「銀さーん!また放置プレイ?」
「るせェーな。消えろこのストーカー女!」
朝っぱらから万事屋で聞こえてきたのはこの二人のいつものくだらないやりとり。
「まーたやってるネ。あの二人」
「懲りないですねー。さっちゃんさんも」
神楽と新八は二人の光景を朝食をとりながら呆れた顔して見ていた。
「俺ァ、今から朝飯食うんだよ。お願いだから邪魔しないでくれる?つーか人ん家に勝手に不法侵入すんの辞めろっつーただろーが」
「不法侵入じゃないわ。今日は銀さんに渡したい物があってきたの」
そういうとさっちゃんはいつの間にか手に持っていた箱を銀時に渡した。
「全蔵の知人の誕生会が昨晩あってケーキが大きすぎちゃって余ったから銀さんにもおそそわけしようかと思って」
銀時が箱を開けると中には大量の納豆が上に乗っているケーキが入っていた
「食えるかーー!!!!」
銀時はさっちゃんの顔面にケーキを投げ付けた
「あーあ銀ちゃん!下の方なら普通に食べれるネ!もったいないヨ」
神楽はさっちゃんの顔面についたケーキを指でとって口に加えた。
「ひどい………」
さっちゃんが俯きながら口を開いた。
「あぁ?」
「ひどいわ銀さん!せっかく銀さんを思って…全蔵の知人の知り合いの孫の友達のお母さんのママ友達の旦那さんが食べようとしてたとこを無理矢理譲って貰ったケーキなのに…!!!」
「果てしなく迷惑だろうが!!!つーか大きすぎて食べ切れなかったケーキを捨てるなら下さい的な感じで貰ったやつじゃねーのかよ!」
銀時がそう言い終えた後にはすでにさっちゃんの姿はなかった。
「…ったくあのヤローのせいで今日1日分の体力使い果たしちまったぜ」
と銀時はようやく朝食が取れるとホッとするが銀時の皿は空っぽだった。
「ちょっと俺の飯は?!」
「銀ちゃんいつまでも食べないから食べないと思って私食べちゃったヨ」
それを横に新八は食べ終わった食器を片付けだす
「何勝手に人の許可なく食ってんだよ!食べないじゃなくて食べれなかったんだよ!てめーらも間近で見てただろーが!」
「冷める前に僕が神楽ちゃんに食べちゃっていいよって言ったんですよ」
「新八、私のこと庇わなくていいネ。私が…ご飯はあったかいうちに食べてあげたほうが喜ぶって…」
「神楽ちゃん。久しぶりに朝食作った僕が言うのもアレだけど…こういう自体を予測して僕がもうちょっとあとに銀さんの朝食をだしていれば…いつもは一緒じゃないからイマイチペースが…」
「……………だからなんなんだよこの会話!意味わかんねーし!つか何二人で庇いあってるわけ?」
「あれ…」
新八が何かに気づいた。
「なんか、弁当箱がありますよ」
床には手紙つきの弁当箱が置いてあった。
新八は備えてあった手紙を読んだ
「『銀さんへ。昨日まる1日使って頑張って作りました。これ食べて1日頑張るんだぞ♪さっちゃんより』…ですって」
「おめーら食っていいよ。どーせ納豆ご飯とかだろ。俺ァコンビニでパン買ってくるわ」
そう銀時は言うと外にでる支度をはじめた
「銀ちゃん最低ネ!女の子がまる1日一生懸命作った愛情タップリの手料理は市販のパンごときの価値アルか?!ゴミを扱うようなその舐めきった態度私、許せないネ!銀ちゃんなんか地獄に堕ちればいいネ!この天然パーマ!」
「天然パーマは関係ねーだろうが!!!!!」
「そうですよ。銀さん。神楽ちゃんの言うとおりです。女の子がまる一日…あれ?でも昨晩は全…」
「うおぉおおお!!!!なんじゃこれえぇい!!!!!」
「どうしたの神楽ちゃ…………おおおお!!!!!!!!!」
新八と神楽は何かに驚いた様子だ。
銀時は二人をチラっと見ると弁当はすでに開けられている様子だった
「ホラ、見ろ。納豆ご飯だったろ?」
銀時は得意げに言う。
「…まぁ、銀ちゃんが食べてもいい言うなら食べてあげてもいいアルヨー」
神楽の意外な返しに銀時は弁当の中身をみた
