ピンポーン  
「ごめんください桂ですけど〜」  
ある日の昼下がり、万事屋の入り口に緊張感の無い声が響く。  
「ハイヨー」  
がらら...と扉を引いて現れたのは、いつぞやの巨大な犬ではなく万事屋の従業員の少女。  
「すっすみません...銀時くんいますか?」  
「あっカレーニンジャー!」  
「あの銀時は...」  
「銀ちゃんお仕事で夕方まで帰ってこないヨ」  
「ちっ留守か...じゃ、また来るんで」  
「...待てヨ」  
桂がくるりと振り返ると、信じられないような強い力が手首をつかんだ。  
「カレー、お前いいもん持ってるアルネ〜」  
...やばい。見つかってしまった...万事屋に飯をおごってやった時もこの娘は率先しておかわりを要求していた。間違いなく、食い意地が張っているタイプだ...  
「...いや、この茶菓子はリーダーにだけ持ってきた訳ではなく、皆さんに持ってきたもので...」  
「茶ーくらい出すアルヨー!」  
神楽は桂をズルズルと万事屋の中まで引きずっていった。  
 
万事屋のソファに座り、桂はふーとため息をついた。  
目の前に、お茶のペットボトルと湯呑みがある。...自分で注げというのか。全く、銀時は従業員にどういう教育をしているのか...  
「おいしいっ。このお菓子おいしいヨー!」  
神楽は嬉々として菓子を食べている。季節に合わせて買ってきた柏餅は、もう残り一個しかない。どうやらすべてこの娘の胃袋に収まってしまう運命らしかった。  
「初めて食べたヨコレー」  
「...そうか」  
桂が茶を注ごうとペットボトルをろうとすると、神楽が一瞬早くペットボトルをつかみ、直に口をつけてごくごくと飲んでしまった。  
「あ...」  
「あーっおいしかったヨ」  
「...そうか」  
仕方ない。また今度、出直そう。桂がそう思っていると神楽が口を開いた。  
「お前、あの白いヤツは今日連れてないアルか?」  
「ああ、エリザベスは家に置いて来た。あまり可愛いからといって見せびらかすと、こないだのような事になってしまうからな。あの水玉の眼鏡ニンジャーはどうした?」  
「眼鏡は熱出して家で寝てるヨ。あいつ季節の変わり目に必ず風邪ひくアル。」  
「そうか」  
「お前と白いやつ、ホントに仲良しネ。でも私と銀ちゃんの方がラブラブヨ」  
「そうか」  
銀時を好きな神楽の様子が微笑ましくて、桂はふ、と微笑んだ。  
「...お前信じてないアルか?ほんとにほんっとにラブラブヨ?」  
「ああ、分かってる」  
「だってもうあんな事こんな事までしてるのヨ」  
「...」  
 
神楽の言葉に、桂は自分の耳を疑った。あんな事、とは...  
「私、こう見えても大人の女なのヨ!」  
...ああ、この少女がちょっと大人ぶりたくて言ってるのだろう。一瞬、本当の事かとも思ってしまったが、あの銀時もまさかこんな子供に手は出さないだろう。  
「はは、それが本当なら銀時の女の趣味も大分変わったものだな」  
「...」  
神楽の話につきあってやろうと思った桂の何気ない一言に、神楽がだまりこんでしまった。  
...まずい事でも言ったか?  
「私だって...」  
桂は知る由もなかったが、大人の女の要素など自分には何も無い、と思っていた神楽にとって、他の女と比べられるのはとても辛い事だった。それが銀時とのことであれば、なおさらだった。  
「私もう大人の女ヨ」  
泣きそうになってしまった神楽に、桂は内心狼狽えた。  
「ああ、わかったわかった」  
「ぎ、銀ちゃんだって最近...上手になってきたって言ってくれるし...」  
「ああ、わかった...ってえ!?」  
...一体何が上手になってきたというのか。まさか銀時のやつ...  
「お前も認めるアルヨ!」  
「な、何するっ...」  
神楽が桂に向き直り、彼の両脇に手をついた。  
「何考えて...」  
「...うっさい。リーダーの言う事聞くヨロシ」  
桂が神楽の剣幕に圧倒されていると、神楽は腰を落し彼の目の前に膝を突いた。  
 
