「貴様ら!たばかったっスね!」  
叫びながらまた子が2丁の銃を連射する。  
 
倒れる天人と、銃を撃ってくる天人。  
「来島さん、ここは任せて逃げて下さい!」応戦するまた子と数人の仲間がいたが、  
その仲間もことごとく倒れて行く。  
 
「こんな所で負けてられないっスよ!こんな取引すら出来ないなんて、  
情けなくて晋助さまに会わせる顔がないっス!」  
また子は敵に向けて引鉄を引き続けた。  
 
天人の武器商人との日常茶飯事な取引のはずだった。  
 
高杉はまた子と数人の仲間に交渉を任せ、事は順調に運ばれていたはずだった。  
しっかりと仕事出来たなら、高杉の自分への評価も上がる。  
また子は気を引き締めてことに及んだ。  
だが、いざ金を渡す段階に来て天人は掌を返し、攻撃をしかけてきたのだった。  
 
(まずいっス・・・早く晋助様に報告しないと)  
そう考えた一瞬の隙を狙われ、また子は後ろから後頭部をしたたかに殴られた。  
ドサッとその場に体が崩れ落ちる。  
 
(し・・・んすけ・・・さま・・・)  
愛しい男の顔が脳裏に浮かんだ後、また子の意識は闇に包まれた。  
「どうするんすか?この女」天人の商人達が倒れたまた子を囲んで話す。  
「なんでも地球人の女はあっちの方がいいらしいぜ。これから長旅だ。ご奉仕してもらおうや」  
グヘヘヘと、下品な笑い声を上げて天人達は笑った。  
 
また子がようやく目を覚ましたのは、冷たい牢の中だった。  
どれくらい倒れていたのかわからない。ここは・・・?周りを見渡すと、  
床は金属が剥き出しの床で、前後左右も金属の鉄格子に囲まれている。  
ズキズキする後頭部を押さえ、「誰かいないっスか!?」暗闇に向かって叫んだ。  
 
だが、虚しく自分の声がこだまするだけだった。  
 
あたしだけ生き残った?仲間はどうなったっス?  
晋助様は・・・  
 
カンカンカンと、金属の階段を下りてくる足音が聞こえた。  
足音のする方向を、また子はキッと眦を吊り上げて睨みつけた。  
「目が覚めたようだな地球人のお嬢ちゃん」「ヒヒヒヒなかなかいい女じゃないか」  
「いい女と言ってもしょせん猿ですぜ」ゲラゲラ笑いながら、数人の天人が  
また子の牢に近づいてきた。  
異形の天人に背筋がゾクッとしたが、自分は鬼兵隊の幹部だ。こんな事で怯んでいられない。  
 
「おまえら、金出すの渋って取引ぶっ壊しやがったっスね!」  
また子が叫ぶと、パァンと頬を張られた。  
「口の利き方に気を付けな。長生きしたかったらな。おい、始めろ」  
口元に流れる血を拭いながら、「さっさと開放するっス!こんな事鬼兵隊に知れたら、  
お前ら皆殺しっスよ!」  
がつっと髪をひっつかまれ、「ぎゃあぎゃあうるせえんだよ。お前はここからずっと  
出られねえんだよ」そう言いながら臭い息を吹きかけられた。  
 
「何言って・・・」  
その時、羽交い絞めされて、ビリビリと着物を破り取られた。  
全裸にされたまた子は「何するっスか!」まだ気を強く持っていたが、運び込まれた台を見て、  
顔色を変えた。  
 
「ほれ。とっとと縛り付けろ」  
「嫌だ!いやあああ!」暴れて抵抗したが、数人の力でねじ伏せられ、  
四足の木のテーブルのようなその台に、うつ伏せに乗せられ、四足にそれぞれ手、足を  
拘束され、台自体も床に固定された。  
首は台につけられた木の枷に挟まれ、完全に身動きが取れなくなってしまった。  
「大人しくしてな」猿轡を噛まされ、全裸の下半身を曝け出された恥ずかしさに、  
「うーっ!ううっ!」また子は猿轡の下で喚いた。  
 
それは女用の拷問具なのか、うつ伏せの乳房の部分は切り取られていたので、  
また子の豊満な乳房が、台から実る果実のようにこぼれた。  
「グヘヘヘへ。や、柔らけえ」一人がその乳房をがっしり掴み、揉みしだく。  
「すげえすべすべだ。地球人はみんなこんななのか」色んな手が体中を撫で回す。  
嫌悪感で鳥肌が立つ。また子は吐き気を必死に堪えた。  
 
