「晋助様!」金と赤の華やかな色彩が、今日もただ一人の名を呼ぶ。  
対照的に黒ずくめの河上万斉は甲板で小さくため息をついた。  
ふと視線を向けると、鬼兵隊の紅一点、来島また子が、彼女の主である高杉晋助に何やら話しかけている。  
高杉のほうは聞いているのかいないのか、その目線もただ広がる海原へ向けたままなのだが、また子のほうはお構いなしに笑顔で話し続けた。  
「…全く、苛立たしいでござる」  
そう一人ごちて、自室へと戻った。  
当初万斉は、この苛立ちは来島また子という存在そのものに対してだと思っていた。  
鬼兵隊という、目的の為手段を選ばぬこの組織の隊員は、決して身綺麗とは言えない。  
現にまた子も、年頃の娘が持つ物としてはずいぶん物騒な拳銃という武器で敵とあらば躊躇いなく撃つ。  
それなのに高杉を慕うその姿は、真剣過ぎ、純粋すぎる、と。  
だが、時折見せる自分に対する笑顔や、まだ幼さの拭いきれない仕草を垣間見た時に自分の中に沸き立つ感情に気付いて、悟った。  
嫉妬だった。  
 
夜、そろそろ見張り番を交代するまた子に万斉が話しかけた。  
「また子殿。このあと少し良いか?手伝ってほしい仕事があるでござる。」  
「仕事?わかったっス。後十分くらいでいけると思うっス」  
いたって普通に頼み、また子は何の疑いもなく応じた。  
 
「万斉様、…入るっスよ」  
ノックをしても返事がなかったのでそろそろと戸を開いてみると、室内は行灯がひとつ灯っているだけで薄暗い。  
「?…いないっスかね?」  
一歩、二歩とゆっくり中に入ったところで、後ろの戸が閉まり、振り返ったとたんに伸びてきた手に口を塞がれながら床に押し倒された。  
「!んっ…んーっ!!」  
驚いて目を見開くと、間近に到って冷静で強かな笑みを浮かべた万斉の顔があった。  
 
片手で押さえつけられている肩が痛い。  
口を塞いでいる手が離れると、また子は怒りよりも驚き戸惑っているといった表情で、小さな声を発した。  
「万斉様?…どうしたっスか?こんな…」  
それ以上どう言葉を繋げば良いのか解からず黙ってしまう。  
「このような状況で、そんな質問は少し呑気すぎるのではないか?」  
自分のほうがよほど冷静な様子で告げる。  
「それが解からぬほど子供でもなかろうに…まあ、こうすればはっきりと解かるでござろう」  
話しながらまた子の胸の袷を開く。  
「なっ!!やっ…やめてくださいっス!」  
また子の声などお構いなしに袖を引き肩から外す。  
もう片方もと手を伸ばしたところで万斉の目の前に鉄の武器が現れた。  
動きが止まる。  
「…手を離してくださいっス!」  
また子は静かに言った。  
撃ちたくはない。止めさせたいだけだ。  
「拙者を撃つか?」  
対するこの男も至極冷静。  
「…てをはなさないなら」  
「拙者を失うのは、鬼兵隊には大きな痛手ぞ?」  
また子の声をさえぎり万斉が告げる。  
「少し銃を使えても、実戦要員でしかないまた子殿と拙者、晋助がより必要としているのはどちらだと思うでござるか?」  
今度はまたこが固まった。  
一瞬大きく目を見開き、次第にそれに涙が滲む。  
「鬼兵隊…晋介の野望を成就させたくば、拙者は欠くことができない存在でござる」  
また子の目にたまった涙が遂に一筋頬を伝った時、万斉は何とも優しげな表情を浮かべ、構えていた銃を、もう一方の腰に備えていたそれと共に少し離れた床に放った。  
 
また子はどうすればよいのかまるで解からなかった。  
ついさっきまで頼れる兄のような存在であった万斉を急に憎むこともできず、しかしこのような状況は一刻も早く抜け出したくて、ただ涙が止まらない瞳で目の前の男を見つめた。  
 
「大人しくしていてほしいでござる。また子殿は初めてでござろう?痛い思いはさせたくない」  
「いやっス…やめて…万斉様」  
よわよわしい抵抗の声は無視され、衣をはぎ取られた上半身が薄明かりの中、万斉の目に晒される。  
白く、豊満な胸に手が伸ばされた。  
また子が息をのむ。  
「…っ!あ、いやぁ」  
「綺麗でござる」  
そう言って満足気に笑い、口付た。  
両手で胸を外側から揺さぶられたり揉まれたり、薄桃色の乳首をやさしく抓まれて、口は万斉の器用な舌が口内に侵入して蹂躙するように動き回り、また子は初めての感覚に戸惑っているだけで、体に力が入らなくなってしまった。  
ようやく口付が解かれても何も言えず、唇から洩れるのは忙しない小刻みな呼吸と、抑えようと努めて、遠慮がちな喘ぎだけだった。  
「ぁあ…ん、あぁ、ぁ…」  
万斉はその様子に満足して片方の手は乳房を弄んだままで、もう一方の手でスカートのホックをはずしにかかった。  
さらに、空いたほうの胸を口で愛撫し始める。  
唇で乳首を食むように包み込むとまた子はぬめった感覚が堪らずに身悶えた。  
「あぁ!!…ぃやぁ…ダメ、ダメっス…」  
万斉の顔を両手で包み込み離そうとするものの、まるで力が入らない。  
ダメだと口では言うのに体が熱く火照り、快感を享受し始めていることが恥ずかしくて涙が止まらない。  
「感度がいいでござるな。こっちもでござるか?」  
万斉が顔をあげてつぶやく。  
 
