ここは、眠らない街かぶき町。色とりどりのネオンが淫靡に輝いている。
土方は今日もお妙のいるスナックに入り浸った揚句ボコボコに殴られてのびているであろう近藤を迎えに行く。
「あ〜あ、近藤さんもなんであんな暴力女が良いのかねえ…。」
・・・確かに見た目は良いが。
ボコられてもボコられても一向に冷めることのない近藤の情熱は土方には到底理解出来なかった。
通りを歩いていると身売りの女達が数人声をかけてきたが、瞳孔の開いた目でギロリと一睨みすると、女達はそそくさと逃げて行った。
この薄暗い路地裏を抜けると目的のスナックへ着く。
すると、路地裏の途中で聞き覚えのある声に呼び止められた。
「お兄さん、私の身体、買うヨロシ。」
狭く薄暗い湿った路地裏から現れたのは、明るい桃色の髪。
「お前…万事屋の…!」
「多串くん!!」
「土方だ!…っつーか…何の真似だ?」
「聞こえなかったカ?私の身体を買えって言ったアルヨ。」
「ハァァァァ!?お前気でも違ったか?それともまさか…。」
「銀ちゃん達には関係ないヨ!それにこんなこと知られたらしばかれるネ!多串くんもこのこと絶対黙っててヨ!」
「…土方だっての…!」
「…私が居候してるせいで銀ちゃんろくに食べてないネ。自分の食いぶちくらい自分で稼ぎたいヨ。」
大食漢の神楽が来てからというものそれまでもじり貧の生活であった万事屋はますます貧困を窮めていた。
稼いでも稼いでも神楽の胃袋の中に収まってしまう。
実際神楽と初めて会った時から比べると明らかに銀時は痩せていた。
いつまでも甘えているわけにはいかない。そう思って神楽は身売りをすることにした。
「…だからって自分の身体売るってぇのか!?」
「相手も気持ちイイ、私もお金もらえる、誰も傷つかない方法ネ。」
「それでお前は傷つかないのか…?」
「…分からないヨ…でも…」
銀ちゃんのためなら何だってするネ、神楽はそう言って少し自嘲気味に笑った。
土方はそんな神楽を見て溜息をついた。
「だから、私の身体、買って欲しいアル。」
「いくら欲しい?」
「2万。」
土方は黙って神楽に万札を3枚握らせた。
「じゃあな。」
「ちょっ…ちょっと待つアル!!」
「何だ?まだ少ないのか?」
「…何もしないのカ?」
「身売りの女と乳臭ェガキ抱く趣味はねーなあ。」
お前んとこの銀髪じゃあるめーし、土方は神楽に背を向けながらそう言った。
「…これで恩売ったつもりアルカ?」
「売ってねーよ、ただ…。」
「こんな同情臭い金いらないアル。」
神楽は土方に先程渡された3万円を突っ返した。
「一度やった金返されてもな…。」
「じゃあ早くセックスするヨロシ。」
神楽は土方の金をカバンの中に捩込むと同時に土方の下半身に指を滑らせた。
「えっ!?おいっ!!」
戸惑う土方をよそに着流しの下の下帯の上から優しく土方の陰部を愛撫する。
「ちょ・・・・っ・・・・チャイ・・・ナ・・・・やめろ・・・・っ!」
誰から教わったのか、神楽の愛撫は確実に男の良いところを捉らえていて、下帯を隔てた愛撫でも土方の下半身はすぐに反応を見せ始めた。
「・・・・・くっ・・・・・んっ!」
「多串くん、ココ熱くなってきてるヨ。」
神楽はその小さな顔を下帯に埋め、頬を擦りよせる。
「硬い…。」
下帯の上からもその形が分かるほどしっかりと主張したそれを確認した神楽は一度愛撫していた手を止めて艶のある笑みを浮かべてこう言った。
「続き、して欲しいアルか?」
「バ…バカ…や…ろ……。」
泣く子も黙る真選組の鬼の副長ともあろうものがこんなガキに翻弄されている。
それはプライドの人一倍高い土方にとって屈辱でしかなかった。
己の誇りを保持するには、押し寄せる快感に抗うより他ない。
「トシの…早く…欲しいアル…。」
そう言って神楽は愛おしそうに下帯に包まれた土方の陰部に熱い吐息を吹き掛け優しく口づける。
呼ばれると思ってもみなかった自分の名前。本名知ってたのかコノヤロー。こんな時だけ呼ぶなんて反則だぞチクショー。
その不意打ちは、堰を切ったように土方の快楽中枢を刺激した。
しばらくすると先走りの露が下帯に染みを作っていた。
「多串くんったら、もうおもらししてるアル。イケナイ子ネ。」
神楽は慣れた手つきで土方の下帯を外すと屹立した男根が勢いよく飛び出した。
根元をキュッと締め付けながら直に舌を這わせてやると土方から苦しげな声が漏れる。
「くぅ・・・・は・・・離せ・・・・!」