一人が尻の割れ目を手で開き「入れるのは上と下、どっちの穴だ?」「どっちでも  
いいんじゃねえか」  
また下卑た笑い声が起った。  
 
いつの間にか、狭い牢の中で10匹程の天人に囲まれていた。  
 
「じゃあ俺が試してやろう。当たりなら気持ちよがるんだろ?」  
一人の天人が、ズボンの前を開けて、また子が見た事もない形のペニスを掴み出した。  
「ひっ」ずっと気を張っていたまた子だったが、ここに来て初めて恐怖を覚える。  
後ろに回った天人は、また子の秘所に硬くいびつなペニスを押し当て、一気に突き込んだ。  
 
(嫌だ嫌だ!晋助さまあああ!)誰にも届かない悲鳴を上げる。  
 
それは地球人のものより太く長く、また子の子宮口を突き上げた。  
「ううっっ!」濡れもしてないのに挿入され、子宮口を突かれた激痛にまた子が呻く。  
「おおーーーすげえいいぞ!凄い締まるぞ!」台がガタガタ軋むほど腰を振る。  
「おい、血が出てるぞ。なんだ?」「地球人の言うショジョってやつじゃねえのか」  
 
拘束された台を足を伝って、また子の破瓜の血が流れ落ちる。  
(晋助さま晋助さま・・・)心の中で必死に叫び続ける。  
また子の瞳から涙が零れる。  
「泣いてるぞ。気持ちよかったんじゃないのか?」  
「そうか?こうか」グリグリと腰を押し当て、回してみせる。「ううう。うーっ」  
身動きが取れず、痛みにまた子は涙を流し、呻くしか出来なかった。  
「俺もやってみてえ。早く代わってくれよ」「いや、次は俺だ」「ふざけんなずっと待ってんだぞ」  
 
順番を巡って天人達はワイワイ揉め始めたが、しばらくすると順番が決まったらしく、  
1匹づつまた子を犯していった。手が空いてる奴は、乳房を握り、乳首を摘み弄んだ。  
まだ破瓜で血が滲んでいる中に、次々に色んな形のペニスを突き入れられ、痛みに呻く中、  
それぞれがいろんな色の精液を放っていく。  
抵抗も出来ないまま、さらけ出た秘所から、放たれた精液がゴボゴボと溢れ出て、  
台を伝い足を伝って床に溜まって行く。  
 
「こっちの穴はどうだ?」菊門に、腕のように太いペニスをギリギリと押し込まれた時、  
あまりの激痛についにまた子は意識を手放した。  
 
気を失っている間も天人達の輪姦は止まらなかった。  
 
終わったかと思うと違う者が牢へ下りて来て、また子を犯す。  
挿入され、ゆすられ、痛みに意識を取り戻す。  
「うーっ!ううっ!」唸って抵抗することしか出来なかった。  
また子の体は天人が放った精液にまみれ、この陵辱は永遠に止まらない・・・と、  
絶望して目を瞑った。  
もう何日嬲られてるのか、また子自身わからなくなっていた。  
 
「大変です。春雨からの連絡を受信しました」  
商船の幹部らしき者がまた子を犯しながら腰を振っていた時、天人の一人が告げた。  
「うっ」呻いてまた子の中に精液を搾り出すと、「春雨が!?」荒い鼻息で言った。  
「武器の売買の交渉に・・・幹部が来るらしいです」  
慌てふためきながら、天人達は階段を上がっていった。  
 
幹部が来る。  
と聞いていた天人達は、提督自身がやって来た事にピリピリと神経を張り詰めた。  
「これだけ?」武器庫を見せられた春雨の提督、神威がにっこり尋ねる。  
「へ、へえ、あとは地下に。どうぞこちらです」  
口笛を吹きながら、阿伏兎を従えて商人の後を付いていく。  
 
地下牢に差し掛かったとき、神威の足が止まった。  
 
「あれぇ?なに、これ」また子の目の前にかがんで、彼女の顔を見つめた。  
「あっ、そ、それは、その、船員の娯楽の為に置いてる女で・・・」  
「ふぅん。娯楽ねぇ」ビクビクと商人達に恐れが走る。  
「よ、よろしければ、いかがですか?武器と一緒におつけしやすが」  
商人は作り笑いで取り繕う。  
 