「あの...リーダー」  
神楽は桂の袴から彼自身を取り出した。  
「こんなことよくないと思うんだが...」  
「だからカレーはリーダーの言う事聞くアルヨ!」  
威勢よく切り返すものの、神楽はまだ躊躇っていた。銀時以外の男の物なんて、口にするのは初めてで、なんだか緊張する。  
...銀時のやつ...  
桂は少し狼狽した様子ではあるものの、こんな少女につかまれているこの状況が恥ずかしくて一刻も早く逃げだしたかった。一体どうすればいいのか。  
桂が神楽を見下ろし逡巡していると、神楽がそっと先端に口をつけてきた。  
「リ、リーダー...」  
頑張るアルヨ神楽...  
神楽の緊張はまだ解けなかったが、なんとしても大人の女であると認められたい。桂は昔の銀時を知る男なのだ。自分が見た目まだまだ子供なのはわかってはいたが、その彼に、銀時の側にいる女として認められていたかった。  
神楽の唇が桂を銜えこんでいき、先端が舌先に触れた。  
「っ...」  
神楽は桂自身の根元にそっと手を添えると、唇をそれにあてがったまま、ゆっくりと頭を動かす。  
「だめ...だ...」  
桂が声を洩らすと、神楽が上目使いに見上げてくる。  
「だめ、だ、こんな...」  
言いながらも、神楽の唇の感触と口腔の温かさに否応なしに桂自身も反応を始めていた。  
少し眉根を寄せた神楽の紅潮した頬に、思わず手で触れてしまう。  
もっと頑張らないとだめアル...  
「ん、ふ...」  
神楽が一瞬唇を離すと、吐息が先端にかかる。神楽は根元に手を添えたまま、舌を先端に強めに当てて、何度も舐めた。  
 
「く、っ...」  
ちゅっ、と音を立てて神楽の唇が吸い付いてくる。  
舌先で触れられ、小さな唇で口付けられ、桂は自身がどんどん熱を持ってくるのを感じた。  
「ん...」  
「は、リー...ダー...」  
神楽はまた桂自身を銜えこむと、舌を押し当てながら何度も舐め上げる。  
「ん、う...」  
「...リー、ダー、言う程でも、ないな...?」  
神楽の口腔で自身に神楽の唾液が絡み付いていく度、どんどん自身が硬くなっていくのを桂は感じていたが、ちょっと悪戯心が出てしまって、つい焚き付けるような事を言ってしまった。  
桂の言葉に、神楽が彼を見上げた。桂が落ちて来た髪をかきあげる。  
...鬱陶しい髪型してんじゃねーヨ  
神楽が桂を睨みつける。だが、潤んだ瞳と紅く染まった頬をしていては、全く迫力のあるものではなかった。  
「ほら...どうした?」  
「んっ...ふうっ...」  
桂に煽られ、神楽はさらに一生懸命に舌を使う。舐め始めた時より大きさが増してきて、苦しい。唾液に先走りの液が混ざってきて、その味に顔をしかめてしまう。神楽の顎に細い筋を作って、その液体が流れていった。  
神楽、頑張って大人の女と認めてもらうアルヨ...!  
「う、く...」  
桂の腕が、彼の脚のあいだに顔を沈めた神楽の頭にまわされ、思わず離すまいとしっかりと抱きかかえてしまう。神楽の舌が桂自身に沿って何度も往復するたびに与えられる快感は、もう止まらなかった。  
「は...中々いい...」  
「ん、ん...」  
く、苦しいヨ...  
どんどん大きさを増していくものをくわえている上にしっかりと頭を抱きかかえられ、神楽は苦しい事この上なかった。  
でもきっとあとちょっとヨ...  
神楽の舌が桂自身をなぞり、水音を伝えていると、ふいに一瞬、桂のそれが口から引き抜かれた。  
「く、うっ...」  
神楽が驚く間もなく、白濁がその頬を汚していった。  
 
 
「...ね。分かったアルか。私が大人の女って」  
「ああ...」  
床に膝をついたまま、少し放心気味だった神楽がふと呟いた。  
桂はその顔に散った精液を拭ってやる。  
「なかなか、巧かったな...」  
「ほら、やっぱりー!」  
桂に頬を拭われながら、神楽はやっと笑顔を見せた。この幼い少女なりに、認めてもらいたくて一生懸命だったのだろうと思う。  
「...所で、柏餅がまだ一つ残ってるようだが」  
食べてしまわないのか、と桂が問うた。  
「あ、これネ、銀ちゃんに取っておいてやるのヨ」  
すっごくおいしかったからネー、と神楽が微笑んだ。  
「はは、そうか...」  
銀時、お前は幸せ者だな...  
心底幸せそうな神楽の表情に、桂は素直にそう思った。  
 
 

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