「!!」
弁当の中身は普通に唐揚げや卵焼き煮物などいろとりどりのおかずと梅干しご飯が入った美味しそうな弁当だった。
「なんだか彼氏に作ってあげるような可愛いらしいお弁当ですねー」
新八が羨ましそうに弁当を見ている
「いらないなら食べちゃうネ」
そう言うと神楽は卵焼きを手にとり口に入れた
「うわっ!これめっちゃ美味しいネ」
神楽は満悦の笑みを浮かべ卵焼きを胃袋に入れた
「ああ!!」
銀時は思わず声をあげた
「銀ちゃんいらないなんて珍しいネ。まぁ、食べないならもったいないアル。さっちゃんには可哀相だけど一生懸命作ってくれたのにどーせゴミ箱いきなら私達が食べてあげたほうがさっちゃんも喜ぶネ。ホラ、新八も食べるアル」
そういうと神楽は唐揚げを手に取り口に入れた
「…それもそうですね。可哀相ですけど。捨てちゃうのはもったいないですし」
そういうと新八は梅干しを手に取り口に入れた。
バッ!!!銀時は神楽が持っていた弁当を奪った
「あ!銀ちゃん何するネ!!」
「し、仕方ねーから食うよ」
「無理して食べられてもさっちゃんが可哀相ネ!!!!」
「そうですよ銀さん。ホラ、いいんですか?コンビニ行かなくて」
神楽と新八は銀時を見た
「…あァー!なんかいちいちコンビニ行くの面倒臭くなっちまったんだよ。」
銀時は頭をかきながら箸を手に取り弁当を頬張った。
「………あとでちゃんとさっちゃんさんにお礼言うんですよ」
「なんで頼んでないのに礼なんかしなきゃいけねーんだよ」
「卵焼き美味しかったって言っとけヨ。ゴミパーマ」
「なんだよゴミパーマって。天パの方が大分マシじゃねェーか」
________
夕方。パチンコから銀時はでてきた
「チッ!最初は機嫌よかったのによォ」
銀時はため息をつく
「あら、ダーリン。またパチンコぉ?」
視線を声の方にやるとそこには某アニメの若妻の姿をしたさっちゃんが立っていた。
銀時はスルーして歩きだす
「ちょ!!ダーリン!!」
「……」
「ねぇねぇ見てみて!
エコバックにねダーリンと私の刺繍入れたのよ♪どう?可愛い?」
「……」
「なぁに?ちょっとこんな皆が見てるとこで新婚早々焦らしプレイ?ダーリンはそういうのが好きなのね。いいわよもっと焦らしなさいよ!」
「……」
さっちゃんが銀時に抱き着こうとした瞬間
ドガッ!!!!!!!!
銀時はさっちゃんを蹴り飛ばした
「ダーリン!!」
「だからその呼び方ヤメロっつーの!」
「イヤよ!!私達もう夫婦じゃない!!朝だって愛妻弁当食べてくれたじゃない!!愛妻弁当でダーリンの胃袋を掴んだはずよ?」
「いつオメーと俺が結婚したんだよ!胃袋も掴んでもねェーし。つーか居たのかよ!!!」
「照れなくていいのよダーリン。」
「照れてねぇーし、その呼び方辞めろっつーてんのが聞こえねーのか」
「ダーリン、ウチのこと好きだっチャ?」
「ラムちゃんみたいに言ってもダメだっつーの!」
「銀さん……私のことスキ?」
「あぁ?俺は積極的な女は嫌いなんだよ。わかりましたか?わかったらとっとと銀さんの前から姿を消してください。ハイ右回れ」
「……」
さっちゃんは何も言わずに銀時の前をさった。
________
ある日の事。
銀時が帰宅の最中。
前方の方から見覚えのある顔が歩いてきた。
「…あら銀さん」
さっちゃんだ。銀時はさっちゃんを無視してスタスタと歩いていく
そんな銀時に対しいつものように追いかけることもなくさっちゃんもそのまま立ち去った。
いつまでもこないさっちゃんに対し銀時が後ろを振り向くとさっちゃんは普通にそのまま歩いていた。
「……ま、いっか…」
いつもと違った感覚に少々戸惑った銀時であった。
またまたある日の事
万事屋の仕事終わり。
皆で帰宅の最中
前方から見覚えのある姿が。
「あっ!さっちゃんネ!」
神楽がさっちゃんに聞こえるくらいの声で話した
「あら、万事屋さん達。仕事終わりかなにか?」