やっと片方の乳房が舌と唇の愛撫から解放されてほっとしたのも束の間、器用に下着まで脱がされた下腹部に手が伸び、秘所を万斉の指がかすめて一際大きな声を出してしまう。  
「ひゃあっ!!いやぁ…ぁんっ!あぁ…」  
指の腹で割れ目を何回もなぞると、内側から愛液が滲んでくる。  
「濡れてきたでござるな。…ここはどうか」  
「ゃあ!?あっダメ、そこはダメっス…あ」  
隠れていた花芽に触れるとまた子は首を振ってやめてと哀願した。  
「お願いっす。万斉様やめてくださ…なんか変…なんか来ちゃうっス!あぁ…」  
「変ではないでござるよ」  
万斉がそう言い、敏感なまた子の中心を指でクニクニと揺さぶりながら、再び乳首を舌先で責めるとまた子は一気に快感に襲われた。  
「ぁんっ!ぁあ!!いやあぁ!!」  
背を大きくのけ反らせ、体の力が抜けきってしまった。  
秘所からトロトロと愛液があふれるのを自分で感じてしまい、また子は羞恥に全身を薄紅色に染め、うち震えた。  
開きっぱなしの唇からこぼれる息が荒い。  
万斉の指が蜜壺に入り込み再び喘ぎ声をあげてしまう。  
 
「そろそろでござるな」  
万斉はようやく自分の着衣を脱いだ。いつも着けっぱなしのサングラスも外す。  
動けないでいるまた子の足を万斉の肩に乗せる。  
秘所に熱い鼓動があてがわれまた子はびくりと震えた。  
「…っ!?ダメっス!お願いっス…万斉様…ぁ、ぃや」  
また子の尚も続く健気な哀願に少しだけ本気で困った表情をうかべるが、万斉とてこのような状況で今更止められはしなかった。  
「なるべく、力を抜いているでござるよ」  
「ぃや…ぁっ!きゃあぁ!!」  
一気に貫かれ、その衝撃の恐ろしさから、思わず万斉の背に手を回す。  
「ぃた…い、いやぁっ!」  
また子の目からぽろぽろと涙がこぼれる。  
万斉は目を細めそれを見やり、いったん体の動きは止めて、深く口付る。  
次いで手で胸をもみしだいた。  
深い口付でまた子がぼうっとし始めるとゆっくりと腰を動かす。  
「んっ…くぅ…あっ」  
全く痛みが抜けきったわけではないが、徐々に快感が勝っていく感覚にまた子は困惑しながらも、口付を解かれた唇からひっきりなしに声をあげてしまう。  
「ぁあん…あっあっ…」  
感じ始めたまた子の中は吸いつくように万斉自身に絡みついてくる。  
万斉の呼吸も次第に荒くなっていった。  
「気持ち良くなってきたでござるか?また子」  
「あっ…ぁん!いやぁ…ダメぇ…」  
貫かれた状態で聞く万斉の声に耳元をくすぐられ淫靡な感情が煽られる。  
「ダメ?イイんでござろう?」  
そういうと万斉はいっそう激しく抜き差しをしてまた子を一気に追いつる。  
 
また子はもはや喘ぎ声というよりは小さな悲鳴のような声で鳴いている。  
「あっ!ぁ…ぁっ!!…ダメ、もう…また…ぁあっ…」  
「拙者も…そろそろ限界でござる…っ!」  
「ぁんっ!ぁ、ィくっ…イっちゃうっス!!やぁ…ぁあっ!!」  
先程表面のみで登りつめたた絶頂をはるかに上回る快感から逃れる術など無かった。  
万斉の迸りを深い場所で感じながらまた子はがくがくと体を震わせて秘所から潮を吹いて達した。  
 
思っていない男を体を開いてしまった絶望感と、そんな状況なのに感じ、その姿をさらけ出しだ羞恥心にまた子は小さくすすり泣いた。  
横に寝そべっていた万斉が、音もなくまた子の体を抱きしめる。  
「…私が慕うのは晋助様だけっス…」  
顔を万斉とは逆の方向に向け言う。  
万斉は口元だけ歪めて笑った。皮肉だと思う。  
「そういうところを好きになったでござる」  
 
終わり  
 

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