月の明かりは部屋に差し込む。
美しく、儚い、優しい光だ。
男はその光を遮り、四肢を戒められた手負いの女に立ち塞がっていた。
光を背に浴びる男の表情はわからないが、静謐な狂気を秘めた双眸だけははっきりとわかる。
男の瞳に宿る影は、月の光とは対照的で、どうしようもない絶望の色を帯びていた。
それだけではない。
唾を飲み込めば白い咽喉が小さく波打つ。
乾きかけたこめかみの血が、小さく音を立てて罅割れた。
本能が告げる。男の闇に呑まれたら間違いなく死ぬ、と。
蜘蛛の巣に絡めとられた四肢はぴくりとも動かない。
命は掌の上で転がされているのだ。だが、眦を決すことで男に拮抗する。
「いい目だ」
地雷也の節くれだった指が、月詠の輪郭をゆっくりとなぞる。
真一文字に引き結んだ唇はほどけない。地雷亜の微笑から目が離せない。
身体が石のように強張った。
地雷亜の手は、まるで月詠の存在を確かめるように
頬から首筋、胸、腰へと、滑るように落ちてゆく。
背筋がぞっとした。身体が小さく震え、蜘蛛の巣が揺れる。
「っ…」
「だがその目は長く続くまい」
言葉が終わる前に地雷亜の手が動く。音すら遅く感じるほどに一瞬だった。
「っぐっ!?」
月詠の身体がうつ伏せに床に叩きつけられる。跳ねるように身体は仰向けに返り、地雷亜を見上げ――。
細長い杭が、立ち上がろうとした月詠の両手を穿ち、身体を床に押し戻す。
腕と掌に深く刺さり、鮮血が飛び散る。
激痛が身体中を駆け抜け、背を反らせ悲鳴をあげた。
「あがあぁぁっ!!」
「俺を失望させてくれるな」
「キッサマアアアッ!」
激昂し、月詠の目は血走り眉間に深く皺が刻まれる。
地雷亜は手の甲についた返り血を舐めながら、月詠に覆いかぶさる。
人間の温もりなど月詠は感じなかった。
ただ、地雷亜の身体は冷たく、鉄が錆びたような匂いがこびりついていた。
「どけッ…!?何…を…!?」
月詠は息を飲み、己が眼をしかと見開き、師の手を凝視していた。
地雷亜は着物を捲り、網タイツを履いた艶かしい両脚を曝け出させ、足首を手で掴む。
尋常ならざる握力は、脚を動かすことを許さない。
腰を捻り、地雷也から逃れようとしても叶わない。
帯の下の括れた腰から、白い尻にかけて女らしいゆるやかな曲線が地雷亜の瞳に映る。
月詠の脚が曲げられ、胸に彼女自身の膝を押し付けると
尻が軽く浮き、黒い下着に覆われた秘丘を地雷亜に見せ付ける体勢になってしまう。
「何を、し、しておる…」
砂漠のように乾いた声を咽喉から搾り出す。
身体が小さく震え、杭に穿たれた掌が、床を掴まんと爪を立てる。
「壊すのさ…女のお前を」
「やめろおおおおお!!」
地雷亜の声をかき消すように叫び、身を起こそうと身体をゆする。
腕と掌から、新たに血が滲み、顔が恐怖で引きつる。
地雷亜はゆっくりと下着に顔を近づけ、布に歯を立てると、思い切り引きちぎる。
あまり陰毛の生えていない秘所。白い秘丘に一本の亀裂が走り、
僅かにピンク色のひだが見えている。視線で犯されることで、
小さく唇を動かすように、くぱくぱと開閉している。
「小便くさいが、雌の匂いがするぞ…」
鼻先を秘所に近づけ、呟きで擽る。
地雷亜の息が当たり、月詠の腰が小さく震えた。
秘所の全てを間近で見られている。月詠が反駁しようとした瞬間、
地雷亜は秘所に深く口づけする。舌先が淫らに咲く花びらを丁寧になぞり、
亀裂へと、ゆっくり侵入してゆく。
「ひ、ぃ……」
徐々に月詠の恐怖心が劣情に塗り替えられてゆく。
地雷亜の太くなめくじのような舌が、ピンク色の膣を抉るように擦りたてる。
脚を肩に乗せ、指でクリトリスの包皮をむき、鼻先で嬲る。
月詠の身体から、力が抜けてゆく。
否が応にも女である己を感じさせられ愛液が奥から湧き出る。
地雷亜はわざと下品な水音を響かせて愛液を吸い、舌を奥へとねじりこみ、
月詠の反応を見ながら彼女の弱い場所を捜し求める。
集中的にそこを舌先で執拗に抉れば月詠の下肢は人魚のように跳ねる。
唇から漏れる声は鼻にかかり、甘美に響く。
「あぁ、ぁっ…んっ…ふ、ぁ…め…ぁ、やめ、ろっ…」
「その女の声だ。早く捨てねばな」
ふいに地雷亜の顔が股から離れる。口元の唾液と愛液を手の甲で拭う。
月詠を見下ろして微笑んでいた。
月詠は肩で息をしながら、苦しげに地雷亜を見上げ、睨みつけている。
地雷亜はその視線を受け止め、何も告げずに、唐突に月詠の中に押し入った。
固く反り返った肉棒が、まるで内臓を押し上げるような感覚を伴って月詠の中に侵入してゆく。
涎をたらし、だらしなく開く花びらの中に肉棒が飲み込まれる様は
地雷亜の胸を熱くし、加虐心にますます火をつけてしまう。
カリ首を入り口に引っ掛け、小刻みに腰を揺らすと月詠の反応があからさまに変化する。
