万事屋とその仲間達ご一行は、賞金10万円のビーチバレーだかなんだかの大会に賞金狙いでやってきた。  
 
はじめ神楽は、傘の元でぼんやり海と、楽しそうにビーチバレーをする銀時たち、  
――いや実際には目が¥になりながら、ずる賢い知恵で策略をめぐらせ、無駄にいい運動神経を駆使しているだけなのだが――  
まぁそんな一行を眺めながら、日陰から野次にも近い声援を送っていた。  
しかし、試合が進むに連れ、相手チームも強くなり新八では心許無…  
いいや、あまりに皆がはしゃいで楽しそうなので、我慢できずに傘を放り投げ、思う存分暴れ回った。  
そのおかげで強そうな相手はすぐにコテンパンにされたものの、  
神楽は案の定すぐにダウンして、また一人ビーチパラソルの下に戻る羽目になってしまった。  
 
 
一方、九ちゃんはというと、お妙にビーチバレー大会の話をきいてからそわそわしっぱなしの東条に半強制的に浜辺に連れて来られ、  
いつの間にやら用意された慣れないひらひらフリルのビキニの水着で、初めてのビーチバレーを健闘したものの、  
東条の熱い視線とビデオカメラ、そして無駄に固いガードでまったくバレーにならず、同じくパラソルの下に戻ってきたのだった。  
 
 
ふたりはぐったりしながら、同じパラソルの元、白熱する浜辺に視線を注いでいたが、ポツリと神楽が呟いた。  
 
「あー私も早くボンキュッボンになりたいアル…」  
「!え?」  
 
浜辺ではよそのキレイなお姉さんたちがビーチバレーの試合をしているが、  
動くたびにゆっさゆっさと揺れるその胸元に、観衆はおろか相手チームまでもが釘付けになっている。  
 
「ボンキュッボンさえ手に入れば私に怖いものは無いネ」  
「僕はほっそりしてた方がいいと思うな」  
「でも大抵の男はああやってボンキュッボンに夢中アル。」  
「あんなに鼻の下を伸ばした奴らに見つめられるのは、嫌じゃないの?」  
「その分大量に酢昆布とか貢がせるからいいのヨ」  
「そんなものかなぁ」  
 
会話がそこで止まってしまったので、何となく神楽は九ちゃんのほうを向く。  
すると、九ちゃんは自分の胸元を手で押さえながら、じっと見つめていた。  
 
「そういえば九ちゃんっておっぱいどの位アルか?」  
「えっ何いきなり」  
「ちょっと触らせてヨ!」  
 
そう言うやいなや、さっきまでのぐったり加減はどこへやら。  
神楽は九ちゃんの胸元にすばやく手を伸ばす。  
「うわっ、や、やめてっ、くすぐったい!あっ、ちょっ、や…」  
「んー、私と良い勝負アルな〜。あ、そうだ、こないださっちゃんに聞いたんだけど」  
九ちゃんを背後から抱きしめて、手でしっかりとおっぱいをホールドした神楽は  
 
「おっぱいは揉むとおっきくなるんだって!」  
 
そういうと九ちゃんの僅かなふくらみを捏ね始めた。  
「ひゃっ!…んっ、やぁ」  
九ちゃんは敏感に反応し、顔も耳も真っ赤にして必死で声を抑えている、が、声はでてしまっていた。  
「九ちゃんどうしたアル?…もしかして笑いをこらえてるアルか?なら思いっきり笑わせてみせるネ!」  
何をどう勘違いしたのか、感じているのをこそばいのだと捉えた神楽は、調子にのってもみもみ。  
「んーー!…やめろっ、やっ…」  
「もー、我慢しちゃってー。素直に笑えヨ〜」  
耳元で神楽にささやかれた九ちゃんは、真っ赤になった耳でどうやらさらに感じたらしく、目にうっすら涙さえ浮かべている。  
 
 
その様子を影から静かにビデオカメラに収めていた東条は、  
鼻からほとばしる血を流しながら、しっかりと親指と自身を立てて見守っていたのであった。  
 
 
 
 

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