――…確か吉原の変の少し後。  
阿伏兎に尋ねられた、それは多分阿伏兎から見ればほんの些細な疑問だったんだと思うソレが、何よりのきっかけに成っていた。  
   
「何のつもりネ」  
「こないだの事、謝ろうかと思って」  
   
その言葉に妹は理解り易く舌打ちをした。  
   
「何にだヨ!!つーか、私の事こんなにしておきながら言う台詞じゃないネ!!!」  
「アリリ?その恰好、気に喰わなかった?」  
「たりめーダロ!!!ロープで両手足封じられて悦ぶのなんてただのドMか変態だろーがァァァア!!!!!」  
「だって神楽、Mじゃん」   
――サド、なんて呼びながら楽しそうにオンナの顔して、さ。  
   
そう言えば、今度は目を円くして言葉を詰まらせるイモウト。  
ダメじゃん、そんなんじゃ。解り易いのは良いけどさ。  
   
子供のフリしてたなら、もっと他の生かし方も考えてやったって言うのに。  
   
「先刻神楽、何に、って聞いたよネ?」  
「……その嘲い方、止めるヨロシ」  
「シカト?兄ちゃん哀しいや」  
「とか言って笑ってんじゃネーヨ、糞兄貴」  
「……お前を殺そうとした事にだよ」  
   
「ねぇ、馬鹿な妹」  
   
思い返して見れば、お前は女で子供だったよね。  
その二つを殺さない事を主義としていたのに、失念していたなんて嗚呼我ながら何と云う愚行!!!  
   
阿伏兎に言われて気付くなんて、と思いながらそれでも別れの日よりも丈夫になっていた『子供』を思い出して、俺の主義は間違ってはいなかったのだと改めて実感していた。  
それなのに。  
   
会いに行った妹は俺の知らない場所で『女』に成っていた。  
   
残念だよ神楽、馬鹿な妹。  
お前が未だ子供であるならば、強く成る迄待ってあげたのに。  
でも、安心もしていいよ。   
「子供、つくろっか」   
   
 
俺は女を殺すのは趣味じゃないから。  
 
   
「あぁ……っ、や、やめ…ッ」  
「抵抗しないなら優しくしてあげる」  
   
ちゅっ、と音を立てて愛らしい彼女の肉芽に口付けをすると、妹はいっそ面白い位に全身を震わせた。  
   
行為を始めてから、小一時間は経っただろう。  
夜兎用の強力な媚薬を打ち、両乳首に吸引器を嵌め、クリにはローターを着けた神楽を俺は散々嬲っておきながら、一度も絶頂へは導いていなかった。   
まあ、とはいえ流石にそこ迄イクと、何がどうなっているのか解っては居ない様子なのが容易く伺えた。  
何より、最初の頃はかなりの毒舌で反抗的な言葉を吐き出していたその口が、今やもう何の意味を持っているのか分からない喘ぎ声しか上げなくなった事が何よりの証拠であり。   
   
「神楽が抵抗したり生意気な態度とったりするからいけないんだよ。ゴメンナサイは?それとも、こうやっておあずけ喰らわされるのが好きなのかな?」  
「や……、ら、らめぇっっ!!!うあっ……!」  
「はは、すっごい淫乱。まだ俺ナカは弄ってないよねぇ?何時の間に神楽ちゃんはそんなやらしー娘になっちゃったのかナ?」  
「ひぅ…っ、らめ、ちゅくちゅくした、ら……あああッ!!やァァァアアッッ!!!」  
「…あーあー、イっちゃったよ……」  
   
肉芽を摘み、くるくると回し続けていたら、最早限界寸前だった神楽の身体はいとも簡単に潮を吹きながら絶頂へと達してしまった。  
「淫乱」と、そう吐き棄てて目の前のオンナを見下す。  
   
折角この俺が種付けしてやろうってのに、どうしてこんなにもあっさりとイき果ててしまうのか。もっともっと俺を楽しませてくれよ、神楽。  
イイ子にしてるなら、ご褒美だってちゃんと上げるんだよ?  
   
