夜の川辺、橋の下。  
 「お前、ちょ、きつい……」  
 ろくに愛撫もせず後ろから立ったまま入れた銀時が、勝手な文句を言う。  
 「そんな締めつけんなって……ちょっと力抜いてみ?奥まで入れてやるからさー……」  
 相手が涙目になっているのも構わず、ぐっと腰に力をいれてもっと奥まではいりこもうと動く。  
 「……!」  
 「おっと、お前は声出すなよ、言ったろ?」  
 たまらず声をあげそうになった相手の口に指をすっといれ、小さくささやく。  
 「あえぎ声ってけっこう響くからな……吸っとけよ、指……」  
 震える唇が銀時の指を受け入れ、慣れない動きで舌にからめる。  
 「あれ、なんだうまいじゃん。あとでやってもらおうかな……と、いいから力抜けって、わかんねーやつだな」  
 しかたなく銀時は無理やり奥まで突いた。口に入れた指があまりの衝撃に噛まれてしまったが、銀時は動じず、  
口から指をはずす。かすれた声でごめんなさいと聞こえるが、それには答えずにそのまま濡れた指で秘所に  
ゆっくり指をはわすことにした。相手の背筋がぶるぶる震えているが、言われたとおりに懸命に声を殺している。  
 そんな姿を見ながら、銀時の口元に嗜虐的な笑みがこぼれる。  
 「……いてーなァ。お仕置きだな、こりゃ。ま、俺は紳士だから痛いことはしねーけど……」  
 唾液と愛液で濡れた指が絶妙に動き出し、女の弱点をこれでもかというほどいじめぬき始めた。  
 もう片方の手で相手のあごをおさえて乱暴に唇を重ね、声を奪う。  
 「んん、ん……!ん……!」  
 どんどん絶頂まで押し上げられていく快感の速さについていけなくなり、相手はとうとう体をのけぞらせて  
硬直した。  
 細かいふるえが舌をつたって銀時にまで届く。  
 銀時はそっと唇を解放すると、頭をかきながらため息をつく。  
 相手の息だけが荒い。  
 「あー、お仕置きすんのもいいけど、こうきつく締まったままだと動けねーな……」  
 ぴくんぴくんと脈打つ腰に手を置いて、くずれそうな体勢を支える。  
 「おっと、まだまだ、言っとくけど俺動いてねーんだから……ほら、ゆっくり力抜いてみな……」  
 一度達してしまうと濡れ具合が変わるのか、さきほどよりは動きやすくなった感じではある。  
 「んーまだきついんだけど。まぁ動けんこともないか、な……」  
 優しげな口調とは裏腹に、銀時は激しく腰を突き始める。  
 濡れた卑猥な音があたりに響く。  
 「あ!ああ!……ん!んん……!」  
 「だから声だすなっての。ほれ、今度は噛むなよ」  
 さすがにたまらず声をあげてしまう相手の口にもう一度長い指をいれこむ。  
 「俺のアレだと思ってなめてろよ……」  
 相手の顔が赤くなるのを薄い笑みで見ながら、腰に強く打ちつけ続ける。  
 壁に両手をついて体をささえている相手が、快楽に揺さぶられながらも涙でにじんだ瞳で銀時を振り返り、  
小さく首をふってきた。  
 「……ん?……どした。」  
 動きはとめず、にやにやした顔で銀時が楽しそうに聞く。わざとだ。  
 「やりかたわかんなくてもいいから。あとでしゃぶる時の練習だと思ってさ……ほら」  
 懇願する瞳を楽しみつつ、もう一本指を入れる銀時。  
 ちいさな舌がもてあますように震え、しかし絡みつき、動きだす。  
 ……やっぱ好きだこいつ。  
 銀時の胸の内が高揚していく。それに合わせるかのようにまた相手は絶頂にいたったようだった。  
 背が弓ぞる。  
 単なる締めつけとは違う複雑な動きをしてきたものだから、不覚にも銀時はおさえきれなかった。  
 「あっやべ……っ……」  
 理性が飛ぶ。腰を両手でつかみ強くひきつけ、限界まで中に押し込みありえない感触をむさぼる。  
 
