『一番隊隊長には気をつけロッテンマイヤーさん(前半戦)』  
 
 
準備は万端。抜かりはねぇ。  
 
貰えないなら奪うまででさァ。  
 
 
先月の真選組幹部会議のメインテーマは、『ズバリ! 真選組のイメージアップ大作戦!』。  
俺らは武装警察24時のつもりで江戸の平和を守ろうと日々頑張ってるってぇのに、  
世間じゃ何の因果かチンピラ警察24時とか言われているらしい。  
やれ税金泥棒だの柄が悪いだの街中でもすぐにバズーカぶっ放すだの昼間ッから公園でアイマスクしてサボってるだの……  
あれ、最後の二つってもしかして俺?  
とまぁ、俺のことは置いといて、ともかく真選組は散々な言われ様でィ。  
「主にテメーのせいだろうが! 総悟っ」  
人ががモノローグしてる時に余計な突っ込みいれんじゃねえよ死んでくれませんか土方この野郎。  
会議の時もイメージダウンを散々俺の所為にしやがって。  
アンタだって現場中継に来たテレビカメラの前で怖ェ顔で刀振り回したことあるじゃないですかィ。  
「うるせぇ! 過激派相手に刀振り回さねぇでどうしろってんだ!」  
……あーあー、世間様ってのはどうしてこうも連れねぇんだろうなァ。  
「おい、聞いてるかぁ総悟!」  
そんなに税金泥棒呼ばわりするんなら、攘夷派がデカイ面して街中歩いてもいいのかってんだ。  
「ちょっと人の話聞いてんのか総悟ォォォ!!!」  
 
 
で。  
その会議の結果が今日の防犯キャンペーンのイベントになった訳でさァ。  
山崎が提案した『有名人に一日局長になってもらう』っつう何ともベタな案が採用され、  
隊士からアンケートとって松平のとっつァんがキャバクラの常連仲間経由で  
一日局長を引き受けてもらったのが現在人気再沸騰中のアイドル・寺門お通ちゃん。  
……どういう経由だィ。  
常連仲間は何でもお通ちゃんのプロデューサーらしい。とっつァんも顔が広いこった。  
経過はさておき、そのアイドルのお通ちゃんが一日局長をすることになり、俺が今日申請してた有給休暇はあえなく却下。  
イベントには隊士全員強制参加。朝っぱらから叩き起こされて、結成以来初のでっかいイベントに屯所はてんやわんや。  
しかも特別手当なしの普段の給料でィ。不貞腐れてる俺に近藤さんが  
「仕方ないだろ? 仕事なんだから。ほら、キットカットやるから機嫌直せ総悟」  
ってお菓子くれたけど近藤さーんこれキットカットじゃなくてトップバリュで売ってる偽者ですぜィ。…味一緒だけど。  
「っつーかお前の有給なんざもうとっくの昔に全部消化しちまって半日たりともねぇよ。  
総悟、てめーはちゃーんと”局長”をおもてなしろ」  
土方の野郎は相変わらず偉そうなこと言いやがる。後で隊服に鼻くそつけてやらァ。  
大体なんでィあのキャンペーン用の車につけた看板のお通ちゃんの似顔絵。土方画伯作。  
肖像権がどうので写真が使えないからって似顔絵描いたのはいいものの、出来上がりがあれかィ?  
お通ちゃんが見たら泣きますぜィ? あんな下手糞な絵。  
「沖田隊長! お通ちゃんが到着しましたぁっ!」  
「ああ、今いく」  
仕方ねえなぁ。だるいけどやるしかねェか。  
……手当てが出ないんなら、こっちから貰うまででィ。  
 
テレビで見るよりも本物の方が可愛いとか細いって言うけど、ありゃ本当のことでィ。  
本物のお通ちゃんの方が可愛いし細い。  
「今日はよろしくおねげーしやす。あ、真選組一番隊隊長の沖田総悟です」  
「本日一日局長を務めさせていただくことになった、寺門通です。よろしくお願いします、沖田さん」  
テレビは二割り増しで太く見えるってホントだなァ。可愛いねェ、お通ちゃん。  
「朝早くからわざわざすいやせん、お通ちゃん」  
「いえ、私の方こそ一日局長に択んでいただけて、光栄です」  
「えーと、まず衣装合わせして、その後街頭に出てお通ちゃんに歌ってもらうことになってますんで。  
とりあえず俺の後についてきてくだせぇ」  
「はーい」  
俺の役目は、屯所に来たお通ちゃんの相手。  
お通ちゃんが来たら衣装合わせとして一度隊服に着替えてもらって、その後時間が余るだろうから  
屯所の中でも案内しとけって土方の野郎に言われてる。  
なんでも無理やりスケジュール入れてもらったから予め衣装合わせする時間がなかったらしい。  
俺の後に続いて屯所の廊下を歩くお通ちゃんを、鼻の下伸ばし捲くった隊士連中が文字通り食い入るように見てやがる。  
……どいつもこいつも助平な連中ばっかりだ。  
 