さっちゃんは笑みを浮かべ話しかけてきた
「そうアルヨ。犬の捜索してたネ!まぁ無事保護したアルけどな。私のおかげネ」
「おいおい神楽、俺が見つけたのをお前が捕まえただけだろーが。何勝手に自分一人のおかげみたいになっちゃってんの?」
「捕まえる方が難しいアル!」
「見つける方が難しいから!」
「まぁまぁ二人とももうどっちだっていいじゃないですか…あ、さっちゃんさんなんかすみませんね」
「いいえ。よかったわね依頼達成できて。それじゃあね」
さっちゃんはそういうと歩いて行ってしまった
「あれ?さっちゃんいつもみたいに銀ちゃんに絡まなかったネ。」
「そういえば…なんかおかしいなと思ったんですよ」
「銀ちゃんさっちゃんに何かしたアルか?」
「いや別に何も…」
「今日たまたまなんか落ち込むことでもあったんじゃないんですか?また今度会った時は銀さーんって言ってますよ」
「そうかもしれないアルネ。気にすることないヨ銀ちゃん」
「いやいやこの流れおかしくない?気にすることないヨとかおかしいでしょ。なんで俺が落ち込んでるみたいになってるわけ?逆に清々してるんですけど。嬉しいんですけど!」
________
そしてしばらくたったある頃−
銀時は部屋でボサッとソファで寝転がりながらジャンプを読みながらゴロゴロし、新八は部屋の片付けをしていた。その時
「銀ちゃーん!!!」
神楽の大きな声が部屋に響いた。
「銀ちゃん銀ちゃん!ビッグニュースアル!!」
「あー?道端に酢昆布でも落ちてたの?」
「さっきさっちゃんと会ったからガールズトークしてきたネ」
「それの何処がビッグニュースなんだよ」
「最後まで話し聞けヨ今から話すネ」
「で、何があったの?」
新八が片付けをしながら神楽に問いかけた
「早く言えよ」
銀時もジャンプを見ながら適当に神楽の言葉に相槌をする
「さっちゃん、銀ちゃんのこと諦めたって。好きでもなんでもないってヨ。よかったアルな」
その言葉に一瞬空気が凍った。
「……そ、それ本当なの?神楽ちゃん」
新八は片付けを辞めソファに座った
「本当ネ。私嘘つかないアル。銀ちゃんがいつまでも振り向いてくれないから愛想尽かしちゃったんだヨさっちゃん」
「…でもさっちゃんさんも結構楽しんでませんでしたか?てか喜んでませんでしたか?あの人ドMですし…」
「まったく女心全然わかってないアルな新八わ。これだからいつまでも童貞なんだヨ」
「童貞言うなー!!!!関係ねーだろー!!!!!……ちょっとは関係あるか…」
「ちょっと銀ちゃん聞いてるアルか?」
神楽が銀時からジャンプを奪う
「あ!なにすんだよ今いいとこだったのに」
「銀ちゃんがモタモタしてるからとうとうさっちゃん愛想尽かしちゃったヨ。あーあもったいないネー」
「まぁ、さっちゃんさんもあの性癖がなきゃ普通に美人だし気が利くし仕事できるしスタイルいいし胸も大きいですし…」
「新八オメーさっちゃんに会ったら胸ばっか見てたアルか?だからお前はいつまでたっても童貞ネ!」
「いや、もはやもう童貞関係なくね?それに胸が大きかったら視線いくのは普通のことでしょ」
「そーか。よかったよかった」
そう言うと銀時は寝転がってた身体を起こしソファに寄り掛かった。
「いやー銀さん、普通に嬉しいんだけど。やっとストーカー被害から解放されたわけでしょ?付き纏われなくなったわけじゃん」
銀時はホッとした顔をする。
「まぁ、さっちゃんも銀ちゃんみたいなマダオ好きだったこと自体十分おかしかったから早く目、覚めてよかったアルヨ。銀ちゃんもよかったじゃん。」
「まぁ…それもそうですね。よかったじゃないですか銀さん。もう不法侵入もないですし」
「あー本当によかったよかった。もう疲れなくてすむわー。神楽ジャンプ」
神楽は銀時にジャンプを渡す
ジャンプを受け取った銀時は適当にひらき読み出した。