 銀時は息を荒くつき、征服欲がむくむくと湧き上がってくるのを感じていた。  
 相手はしかし、腰がぬけるほどの快感にたえきれず壁にもたれてぐったりしている。銀時はゆっくりひきぬき、  
相手の向きをかえ着物の裾を下におろしてかがませる。その顔の横に片足をあげて石の上にのせ、体勢を  
ささえる。つぶったまぶたの上からそっと指をはわせて目を開けるよう促した。  
 「……よかったぜ、俺ちょっと休憩するから。なめてくれよ、さっきみたいにさ……」  
 相手はうるんだ瞳でぼうっとしていたが、銀時の言葉でまた羞恥が刺激され、顔を赤らめる。  
 「あんたきっと上手だぜ、慣れてないくせに舌動かしてたんだから。大丈夫、休憩おわったらまた気持ちよくしてやるし」  
 「そんな言い方されたらできません……」  
 「めんどくせー女。……いいからしゃぶれよ」  
 銀時は口調は乱暴だが恥ずかしがる相手が可愛くてたまらない。それに乱暴な方がやりやすいタイプかもしれない。  
 相手はおそるおそる唇を触れてきた。こんな大きなものが入っていたのかと驚いているようでもある。  
 おびえるように舌をはわせたあとは覚悟を決めたのか、吸ってみたり触れる箇所を変えたり、なかなか多彩な動きだった。  
 「……手も使えよ」  
 教えがいがある予感に嬉しそうに口を開く銀時。タイミングさえ教えてやれば後は自分で考えて動くだろう。  
 「……口の中にいれて。……大丈夫だよ、入るよ。下の口にだって入っただろ」  
 頬をそめてうつむくあごに手をかけ、向きなおさせる。  
 躊躇したあとに目をつぶり口を開いて銀時のものをくわえた。  
 しかし口に入れるだけで精一杯のようだ。少しだけ眉がよる、苦しそうだ。しかし銀時にはそれがまた愉しい。  
 「さっき練習しただろ。教えなくても舌つかってたんだからできるだろ……」  
 涙目になりながら上目遣いで相手は舌をからめだす。  
 手は遠慮がちに横にそえられているだけだが、これは後々の楽しみにとっておくことにした。  
 そのまましばらく愉しんだあと、相手の気持ちがゆるんできた頃合をみはからって、  
 「できませんとか言っておいて、いま自分が何してるかわかってんの?」  
 銀時は言葉でなぶりはじめた。  
 口調が優しいだけにいっそう相手の心をあわだてる。目で許しを請うがはねのけて続ける。  
 「なにくわえてんのかな?舌までつかって……」  
 ふるふる震えだしながらも奉仕をやめない相手を上から見おろし、銀時はたいそう満足気に相手の髪の毛に  
指をからませた。  
 「へェーこういうの好きなんだ……俺も好き。でもま、そろそろ再開したくなったし、立って」  
 つまりはもっといじめたくなった。泣かせたくなったわけだが。  
 そうとはわからずに言われるがままに立ち上がった相手を壁におしつけて、耳元でささやく。  
 「……声出すなよ」  
 その低い甘い声ですらもう相手は感じてしまうようで、ぴくっと肩をふるわせながらうなづく。  
 銀時はすっと腰をおとし、着物をよけて奥へと指をすすませ広げてから、舌を敏感な部分にそっと触れさせはじめた。  
 やわらかく熱い舌先にクリトリスをねぶられ身をよじる相手の腰を押さえ込み、無遠慮なまでに指で広げつつ  
容赦のない舌先でねぶる。  
 声を殺しているはずの相手の喘ぎが離れた銀時の耳にもはっきりと届く。  
 「もう少しおさえろって、今からそんなんだと、我慢できなくなるぞ」  
 もう相手は熱く湿った息がふきかかるのでさえ、ぴくぴく反応している。  
 「ったく……」言いながらも銀時の嗜虐心は相手のクリトリスを執拗にせめることで満たされ、増していく。  
 舌先でなぞっていくと、最も感じる部分がわかってくる。熱い舌先でじっくりねぶりつづける。  
 たまらなくなってきたのか、足が少しずつ開いてきたのを頃合に、中指をいれた。いれながらクリトリスは舌で  
やわらかく強くおしつぶす。相手はもう身も世もなく鳴いている。  
 銀時は知っている。女がよがるのはクリトリスなのだ。  
 それに入れられた中指を小さく動かされると声が殺せるはずもない。  
 絶頂をつげるつぶやきが聞こえてくるが動きは変えない。  
 相手の腰が震えるがそのまま舌先でじっくりとこねまわす。  
 ひざがふるえて崩折れそうにになるのを腰でおさえこみ無理に立たせたまま、まだ責めたて続ける。  
 愛液があふれ銀時のあごに熱く伝った。  
 