 
 
俺が案内したのは更衣室代わりの俺の部屋。  
「んじゃ、ここで着替えてくだせぇ。服はこれでさァ。あいにくうちには女の隊士がいねぇ上に、  
予算の都合で今日のために女物の隊服を誂えられなかったんで、申し訳ないんですがこれ俺の服です。  
あ、ちゃんとクリーニング出してますんで」  
「わかりました、大事な隊服、お借りしますね」  
ビニールのかかった俺の隊服を手に、お通ちゃんはにっこり笑う。  
要するに隊長の中で俺が一番背が低いから、俺の隊服をお通ちゃんに貸すことになった流れでついでに  
お相手ってコトになった訳で。  
……ま、だからアレを仕込むことが出来たんだけど。  
「俺は隣の部屋でいますんで、着替えたら呼んでくだせぇ。ここがきついとか長いとか、  
そういうのがあったら、すぐに直させますんで」  
「はい、じゃあ着替えますねっ」  
「んじゃーそういうことで」  
お通ちゃんを部屋に残し隣の部屋に移って、テレビ見ながら煎餅齧ること5分。  
 
 
 
……そろそろだな。  
 
……そーっと。  
 
部屋と部屋を隔てる襖をそっと開く。  
音がしねぇように、昨日蝋を塗っといたお陰で音も無く襖が開く。  
お通ちゃんは俺の部屋で今着替え真っ最中。お。丁度着物脱いだとこだ。  
 
――ちょ、マジでかィ? 真っ白なブラとショーツって。  
 
おいおいおい……お通ちゃん、結構清純派な下着じゃねえか……。  
 
おっぱいでっけー……。  
有給却下されて特別手当もなしでこき使われるんなら、それ相応のお手当をこっちから貰うまででィ。  
え? このピーピングがお手当て? まさか。  
そんな甘っちょろいもんじゃないんでさァ……。  
 
お通ちゃんは隊服をビニールから出した。「結構重そうだなぁ」って言いながら。  
そうそう、それ結構重いんだよなぁ。肩凝るんだよ。  
先ずはスラックスに足を通し……  
 
「いゃあああああああああっっっ!!!!!」  
 
耳を劈く絶叫と共にスラックスが投げ捨てられ、お通ちゃんがしゃがみこむ。  
「どうしやした! お通ちゃん!!」  
襖を勢いよく開け、俺は急いでお通ちゃんに駆け寄る。  
下着姿のお通ちゃんは投げ捨てたスラックスを指差し、  
「なななな中にムムムムムカデ……ムカデがいたんですっ……!」ってもう涙目。震えてらぁ。  
「ムカデ? ホントですかィ?」  
俺は驚いた風を装い、スラックスをさも慎重そうにに手にし、警戒した様に数回振る。  
ポトリ、畳に落ちたのは中指大のムカデ。畳の上でウゾウゾ蠢いてら。  
「いやぁっ! やっぱりぃっ!!!!」  
お通ちゃんが俺にしがみついてくる。そうそう、その調子でィ。  
「ホントだ。こりゃ大物ですぜィ。噛まれると危ないです。お通ちゃん、一寸待っててくだせぇ」  
怯えるお通ちゃんをなだめつつ、俺はソッコーで縁側に出、  
予め用意してあった火ばさみを縁の下から持って来てムカデをキャッチ。  
中庭の池に遠投。ポチャン、ムカデは池にダイブ。  
「……ふぅ、これで大丈夫ですぜィ」  
額の汗(出てないけど)をぬぐい、障子を後ろ手に閉めると部屋の隅でまだ震えてるお通ちゃんに脱いだ上着をかけてやる。  
「すみませんお通ちゃん、この屯所最近ムカデがよく出るんでさァ」  
「そ、そうなんですか……ごめんなさい、私ムカデとかすごく怖くて……あんなおっきい声出しちゃって……」  
「あはは、気にしないでくだせぇ。アレが平気な女は普通はいやせんぜ」  
お通ちゃんがムカデだの虫だのが嫌いってコトくらい、ちゃーんとリサーチ済みでィ。  
ちなみにあのムカデ、駄菓子屋で当たった玩具。  
玩具っつったってよく出来たもんでさァ、急に目の前に出てきて真贋見分けつく訳ァねえ。  
土方さんと山崎で実験済みだ。  
 
