濡れた女の吐息が土方の耳に絡みついた。
鼻にぬける、甘えたような声を必死にかみ殺そうとはしているが、赤く濡れた唇から漏れる声はどうしようもなく上擦り、震えていた。
その声音は持ち主の情欲の熱をどんな言葉よりも赤裸々に土方に伝え、また土方自身を煽った。
どんどん荒くなるお互いの呼吸。
その声に覆いかぶさるように響く ぶぢゅっじゅぷっ という湿った音と べちんッべちんッ という激しく互いがぶつかる音。
腰から脳髄に走る電流のような痺れ。
熱が増して心音が高まる。
お互いの汗と淫靡な雌の匂いを、いつもは煙草の煙で満たされている肺一杯に吸い込むと、ますます頭がくらくらして土方の呼吸がさらに荒くなる。
煙草を咥えていないせいで口さびしくなったのか、熱い吐息で擦れた声で、土方は女の耳元に囁いた。
「舌出せよ。吸ってやる」
女は従順に土方を求め、形の良い唇をはしたなく開いておずおずと赤い舌を差し出した。
当然のように土方の長い舌が女のそれに絡まり、女の口内を蹂躙していく。
女の瞳は快楽に潤み、悩ましげに歪められた眉も、上気した頬も、官能的でいて可憐な印象を与えた。
くちゅくちゅという音の合間に、溺れたように二人は息をした。
嚥下しきれなかった互いの唾液が、女の白い喉を伝って流れた。
涎の筋はほんのりと膨らむ乳房の間にまで垂れ、厭らしく光った。
白くやわらかい女の肌の上をぬるぬると滴る液体を追いかけるように、土方の唇が這っていく。
ほのかな膨らみの先端、薄桃色に色づいた頂を口に含むと、女は腰をふるわせた。
きゅう、と土方を締め付ける膣内の動きが気に入って、もう片方の乳頭もふにふにと摘んでやると、女はますますきつく土方を締め付けた。
「あんっあっあっ…ダメ…ッ…トシ…さぁんッッ!!」
女の感極まった声を聞いて、更に乱暴に土方は腰を打ち付ける。
女は恍惚とした表情で、土方の動きに応えて腰を揺らす。
終始女は従順で、全身で土方を求めているようだった。健気にさえ映るほど。
常日頃の女の性格を知っている者ならば、驚愕し、目をむいたであろうその痴態を、土方だけが知っている。
そのことに言い知れない優越感と征服感を感じた瞬間、女の奥で土方の欲望が爆ぜた。
意識が白くかすんでいく絶頂感を味わいながら、土方は女の名を呼んだ。
「……っお妙……ッ」
がばっっ
起き上がった土方は大量の汗を滴らせながら、布団の上でしばし固まった。
爽やかな朝の日差しが障子越しに畳の上に届いている。
いつもの屯所の自室である。
にもかかわらず、土方の心臓はいつも以上の早鐘を打ったまま、静まらなかった。
――― な…ッななな……っなんッちゅう夢を見てるんだ、俺はぁああッッ!!!