 さきほどみつけた最も感じるところをぬめりを絡ませた舌先でなぞりなめあげる。  
 「あぁ、そんな、そんな、だめぇ……」  
 もうあえぎ声などとめられないほどによがっている相手が可愛くてしょうがない銀時は、中指をゆっくり動かしては  
中から執拗にこすりあげ、かたく尖るクリトリスを熱い舌先で容赦なく責めあげてはねぶっていく。  
 相手がひときわ身をよじると、いれた中指がきゅうっとしめつけられた。  
 苦しげな呻きがもれる、どうやら着物の袖をかみ声を殺して達したようだった。  
 ご褒美のつもりですこしだけ優しくなめあげていると、ふるえる小さな声がゆるして、とつぶやく。  
 おしつけるだけのやわらかい舌にも敏感に反応してはびくんと腰をふるわす相手を見て、銀時は迷った。  
 このまま壊してしまうか……しかし愛しさが優先したので勘弁してやることにした。  
 指はそのままで舌先を名残惜しげにゆっくり離す。  
 たおれこみそうな相手を正面から抱きしめ、耳元に唇をよせささやく。  
 「そんなかわいい声だされちゃーな……よがり方も好みだぜ……もっと気持ちよくしてやりてーけど、また今度な」  
 当たり前のように次の約束しつつ中指をまげるものだから相手は色んな感情があふれだして声を抑えられず、  
指の動きにおもわず喘いでしまった。  
 銀時には喜んでいるようにしか聞こえない。  
 音をたてて指をぬいてそのまま相手の片足をかかえあげた。  
 「でもそんな喜んでんならやめるのもかわいそうだよな、なぁ?気持ちいいんだろ?……もっと、て言ってみろよ……」  
 なめられた唾液と己のがまん汁であやしく濡れた先っぽを敏感な部分にこすりつけながら腰を密着させると、  
相手は羞恥と渇望とにはさまれ、なにも言えずに、自分を見据える銀時の瞳から目をそらした。  
 「もっと気持ちよくしてやるからさ、言ってみろよ……お前がおねだりするとこ見てみたいんだよ」  
 銀時は愛しさのままに優しくキスをして髪をなでた。相手はたまらなくなり、かすれた声で、もっと、とささやいた。  
 「ん?もっと何?なにしてほしいの?」  
 優しくされるかと思いきや、Sっぷりを出してきた銀時にうろたえつつ身もだえした相手は、しかし体の熱さに負けて、  
いれて……と口走る。そしてそのまま銀時に抱きついて、  
 「えっちなことして……」と、つぶやいた。  
 銀時は女の体を思わずにぎりつぶしたくなる。  
 「……お前がエッチなんだよ」  
 熱く湿りうごめく秘所にあてがい腰をひきよせて、ぬるりと入れていく。  
 最初にむりやり入れた時とは違いすぎる感触に銀時は驚きながらも、手に入れた宝物に歓喜していた。  
 動かさなくても快感が背をのぼってくる。  
 めずらしく夢中になって腰を動かす。  
 「すげぇっ……っ……」  
 これって夢中にさせるつもりが、俺のほうが夢中になってんじゃねーか?そう思いながらも悦楽の感触を  
楽しむ銀時だった。  
 しかし突然おさえきれない何かが体の奥から弾けそうになる。  
 (いやいや、ここで出したら俺早すぎ……)  
 内心の狼狽を表にはださないようにして、銀時はいったん最奥まで貫いた。  
 その衝撃に相手の背がのけぞり、殺しきれないあえぎが響く。  
 相手の着物の襟からみえる首筋に、淫らな汗が浮かんでいるのをちらりと見やりながら、  
 「締め方ってわかる?」  
 と何気なく聞いた。  
 惚けていたような相手の頬にばっと赤みがさし、返事もしないうちにきつく銀時を締めあげた。  
 「ふーん、知ってんじゃん。じゃ、動くから俺の動きにあわせて締めてくんない?」  
 「で、出来ませ…んっ……!」  
 銀時は最後まで言わせずにねっとりと腰を動かしはじめた。  
 相手はゆっくりと抜き差しされる淫猥さに悶えるだけで応えてこなかったが、何かが理性を焼ききったのだろう、  
挿入に合わせてぎっちりと締めつけてきた。  
 ねじこむ感触を迎えるように絡みつく熱いヒダが銀時をたぎらせる。  
 奥までとどくと中をぐるぐるとかきまわし相手を乱れさせ、ゆるんだ瞬間にじっくり引き抜いていく。  
 