また子の目はうつろで髪は乱れて荒れ、やつれはてた顔は唇がかさかさに乾いていた。  
体は傷だらけで、異様な体液の匂いがした。  
目の前で手をぴらぴらする神威に、彼女は何の反応も示さない。  
 
後から入ってきた阿伏兎がその光景を見て、「おい、これは・・・」  
言いかけた時に、神威がにっこりと口に人差し指を当てたので、言葉を飲み込んだ。  
 
「ふ〜ん。お古をくれるってわけだ」立ち上がってちょっと凄んだ神威の言葉に、  
天人の船員はギクリとして、慌てて「磨けばいい女になりますぜ。あっちの方も  
すごくいい具合でさ」と必死に弁解する。  
「興味ないな。行こう阿伏兎。とんだとこで道草食っちまった」  
 
くるりと振り返って部屋を出て行った。  
「まずいんじゃないか?春雨を怒らせちまったんじゃ」ざわざわと天人の商人達が囁く。  
 
「おい、待てよ。あれはあの男んとこの・・・」阿伏兎が神威の背中に語りかける。  
「ああ、そこんとこはよろしく頼むよ」  
「ま〜た面倒事を押し付けようってのか、このスットコドッコイ」  
「ははは。でも女ってほんと、脆いもんだね」笑いながら言ったが、その目は笑っていなかった。  
 
この会話で、船の行く先が決められたのを商人達はまだ知らなかった。  
 
暫くは何事もなく、航海を続けていたので、商人達は春雨とのやりとりを忘れかけていた。  
相変わらず、地下牢に捉えられたまた子を嬲り、いたぶっては楽しんでいた。  
 
「ああああ・・・ぐぅっううっ」また子の秘所に、一人が腕を手首まで突っ込んでいた。  
苦しさと痛みにあえぐまた子の口に、別の男が醜悪な形のペニスを突っ込んだ。  
「すごいぜこの女。腕まで入りそうだ」「無茶すんなよ。壊しちゃもったいねえ」  
下卑た笑いが狭い牢にこだまする。  
 
「おら口を休めるな。じっくりしゃぶれよ。吐き出すなよ」また子の頭を抑え、  
涎を垂らしながらピストン運動をしている。そして、黄色い臭い精液を口の中に放った。  
「うえぇぇっごほっげほっ」匂いに咽て吐き出したまた子の頬を、ガシッとこぶしで殴る。  
「吐き出すなっつっただろ!」アザができたまた子の口元から血が流れた。  
 
その時。  
ゴオン!!!と、爆発音が響いた。  
地下牢にいた天人達もその異常な音に「何だ!?」「事故か!?」途中でまた子を放置し、  
金属の階段をカンカンと駆け上がっていった。  
 
甲板では、沢山の天人たちが慌しく走り回っている。  
 
地球人にはわからない言葉で叫ぶ声、銃の音がする。  
何かが爆発する轟音。  
 
また子は遠くに聞こえるその音にぴくっと反応した。  
(ああ・・・死んじゃうんスね・・・あたし)  
そっと目を閉じる。  
こんなまま生かされるなら、死んだ方がいい。  
(死ぬ前に・・・晋助さまに・・・会いたかったっス)  
 
ドアを破るけたたましい音、バラバラと人が駆け込んでくる足音がした。  
また子は目を閉じたまま覚悟を決めていた。  
 
誰か殺して欲しいっス。  
 
だが、その望みは叶わなかった。  
ガツンと首の枷を叩き切られ、手足の拘束もそれぞれガツっと切り外される。  
肌に触れた冷たい感触に、それが刀だとわかった。  
 
バサッと布が乱暴に裸のまた子にかけられ、力強い腕で抱きかかえられた。  
赤子のように布で包まれ、抱き上げられたまた子は、目を見張る。  
 
「し・・・しん・・・すけ・・・さ」  
自分を抱きかかえているのは、死ぬ前に一目会いたいと願った高杉その人だった。  
 
「とんでもねぇヘマしやがって。強行突破するぞ。置いて行かれたくねえならしがみ付いてろ」  
「あああし・・・しんす・・け・・しゃまぁぁ!」  
高杉の首に弱った腕を回し、すがり付いてまた子は声を上げて泣いた。  
しゃくり上げ、言葉にならないまま泣き続けた。  
布越しに伝わる高杉の温もりが、心の底から愛おしかった。  
 