布団の上に突っ伏して土方は一人悶絶した。
一応、下着の中を確かめてみたが、夢のせいで発射、という情けない事態は免れたらしい。
それにしても。
やりたい盛りの思春期でもあるまいに、あんな夢をみるなんて、どうかしていると思う。
しかも、相手はウチの局長の想い人で、ゴリラに育てられた女と評判のお妙である。
いやいや、1度や2度なら夢の中の事。どうということもなかろうが、問題なのは土方がこの夢を最近頻繁にくり返してみていることなのである。
それも、妙にリアルで生々しい夢をである。
困ったのは常日頃パトロールしている最中や、屯所の中でも鮮明に夢の中のことが思い出され、現実ではありえない妙との思い出がまざまざと呼び起こされること。
土方自身はそんな記憶も願望も全くないにも関らず、夢の中で土方と妙は体を重ね、互いを求める関係であるらしかった。
いくら夢とはいえ、起きた後は非常に気まずく後ろめたい気分にさせられる。それがフラッシュバックのように何度もくり返されるとなれば、なおさらである。
土方はひとつ深く息を吸うと、爽やかな朝の日差しに似つかわしくないため息を吐き出した。
土方がこの夢を見始める数日前、江戸の町はある事件に見舞われていた。
その名もキューサイネトル事件。
人に寄生するタイプのエイリアンが大量繁殖して、江戸中を大混乱に陥れた事件である。
実は土方もこのエイリアンに寄生されていたらしい。
その間、数日間の記憶は全くない。
そもそも、このエイリアンは宿主のイボとして急成長し、本人に成り代わるが、イボ消滅後は本人にはなんらの影響も記憶も残らないのが通常である。
しかし。
この事件があってからというもの、土方はどうにも調子が悪いのである。主に性的な意味で。
寄生されていた間、イボの土方が何をしでかしたのか、本人は預かり知らぬことである。
周りの寄生された人間も誰一人その当時の記憶がないのだから、検証のしようもない。
だが、気になる。
イボのお妙との間に何かあったのではないか。
確かめたいのは山々だが、当のお妙も全く記憶にないようだし、それに、第一、本人に会うのは非常に気まずい。
それぐらいリアルに土方は夢の中でお妙を抱いていたし、その裸体を鮮明に思い出すことができた。
どこにほくろがあって、どんな肌触りで、最中にどんな声を出すのか。
どこが性感帯で、どんな風に扱われるのが好みで―-
――― どれだけ俺に惚れてたかも、知ってる。
と、考えたところで、土方はわれにかえった。
――― って、夢の中の話じゃねぇえかぁああッッ!! 知ってる、じゃねぇえええッッ!!!
夢と現実の区別がつかなくなっている自分に本気で戦慄する。このままでは頭がおかしくなってしまう。いや、もう既に狂っているのか。
この元凶を探るべく、非番をいいことに、土方は数ヶ月ぶりにお妙の元へと赴いた。
――― に、したって、何て言えばいいんだ。
志村家の門前で再び我に返る。
思えば、近藤のこと以外でお妙に会いに行くのなんて初めてではなかろうか。
それも、潰された近藤を回収しに店に行ったことは数あれど、自宅を訪ねることなどほとんど皆無である。
そんな人間が、いきなりやってきて「僕の夢の中で毎晩ズコバコしにくるの、やめてもらえませんか?」とでも言おうものなら、近藤以上の変態のそしりは免れようもない。
第一、 あんな気の強い女にそんなこと言ったら、間違いなく殺される。
苦虫に山椒と山葵と辛子を振りかけて噛み潰したような顔で立ちすくむ土方の背に、聞きなれた声がかかった。
「あら、土方さんじゃありません?」
ウチに何か御用ですか?ゴリラ回収にでも来てくださったの?と、にこにこと笑いかけるその声の主は、誰あろう、お妙その人であった。
買い物の帰りか、手に大江戸スーパーの袋を提げている。
「あっいや、その、……近藤さんは…今日は武州に出張で…アンタんとこには来てねェはずだ…」
では、なおさら何しに来たのだ、とお妙の目が無言のうちに問うてくるのを、真直ぐに土方は見据えた。
