それは思いの外簡単だった。
「あなた誰かしら。私金さん以外の男に興味無いのよ、さっさと帰しなさい腐れ天パ」
後ろ手に、縄脱けできぬよう二重三重に拘束されながらもさっちゃんは動じていない。
「金さんに恨みでもあるの?……あなた、高杉とか言う厨二病患者の手先?もしそうだとしても、ずいぶん卑怯でしょぼい手を使うのね」
この状況になっても眉一つ動かさない彼女の顔は始末屋のそれ。隙あらば銀時を殺そうと機会を伺う、圧し殺した殺気。
「落ち着いてるんだな」
「金さんが助けに来てくれるもの。あの人はいつだって、私を助けてくれたわ。あなたなんかには一生かかっても解らないでしょうね、誰かを命懸けで助けたり本気で好きになるなんて」
「……」
解るさ、と言おうとして止めた。彼女の中では銀時はいきなり自分に当て身を食らわせ、縛り上げて廃墟に連れ込んだ下衆野郎だ。
万事屋の天井を突き破って落ちてきて、銀時が本気で結婚を誓ったことも。
ゴニンジャーとして共に戦ったことも。
銀時が壊した眼鏡のために死にかけたことも。
何もかも全て、消えてしまった。
「そうだな。解らねえよ」
「な……ッきゃあっ!!」
銀時はさっちゃんの襟元に手をかけると、力任せに忍装束を破った。
ふくらみを絞り出すように胸の上下に這わされた縄に、衣服とは呼べない布切れが引っ掛かりいやらしい。
「可愛い声出すんだなァ、さっちゃん」
「……屑が」
「何とでも言ってくれや。金さん以外にはSなんだろ?」
「……」
最早言葉を交わすことさえ忌々しいといった表情で、さっちゃんは唇を噛む。銀時は嗜虐の悦びで頬を緩ませながられろりとその唇を舐めた。
「……ッ、ふざけないでよ!」
「ふざけてなんかいねェさ」
気丈な声音に混じる焦りの色。銀時は腕を縛ったものと同じ、麻縄を取り出した。
暴れる両膝を折って固定し、足首にも麻縄を巻いてM字に開脚した状態で縛る。
縛るのを忘れていたわけではない。縛られて犯される絶望を感じさせるためにさっちゃんの意識が戻るまでわざと脚は自由にしておいたのだ。
「卑怯者な上に臆病なのね。これだけしないと女一人に手を出せないの?それとも女を縛らないと満足できない変態野郎なのかしら?」
「ああそうさ、俺は女を縛って責めて焦らして虐げて犯すのが大好きな変態野郎さ。好きなだけ蔑めよ。その代わり」
銀時はさっちゃんの顎を掴んで持ち上げる。
「こっちも好き放題ヤらせてもらうぜ。――っ、と」
頬に飛んできた唾液を拭い、銀時はさっちゃんを押し倒した。
「……っ、……」
「声出せよ。誰も聞いちゃいないぜ?」
豊満な胸をわざと焦らすようにゆるゆると触る。先端には一切触れずにその周囲だけを、円を描くように。
せめてもの抵抗のつもりなのだろう。顔を逸らして唇を噛むさっちゃんがいじらしく、銀時は尖った胸の先端に思い切り歯を立てた。
「あぁぁぁぁッ!」
「いーい声」
滲んだ血の味と響いた悲鳴に満足して、銀時はぴちゃぴちゃと充血した先端を舐め回した。
吸い付き、転がし、もう一度噛む。飽きたらもう片方のふくらみにむしゃぶりつく。
「ひ……ぅ、ふぅ……あぁっ!痛ぁぁッ!!」
歯を立てる度にさっちゃんは声を上げ、たっぷり三十分ほど後に銀時が顔を離した時には彼女の白い胸元は歯形だらけになっていた。
「はっ……は、っ」
「なァさっちゃん。これ、金さんが見たらどー思うかな?」
「――!?」
「違う男に弄られて乳首勃たせて、こんな歯形つけられちまって。んで」
「やっ……!?」
「ここ、こんなに濡らしてんだもんなァ」
スパッツで覆われたそこを、ぐりぐりと指で弄る。湿ったそこが音を立て始めるまで時間はかからなかった。