小さな口に赤黒い男根がゆっくりと飲み込まれていく。
根元は射精を赦されないままで。
神楽の手を引きはがそうとしても快楽に支配された身体はまったく言うことを聞いてくれない。
「も・・・・だ・・・・ムリ・・・・ッ!!」
「もう降参アルか?」
「・・・なっ・・・・!!」
「射精させて欲しいなら素直に言うヨロシ。」
絶対に言うものか。
まだ薄皮一枚残して繋がっているプライド。それだけは捨てられない。
「変な意地張ってたらずっとこのままアルよ〜。」
神楽は娼婦のように意地の悪い笑みを浮かべ、男根を口に含んだまま勢い良く頭を前後させる。
「く・・・・っ!」
緩急をつけて玩ぶとますます快楽の波が土方を襲う。
土方の自身は奥の方から溢れ出す精液が溜まって張り裂けんばかりだった。
血管が浮き出し、ふるふると小刻みに震えている。
「は・・・早く・・・・っ・・!!」
「早く、何アルか?」
「・・・・どうにかさせろ・・・!!」
「ソレ、人にモノ頼むときの言い方じゃないヨ。」
神楽は根元を一層強く締め上げた。
「く・・・・ぅ・・・・っ!」
「射精させてください、お願いします工場長って言うアル。」
「・・・・・こんの・・・・・っ!」
糞ガキが・・・!抗議の言葉は他でもない自分の身体にせき止められてしまう。
それどころかそれ以上のことはもうまったく考えられない。
くだらないプライドは捨てろ、快楽に身を捧げてしまえという悪魔の囁きが土方の頭を巡る。
「・・・ぅっ・・・うぅ・・・っ・・・・。」
「早くしないと多串くんのおちんちん、壊れちゃうヨ。」
・・・・・・・もう限界だ。
「しゃっ・・・・射精っ・・・させてっ・・・・くださ・・・・いぃ・・・っっ!!お・・・ね・・・がいっ・・しますっ・・・、こぉ・・じょ・・・・ちょ・・・ぅっ!!」
「よくできましたアル。」
そう言って神楽は締め付けていた土方の根元を開放してやった。
と同時に勢いよく放たれた土方の精液は神楽の顔中にかかり、薄く開いていた口にも流れ込んだ。
頬についたそれを指ですくいとり舐める。
「こうすると濃くなっておいしいアル。」
「・・・はぁ・・・はぁ・・・・。」
「気持ち良かったでショ?」
「・・・こんの糞チャイナ・・・・ッ!」
見据えた先には自分の放った精液にまみれた神楽の顔。
少しだけ頬が上気していて、酷く扇情的だ。
この糞生意気なガキは雄をくわえ込むとどんな表情を見せる?
普段は人の神経を逆なでてばかりのコイツはどんな声で鳴く?
そんな単純な劣情。
…そういやコイツ夜兎って言ってたか…夜兎とのセックスってどんな感じなんだ?
そんな下世話な好奇心。
鳴かせたい。鳴かせてみたい。
「どうしたカ?多串くん。」
気が付くと土方は目の前の少女を押し倒し、股を膝で割っていた。
「ちょっ…痛い!!いきなり何するネ!」
土方は先程果てたばかりなのに再び興奮が下半身にゾクゾクと集まるのを感じていた。
「あ…多串くん…復活ネ。」
「たっぷりお返ししてやるよ。」
「望むところネ。」
チャイナドレスを脱がせながら性急にキスをする。互いの舌が絡み合い、互いの咥内に不躾に侵入する。
土方はもっと深く味わいたいと言わんばかりに神楽の咥内の唾液を残らず吸い上げ、代わりに自分の唾液を流し込んだ。
コクンと喉がなる音が互いの後頭部に響く。極上の食材を前にして、土方の唾液の量は一向に減ることがなく、増えていく一方である。
神楽を見つめるその目は獲物を捕えた雄そのもので、そこからは理性の一片も伺えない。
少女が放つ芳しい匂い−それは夜兎の女特有のものなのだろうか−は男から余裕を奪っていく。
発情期の犬のように股間を神楽の下半身に擦り付けながら滑らかな肢体を舐め回す。
−可愛い奴ネ。
神楽は自分の胸に顔を埋める男の髪を愛おしげに撫でる。
どんなに意気がっていても所詮自分の下に堕ちる犬。
自分は違う。
身体は溺れても心は溺れない。
身体だけは溺れてやるネ。
「あ…んふぅ…。」
土方の広い背中に手を回し、心地良い舌の感触に身を委ねる。小さく尖った突起を甘噛みされると、身をよじらせ妖艶な声を出す。
普通の人間の女の反応となんら変わらないのだ。しかし何かが違う。何が違うのかは分からない。
それを知るために土方は目の前の身体を貪る。
足首を掴み頭の方に持っていく。現れた女陰を指で広げまじまじと見つめる。その造りは人間の女のそれと同じである。
どこが違う?内部の構造?性感帯の位置?感触?匂い?味?