夢の中の妙とは全く違う、凛とした態度である。
縋る様な目つきでもないし、甘えたような声も上げない。
頬も薔薇色に染まってはいないし、呼び方だって、「土方さん」という他人行儀なままだし――。
土方はようやく安堵の表情を浮かべて踵を返そうとした。
「いや、何でも無い。近くを通ったから、ちょっと寄ったまでだ」
現実のお妙の様子をこれだけ確認できれば、ふざけた自分の妄想もじきに治まるだろうと思えた、そのときだった。
背を向けた土方の手をお妙が捕らえた。
「待って…ください。…お茶でも、飲んでってください…せっかくだから」
振り向いた土方は混乱した。
伏目がちにつぶやいたお妙の頬にほんのりと朱がさし、握られた右手はひどく熱かった。
それは夢の中で覚えた柔らかさと温もりで、これが夢なのか現実なのかわからなくなるほどだった。
そのまま、土方はふらふらと屋敷の中についていって、通されるまま、客間に座ってしまった。
どこか違和感のあるお妙と二人きりで向き合う。
現実感が乖離していくような感覚に徐々に心音が高鳴る。
――― 何してるんだ、俺は……。
下心があるわけでも、やましいことをしているわけでもないのに、何故か近藤の顔が浮かび、罪悪感を覚えた。
そしてそう思う度、眼裏にお妙の裸身が甦り、ポーカーフェイスの下で内心焦った。
静まり返った客間に己の心音だけが響いているような錯覚に陥り、非常に気まずい。
見れば妙自身も茶を出し終わってからは黙りこくって下を向いてしまっている。
ほんのり眼の端が赤い。
それがなんだか、ものすごく―― 色っぽい。
――― いやいやいや。いやいやいやいやいやいやいy。
考えがおかしな方向に流れそうになるのを変えようと、土方が声を出したのと、お妙が勢い良く立ち上がったのとが、ほぼ同時だった。
「あ、あのよ――」
「お、お茶かえてきます――!」
二人とも声を裏返らせながら、いきなり大声を張り上げたものだから、お互いがお互いの声に吃驚して、びくりと震える。
土方の湯飲みに手を伸ばしていたお妙は思わず冷めた茶をひっくり返してしまった。
「あっ、あああのごめんなさ――ッ」
「い、いやいやいや――」
日ごろなら人に茶を掛けようがガソリンを浴びせようが平気でやってのけそうな娘の癖に、この日のお妙はどうにも落ち着かず、慌てて土方の元に駆け寄った。
お妙はそばにあった布巾で懸命に土方の濡れた着流しを拭いた。
が、気づくとお互いの息がかかるほど近くにいる、その現状に固まってしまった。
今顔を上げたら土方の顔が触れるほど近くにある――。
せまい視界に入るのは、布巾を握り締める自分の手と、茶で濡れた土方の着流しと、肌蹴たあわせの間から覗く逞しい男の胸と――。
顔が真っ赤に染まってゆくのを感じてお妙は動揺した。
今日土方が道場を訪ねてくる前は、土方の存在自体忘れているほど、どうとも何とも考えていなかったはずだ。
それがなんだ。
さっきあって言葉を交わした途端、なんだか懐かしい気持ちがしてお茶に呼んでしまった。
確かに会ったのは久しぶりだった。
しかし懐かしいといっても、日ごろ仲良く会話を交わしていた相手ではない。滅多に会わないのが普通の間柄だ。
何しろあのゴリラストーカー近藤の部下である。
自分にとってはそれ以上でもそれ以下でもない、はずだ。
でも今日は眼があわせられない。
いざ、家に招いても満足に話もできない。
営業スマイルも営業トークもお手の物で、人見知りなんかしたことのない、お妙が、である。
お妙は自分で自分が信じられなかった。
ただ、去ろうとする土方の背中を見て、つなぎとめたい気持ちが沸き起こったのも、事実だった。
握った大きな手の感触が、懐かしかったのも、確かだった。
土方の手なんか、握ったことすらないはずなのに。
土方は自分の懐の前に座り込んでしまったお妙を見下ろしていた。
下を向いているので表情はわからないが、耳がほんのり色づいている。
白いうなじが覗き、華奢な肩が震えている。
