もうこの辺でいいアル、そう言葉を小さく残してから、神楽は幼い前髪を揺らして
銀時に背を向けた。
「あっそ。じゃあな」
乾いた声が背中に響く。その切っ先が胸をえぐる。
最近の銀ちゃんは冷たいアル。
盗み見るように後ろ姿をチロリと確認し、何事も無かったかのような素っ気ない肩先に
ますます胸が痛む。
いつもどこかへ行こうとしている。神楽の目には銀時がそう見えて仕方がない。
走って追いかけているつもりでいるのに、時々ふっとその背を見失ってしまうのだ。
今もそう、銀時の身体の奥から隠しようのない修羅の、鬼の匂いが漂う。
それも、誰かを護るために。
神楽や新八が気付かないフリをしていることに、この優しい保護者は気付いているのだろうか。
「ネェ銀ちゃん。やっぱり一緒に……」
言いかけた言葉を制するように銀時の手の平がヒラヒラと動く。
「いい、いい。俺一人で十分回せる仕事なんだからよ。
酢コンブ買ったら真っすぐ家に帰れよ」
やはり駄菓子屋に付き合え、では押しが弱かったか。
しかしこの余裕のあるそぶりから見て、時間はまだあると神楽は踏む。
「うおっ?! なんだなんだ? おい、神楽!」
有無を言わせぬ剛力は白夜叉を凌ぐ。
神楽の子供の手ですら銀時を物陰に引きずり込むのは容易なことで、それなのに
心は一向に掴めないもどかしさが神楽の背伸びを助長してしまうのだろう。
「……私のこと好きアルか?」
「ガキは嫌いだ」
即答に首締めで応える神楽も、なぜ自分がこれほど苛立っているのかはっきりと
自覚出来ているわけではない。
これが恋愛感情の嫉妬なのか、自分を置いていく家族への憤りなのか。
好きにも幅がありすぎて困らせることしか出来ないのだ。
「っ好きだ、好き好き超愛してる!」
「証拠見せろヨ」
「まず首を締めんの止めろ!」
「…………」
「………?」
首を締める神楽の小さな手に涙が落ちて、その跳ねた雫が銀時の喉を濡らし、
奇妙な沈黙が二人を夕闇に沈める。
先に動いたのは銀時の方だった。
あ、と思う間もなく神楽の唇を塞ぎ、手首を握り返し、チャイナドレスの股を膝で割って、
押し倒した。
子供扱いに慣れきっていた神楽にとっては、ただただ硬直するしかない。
日が暮れ、街灯に移り変わるほんの数瞬の暗闇の中で、男女の交わりを
求めようとするその意図が、神楽には理解出来ない。
その隙が銀時の横行を許した。
性感帯の開発を要する胸ではなく、幼くとも淫らに反応するクリトリスに
銀時の手はのびた。
スリットの間から入り込み、陰部を覆う薄布越しに小さな突起を探り当て撫で上げた。
当然あがるであろう初々しい喘ぎを舌先でからめ取り、逆に奥へ奥へと舌をねじ込む。
抵抗の仕方を忘れたように神楽の両腕は震えたままで、上にのしかかって
押さえ付けてくる男を見るのすら出来ずに目を閉じ続けた。
 
濡れたこともない尖ったクリトリスをイジメる指は思ったよりも優しく、
快楽以外の感触を与えてはこなかった。
柔らかい指の腹でクリトリスに円を描いて、時折するどく責めあげる絶妙な動きに
神楽の頬が淡く染まっていく。
驚きよりも羞恥よりも、身体の芯を走る快感神経の強烈さに、思考を根こそぎ奪われて
尻がぶるぶる震え出した。
下着の隙間に銀時の指が入り、神楽が生まれて初めて漏らした愛液で自身のクリトリスを
濡らされた瞬間、激しい快感は衝撃のように神楽をのけ反らせ、弾みで唇が離れてしまった。
「銀ちゃ……ん」
何度も呼び慣れたはずの名も、甘い泣き声に染め上げられ他人の名のように耳に響いた。
それが寂しくて神楽はキスをねだり、銀時は応える。
キスの意味がいまだ分からない、だがそれでも神楽は銀時の舌に自分のあどけない舌を
預けるように絡ませて手から力を抜いた。
それもねちょりとクリトリスをなぶられると、何かに耐えるようにきゅっと力が込められる。
巧みで容赦のない責めは際限なく続くかと神楽には思われたが、快楽の波は
銀時の執拗な指先によりうねり高まり訳の分からない場所へと押し上げてきた。
くちゅくちゅと音がする。勃起したクリトリスがねっとりと濡れたまましごかれて
皮ごと指の間でなぶられ震わされて悶絶していく。
絶頂へは柔らかく押し潰すように責め続けられて連れていかれた。
地面の上で背が弓反る。脚が震える、尻が締まる。抑え切れない喘ぎ声が
銀時に吸われ、神楽は涙がとまらない。
気持ち良くて、頭が痺れて、ドクドクと心臓が暴れ回って、キスをしている感触すら
遠のいて、ふわりと身体が脱力していくのを感じていた。
ゆっくりと唇が離れていくので銀時を見上げると、遠い街灯を背に受けて少しだけ、
笑みを浮かべているような気がした。
「……なに、銀ちゃん、なにこれ……」
呆然とするより他に神楽はしょうがなくて、ジンジン響くクリトリスの余韻に息を荒らして
冷たい地面に横たわる。
「なにって、証拠」
大人のすることって分からない。
確かなのは、自分もその大人への階段を無理やりのぼらされたということ。
「大丈夫か?」
ふらりと起き上がろうとする神楽の手を銀時は握る。
その手を一度だけぎゅっと握りしめると、反動をつけて振り回し、反対側の道へ
互いを飛ばす。
回復の速さに銀時が面食らっている間に、チャイナ服をくるりと翻し神楽は早口で言う。
「早く帰ってこいヨ天パ」
憎まれ口以外をどう吐けというのか。
そんなにすぐ大人になれるわけないダロ、バカ。
「待ってるからナ!」
言外に含まれることの多さに神楽自身も気付いていない。
万事屋へ走っていく神楽の後ろ姿を、神妙な顔で銀時は眺めながら、まだ早かったか、と
出たばかりの薄い月に呟いた。
 
 
 


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