「なァ、何だよこれ。銀さんの指、湿ってきてるんだけどよォ。まさか感じてんの?眼中にない男に胸噛まれて、ここ弄られて?」
「……ッ」
銀時は息を吸って、耳元で囁いた。
「ヘンタイ」
「〜〜〜〜〜〜〜!!」
じたばたと暴れるさっちゃんを押さえ込み、銀時は更に愛撫を激しくする。
焦らすように触り続ければ、荒くなるさっちゃんの吐息。
やはりこの女はマゾヒストだ。縛られて責められて焦らされて虐げられて犯されて悦ぶ、どうしようもない雌豚だ。
銀時は鋏を取り出した。髪と同じ銀色の刃が鈍く光る。
「……ッ」
「何?怖いの?」
にへらと笑って菖蒲色の髪を掴み上げ、鋭い刃先を喉元に突きつける。
「そうだな。お前、目ェ殆ど見えねえんだろ?……じゃあ、今更片眼くらい見えなくなってもどうってことねェよな?俺の事も見分けられなかったんだからよ」
「――!!」
ゆっくりとゆっくりと、刃先を滑らかな輪郭に沿って上に滑らせる。蒼くなったさっちゃんの顔色に、銀の刃がよく映えた。
こつん。刃先が赤いセルフレームの眼鏡に当たる。
そのまま数秒。きつく眼を閉じたさっちゃんと銀時の間に、鉛のような沈黙。
「なーんて。嘘に決まってんじゃん。怖がっちゃってかぁーわいーい」
一転、明るい調子に戻って笑う銀時の声にあからさまに安堵した様子で、さっちゃんが眼を開ける。
「眼なんか抉ったらこれからテメェが犯されるのが見えなくなんだろ?なァ雌豚」
「な、やぁぁっ!!」
銀時は鋏を持ち直し、一気にスパッツと下着を切り裂いた。さっちゃんの表情が今度は安堵から焦りに変わる。
薄い茂みを掻き分けて、焦らされ続けた秘部に指を入れた。
濡れそぼったそこはぬるりと銀時の指を呑み込み、くちゅくちゅと音を立てて更に蜜を滴らせる。
ぐち、ぬちゅぬちゅ、ぴちゅ、ぷちゅぐちゅぐちゅ、ぬちゅぬる、ぐちゅちゅ!
「おい見ろよ、折角目ん玉残してやったんだ。テメーのまんこに好きでもない男の指が出入りしてんだぞ?ぬちゅぬちゅぐちゅぐちゅ音立てやがって、やらしいなぁさっちゃん」
「ひ、あ、ふ、ぁ、……っ、う、ふぅっ」
「なんか言えよ。気持ちイイんだろ?」
「っ、……く、ぅ、あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!?」
「うわ、クリトリスびんびんじゃねえか。何?期待してたの?触られたいって?」
充血した突起にきつく爪を立てる。強すぎる刺激にさっちゃんは仰け反って痙攣し、悲鳴を上げた。びゅくびゅくと蜜が溢れ、銀時の指だけでなく床まで濡らす。
「はぁ……あ、は、ぁ、も、許し……許して、お願い……」
「んー、そうだな。じゃあ一回口でシてくんね?銀さんも辛いわけ。気持ちよくしてくれたら帰してやるからよ」
「……わかったわ」
息も絶え絶えに懇願するさっちゃんにそう持ちかけると、彼女は歯噛みしながらも頷いた。銀時は脚の縄をほどいてやり、跪いた彼女の前に立って屹立したものを取り出す。
「んじゃ、銜えて。と、その前に」
「ん……何よ、早く……しなさいよ」
「口の効き方がなってねーぞ雌豚。お願いしろよ」
「……ッ」
さっちゃんの瞳が屈辱に揺らぐ。血が出るほど噛み締められた唇が数秒後、ゆるゆると開いた。
「……おちんちん、銜えさせてください」
「誰のを、誰が?」
「銀さんのおちんちん、……雌豚さっちゃんに銜えさせてください……ッ」
「合格」
ぴちゃりと、さっちゃんの唇が銀時を包んだ。
「ん、む……ん、ぢゅ、ん、んんん、ふぅ、んーッ」
「あー、いいわさっちゃん。すげー気持ちイイ」
両手を縛られたさっちゃんは懸命に口だけで銀時に奉仕する。
舌と唾液と喉の肉が絡み付き、ぢゅるぢゅると吸い付かれて銀時は陶然となった。
