「あ゛ーーーーー頭いてぇ…」
朝方まで長谷川と飲み歩いていたせいで、物凄い二日酔い。
ちゃんと寝間着に着換え、布団で寝ているのは我ながら奇跡だ。
窓から入ってくる日差しを見る限り、
お天道さんはすでにかなり高い位置に鎮座ましましているようだ。
「おーい、神楽か新八、水持ってきて…」
…くれ、と続けようとして、部屋の中がやけに静かなのに気付く。
そういや今日は、日曜日。
お妙や下の飲み屋の面々と連れだって潮干狩りに行く約束だったはず。
すっかり忘れていた。
なんとなく、夢うつつに、体中ボカスカ殴られながら、
「銀さん、今日潮干狩り行くって言ってたじゃないですか!」
「ダメよ新ちゃん。こんなバカ男に何言っても無駄よ」
「約束すっぽかすなんて銀ちゃん最低な大人アル」
「ほら、お前たち、こんなヤツほっといてさっさと行くよ!」
という会話を聞いたような気がする。
ズキズキと痛む額に手をやり溜息をついた時、
「ハイ、アニキ、水と頭痛薬ですよ〜」
突然聞こえてきた、なんだかもっさりとした口調の聞き覚えのある声。
いつの間にか枕もとにちょこんと正座しているその人物を見上げる。
「…お前!ピラ子じゃねぇか!何やってんのこんなとこで!?」
思いもよらぬ人物の登場にビックリして上体を起こすと、
途端に頭をハンマーで殴られたような痛みに襲われ再び布団に倒れこむ。
「アニキ、二日酔い重症みたいですね〜?
ホントは何か胃に食べ物入れてからがいいんですけど、
この薬、よく効くんですよ〜!どうぞ〜!」
ニコニコと白い錠剤とミネラルウォーターのペットボトルを差し出す。
お前、なんでこんなとこに居るんだ、とか
一緒に旅してるはずの親父はどうしたんだ、とか
訊きたいことは山ほどあったが
あまりにひどい頭痛に負けて、素直に差し出された薬を水で流し込んだ。
「アニキ、しばらく休んでるといいですよ。
すぐに薬が効いてきますから。
その間に、何か食べたい物とかあったら買ってきますよ〜?」
「マジでか。…アイス食いてぇな。ストロベリーな」
「わかりました〜」
そう言って平子が軽い足取りで出かけて行ったのを見届け、銀時は再び瞼を閉じた…
明るい日差しのせいで熟睡はできなかったが、
うつらうつらしているうちに頭痛が少し楽になってきた。
しかし、それと同時になんだか身体が熱くなってきた気がする。
いや、確実に熱が出ている。しかも結構な高熱。体が重く自由が利かない。
『あれ?なんで熱出てんの?薬の副作用?でも頭痛薬って普通、解熱剤兼ねてなかった?
…それとも二日酔いの上に風邪でもひいたか?』
などと、のぼせた頭でぼーっと考えていると、玄関が開く音がした。
「アニキ、アイス買ってきましたよ〜
薬、効きましたか〜?」
コンビニの袋をかかげながら銀時の傍らに座る平子。
「頭痛は良くなってきたんだがな、熱が出てきたぽいわ…
ワリィな、何の用か知らんが、せっかく来てくれたのに
今日は皆出払ってて、お前の遊び相手いねぇわ」
「いいんですよう。私が用があったのはアニキだけです。
いい感じに薬も効いてきたみたいだしぃ〜」
「や、だからさ、頭痛はよくなってきたけど熱出てるってば。体動かねぇよ…」
「だってさっきの媚薬ですもん〜。カラダ熱くも重くもなりますよそりゃ。ウフフ♪
カラダが熱いんなら冷たいもの食べたいですよね?
アイス食べさせてあげますね〜」
平子はいそいそとコンビニ袋からアイスとスプーンを取り出している。
体はますます熱くなり、意識も朦朧としてくるが、直前の平子のセリフが引っ掛かった。
『…え?こいつ今、なんつった?
びやく…?びやくって?…媚薬?』
「エエエエエェェェェェ!?