「はひぃっ…!ひ、ぃ、あぁぁっ!あんっ…ぁ、ぁ、ああっ!」
自ら腰を突き出し、きつかった瞳は今はとろけきって、地雷亜の苛みに酔いしれている。
地雷亜はその反応に口元をゆがめ、徐々に奥へと腰を進ませる。
腰を肉棒が抜けるぎりぎりまで引き、腰を突き出す。
子宮口を思い切り亀頭が抉り、月詠の身体を激痛が貫いた。
一瞬にして地獄に堕ちた。目が見開かれ、わななく唇からは獣のような声が漏れる。
「ひぎぃぃぃっ!」
「ここがお前の女の部分だ」
地雷亜が淡々と告げる。その子宮口をこじ開け、破壊するが如く乱暴に突き立てる。
膣壁は肉棒を咥え込み、白い愛液がかき混ぜられて結合部の隙間から外へと漏れ出す。
月詠は頬を床にこすりつけ、身体を反り返らせている。
あまりの痛みに目尻から涙が零れ、脂汗が浮かぶ。
「これを壊せば、お前は完成に一歩近づくな」
「バカな、ことっ……ぐあっ!んぐっ、あ、あ、あぁぁっ!」
「愚かはお前さんだろう。
本当に傷を入れるべきは、顔ではなくここだった」
月詠が下腹部に力をいれ肉棒の動きを拒もうとするも、締め付けをきつくし
膣の中に含まれた空気が屁のように漏れただけであった。
「なに、すぐには壊さん。
この小さな穴をゆっくりとこじあけてから…袋を叩き割ってやるからな」
子供に語りかけるかのごとき優しい口調で、月詠の耳元に囁く。
ゴリッ、と固い音を月詠の中で響かせ、地雷亜は腰を振りたくる。
蹂躪され続ける月詠の身体が、反り返りびくびくと震える。
痛みを和らげようと、愛液が泉の如く湧き出る。
肉襞が凶器と化した男根に絡みつき、一分の隙もなくびっちりと絡みつく。
「痛みすら快感か?
どうしようもない…淫らな女だな、月詠」
「やめっ…!ぁぐああああっ!ちがっ、ぐっ、あぁっ!」
地雷亜は月詠の尻をつきださせ、思い切り月詠の尻を叩く。
ばちん、ばちんと乾いた音が部屋に響き、月詠の尻は真っ赤に染め上げられる。
叩かれるたびに月詠は身体をびくつかせ、秘所は締め付けを増す。
愛液がなめくじのように尾を引いて尻へと垂れてゆく。
金糸を振り乱し、顎をあげ、地雷亜の責めによがり、悶え、泣き叫ぶ。
だが地雷亜は容赦することなくさらに激しく責めたて、
文字通り壊すように月詠の子宮口を突き、抉り、嬲り、汚してゆく。
やがて子宮口により深く亀頭を抉りこませ、地雷亜は精をぶちまけた。
その荒々しい腰つきに月詠の膣が収縮し、精を飲みほしてゆく。
びくびくと脈打つ肉棒を、秘所は緩むことなく吸い付いて
ねだるようにくわえ込んだままだった。
「はひっ、ひ、ぁ…ぁ…」
月詠の虚ろな瞳は、絶望の影を纏う。
暗い月を覆う雲のように瞼は閉じられた。
身体を動かす力も、抵抗する気力も削がれ、全てはゆだねるしかない。
「まだこれからだ。
気が狂うほどに壊してやろう…」
地雷亜は月詠の耳に舌をもぐりこませ、丹念に舐めながら囁く。
月詠はその声をどこか遠くに聞きながら、瞼の裏であの男の背を描いた。
「……ぎん…とき…」
呼ぶ声が、遠ざかる背に届くことはない。
「よし、書けたぞ」
銀時は紙の端を机でトントンと揃えて満足げに頷く。
「なああああにさらしとんじゃあああああああ!!!」
月詠のドロップキックが見事銀時の後頭部に叩き込まれ、銀時はふっとび壁にめりこむ。
「え!?い、いたの!?
い、いやいやいやいや、2ちゃんねるのエロい板に投下しようとおもって…
ほら、オメーと師匠の関係なんかあやしそうじゃん!
前々から日経新聞の連載にありそうだなーと思ってさ。
だいたいあの師匠って何かテクニシャンっぽくね?
あんなAV男優いるだろうが!」
「そんなワケあるかああ!
日経新聞って、それ不倫話だろうが!
裁判で赤っ恥掻く話だろうがあああ!
とゆーかぬし、あの状況でこんなことばっか考えておったんか!?逆にすごいわ!」
「優秀な男優だよありゃ。
女の声にかぶることなく言葉責めだよ。
男の声が煩いとな、興ざめすんだよこっちは」
「だいったい、あんな人体模型みたいな男優見たことないぞ。
一体どんなAV見とるん……
……オイ、これ何で最後わっちがぬしに思いを馳せてるみたいになっとるんじゃ。
このくだりがいっちばん不快じゃ、今すぐやめなんし」
「そりゃあオメー、主人公の役得だろうが。
それになあ、こういう風に書いてた方が切なくて女子受けがいいんだよ」
「死ねボケエエエエッッ!!」
月詠の訴えは右から左に流し、投稿する銀時であった。
それ以降彼の姿を見た者はいない。
投下のあと、その板は荒れに荒れた。
同じIDの白髪テンパアンチが大暴れしたことがきっかけで
厨とアンチの終わりのない戦いが始まったからであった。
『切腹しろ切腹しろ切腹しろ切腹しろ
切腹しろ切腹しろ切腹しろ切腹しろ……』
おわり