「頑張れよ?銀さんが気持ちよくなったら帰れるんだからな」
「……っ」
「おら、もっと舌使えよ」
「んっ、んん、むっ、んちゅ、ちゅる、ぢゅっ、れろ、んむむ、ちゅ、ぢゅく、れろ、ぢゅるる」
首を前後に動かして銀時を扱き、亀頭に、裏筋に舌を這わせる。正直さっちゃんの技量は今までに抱いたどの女にも勝るものだった。
シチュエーションによる興奮も相俟って、銀時に限界が近付く。
「……ッ飲めよさっちゃん!」
「ん、んんッ!んんー!」
さっちゃんの頭を押さえつけ、無理矢理に精液を飲ませる。最初はじたばたと抵抗していたさっちゃんも、銀時に一睨みされて観念したのかこくこくと白濁を飲み下した。
「ん、ん……ぷはっ、ねえ、もういいでしょう?約束通り帰してよ」
「ん。あー、そうだな。さっちゃん頑張ったしな」
銀時は言うなりさっちゃんの身体を四つん這いにさせて押さえつけた。
「ご褒美に気持ちよーく、ぐっちゃぐちゃに犯してやるよ」
「な……話が違うじゃない!」
「違わねェよ。俺は気持ちよくしてくれたら帰してやるっつったんだ。一発ヌいたら終わりなんて都合の良い話ある訳ねーだろ。それに」
「や……や、嫌!触らないでッ!」
「ここは欲しくて仕方ないみてーだけど?」
固さを取り戻した自身を更に濡れて蜜を滴らせるそこに擦り付ける。ぬちゅぬちゅと浅く弄べばさっちゃんの身体が震えた。
「ってなわけで、いただきまーす」
「あぁぁぁっ!」
さっちゃんの中に銀時がぬるんと滑り込む。苦もなく収まったその感触。彼女の精神は絶望に、肉体は歓喜に震える。
銀時は前後に腰を動かし始めた。適度に銀時を締め付けるそこの感触を楽しみながら、手を振り上げる。
乾いた音がして、さっちゃんの艶やかな尻に銀時の掌が振り下ろされた。
一発、二発、三発。白い肌がみるみる赤く腫れあがる。
「あっ!やぁっ!ふ、あっ!痛、あぁっ!」
「腰振れよ雌豚。叩かれて締め付けてんじゃねーよ」
ぐちぐちと秘所を犯し平手で叩き言葉で嬲る。
痛みと屈辱と快楽がマゾヒストであるさっちゃんを刺激し、支配し、いつしかさっちゃんは素直に喘いでいた。
「あっ……あっ!ひ、ぅ、あぁん!や、ぁっ!あ、あっあっあっ!いや、いやっ!あっ!あっあっあっ、あぁっ!」
「何?感じてんの?好きでもない男にちんこ突っ込まれてあんあん喘いで。お前どんだけ淫乱なの?……サボんなもっと腰使え雌豚!」
また平手で尻を叩く。叩かれる度に、責められる度に。さっちゃんの背筋を快楽が駆け抜けて銀時を強く締め付ける。
「あー、気持ちイイ。気持ちイイから中で出すけど良いよな?こんだけ精液欲しいってまんこきゅんきゅんしてんだからよ。ほら、中で出すぞ!」
「あっ!や、ああっ!駄目、中で出したら駄目!あっ、嫌!あっ、あぁっ、あっあっあっ、あぁぁん!駄目、駄目だめだめぇ!そこ駄目ぇ!」
敏感に腫れ上がった肉芽を押し潰すとさっちゃんは呆気なく達し、身体をがくがくと痙攣させた。
「はっ……知るかよ……!」
絶頂を迎えたさっちゃんの締め付けに銀時も果て、欲望をさっちゃんの中にぶちまけた。
「……満足したでしょ。金さんのところに帰して」
事が終わって。流れる白濁もそのままに、俯いて呟くさっちゃんの頭を銀時は優しく撫でてやる。
「そうだな、さっちゃん頑張ったしな」
「それじゃあ、」
「だからご褒美に、孕ませてやるよ」
「え――」
「俺、さっちゃん気に入っちゃった。大丈夫、ここ誰も来ないし銀さん今日だけで後三回はできるから」
「そん、な」
「心配すんなよ。時間はたっぷりあるんだし――楽しもうぜ、さっちゃん?」
濃厚な口付けをしてくる銀時を拒む気力もない。
再び押し倒されて、さっちゃんは一筋涙を流した。
了