テメェ、何してくれてんのォォォォォ!?」
「何って、今日はアニキとナニしようかと思って。
はい、アイスどうぞ〜!冷たくておいしいですよ〜」
そう言うなり、アイスを一口、自分の口に運ぶ。
『…オイコラ、テメェが食べるんかい!?』
とツッコミを入れようと口を開いた銀時の顔に影が落ちた。
…柔らかくて、ヒヤリと冷たくて、そして…甘い。
熱い舌の上で溶けるそれを、思わず飲み込む。
『…ぇ…オイオイオイ、ちょっと待て何コレ』
「アニキ、美味しいですか〜?」
平子はアイスの口移しを何度も繰り返す。
「オイコラ、お前何やって…」
銀時の言葉をさえぎるように、アイスを銀時に口の中に渡し終えた後、平子は唇を離さなかった。
銀時の舌からアイスを奪うように自分の舌を絡ませる。
「ふ…っ」
2人の吐息が重なる。舌を絡ませる度くちゅくちゅ、という水音が響く。
口づけたまま、平子は布団をめくり、
薬が効いて銀時がろくに身動きが取れないのをいいことに、
寝巻の甚平をはだけさせ、火照った肌に手を這わす。
まだ触ってもいなかった胸の突起は、薬の効果で既に堅く自己主張していて、
ピラ子の指がそこに触れた途端銀時の体がビクッと反応した。
「…っ!!!」
というか、いつの間にか下半身まで堅くなっている。
やっと唇を離すと、至近距離に相変わらずの人を喰ったような笑顔…
「ウフフ。アニキ、感じてくれてる〜
もっと気持ち良くしてあげますからね〜」
視界からピラ子の顔が消え、腰のあたりを触られたと思ったら、
寝巻のズボンを下着もろとも引きずり下ろされた。
既に堅く立ち上がっていたソレが勢いよく飛び出すと、
平子はやわやわとその形を確かめるように触りだした。
『!!!!!ちょ、ヤバイ何これ…』
ぎこちない手付きで、ただ擦られているだけだが、とんでもなく気持ちがいい。
「私、あんまり経験無いんで下手くそかもですけど、がんばります〜」
そう言って、握りしめた熱い塊の先端に舌を這わせ、
そのまま先の部分を口内に含み、くちゅくちゅと刺激を与える。
その刺激に、いつもより敏感になっているソコは今にも達してしまいそうだ。
…が、夢中に舐める平子の動きがどんどん激しくなり、イキそうになった瞬間
平子の歯が当たって痛みが走った。
「ぅあっっっ…!テメェ歯ぁ立てんな!!!」
『あぶねぇ…あっさりイクとこだった…』
「あれ、アニキごめんなさい〜。でも、もういいかなァ?」
そう言って膝立ちのまま銀時に跨るように覆いかぶさる平子。
そして、短い着物の裾から下着を引きずり下ろし、そろそろと腰を落とし始めた。
銀時の腹の上に片手をついてバランスを取りながら
自分の中に銀時を迎え入れようと腰を動かす。
…が、入口付近に擦りつけるもなかなか入らない。
『…焦らしプレイですかコノヤロー』
期待していた刺激がなかなか訪れない事に少々イラっとしながら
少し頭をあげて平子を見ると、先程までのニコニコとした顔ではなく強張った表情。
そして、気付く。
腹の上に置かれた手が微かに震えている。
「………………!」
動かない体に渾身の力を込め、上体を起こす。
そのままの勢いで平子を押し倒し、布団に押し付ける。
「アニキ!?」
いきなり逆転した体勢に平子は驚くばかり。
「…お前なぁ、何が『あんまり経験ないんで〜』だ。初めてだろうが」
「…!」
「男も知らねぇくせに、こんな事しやがって。
悪いけど、薬まで使われて煽られたんじゃオレも治まりつかねぇよ。
初めてだろうが、優しくなんかできねぇからな」
そう言うなり、平子の左肩の着物の襟をつかんで肌蹴させると、
胸に撒かれたさらしを力任せに引きずり下ろした。
熱をもった熱い手が露わになった乳房を這い、揉み上げ、先端を摘んで嬲る。
「ぁぅ…っ!アニキ…!」
初めての刺激に身を捩る平子を見下ろし反応を見ながらにやりと笑う。
「処女のくせに感度いいな。お前、いつも自分で触ってんの?」
「そんなこと…ぁっ!」
反論しようとした言葉は、先端を熱い舌で舐めまわされ途切れてしまう。
「ゃ…ぁ…ぁぁ…っ」
「声、我慢すんな。てか、我慢できないようにしてやる」
さっき太ももに下ろしていた下着が絡んで不自由な平子の両足に手をやると、
膝裏を押し込みながら腰を抱え上げた。
「アニキ!いやぁ…!」
顔の間近に膝小僧を見ながら、秘部がさらされている自分の体勢に気付き、
あまりの羞恥に両手で顔を覆った。