 何度も何度もそうしているうちにふたりの動きが重なりあって、銀時が激しく抜き差ししだしても絶妙さはそのまま  
だった。相手の口からはもはや快楽を告げる言葉しかでてこず、銀時は女が堕ちたことを知る。  
 (やっとかよ……さて、俺も遠慮なくやらせてもらうとするか)  
 「壁にしっかりもたれとけよ、いくぜ」  
 いまの悦楽に溺れる相手に理解できるかどうかはわからないが言うだけ言うと、腰をささえていた片手を離した。  
 その手を下腹から下にすべらせ熱くふくらんだ卑猥な突起をつまみあげる。  
 ぬるぬるとつかみきれない小ぶりなクリをもてあそぶようにいじると、締めつけのリズムが狂いだした。  
 だが絡みつきねじりあげて強烈な快楽をうみだしてくる。  
 我をわすれるほどの悦楽のなかで、銀時は夢中になって責めぬいていった。  
 「銀さ…ん……いい、いい、すご…い……いっちゃう…いっちゃう……」  
 否定など微塵もないただの女のよがり声こそ、銀時の望むところだった。  
 たとえここで誰かに見つかったとしても誇らしげに腰を動かしつづけるだろう。  
 ヘンタイと罵られようが、愛しい女がなにもかもかなぐり捨てて己を受け入れ悦楽に浸っているのだ。  
 これ以上の満足があるか。  
 口元だけを笑みの形に、目は恍惚で光らせ、うっとりとした気配をまきちらし、溜めに溜め込んだ濁った欲望を  
とびだそうとする衝動のままに相手の中にぶちまけた。  
 しぼりとられるような蠢きとともに相手の背も激しくふるえ、銀時の名をかぼそく叫んだ。  
 「っお妙……!」  
 その声にこたえて銀時もまた女の名を呼ぶ。  
 心の奥底からわいてくる愛しさになんの疑問も浮かばない。  
 強烈な快楽と深い愛情が同居する交わりにこの上ない至福をいだきながら、銀時はお妙をこわれるほどに  
だきしめて、そのまましばらく動けないでいた。  
 
 
 「やっと名前……呼んでくれましたね……」  
 少しすねたような色をにじませてお妙はそうつぶやいた。  
 銀時は、照れるんだよ、とそっぽをむく。  
 そんな彼の仕草をお妙はしあわせそうに見ていた。  
 いつものように瞳だけ微笑ませて───  
 
 
    完  
 
 

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