「あー今日のギンタマンおもしれェ」
「…銀さん。逆さまですよ」
_________
その夜
銀時は一人で呑みにでも行こうかと月を眺めながら夜道を歩いていた。今日の月は一段と綺麗であるとともに今夜は熱帯夜だ。この蒸し暑さに外にでなければよかったと後悔する。
そして今、少しでもさっちゃんの事を考えている自分がいた。そんな自分に嫌気がさした銀時は道に頃がっていた空き缶を蹴り飛ばした。
「キャッ!」
暗闇の中から悲鳴が聞こえた。空き缶が誰かに当たってしまったようだ。だがどことなく聞き覚えのある声だった。
銀時はその声の元へ小走りで向かった。
「…もう!誰!?痛いじゃないの…」
月夜に照らされていたのは髪を上に一つに束ね、着物を着ているさっちゃんであった。一瞬ドキっとした銀時だったがすぐに冷静を保つ
「…なんだおめぇか。珍しいな、お前がそんなかっこ…」
銀時がさっちゃんの顔をよく見ると目から涙がでていた。
「わ、わりィ。そんな痛かったか?!」
さっちゃんの涙はどんどん増えていく。
「………駄目なの」
「?!」
「最近駄目なの…。任務失敗ばかりで…今日もうまくいかなくて…………………ごめんなさい。私ったら何言ってるのかしら…。それじゃあ」
さっちゃんは手で涙を拭いて銀時の前を立ち去ろうとするが銀時はすぐにさっちゃんの腕を掴み止まらせた。
「そーいや弁当箱返してぇからさァ、ちょっとうちまで来てくんない?」
さっちゃんは振り返り銀時を見た
「オメェーと会う事も減ったし返すタイミングがなくてな」
「…別に返さなくていいのよ」
「俺が嫌なんだよ。家に置いときたくねーの」
「…そう」
さっちゃんは少し落ち込んだ。自分の弁当箱も置いときたくないなんてやっぱり銀さんは自分のことをなんとも思っていなかったのだと。むしろ嫌いな方であったのじゃなかったのかと。
そして二人は万事屋につき「ここで待ってろ」という銀時の言葉を受けさっちゃんは階段の下で待っていた
すぐに銀時が現れ下におりてくる。片手には弁当箱を持っている。そしてそれをさっちゃんに渡した。
「それじゃあ…」
そうさっちゃんは告げ帰ろうとする
「おい、何処行くんだよ」
銀時が呼び止めた
「何処って…家に…」
「ん」
銀時はスナックお登勢を指でさす
「え?」
「いつまでもくよくよ考えてねェーで今日あったことや今までの事は呑んで忘れちまうのが1番だ」
「…でも…」
「ホラ、とっとと入れ」
さっちゃんは銀時によって強制的にスナックにはいらされた。
「あれ、銀さん。そちらのべっぴんさんは彼女かい?」
勘定をしている店の客に話しかけられる
「そんなんじゃねぇよ」
そうお客に言うと銀時は奥のカウンターへさっちゃんを座らせた。
「で、あんたらいつからそんな関係だったんだい?」
お登勢がタバコをふかし話しかけてきた
「だからそんなんじゃねぇっつーてんだろうが!!!!…とりあえずなんでもいいから酒だしてくれ」
銀時がそうお登勢に言うと適当に瓶酒を持ってくる。お登勢はさっちゃんに話しかけてきた
「アンタがそんな格好してんなんて珍しいじゃない。やっぱりデートしてたんじゃないの?あんたら」
「銀さんとは途中でバッタリ逢って…この格好なのは仕事で…」
銀時が出された瓶酒を手にとりグラスに注ぎさっちゃんに渡した
「今日は好きなだけ呑んで気持ち入れ換えろよ」
「…ありがとう」
さっちゃんは素直に受け止めグラスに入っているお酒を一口で飲み干した。
随分たち、大分酔いが回ったさっちゃんは瓶酒を手に取り
そのままグイッと飲み干す。
「………………るの?…」
そして誰に話しかけるわけでもなく独り言のようにゆっくり話しだした
「…なんで諦めようとすると優しくするの?!…。
ずるいよ…振り向いてもらおうとどんなに頑張っても積極的な女は嫌いだなんて
言われちゃったらもう……。何もしないままじゃ振り向いてももらえないじゃない!
