時給三千円食事つき酒つきピンハネなしとっぱらい。  
なんとも美味しいバイトを銀時が長谷川に持ちかけてきたのは昨日の事。  
場所はスナックすまいる。  
条件はただ一つ、「キャバ嬢の言うことを聞け」。  
 
「何やればいいんだろうなァ、俺……」  
夕暮れの道をすまいるへと向かう長谷川は、仕事内容に想像をめぐらせた。  
黒服や皿洗いと具体的なことをいわない辺りが引っかかる。  
客として訪れたすまいるで、お妙と阿音の売上争いに巻き込まれて身包みはがされたこともある。  
「……ま、お妙ちゃんたちのパシリってとこだろうな」  
一時のテンションに身を任せてマダオと呼ばれるようになって以来、碌でもないバイトは数多く経験してきた。  
病院のベッドで寝てるだけ、というバイトで危うく内臓を取られそうになったり。  
この鞄を運ぶだけ、というバイトは、鞄の中がなぜか透明な袋に小分けされた、どう見てもメリケン粉には  
見えない白い粉で満たされていたり。  
旅行のモニターというバイトにいたってはマグロ漁船だった。  
 
それらに比べれば、すまいるでの仕事は天国の部類に入るだろうと長谷川は思った。  
例え、頼んでもいないピンドンでタワーを作って客のテーブルに無理矢理押し付ける仕事だったとしても、だ。  
 
 
「あら長谷川さん、お早いんですね」  
開店前のすまいるに到着すると、既に店用の着物に着替えたお妙が長谷川を出迎えた。  
「いやぁお妙ちゃん、今日はよろしく頼むよ。オジサン丁度金欠で困ってたんだ」  
「よかった、長谷川さんに頼めなかったらどうしようかと思ってたんですよ。さ、こちらへどうぞ」  
照明を落とした店内を通り、長谷川が通されたのは、キャバ嬢達の控え室だった。  
 
 
「……あの……これ、どういうことかな……」  
それから数分後。  
全裸にサングラスで正座の長谷川は、上ずった声で自分を取り囲むキャバ嬢達に問うてみた。  
お妙、おりょう、花子、阿音、その他数名。  
控え室に入るなりキャバ嬢達は寄ってたかって長谷川の衣服をダチョウ倶楽部の竜ちゃんの如くあっさりとはがした。  
長谷川のマダオ(「ま」ぁいつもなんだけど「だ」らーんとした「お」れのチンポ  
はこのありえない光景に早くもにょっきり。小生の愚息もハッスルだ。  
「うふふ……持ち主と違って元気ですね、長谷川さんのマダオ」お妙がくすくすと笑った。  
「違う違う! これ違うから! あの、生理現象だからねコレ! コラ、収まりなさいマダオっ! 収まれッ!」  
ぺち、とマダオを叩いたが痛かった。  
「オオオ痛ェ!」  
「ふふ、いいんですのよ、長谷川さん。その方が都合がいいですから。じゃ、今からバイト開始です」  
長谷川の正面に立つお妙は菩薩のような笑みを浮かべた。  
「え、あの、お妙ちゃん……バイト開始って……」  
「簡単な事なんですよ。私達の売上向上のため……つまり、アフターの練習台になって欲しいんです」  
そう言ってお妙は膝をつき、長谷川のマダオに手を伸ばした。  
「……あ……アフターって……」  
「銀さんにも頼んだんですけど、あの人早いし声が五月蠅いから。じゃあ、先ずは私から」  
「え゛」  
 
――ぱ く ん 。   
 
お妙の口が、長谷川のマダオを捕らえて引き寄せ、咥えた。  
『う・嘘ォォォォォォォォォォォ!!!!!』  
「――ん………ッ、」  
お妙は長谷川のマダオを扱きながら口腔内で吸い上げ、唾液をたっぷりと絡ませる。  
鈴口を舌先で突付き、もう片方の手でふぐりもふにふに。  
『おおおおおおおおおおおおおおおお妙ちゃんんんんっっっ!!!! なんなんだコレェェェ!!  
コレなんてエロゲェェェ!!!!』  
玄関開けたら2分でご飯どころか、キャバクラ開けたら二分でぱくん。  
ありえない展開に長谷川の思考回路はショート寸前。今すぐタキシード仮面様に会いたかった。  
「お妙、結構うまくなったじゃん」おりょうが覗き込んで言った。  
『うまくなったってどういうことォォォォ!!! 何の当社比1.5倍ッッ!!』  
「だっておりょうの素股には負けてられないもの」  
唾液に塗れた口でそんなことをさらりと言ってのけるお妙は、既に普段のお妙とは別人28号だった。  
『ちょっと待てェェェェ!!! ここって割と健全なキャバクラじゃなかったのかよォォォォォ!!!』  
展開上仕方が無い事だった。  
「阿音ちゃんの手コキにも、花子ちゃんの足コキにも負けてられないし……」  
マダオを握り締めたお妙の口から飛び出す卑猥ワードの数々。  
『手コキに足コキィィィィィ!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 負けるとか勝つとかァァァァァ!!!』  
「あ……凄く熱くなってきたみたい……もうコチコチ……」  
普段は冷蔵庫に忘れ去られた人参の如くしなびている長谷川のマダオ。  
ハツと別居して数ヶ月。こんな風にハッスルするのは初めてではないだろうか。  
「ほら……長谷川さん、もうイきそう……」  
「ッ……お……お妙ちゃん……ッ!」  
 
 
 

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