「ほら、ちゃんとくわえて?」  
「ふ、むぅ……っ!!」  
   
幾ら弱い身だからといって、俺と同じ血を持ちながらつまらない野郎と交わる等赦してやらない。  
そんな事を思いながらそう言えば今日は満月だったと、春雨の船から見堕ろせる月を眺め、自身を神楽の口に無理矢理押し込む。これからの調教方法について考えると、自然と口元は緩くなっていた。  
 
   
―――ぴちゅ、くち…ッ  
   
「ヘタクソだねぇ、神楽。全然気持ちヨクならないや」  
「あ……むぅ…っ!」  
   
小さな口で必死に俺の自身を奉仕する妹を見て、そう言えば、と気付く。  
調教したり苛めぬいたりするのが楽しくてつい忘れがちになってしまうけれど、そんなにして此の行為の本質を蔑ろにしてしまう様なら問題だ。  
それにこの娘は曲がりなりにも夜兎であり、希少な雌なのである。大事に扱ってやって損は無い。  
   
そして何より重要な事、  
   
「神楽って、月経始まってる?」  
「げほ…ッ、げほん!!」   
いきなり口元から自身を引き抜かれた事でむせてしまったらしい神楽は、目に涙を浮かべて俺を睨み付ける。  
   
「な…で、そんな、おま、お前に……いわな、あぅッ!!!」  
「別に黙ってたいならいいけどさ、」  
   
足の指で彼女の秘部をぐりぐりと嬲る。たったこれだけで耳障りで生意気な言の葉が甘い喘ぎ声に変わってしまうのだから、なんとも簡単で扱い易い。そんな風に考えながら言葉を続けた。  
   
「たった1ヶ月、お前の様子を見てれば解る様な事をわざわざ秘密にして、大事な人間を失っても良いワケ?」  
「う、失う……って…あきゃあぁぁ!!?」  
「例えばそうだなー、銀髪は難しいにしても、お前と一緒に居たあの地味な黒髪の男とか」  
「ひぅ…ん、や、やめ……っ!!あぁ…ッ!!!」  
「後はアイツ、オキタソウゴ、だっけ?」  
「な……ッ!!?ぅあ…ッ」  
「警察のオニーサン方は楽で良いよね。真選組って言うの?ちょっと調べればすぐに分かる」  
「おねが……ッ、や、やめ、いうッ、言うからや……てッ!!」  
「そう?じゃあ兄ちゃんに教えてくれよ」  
   
秘部を弄られながらの尋問に最早耐えきれなくなったのか、神楽は泣きじゃくって答える。  
まともな判断が出来て居ない所為か、はたまた他の要因か、もう会う事も無いであろうたかだか人間風情の為に、必死になって護ったつもりでいる妹を可笑しく思った。  
   
「……せーり、始まってるアル……」  
「そ。じゃあ問題ないね。子供ちゃんと作れるんだ」   
   
少しだけ、面白くないと思う自分は反古にして。  
   
   
 
監禁されてから三日――…‥  
   
不思議な事に、神威は私を様々な手を使って辱めたり孕ませる事が目的の様に話をしたりする割に、決して最後までヤろうとはしないでいた。  
   
「ん…んんっ!あぁう…ッ!!」  
「そんなに気持ちイイの?此の薬。それとも筆が気に入っちゃったのかな?」  
「ち、違うアル……ッ!やぁ、ふぁッ!!」  
「心配しなくてもちゃんと下も可愛がってあげるから」  
「ひぃっ、……きゃはぁぁあッッ!!!」  
   
そう言いながら相変わらずの憎たらしい笑顔で私を玩ぶ。  
二本の筆先が胸を這いつくばる感覚を不快に思いながらも、その何処かに少なからずキモチヨサを感じている自分に何如しようも無い恥辱を覚えた。  
   
「何だかんだ言ってやっぱ淋しんでしょ、ココ」  
「やぁ!!だめ!!だめア…ァァァア!!!」  
   
す、…と右の筆が降りて来たかと思う間もなく、筆先はおへそを伝って私の秘密を犯し始める。手錠に拠ってそれぞれ一つに纏められた右手と右足、左手と左足をガチャガチャと動かしてみるも、天人用のソレはやはり頑丈過ぎて私の力では何如しようも出来なかった。  
又、そうして騒いで居る内に、ある嫌な違和感に気付く。  
   