……でも諦めようとしても辛いの。銀さんを見ると辛くなる…。
やっぱり銀さんが好きだから…。このことばかり考えちゃって
仕事も全然うまくいかなくて…………辛いよ…」
そう今まで胸の中に秘めていたことを話し終えるとしばらくしてそのまま眠りについてしまった。
「銀時あんたも罪な男だね全く。どうすんだい?」
お登勢はタバコをふかしながら銀時に問いかけた。
銀時はグラスに入っている水を一気に飲み干すと席を立ち上がる
「バァさんワリィな。もう閉店時間とっくに過ぎてるだろ。勘定頼む」
辺りを見渡せばすでにお客はいなくなっており静かな部屋に二人の声と
さっちゃんの寝息だけが静かに響き渡る。「今日はまけといてやるよ」と
お登勢の気遣いに「ワリィな」と頭をかきさっちゃんを持ち上げ
お姫様抱っこをする。弁当箱をさっちゃんのお腹に乗せると二人は店を出た。
階段を登ろうとした時に足を止め銀時は弁当箱を見た。
「さっきわざわざ弁当箱持ってこなくてもよかったじゃねェか」と台詞を吐き捨てるとゆっくりと階段を上っていく。
「…弁当、悪くなかったぜ」
銀時がそう呟くと二人は万事屋の中へと入っていった
__________
「ん…」
どれくらい時間がたっただろうかさっちゃんが目を覚ますと見慣れた天井が見える。
さっちゃんもそれがどこだかすぐに気付いた。
「!!つぅ…」
ゆっくりと起き上がると激しい頭痛に襲われた
身体にはタオルケットがかけられていた
なぜ今この状況にいるのかすぐに見当がついた。
お酒を呑んだあとから覚えていないがその後いつのまにか寝てしまい万事屋に運ばれたのだろうと。
ソファーの上で寝ていたさっちゃんが向かいのソファーを見ると、自分はタオルもかけずに気持ちよさそうに寝ている銀時の姿があった。
さっちゃんはソファーから立ち上がるとかけられていたタオルケットを銀時にかけ
無防備な姿の男を見つめた。このままキスをしてしまいたい衝動に襲われる
「銀さん…」
もうこんな状況は二度とないかもしれない…。さっちゃんはゆっくりと銀時の顔に近づける。
「ありがとう…銀さん」
そして―
「大スキ」
さっちゃんは銀さんの頬に優しくキスをした。いざこういうシチュエーションに
なれてもやっぱり唇に口づけをする勇気はなく哀しく微笑むと立ち上がった。その時
「!!!?」
さっちゃんの腕が銀時に捕まれ一気に引き寄せられる。
そして今、二人は唇と唇が重なりあっている。
さっちゃんは慌てて銀時から顔を離した。
「ぎ、銀さん起きてたの?!」
さっちゃんは顔が真っ赤になり今起きている状況が何がなんだかわからなくなっている
その瞬間、銀時は仰向けになっている自分の身体を起き上げると顔を赤らめる女をソファーに押し倒し
馬乗りになり女の眼鏡をサッと外す。
そして顔を傾けさっちゃんの唇に自分の唇を強く押し付けるとともに
銀時の舌がさっちゃんの口内に侵入してくる。口の中に何故か甘い味が広がる。
その口づけはあまりにも激しくその甘い味とともに身体がとろけてしまいそうになる。
ようやく唇が離れると引き裂かれた男の舌に絡み付いたいやらしい唾液が女の顔に落ちる
「はぁ…はぁ」
キスだけでおかしくなってしまいそうな勢いだった。今、目の前にずっとこうなりたかった相手が私の瞳を見つめている。
嬉しいはずなのにどことなく違和感を感じてしまっている自分がいた。
銀時がさっちゃんの首筋に近づいてきた時
「銀さん…やっぱり…」
そう言って銀時がくるのを肩を押して阻止した。
「俺とこうなりたかったんじゃねェの?」
銀時は鋭い眼差しでさっちゃんを見る
「た、たしかにずっとこうなりたかったけど…なんか…いつもの銀さんじゃないというか…」
「何が?いつもの銀さんだけど。」
そういうと銀時は肩を抑えられているさっちゃんの手を振り払い女の耳元に近づく
