「あっ、あん…っうあっああっ!」  
細い腰をくねらせて甘い声をその口から紡ぎだす、どこからどう見ても幼く小柄な少女が、男二人の性欲と、重すぎるとも言える愛を受け止めるのは、難しい話だった。  
前からはパンパンパンと手加減すらされず最奥をつかれ、まだ狭い膣が中で苦しそうに震える。  
後ろからは到底性感帯だとは思っていなかった部位に指を入れられ、まだ小さな胸をもみしだかれる。  
 
 
神楽はなぜ、こんなことになってしまったのか、ぼんやりと考えた。  
何故、実の兄に、何故、沖田に。  
快楽の波に溺れそうになりながら、必死に考えたけど、理由は分からない。  
 
 
「はは・・・、チャイナ、気持ちいいですかィ?」  
「や・・・っは、あ」  
乳首を摘ままれて神楽はびくりと震えた。つんと存在を主張する桃色の乳首を指先で擦られこねられ、耐えるように潤む青い瞳を細ませた。  
「ちょっと、こっちに集中してよ神楽」  
その言葉と同時に、ピストンの速度が上がる。  
ずちゅずちゅと接合部から卑猥な水音。聞きたくないというように瞑った神楽の瞳から、涙が一筋、頬を伝う。鎖骨に落ちた涙を神威がなめとるように屈むと、先ほどとは違った位置を突かれてびくりと反応した。  
鎖骨を舌先で舐められるのはまだ、快感というよりはくすぐったい感覚に近く、少し息をついたのも束の間、後ろから伸びてくる沖田の手が尻を撫で回し感度を煽った。神楽はまた呑まれそうになる。  
 
 
 
「ちょっとオニイサン、もう少しむこう行ってくれませんかねェ、そろそろ挿(い)れるんで」  
「嫌。どうにか調節してよ、・・・キツ・・・、」  
「あ・・・っあ、ん!あ、だ・・めっ・・っあ、はあっ!」  
「神楽・・・」  
 
近づいてくる神威の顔。  
唇と唇が触れ合った瞬間、神楽の唇をこじあけて神威の舌が入る。  
「ん、・・ふっう、」  
頬を染めて苦しそうに歪められた神楽の表情に、神威は嬉しそうに瞳を細めた。  
銀色の糸が2人の唇を結ぶように作られ、沖田は不快そうに顔を歪ませた。  
 
「神楽・・・、神楽、」  
「あう・・っふ・・・!ん」  
惜しみなく降ってくるキスの嵐は、神楽の呼吸さえも奪おうとしているように感じられた。  
一旦唇が触れ合えば、数分ずっと口付けたまま離れない。神威の舌が神楽の口内を侵す度、神楽から漏れる甘い吐息が神威を熱くさせる。  
 
何故妹に、こんなに心が動かされるのか。一定の感情が保てないのか。幼き頃、神威はそう悩んだ日があった。  
思えばそのときから、自分はもう神楽のことが好きだったのかもしれない。手にいれたい、そう強く願うのはその為か。  
 
「チャイナ、好きでィ」  
「は・・・あっ・・、」  
絶え間なく囁かれる愛の言葉は、神楽の心を奪おうとしているように感じられた。  
耳たぶを甘噛みされながら囁かれる『好き』という言葉は神楽の頭をとろかす。『好き』、『好き』、『好き』、ともう何度聞かされたことか。  
神楽は揺れそうになる度、ぎゅっと持ちこたえて、ただ自分の好きな人を思い浮かべた。沖田は神楽がそうやって、『好き』といわれて赤くなるのをこらえている様を見るのがひどく好きだった。  
「好きだ、誰よりも。愛してる、・・・チャイナ」  
神楽を慈しむようなその声。神楽はぐらりと、傾いてしまう。その優しい声が、心のよりどころを失った神楽を受け止めるべく、誘うのだ。  
 
沖田はずっと神楽が好きだった。生意気でおおぐらいで強くて、どうしようもなく可愛い兎。  
もう、神楽が沖田を好きになってくれるのならば、それが錯覚でも一時の気の迷いでも良かった。ただ、神楽が手に入るのならば、それで。  
 
 
 
男2人の愛はどちらとも深く、どこか歪んでいる。  
そのことに神楽がやっと気づいたのは、今日になってからだったのだ。  
 
*  
最早嫌だとも言葉にすることが出来ず、ただ押し寄せる快感に震え涙を流し、その涙が頬を濡らしているのも気にせずに男達は腰を振る。  
「チャイナ、好きだ」  
「神楽、好きだよ」  
男達のむせかえりそうになるほど甘い愛を受けながら、少女は恋しき人を思う。もう既に置き場所がないのに、まだ男たちは少女に愛を注ぐ。  
(銀ちゃん、)  
本当に愛しい銀髪のあのひとに、もう会えない。  
ああ、私の愛は、あのひとのためにあったのに、  
 
もう居ない恋しき人。  
もう居ない恋しき人は、この男達のせいで『居なく』なったのに。  
どうしてだろう、少女は、男達を嫌いにはなれないのだ。  
いや、違う。もとから私のせいなのだ。  
あのひとを、好きにならなければ。  
あのひとを、愛さなければ。  
あのひとは、居なくならなかった。  
 
神楽が銀時に抱いた感情も、愛。  
神威が神楽に抱いた感情も、愛。  
沖田が神楽に抱いた感情も、愛だったのだから。  
こんなに酷いことをされても、あんなに苦しい思いにさせられても、  
こんなにも少女だけを一途に思う男達の悲しく歪んだ愛、これも、確かに、愛だから。  
 
<終わり>  
 
 
 

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