「…あァん…そんなにじっと見ないでヨ…。」
そのまま太股の裏を押さえ付け、既に愛液を垂らしている局部全体を舐め上げる。
「ぁんっ!」
それは驚く程柔らかく、熱く、美味だった。
出来ることならそれを一思いに食べてしまいたい、そう思わせる程。
チュ…チュル…チュル…という音を立てながら、溢れ出る愛液を吸い、舌先を膣内に入れると身体全体がビクリと跳ねた。
「あァんっ!」
陰核が性感帯なのも人間の女と同じだな、と思いながら舌先でそれをねぶる。
「ァ…あっ…もぅ…ッ…ソコ…イイっ…!」
「ここか?」
指の腹で陰核を押し潰すようにぐりぐりと擦ってやる。
「あっあっあっ…んんーっ!!」
神楽は頭をのけ反らせてイった。
「はぁ…はぁ…。」
「入れるぞ。」
昇天の余韻に浸る間もなく土方の質量が神楽の膣を満たしていく。
感じるのは圧迫感と子宮の音。茎は蜜壷にぴったりと張り付き、その間には一ミリの隙間もない。
互いの体温が一つになる。
「あ…ん…多串くん…。」
ああ…確かにこの女は他の女とは一線を画している。
神楽の内部の感触は多摩のバラガキと称された土方にそう言わしめるものだった。
筆舌に尽くし難いとはこの感触のことを言うのだろう。
挿入しただけで身体中に電流が駆け巡るような快感が走る。ずっとこのまま甘美な気分を味わっていたい。
腰をゆっくり限界まで引いて奥まで一気に突いてやる。
「…はぁ…ぃや…ひゃんっ!!」
もう一度。ズルズル…グチュッ。
「ん…ふぅ…んはァっ!」
突く度により大きな嬌声を上げ、キュッと根元を締め付ける。
そんな所作を繰り返していくうちに、結合部から土方の先走りの液と神楽の愛液が混ざり合って至る所に飛び散るようになった。
ズチュッ…グチュッ…グチュ…。次第にその抜き差しを速めて行く。
「あァん……あっ…やぁ…っ…ひぁっ…。」
神楽の甘えるような嬌声に合わせて腰をリズミカルに動かす。神楽もそれに合わせて腰を振る。
時には手前の方で擦れ、時には奥まで達する土方の陰茎。その微妙な緩急が神楽を快楽の頂点に導く。
体液が混ざり合う音から肌を叩き合わせるような音への変化は二人の昇天が近いことを示していた。
「中に出すぞ。」
「あっあっあん…ッ…お腹の…中に…ぃ…いっぱぃ…出して…!」
夜兎は人間の子を宿すのか?宿すものなら孕ませてみたい。
奥まで。もっと奥まで突いてやる。
「あっあっあっ…も…ィいくぅっ…!イっちゃうヨォ!!」
神楽は一際大きな嬌声を上げながら、内部でしなる茎をギュッと強く締め付けた。
「……くっ!!」
その締め付けに土方の精が搾り取られ、大量のそれが胎内に流し込まれた。
「…あぅ…熱いアル…多串くんの…キモチイイ…。」
土方は達した後暫く神楽の子宮の音を感じていた。トクントクンという音が陰茎を包む。
異星人相手に何母胎回帰してんだか。
自分に呆れながら自身を神楽の中から抜こうとすると、神楽は膣でソレをキュッと締めつけ、抜かせないようにした。
「多串くん…抜いちゃやーヨ…。」
「まだ…欲しいのか?」
「…もっと…トシの…もっと…欲しいヨ…。」
腰を揺らしながら、耳元でそっと名前を囁かれると、ゾクリとする。下半身がまた大きく波打つ。
再び熱い口付けを交わしながら、土方は腰を押し進めていった。
後は限界まで腰を打ち付けるだけ。何も考えられない。考えたらおかしくなる。
ただ分かることは、今この小さな兎を狂おしい程欲しているという事実。
夜兎と人間の違いなんて分からないままで良い−。
「また買うヨロシ。」
「何をだ。」
「私の身体アル。」
「誰が買うか。」
結局−
男は少女がかけた罠に見事嵌まった。
今夜もこの薄暗い路地裏で男は少女の幼い身体に溺れる。
まるで悪魔に魂を売り飛ばしたかのように。
何が違う?どこが違う?
劣情と好奇心に駆られて溺れてはどうでも良くなる。
謎はいつも解けないまま。
悪循環は続く。
了