「そういうオメェこそいつものメスブタじゃねェじゃんか」
男の低い声が女の全身を奮い立たせる。
「そ…それは…銀さんが……………や、優しすぎるから…」
そう違和感を感じていた原因はこんな自分に気にかけてくれたり直接銀時から優しさに触れ合うことが多かったからだ。
「ふーん。銀さんはいつでも優しいけど」
「こ、こんなに優しい銀さん見たの初めてだったから…」
「そうだっけか?」
そう言うと銀時は自分の腰に巻いている帯を解きさっちゃんの両腕を頭の上に持って行き
手首に痛みがくるほど強く縛りつける
「んっ!!ぎ、銀さん!!?」
「オメェーこーゆーの好きなんだろ?」
そう言うと銀時は女の耳に甘噛みをした
「はあっ…」
女から自然と甘い声がでてしまう
「何、お前。耳弱いの?」
男は耳元で意地悪な顔をして囁く
「は、恥ずかしいわ…」
今のさっちゃんは何処を触られても敏感になってしまっている
「今のうちにいっとくけど恥ずかしがってられんのは今のうちだけだからな」
男は手慣れた手つきで女の着物に巻かれてる帯を解くと着物は開け、
女の豊満な胸にくびれのあるお腹、そのスタイル抜群な身体があらわとなる。顔が横に向けられているためうなじが見えその姿はとにかく色っぽい。
その姿に思わず銀時も顔を赤らめる
「やべェ…」
そう呟くと女の首筋を思いっきり舐めた
「はぁっ!」
女の身体はまるで媚薬を飲んだかのように触れられるだけで反応してしまう
男の手は女の胸元にゆっくりと近づき下着の上から強く揉みほぐした
男の唇は女の唇へと近づいていき甘噛をする。男の舌が女の下唇を舐めると段々と女の口内へと侵入してくる。
女もそれに応えるように口を少し開く。すると一気に男の舌が入ってきた。
その舌に女も応える。何度も角度を変えて激しいキスをする。
胸も強く揉みほぐしている手は下着を上に上げ女の胸の膨らみの中心にある突起物を
優しくコリコリと撫で回している。男は舌を抜くと舌に絡み付いたやらしい唾液をその突起物へ垂らしなめ回す。
「はぁあん!」それに女の声は大きくなっていってしまう。
男は胸への愛撫を止め起き上がり女も起き上がらせる。
銀時はソファーに座るとさっちゃんを自分の膝の上に自分と同じ向きで座らせた。
「なんか後ろから責めたくなっちまってな」
耳元で銀時は囁く
「それにこの体制ならいつでも耳元に口を置いとけるしな」
そう囁くと女の耳を下からゆっくりと舐めあげた
「ひゃっ…!」
さっちゃんは顔をビクンとさせる
「お前、結構言い声だすじゃねェか」
耳元で小さく囁かれてる分いつもより低く色っぽく聞こえる銀時の声は
声だけでイッてしまいそうなくらいだ
「そう言う銀さんもよ…」
男はフッと意地悪くニヤリと笑うと右手で女をM字開脚させ左手で女の胸を揉みだす。
右手は焦らすように太股を優しく撫でられる
「じ、焦らさないで…」
「オメェ、忘れたのかよ。俺ァ、ドSだぜ?」
「フッ…銀さんはそうじゃなきゃね…」
舌は首筋を舐め左手は胸を掴み人差し指で胸の膨らみの突起物を
触られ右手は段々と女の秘部へと近づいていく
「ハァ…ハァ」女の呼吸は荒くなっていく
「お前はこれからどうされてェの?」
いやらしく女の太股を撫でながら男は話かけてくる
「ど、どうって…い、言わせないでよ……」
すると男は一旦動きをとめ太股から手を離した。
「!?」
女の腕に縛りつけられている帯を男は解く
再び男が女の太股に手をもっていくと女の手を自分の手の上にのせた
「俺の手使って自分で動かしてみな」
「え!?」
「ホラ、これから俺にしてほしかったこと自分でやってみろや」
「そ、そんなこと…」
「なにカマトトぶってんだ?いつものドMなお前は何処行ったんだよ」