「う…あ!!!や!!!だ、だめ、だめぇぇぇえッッッ!!!!!」  
「何だよいきなり騒がしい……って、あ、もうそんなか」  
   
私の異常の原因にどうやら心当たりのあるらしい馬鹿兄貴は、それはもう心底厭味ったらしい笑顔を浮かべて私を見下す。  
   
「何か言いたい事、あるんじゃないの?」  
「あ……や、む、むりっ!ぁう!!」  
「ちゃんと兄ちゃんにおねだりしようか?ね、神楽ちゃん?」  
   
――是だからこの時間は嫌なんだ!!!  
まともに思考回路を保てない為に、何如したってコイツの言う成になってしまう。それ以前の問題として、もし仮に従わずに放置した場合考えるだけでも屈辱的な仕打ちが待っている所為なのでも有るが。  
   
「―……と、とい…れ」  
「んー?」  
「といれに、行かせて…下さい、アル……」  
「オシッコしたいのかな?神楽ちゃんは」  
「うぁ……、おし、おしっこ、もれちゃ!!!」  
「うーん、まぁ、俺としてはもうちょっと頑張って欲しかったけど、取り敢えずはこんなもんかな?」  
「ひぃっ!う……あ、あぁ…!!」  
「ちょっといい子にして待っててネ」  
「え……!?」  
   
何時もならその儘廁まで連れて行く筈なのに。  
   
私一人残して部屋を出て行った兄を、不覚にも非道く恋しく思ってしまった。  
   
 
「お待たせ、神楽」  
   
そう声が聞こえ、二つの手錠が外されたと思った刹那―――  
   
「!!!?」  
「ヨイショっ、と…」  
   
今度は後ろ手に拘束され、視界が一気に奪われる。更には腰を持ち上げられて何かに跨がされる感覚。  
   
「な…ッ!?と、トイレ、トイレに連れてくヨロシ!!!」  
「あのさ、そろっと阿伏兎とか他の連中に気付かれそうでヤバいんだよね。だから船のトイレ使うのはもう止めよ?」  
「し……知らないアル…ッ」  
「ダメだよ神楽。見つかったらお前絶対犯られちゃうヨ?もしそれで弱い奴の仔孕んだらどうすんの」  
「で、でもだからって…!!」  
「見えないと理解んなくて不安?大丈夫だよ。このおまる、ちゃんと下にペットシーツ敷いてるから」  
「ッ!!!!?」  
   
言葉を失うとはこう云う事か。  
馬鹿兄貴の言う処、私は乳幼児が用を足す為の道具に跨がされ、定春の使っているのと同じモノを汚さなければならないらしい。   
   
「ふ、ふざけんのも大概に……ァァァアっ!!!」  
「出来ない?なら兄ちゃんが手伝ってやるよ」  
   
そう言いながら神威は、私の左足を持ち上げつつ何かで尿道をちゅぷちゅぷと刺激し始める。ぬるぬるとした感覚が目隠しの所為で非道く敏感に感じ取れた。  
   
「や……ひぃっ!!ぅあ、やら、やぁぁ……」  
「ダイジョーブ、だよ。只の綿棒だから傷なんてつかないし」  
「ぅ…はあッ……!はな、離すア、ルぅ……っ」  
「痛くない様にたっぷりローション塗してやったんだヨ?俺って優しくない?」  
   
優しくネーヨ!!!とでも怒鳴り付けてやりたかったが、今の私には生憎そんな余裕は無い。少しでも、特に下腹部辺りに力を込めたりすると、一気に決壊してしまいそうなのである。  
代わりと言っては心許ないが、涙目ながら精一杯睨み付けてやると厭味な笑みを一層深くさせる馬鹿兄貴。  
   
「いいねェ。ソソるよ、そのカオ」  
   
うるせーヨ、畜生。馬鹿、阿呆、変態、鬼畜、ドS。  
――そうだ、ドS。  
可愛い私がこんな目に遭って居ると言うのに、一体何をしているんだあの税金泥棒は。  
肝心な時に役に立たない汚職警官に心の中で毒づいて、必死に尿意を誤魔化す。   
だってしょうがないじゃない。何如したって頼ってしまうのは、愛しいから。  
   
なのに。それなのに。  
目の前の男はそんな抵抗さえも赦してはくれない。  
   
「誰の事、考えてる?」  
「ひぃっ!!!……うきゃあぁッ!!!!!!」  
   
――チカチカ、ちかちか。  
   
秘部にフッ、と息を吹き掛けられた瞬間、視界は黒から真っ白へ。  
   
「あーあ、ガッカリだよ」  
――もう我慢出来なくなっちゃったの?  
   
