「こんなに傷ついて・・・。」  
そう言いながら、日輪は包帯の上から月詠の傷をなぞる。  
ズキリと鈍痛が走る。  
「んっ・・、日輪、痛い・・・。」  
「そうかい、それじゃあ早く治さなくちゃねぇ・・。」  
そう言いながら、日輪は傷を覆ってる包帯をしゅるりとほどく。  
生々しい傷がさらけ出される。  
傷は、まだ瘡蓋が張っておらず、未だ血が微量に付着している。  
日輪は無言でそれをじっと見つめ、そして唇でそれにそっと触れた。  
「日、輪・・・?」  
月詠が少し驚いたように呟く。  
「・・少しでも、良くなれば・・・。」  
そう言うと、傷口にそっと舌で触れる。  
そのまま血を拭うように、傷口を嘗め始めた。  
「くぁぅっ・・・!!!」  
燃えるような痛みが走って、思わず月詠は声を上げた。  
だが、日輪の親切を無碍にする訳にもいかず、じっと耐え抜いた。  
日輪はひとしきり傷を嘗め終えると、今度は月詠の口元に顔を近づけてきた。  
しばらく、お互いの目を見つめあい、呼吸の音だけを静かに聞いていた。  
やがて、どちらからともなく、唇を重ねあった。  
 
枷が外れたかのように、お互いの唇を啄みあう。  
月詠の口の中に、日輪の舌が入ってきた。  
それは、まるで月詠を味わうかのように、じっくりと動く。  
月詠も我知らず、日輪の舌に自分の舌を絡める。  
溢れた唾液が、首筋を流れて、着物の裾を濡らしていく。  
ややあって、お互いの唇が離れる。  
お互いの唾液が糸を引いて、月詠の太股の上に滴り落ちる。  
二人は、お互いの指も口の中に入れて、嘗めあう。  
ぴちゃぴちゃと、指を嘗め上げる音だけが響く。  
「月詠・・・。」「日輪・・・。」  
二人は、再び見つめあい、指を絡ませてもう一度しっかりとキスをする。  
 
外では、三日月が妖しく地を照らしていた。    
 
 
 

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