たしかに自分でもわからない。ただいつもの自分じゃないことだけはわかる。
いざ銀時とこうなっていると考えると恥ずかしくて仕方がないのだ。
「じ、自分でもわからないわ…」
一瞬沈黙になり「そうか…」と呟くと男は女の顔に左手をもっていき口元に
指がいやらしく触れる
「まぁ、俺ァどっちかっつーとそういう風のほうが好きだから別に構わねェけどな」
銀時はニヤリと妖しく笑う
「ほら早くしねェと銀さん辞めちまうぞ?」
さっちゃんは恥じらいながらも言われた通りに銀時のゴツゴツとした
男らしい手を掴み下着の上から自分の秘部へと触れる
クチュ―
「あぁっ!」
触れると同時にいやらしい音と女の思わずこぼれてしまった鳴き声が無音の部屋の中に響いた。
「凄ェー。なんでもうこんなになってるわけ?銀さんに教えてくんないかな?」
そういうと銀時は下着の上から女の秘部を上からゆっくりと撫でる
「はぁんっ!」
思わず身体が疼くが男はまた手を動かすのをやめる
「早く言わねェと続きやらねェぜ」
男の左手が女の顎をクイっと持ち上げた
「……ぎ、銀さんに………………から…」
「なに?聞こえねェな」
「銀さんに…好きな人に触れられてるから………です…」
さっちゃんは俯きながら顔を真っ赤にして男の手をギュッと強く握る
「…じゃあそのまま自分で撫でてみな」
男は女に強く握られた手を女の秘部に持っていく
「銀さんのいじわる…」
そういいながらも女は言われた通りに男の指を使って自分のしたいように動かしていく
「はぁあ…」
男は左手で女の胸を揉みほぐしながらコリコリと豊満な胸についている小さい突起物をいじくりまわす
「あぁっ!あぁん…」
女の鳴き声が部屋中に響き渡る
「あんま大きい声ばっかだしてると神楽が起きてくるぜ」
男が女の耳元でニヤリとする
「!!」
その時、女は我にかえり手を動かすのをやめる
「神楽ちゃんいたの…?」
「ったりめェだろ。あそこの押し入れで寝てらァ」
「…銀さん…やっぱり…」
「いつ気づかれるかわからない状態ってのも興奮するよなァ」
「え?!」
「声、抑えろよ」
銀時は自分の指を女の下着の中に入れる
「まあ俺が我慢できなくさせてやるけどな」
そういうと女の中へとゆっくりと動かしていく
「あぁっん!」
まるで身体に電流が走ったかのように女の中が疼く
「声、抑えろって」
男の指が激しくなる
声がでそうになるのをさっちゃんは口を手で抑え声を押し殺す
「んっ…んっ!!…」
「オイ、手なんか使っちゃダメだぜ」
そういうと男は女の口元から手を離させた
「こ…声でちゃ……はぁっ!あっ…」
そんな女の声を無視をし男の指の動きは激しさをましていく。
「あっ!ああ!だ…ダメ…ダメ銀さん!や、やめて…」
「なんだ?やめていいのか?ん?」
男は今にもイキそうだった女の中から指を抜いた
「え…?」
「お前がやめろっつーたんだぜ」
「そ…それは…」
「続けてほしいか?」
男は耳元で囁いた。それに対して女はゆっくりと頷いた。それを見ると
男は女を再びソファーに押し倒した
「どうしてほしいか言ったら続けてやってもいいぜ」
男はいつものだるそうな眼差しで女を見つめた。
恥ずかしくなった女は顔を横にした。
「……ほしい…です…」
「なァに?そんなんじゃわからねェよ」
「入れて…ほしい…」
「何を?それとこっちむいて話してくんない?」
女は銀時の方を見るが直視できないので腕で顔をかくす
「ぎ、銀さんのモノを私の中に入れてくださいっ……」
フッと男は口角をあげると上に着ている服を脱いだ。たくましい上半身があらわとなる。
ズボンを下にずらすと男は女の穿いている下着を脱がす。女は男のモノが腕の隙間から大きくなっているのが見える。自分でこんなになってくれている男を見て女は嬉しくなった。そしてゆっくりと男のモノが女の中に入っていく。
