「松平様聞いて下さい。」  
「なんだ、さっちゃん。」  
 
ここはとある高級料亭の個室。  
さっちゃんと松平は、よくこうして情報交換をかねて呑みあっていた。  
特に事件もないと、ただの宴会になってしまうのだが。  
 
「万事屋に就職、失敗しました」  
「なんでまた」  
「眼鏡はふたりもいらないって」  
「は?」  
そんなたわいもない話をしていた。  
 
 
食事もほとんど平らげた頃、さっちゃんがつぶやいた。  
「まだですか?」  
「何が」  
「セックスですよ」  
 
松平はお茶を飲む手を止めた。それから深いため息をついた。  
 
たしかに今まで、こうして呑んでいて、そういう事に及んだ経験は何度かあった。  
が、松平も若くない。  
なにより、娘と変わらないような歳のさっちゃんを抱くのは抵抗があった。  
 
「おじさんはなぁ、やれって言われてもやれない時もあるんだよ。」  
「大変なんですね」  
「そうだ」  
「たたないんですね」  
年頃の娘がそんな事言うもんじゃない、と言おうとしてやめた。  
 
机を部屋の端に寄せた。  
さっちゃんは服を脱ぎ、下着姿になった。  
脱いだ服をたたんで、それから松平にまたがった。  
「相変わらず、さっちゃんは大胆だな」  
「こんなサービス、松平様だけですよ」  
 
さっちゃんは松平の帯を解き、胸に手を這わせた。  
それから胸についばむような口付けをし、左手を下にのばした。  
さっちゃんは慣れたてつきでこする。  
次第に熱を持ちだした。  
「まだ若いじゃないですか」  
さっちゃんは嬉しそうに、それを口に含んだ。  
「…おい。さっちゃん。……」  
「……ん……。」  
のどを鳴らしながら頭を上下させる。さっちゃんは舌を使って舐めあげて、吸い付いて、愛撫した。  
そうしながらもう片方の手は、自分自身を愛撫した。  
 
 
「…はぁ……さっちゃん……っ。」  
二人は既に息も絶え絶えになっていた。  
さっちゃんは口には松平自身を、右手は自分の一番熱い所を愛撫しながら、顔をあげた。  
こわばった表情の松平と目が合う。  
さっちゃんは、顔を上気させ、唾液と汗でまみれていた。  
「松平様……も…」  
そっと口を離した。  
 
「はぁ…はぁ…」  
さっちゃんは肩で息をしながらすべての下着をとりさった。  
松平にまたがり、少し腰を浮かせて、片手で松平のソレを握り、あてがう。  
「入れます」  
「ああ…」  
さっちゃんのそこは自分で愛撫していたにも関わらず、内股は愛液でびっしょり濡れていた。  
松平をすんなりと受け入れ、全部をおさめると「ふぅ」と深呼吸した。  
松平はさっちゃんの腰に手を添えた。  
「あ…ん…松平…さまぁ…。」  
さっちゃんは、ゆっくり動きだした。  
松平もその動きに合わせて、さっちゃんの中を十分味わう。  
さっちゃんのそこは、いつ挿入してもやわらかくしめつけてくる。  
じだいにさっちゃんは腰の動きを激しくした。  
 
水のぶつかる音が響く。  
二人分の汗と息の匂いと性行為独特の湿気が充満していた。  
「あ…!!……んん!」  
奥を突く度に、さっちゃんはたえきれずに声を漏らした。  
さっちゃんは一心不乱に腰をゆさぶる。  
 
「はぁ……!!……も……銀さぁん…!!」  
松平ははっとした。  
(さっちゃんが惚れてる奴か)  
さっちゃんは行為に夢中で、別の男の名前を呼んだ事に気付いていなかった。  
「おい…っ……さっちゃん…。」  
「あぁ…な……松平…さま…な、なに…」  
腰の動きは激しいままだ。  
「その’銀さん’ってのが…好きなんだろ」  
「えっ…!?…やぁ…なんで、それ……あぁ!」  
知ってるも何も、さっき思いっきり叫んでいたじゃないか。  
「アバズレだな、さっちゃん。好きな男じゃない、しかもこんなおじさんにまだがってるなんて」  
しかも、こんなに夢中になって。  
「あ…銀さんは……あ、あ、…あ!!」  
腰の動きが加速した。  
さっちゃんの中は激しく動きだす。  
松平も絶頂の近いのを悟り、さっちゃんの腰の動きに合わせて激しく上下させる。  
「あ!…銀さん……っ…あ、やぁ、い…いっちゃ…あぁ」  
ああああ!!  
さっちゃんは全身を弓なりに反らせて達した。  
結合部からは、おさまりきらない松平の精子が溢れた。  
 
「で、その’銀さん’ってのは、何だ」  
「やだ、松平様。最中に口走った事なんて、いちいち聞かないで下さいよ。」  
さっちゃんは、あとしまつしながら下着をつけている所だった。  
松平は、無造作に上着を羽織ると、煙草に火をつけた。  
「ま、ようするにコレだろ」  
親指を立ててさっちゃんに示す。  
「うふ、そうです。」  
今時の若い女の子が理解できない。  
好きな男がいながら、別の男とのセックスを平気でやってしまう。  
それも嫁入りの女の子が、だ。  
「じゃぁこういう事は今度からそいつとやるんだな。おじさん、もう疲れちゃったよ。それに、彼女が別の男としてるのをしったら、相手もいい気分じゃないだろ。」  
「銀さんとのセックスの時は、私はMになるんです。それにどんなマニアックな事でもやりますよ。でも松平様の時は違うでしょ。これとそれは別ですよ。」  
松平はますます今時の女の子が分らなくなった。  
 
おわり。  

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