平子の抗議など意に介さず、ソコを見つめ「ふ…」と息を吐きかける。
「俺の咥えて興奮したのか?ずいぶん濡れてるみてぇだけど」
「〜〜〜〜!!」
平子は不自由な足をバタバタと動かし抵抗しだしたが
腰と太ももをがっちり抱えられまったく効果がない。
「無駄な抵抗しなさんな」
銀時は蜜の溢れる中心に舌を這わせ、秘裂に沿って舐め上げた。
「やぁ…!アニキ、そんな汚いところ…」
「汚くねぇ。甘ぇよ…」
舌を這わせ秘裂の先で小さな突起を探し出すと、口に含んで舌で転がす。
「…や!や!いや!アニキそこダメ…!いや…!」
「いい声出すじゃねぇか。『いや』じゃなくて『いい』だろ?」
銀時の舌が器用に突起の皮を剥がし、剥き出しになったそこをさらに嬲る。
熱い口内で敏感な突起を舐められ、吸われ、初めての強い快感にどうしたらいいのかわからない。
「アニキ…!いや…何これ…おかしくなっちゃう…!」
蜜もどんどん溢れ、突起を舐める銀時の顎を濡らす。
平子が高まってきたところで、さっきのお返し、とばかりに軽く歯を立てしごいた。
「きゃあっ…っ!!!!!」
とどめとばかりに襲ってきた強烈な快感に悲鳴のような嬌声を上げ、
体をびくんびくんと痙攣させ達した平子は、ぐったりと力を抜いた。
「ひょっとして初めてイッた?…俺ももうホントに限界」
力なく横たわり、荒く、浅い呼吸を繰り返す平子の太ももから下着を取り払い、
両足を割り広げ、蜜の溢れ出る入口に熱く堅い塊を押し込んだ。
「いっ…!!!」
めりめりと押し開かれるあまりの痛みに、平子は息を飲み目を見開いた。
無意識に銀時の下から逃げようともがいてしまうが、
銀時の腕が力強く平子の肩を掻き抱き、逃げられないようにした。
痛みを感じるほど狭い平子の中を押し進めていき、
根元まで入りきると、それだけで達してしまいそうになる。
「くそっ、あんま持たねぇな…」
一人ごちて、激しく出し入れを始めると、突き上げる度に体の下の平子の体が揺れる。
平子の方は下腹部を襲う痛みと圧迫感に翻弄され、
銀時の動きに合わせて短く息を吐いてその痛みを少しでも逃そうとするが、
奥を突かれる度に、痛みが甘い快感へと変わってきた。
「あっあっあっあっ…アニキ…!」
涙目で銀時の背中に腕を回して縋ってくる平子を抱き締め直すと、
さらに激しく突き上げ、最奥で昂りを弾けさせた。
肩で息をしつつ、解放感から脱力し、平子に体重を預ける。
「…わりぃ、中出し…しちまっ…」
気力で薬の効果に逆らって平子を組み敷いていたいた銀時は、
最後まで言葉を告げることなく意識を失った。
「あ゛ーーーーー頭いてぇ…」
窓から入ってくる暖かな赤い光。
「あれ?もう夕方…?オレ何してた…?ピラ子…?」
寝巻のままで、掛け布団を抱き枕にして畳の上に寝っ転がっている。
「ピラ子とあんな事したのって…夢?
俺ってそんなに欲求不満んんんんん!????」
あまりにリアルに残る感覚に戸惑いつつ、痛む頭を押さえつつ体を起こす。
その時、玄関から騒がしげな足音と賑やかな声が聞こえてきた。
「銀ちゃーん!ただいまアル!!貝、いっぱい採れたよー!
約束破るサイテーな奴の分はないけど」
呑気な神楽の声に、そう言えばあいつら潮干狩り行ってたんだった、
と思い出しつつのっそりと居間に移動する。
「銀ちゃん今まで寝てたアルか??」
「あー、なんか風邪引いたみてぇ。熱っぽいしだるい」
神楽に続いて入ってきた新八があきれた声をかける。
「銀さん、なんで風邪引いてるのに布団干してシーツ洗濯してんですか?
それに、干したんならちゃんと取り込んでくださいよ」
「は?」
新八をみると両手で敷布団とシーツを抱えている。
「あれ?銀ちゃん、布団になんかうっすら染みがついてるアル。
オネショしたアルか?マダオみたいアル。サイテー」
軽蔑の眼差しで自分を見つめる神楽。
「…は?は?は?」
混乱して固まる銀時を尻目に、和室に布団を運び終えた新八と神楽は再び玄関へ向かう。
「銀さん、お登世さんが採ってきた貝料理してくれるそうなんで店に来てくださいね」
「約束忘れてオネショまでする奴の分は無いけどな」
ひらひらと手を振って出ていく2人を見送っても、しばらくフリーズしていたが
ふと閃いて部屋の隅をのゴミ箱を見つめる。
嫌な予感に襲われつつゴミ箱を覗き込むと、
そこにはコンビニの袋に入ったアイスのカップが捨てられていた。
…おしまい