめておずおずと脚を開く妙の身体を、改めて観察する。  
 女らしい、なめらかな身体だ。無駄な脂肪も必要以上の筋肉もついておらず、華奢という言葉が相応しい。  
 胸のふくらみは正直言ってあまりない。が、掌にすっぽりと収まるであろうそれは桜色の先端とあいまって年端もいかぬ少女のようで、銀時の背徳感を煽る。 腰から下半身にかけてのラインは細いが柔らかく丸みを帯びていて、食べ頃の白桃を思わせる。  
 
 銀時は程好く生えた茂みを探り、膨れた陰核を撫でた。  
「やっ!」  
 びくりと反応する妙のそこを、触れるか触れないかの強さで撫でる。すると、指の動きに合わせて徐々に湿った音がしてきた。  
 
 くちゅ、にちゅぬちゅくちゅ。  
「あ、……あん!や、ぁ、銀、さ、あっ、はぁっ、駄目です、そこ駄目ぇ……」  
「駄目な訳ねーだろ」  
「や、だって、変になっちゃ、あ」  
「なっちまえよ、変に。折角だから一回イっとけ」  
「ふ、ぁ、やだ、いっちゃ、あ、銀さん、銀さ、ぁ、あっ!あぁぁぁっ!」  
 
びくびくと痙攣して果てる妙の背中に手を回し、銀時は再び接吻をする。不器用ながらも応える舌がいじらしい。  
「そろそろいいか?」  
「はい、あの、お願いします」  
「固くなんなよ、力抜け。ゆっくりするから」  
「はい。あ、ん……あ、あっ、や……ぁ、あっ」  
銀時がゆっくりと腰を使いだす。ゆさゆさと揺さぶられて、妙が声を上げる。  
 
処女であった妙の中は痛いほどにきつかったものの、銀時の愛撫に反応して徐々にほぐれてゆく。  
ず、ずぬ……ちゅ、ぢゅく、じゅぷ、ぐちゅ、ぢゅく、じゅぷぷ!  
 
「あっ……あん、あ、あっ!や、あっ、は、あっ!銀さん、やっ!ふ、あっ、あっあっあっあっ!」  
「気持ちいいか?」  
「はい、気持ちいい、です、やっ!あっあっ!いく!またいっちゃう!」  
 
結い上げた黒髪を振り乱して妙が初めての感覚に悶える。銀時は不安げにさ迷うその手を握り、しっかりと指を絡めた。  
 
「イっていいぞ。我慢すんな……俺も、も、限界……ッ」  
「あっ!あぁぁぁっ!銀さん!いく、いくいくいくっ!いく!銀さん!あああっ!」  
「うあ、も……出るっ!」  
 
力尽きて前のめりに倒れた妙は、銀時の首にしがみついて突かれながら達した。  
銀時も妙の締め付けで果て、中に精液を流し込む。  
 
「はっ、はぁっ、銀さん、好き……んちゅ、ん、ちゅ」  
繋がったまま舌も指も絡めて、甘ったるく事後の余韻に浸る。上顎の裏を舐めると妙の内部がびくりと震え、互いの体液が溢れ出た。  
 
 
 
 
「……ぁ、ぎ、銀時、お妙ちゃん。悪いんだが、はぁっ、その、そろそろいいか……?」  
「随分と見せつけてくれるでありんすなあ。待ちくたびれたでありんす」  
「そうよ、妬けちゃうわ。お妙さんやるじゃない」  
 
「うおっ!」  
熱の籠った声に頭上を見上げると、そこには九兵衛、月詠、さっちゃんの三人が銀時をぎらぎらした目で見下ろしている。正直怖い。  
 
「はあっ……頑張ってくださいね、銀さん」  
 
――俺、四人分もつかな、コレ……  
 
今更そんな危機感を覚えながら、銀時は柳生家次期当主――柳生九兵衛に向き直った。  
 
 
 

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