びりびりと灼け付く脳が捕らえたのは、悪魔が嘲笑う声だった。  
   
「残念だね、折角頑張って堪えてたのに」  
「……」  
「ペットシーツ敷いといて正解だったネ。お陰で後片付け楽だったよ」  
「……るせーヨ…」  
「神楽、」  
目隠しを外されて己の恥を目の当たりにさせられる。私は今、兄貴から粗相の後始末を受けていた。   
本来とても屈辱的である筈の此の行為を、偽物の優しさに拠って混乱した脳みそが間違った咀嚼を始めてしまう。   
「いい加減認めなよ。お前は14にも成っておもらししちゃったんだよ?」  
「…ッ!!」  
羞恥から紅く染まる頬。  
改めて言葉にされる事が、こんなにも恥ずかしいモノだとは思わなかった。  
   
「ダメだなぁ、」  
――止めろ  
「神楽はさ、」  
止めろ止めろ  
「兄ちゃんが居ないと」  
止めろ止めろ止めろ  
「何にも出来ないんだね?」  
止めろ止めろ止めろ止めろ止めてくれ!!!!!  
只でさえ無防備な今の脳みそにそんな、洗脳させられると理解って何もさせては貰えない優しい残酷さを以て傷をつけたりなんかしないで。   
そんな優しい声をして優しい手つきをして、私に触れたりなんかしないでいて。  
「兄ちゃ……ァっ、」  
「んー?」  
「お、おもらし、ごめ…なさぃ…アル…」  
「…よく出来ました」  
ほら、そうやって『兄ちゃん』の顔を見せれば、中身は『神威』と理解って居ても単純な私は簡単に堕とされる。その優しい『兄ちゃん』の声の儘、諭す様に神威は私に話掛けて来た。  
   
「一回地球に寄るからね」  
「え…?」  
「勘違いしないでよ?ご飯調達しに行くだけだから。ほら、俺もお前もかなり食うだろ?」  
「……」  
「…お前はずっと俺と一緒に居るんだよ。間違っても他の男の事、考える必要は無いんだからね」  
「ひゃあ…ッ!」  
「今度ヤってる最中に意識他に飛ばしたら、殴るから。アレかなり萎えるんだよ」  
「う…!ぁあっ」  
「あ、そうだ」  
下着も買って来させようか?なんて言いながら、秘部の割れ目をなぞるのを急に止める。頭を撫でるのと同時進行で行われていたその行為は、子供扱いされている様な、馬鹿にされている様な妙な感覚に陥って正直な処落ち着かなかったので少し安堵してしまう。  
「こ、来させようか…って…?」  
「俺は行かないから。買い出しは全部阿伏兎とかに行かせるつもりだし……てか、もう着いたのかな?」  
コイツが残ると云う事は、少なくとも脱出はまず不可能だ。そう考えるとどうでも良くなって来てしまう。  
「神楽眠い?」  
「うン……」  
「そう、じゃあ寝てて良いよ。おやすみ。下着はもう阿伏兎行っちゃったっぽいし……」  
兄がぶつぶつと呟いているのを聞き流し目蓋を落として眠ろうとした、  
――――…ドォォォオオオン!!!!!  
   
「宇宙海賊も存外警備がペラいモンですねィ」  
   
……瞬間。  
   
「何でィ、チャイナ。サディスティック星から王子様が来てやったんだぜィ。もっと嬉しそうな顔しやがれ」  
「さ…ど?」  
   
兄貴よりも憎たらしい笑顔の亜麻色が其処には居た。   
 

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