---- この肩を、自分は抱いたことがある。 この着物の下にある肌がどれほどすべらかで、褥で上げる声がどれほど愛らしいかも、自分は知っている。
違う、それは夢の中の話だ!と、もう一人の土方が叫んだが、お妙から立ち上る匂いがあまりも馴染んだその匂いだったので、土方は思わずのように抱き寄せた。
お妙は抵抗もせずに土方の胸の中に抱きとめられると、潤んだ瞳で彼を見上げた。
「 …… トシ…さん… 」
――― あ、やべ。
土方は自分の理性の糸が切れる音をきいた。
気づくとお妙は畳に押し倒されて唇を吸われていた。
男と二人きり。相手は慣れた手つきでお妙の帯を解き、着物の裾を割って彼女の白い腿を弄っている。
熱い男の手が自分のデリケートな部分に触れることなんて、生まれてこの方なかったことだ。
考えなくてもこれは貞操の危機である。
日ごろのお妙ならば、必死に抵抗して相手を再起不能になるまでボコってやるぐらいの事態である。
しかし。
お妙は全く抗わなかった。
それどころかお妙自身も土方の着物を脱がして彼の背に手を回していた。
全く初めてのはずなのに、不思議と怖くはなかった。
ともすれば、懐かしくさえ感じた。
男の肌の温かさは自分の肌に良く馴染んだ。
土方は当然のようにお妙の着物のあわせから手を差し込んで彼女の胸を揉んだ。
ささやかだが、柔らかく、愛らしいふくらみ。指の腹でこすってやると突起が固く尖り始め、主張する。
土方はそのままうつ伏せにお妙をを横たえて後ろから圧し掛かった。
お妙は柔順に土方の意図を汲み取って、体勢を変えてくれた。
いつもこうやって番うことが多かった。
現実と夢との境は失われつつあった。
ああ、この女は俺のものだ――と、何の疑問もなく感じた。
耳を食んで首筋を舐り、後ろから肌蹴させた両の胸をこね回すと、お妙は悦んで声を上げた。
腰をくねらせ押し付けてくる。
ねだるように。
すっかり熱を持った土方自身は既に露を滴らせ硬く屹立していた。
窮屈そうにしているそれを取り出し、お妙の腿の間にそれを差し込む。
閉じあわされた白い女の脚にぬるぬるとした粘液が付着した。
熱く滑る男の肉の感触にお妙は身悶えた。
そのまま乱暴に着物をめくり上げ、薄いけれど丸みを帯びた妙の尻を突き出させる。
白い下着がうっすらと濡れて透ける部分に指を這わせた。
こすり上げるたびに中から蜜があふれ出して、下着越しに土方の指を濡らした。
「俺が欲しいか?」
おまんこに欲しいって、言ってみろよ、と、土方は意地悪くお妙の耳元で囁いた。
お妙は涙目で後ろの土方を見返すと、喉を震わせて答えた。
「トシさんの熱いの……私のいやらしい穴に入れてください」
快楽で潤んだ表情で懇願されて、土方はめまいがした。
あまりにも目の前の娘が自分の思うままに動いてくれるものだから、だからすっかり忘れていたのだ ―― これが夢ではなく現実だということを。
下着を乱暴に引きずりおろし、愛液が糸引くその蜜壺の中に己の剛直を突き立てた。
夢の中よりも幾分狭いが、記憶に違わず熱く滑るその内部は土方に甘美な快楽をもたらした。
ぴったりと土方の肉の杭の形にそって、押し開かれた膣壁はきちきちと彼を締め付けた。
肉壁の抵抗をものともせず、土方はお妙の奥まで己の身を沈めた。
「あ、あ、あ、あああっっっ」
お妙は悲痛な声を上げて華奢な身体を撓らせた。
お互いの湿った吐息が部屋を満たしていた。
畳に押し付けられて痛かっただろうか、と、ふとささいなことが気に止まり、お妙の様子を伺うと、なんだか夢の中の彼女と様子が違っていた。
頬に涙の筋をいくつも流し、苦痛に眉を歪めている。
――― あ…… 、 ………やッ べぇぇえええッッ!!!
お妙は確か結婚までは貞操を守るとか言って、ウチの上司を寄せ付けもしない娘だったのである。
土方の知るところでは他の男も似たり寄ったりだったはずである。
勿論、土方との情事は夢の中の、もしくはイボ同士のことではないかという仮説までは立てられるというだけで。
――― こ、こいつ確か生娘だった……はず……!!