また子を片手で抱いたまま、鬼兵隊の仲間達と天人を叩き切りながら、船内を進む。  
バタバタと倒れる天人の返り血が、また子の顔にも飛び散る。  
また子が包まれた布は、紅い花が咲いたように飛血に染まっていく。  
 
ドカーーーン!!!!!と一際大きな音がして、船体が大きく揺れた。  
「春雨だぁ!!!春雨の襲撃だぁぁぁ!!!」  
どこかで叫ぶ声。激しい攻撃の音と怒号が響く。  
春雨?なんでこんなとこに奴らが来るんスか?  
ぼおっとした頭でまた子は考えたが、思考が衰えていてそれ以上考えられない。  
 
船の出口にさしかかった時、「少しは役に立てたかな?」  
壁にもたれて神威が立っていた。  
「あとは引き受けるから。あ、今度会うときはお洒落しててね、お姐さん」笑って言った。  
「・・・・・」  
高杉は何も言わずにまた子を抱いたまま船を出た。  
「相変わらずだねぇ」その後姿にケラケラと神威が笑う。  
「団長〜、じゃなかった”提督”、こんなとこで道草してていいのかね」  
阿伏兎が渋い顔でいつものように愚痴をこぼす。  
「大丈夫大丈夫。この船、武器いっぱい積んであるからさ、片っ端から貰っとこうよ♪」  
 
その日、春雨の襲撃により天人の大型商船が沈んだ。  
また子を見た日、高杉に事を知らせた神威は、今回の襲撃のドサクサにちゃっかりと  
武器をかっぱらって行った。  
 
医療室で、また子は点滴を受けながら眠りについていた。  
船医の説明を高杉は黙って聞いていた。  
体をきれいにされたが衰弱が激しく、不衛生に犯され続けた性器は酷い炎症を起こしていた。  
暫く安静と言われ、また子はベッドで眠り続けた。  
 
隊内では、高杉から「拉致、監禁されていた”だけ”」だと報告され、そう記録された。  
 
帰って来れたことと、高杉が自分を助けに来てくれた時の事を、何度も脳内で反芻しながら、  
感謝と喜びと、己の失態を噛み締めてまた子は眠る。  
 
繋がれ、嬲られていた悪夢を見て、何度も飛び起きた。  
「晋助さま・・・」自分の体を抱きしめて、声を殺して泣いた。  
自分の体はもう、どこもかしこも汚れてしまった。  
(取引も失敗して、申し訳ないっス。あたしはどうしたらいいっスか?晋助さま)  
 
もう一度眠りに付く。何もかも忘れるくらい眠りたい。  
起きた時は今回の失態への厳しい罰が待っているに違いないから。  
 
深い眠りに入った時、カチャッとドアが開く気配を感じた後、煙草の匂いが漂った。  
髪と顔に何かがふれた気がしたが、起きることなく昏々と眠り続けた。  
「連中を甘く見ていた俺の責任だ。なんにしてもお前が戻って良かった」  
晋助さまの声がする・・・夢見てるんスね。  
 
「ごめんなさい・・・晋助さま・・・ごめんなさい・・・」うわ言で何度も繰り返す。  
眠ったまま零した涙を誰かの指が拭き取った。  
 
また子がようやく目覚めたのは、2日後だった。  
(晋助さまの夢を見たっス)夢の中の高杉は、聞いた事のないような優しい声だった。  
夢だったけど嬉しいっス。火照る両頬を手で覆って目を瞑る。  
ふと、何かいい匂いがするのに気づく。  
 
体を起こして香りを辿ってみると枕元の台の上に、不器用にむかれ、いびつに四つ割にされた  
林檎の皿が置かれていた。  
 
そっと一切れ手に取ってかじったら、甘酸っぱさで胸がいっぱいになった。  
また子の瞳からぱたぱたと涙が零れた。  
(晋助さま・・・また子はどうなっても、どこまでも貴男についていくっス)  
胸の中でそう誓い、ぐいっと涙を拭い、俯いていた眼差しをキッと上げた。  
 
<< おわり >>  
 
 

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