「んああっ!!!!!」
今までにない快楽が女を襲う。
それに男も眉をしかめた。
「んっ…」
思わず男から吐息がこぼれた。
そしてゆっくりと動かされていく
「はぁんっ…ああっああ!!」
もうさっちゃんはおかしくなりそうなくらい快楽に溺れていた
「もう…イっちゃ…ああん…イく…!!ああん!」
「おい早すぎんだろおま…っつー俺も…」
「はあっ…ああっ…」
「オイ、腕おろせ。顔…見えねェだろうが」
女が腕を下ろすと男が口付けてきた。
「ん……ん……!!」
舌と舌が絡みあう。今されているキスはどんなキスよりも気持ちが良い。
唇が離されると男の唇が女の耳元に向かう
「なぁ、さっちゃん……困ったことに俺達、結構相性がいいみてェなんだけど…」
銀時がそう囁くと腰の動きが激しくなっていく
「あああっ!!銀さん!!!!来て!もう…私…」
「口にだすからな…」
「あああん!!!!!!!イく…あっ!はあぁあん!!!!」
そして男のモノが女の口内へとだされる。
だしおえると男は女の口内の中に舌を入れ熱いキスをした。
――――――――――
「なぁ、なんで嘘ついた?」
銀時は突然話しを振ってきた。
「え?」
さっちゃんはなんのことだかさっぱりわからない
「ケーキだよ。前にオメェ持ってきただろ。納豆のせて」
弁当と一緒に持ってきた時にたしかに持ってきたことを思い出した。
「本当は全蔵の知人の誕生会なんてなかったんだろ?」
「え?!」
「…1日かけて作ったとか手紙に書いてあったけど嘘になるぜ」
「!!!」
「あのケーキ…手作りか?」
「…………」
「なんで嘘ついたんだ?」
「………から…」
「あん?」
「恥ずかしかったから…」
「!?」
「渡そうとした時、やっぱりもしまずかったらどうしようかと思って…。本当は弁当は渡さないはずだったのに何故だか床に置き忘れていて…。
でも弁当は食べてくれていたからよかったけど…」
「…ワリィことしたな」
「ぎ!銀さんが謝ることじゃないわ!!」
そしてさっちゃんがずっと思っていたことを口にした。
「……ねぇ、銀さん」
「んあ?」
「もしかしてケーキの代償で私と…その…………セックスしたの…?き、嫌われてる方だと思ってたから…」
さっちゃんは俯いた
「ケーキの代償?あぁーじゃあ今日の酒代でもいいか?」
「え…?」
さっちゃんは顔を上げ不思議そうな顔をしている
「なんだよ?……あんなの自然の原理だろ?あんなことされて何もしない奴がいたらお目にかかりたいねェ。
…あと今度はちゃんと食ってやるからまたケーキ作ってくれよ」
さっちゃんは目を丸くしていた。
「なんだよその顔わ。あ!納豆はのせんじゃねぇぞ!それと不法侵入じゃなくてちゃんとインターホン押せよな!
……まぁなんなら別にオメェん家に食べに行っても俺は構わねェぜ」
さっちゃんは今までにないくらいの笑顔で微笑んだ。
「銀さん…今日はありがとう。じゃあ…仕事頑張ってくるね。」
銀時は見送りすることもなくソファーに座って手をひらひらしていた。
「おい」
玄関に向かおうとしたさっちゃんに話しかけてきた。
「俺ァ、そっちの髪型の方が好きだぜ」
さっちゃんは銀さんを見ることもなく
「それじゃあ仕事行ってきます」
と満悦の笑みを浮かべ立ち去った
―終―
P.S.
「あー!!!!!本当に苦痛の日々だったわ。私が銀さんにその気がないふりをするのに…。
本当は銀さんに飛びつきたくてショーがなかったのよ!!!!!!
ふふふ…銀さんに積極的な女は嫌いと言われてからの私の行動は
全部銀さんを振り向かせるための計算だったのよ!!
押してダメなら退いてみろ♪男って…馬鹿な生き物…。
そのあとも今度は嬉しすぎて始末屋の仕事をミスしまくっているのは言うまでもない…。
―本当におしまい―