流れに任せて、「いただいて」しまった。
かたちとしては向こうがねだってきたことにはなるが、全くもって失念していた。
あれ。これいいの、コレ。
土方が恐る恐る様子を伺うと、お妙は肩で息をしながら土方をふり返った。
「いいの……トシさん……いつもみたいに…して……?」
――― ああ…。もう、ダメだ、コレ。
土方はしわになった妙の着物を全て剥ぎ取り、妙の白く滑らかな背中を抱きしめると、そのまま腰を前後しだした。
確実に歯止めが利かなくなるのはわかっていたが、このままでは止められそうにもなかった。
妙はひどく奇妙な感覚に囚われていた。
フラッシュバックのように自分と土方がまぐわっている記憶がめぐり、何が現実なのかわからなくなっていた。
背中にのしかかられた重みも熱も、肌を這う、土方の指の動きも舌の動きも、よく知っているもののように感じられた。
自分がどうすれば土方が喜ぶのか、これから土方がどう動いてくるのか、何故か手に取るようにわかった。
破瓜の痛みはあったけれど、不思議と恐怖はなかった。
それよりも、この身の奥で土方の肉の杭がどの様に暴れるのか、その感覚を早く味わいたかった。
懐かしく感じ、待ち望んでいるといってもよかった。おかしな話なのだが。
「いつもみたいにして」とねだると、土方は愛おしそうにお妙に触れた。
お妙自身、なんでそんな言葉を口走ったのか、それはわからない。
初めてのはずなのに。
けれど、身体は早くも感覚に馴染んで、たっぷりとした愛液を滴らせて土方を迎えた。
土方の先走りの汁と相俟ってすべりのよくなった内部に土方の肉の杭が激しく出入りする。
泡だった体液が溢れかえり、泡になって二人の腿を伝った。
ぱんっぱんっぱんっぱんっという、小気味いい音と、お妙の上擦った甘ったるい声と、余裕のなくなった土方の荒い息が昼の客間に響く。
「あっあっあっあっ!、だめっ、ダメなのッ トシさんッッ! 気持ちイイのッ! 良すぎてイッちゃ…っあああっ!! 」
激しく突き上げられて嬌声を上げる妙の腰を捕らえて、土方は彼女の身体を反転させた。
正面からさらに激しく突き上げる。
さらに深く、子宮口の辺りまで己の身を叩きつける。
お妙も必死にしがみついて腰を揺らせた。
白く長い脚を土方の腰に巻きつけて、搾り取るように、中での土方への締め付けを強くした。
美しい顔に乱れた髪が汗で張り付いて、壮絶な色香を放っている。
その表情は恍惚と輝いていた。
――― あぁ…コレは、この女は、俺の、もんだ――。今まで何度もこうやって中で種付けして、本当に孕むまで何度も何度も何度だって犯してやったんだ――。
そう思い出した瞬間、土方は妙の子宮の奥に己の白濁を吐き出していた―――。
「って、おお〜いィィイイ!! 正月休みの間に何やらかしてくれちゃってんのォォオオ!!??
再アニメ化がかかってる大事な時期なんだぞ、こっちはぁああああッッ!!!!!」
ぱぁああんッ ぱぁあああんッッ !!!!
志村家の客間に激しいハリセンの音が響いた。
そこには今まで裸でまぐわっていたはずのお妙と土方が服を着たままの状態でうつ伏せに倒れている。
二人の頭のそばには小さなイボが転がっていた。
「本誌でややこしい展開になってる間に更にややこしくなるようなエイリアンにとりつかれてんじゃねぇっつーの!!」
激昂してハリセンを握った男は本作の主人公、坂田銀時であった。
「最低主人公として年越しして、ただでさえアニメ化が危うくなってるッッつーのによぉ……」
脇キャラまで乱交始めたらマジジャンプからいられなくなるっつーの!!とブツブツとふてくされた主人公は、「次は神楽と新八とヅラとゴリラと……って、ああああっっ、もう面倒くせぇえええよ!!」と叫んで歌舞伎町へと消えていった。
<完>