 
そう。  
つまりはそういうこと。  
 
 
「もういねェかなぁ」  
お通ちゃんが着る予定だった隊服をさかさまにして振り、もうムカデが入っていないことを確認して天井を見渡す。  
「この屯所って古い武家屋敷を幕府が買い取って簡単に改装しただけなんで、虫だのイタチだの結構出るんでさァ。  
大丈夫ですかィ、お通ちゃん」  
俺は上着を被ってしゃがんでるお通ちゃんをそっと横抱きにする。うわ。柔らけェ。すぐ目の前には胸の谷間。  
「ムカデに噛まれてやしやせんか? ちょっと見せて下せェ」  
「いえ、あの、噛まれてませんけど……お……沖田さん?」  
「いやいや、身体をちょっと這った位でもいけねえですぜ、ムカデは。ほら、ちょっと見せて」  
尤もらしいことを言いながら、横抱きにしたお通ちゃんの脚を無理やり開かせる。  
「だ、大丈夫ですって! 離して下さいっ」お通ちゃんは逃げようとするけど、そうはさせねェ。  
「いやいやいや。もしかしたらアレ一匹だけとは限りやせんぜ? もしかしたらもう一匹(強調)  
ちっこーいのがいてとっくにここに潜り込んでたり……」  
言いながら、お通ちゃんのショーツの隙間に指をもぐりこませる。  
「ひっ……!」  
お。結構毛深い。可愛い顔して毛深いって結構そそるなァ。  
「や、やめてくださいっ!!」  
お通ちゃんは身体をくねらせて逃げようとする。そうはいくかってんだィ。  
「あぁ、動かねェで下せえ。もしもムカデがいたら動いて下手に刺激して噛まれたりするとしゃれにならないですぜ?」  
耳元でそれらしく囁いてやる。怯えた目になって急に大人しくなる。いいねェ……ドSモードに火がつくってやつだィ。  
「まさかッ……だってアレ一匹しか見えなかったし……」  
「ありえねえ話じゃないですぜィ? こないだもうちの隊士が寝てたら耳の中にちーっさいムカデが……」  
「ううう嘘ッ!」  
「いや、ホントホント。もう夜中に大変だったんですぜィ? だーかーら、もしかしたらこーんなところで這ってたり……」  
「……ッ!」  
くちくち、割れ目を指で弄る。  
お。クリトリス発見。ちょっと剥いて指の腹で擦ってみるか……と。  
 
「ぁあああ……ッ……だ……め……ッ!」  
お通ちゃん感じてるねェ。いいねェ。腰もぞもぞさせてらァ。  
「奥に潜り込んでたり……」  
親指でクリトリス擦りながら、人差し指と中指をマンコに……プスッ、と。  
「や……ぁ……いや……や……入ってる……ッ」  
「そりゃ入ってますぜィ。だって入れてやすから」  
ついでに耳朶をちょっと舐めて。耳の穴も……お、冷たい。  
「んっ……ぅ……ん……!」  
顔真っ赤にしちまって、可愛いこった。  
「そんでもって、こんな風に中で暴れてたり……」  
二本の指を中で動かす。ちょっと乱暴に。  
「あ・あ・あ……ッ!!」  
やらしい音がする。ぐちょぐちょだかぬちぬちだか。  
お通ちゃんの腰ががくがくして、奥からどんどんと汁が溢れてくる。お通ちゃんの中が俺の指に絡みついてくる。  
「いやぁぁっ……!」  
嫌、ねぇ。感じてるようにしか聞こえやせんぜ?中、絡み付いて締め付けてるし。  
 
お通ちゃんの身体をそっと畳の上に横たえる。  
 
……こっからが本番でィ。お手当て、ちゃんと貰いまさァ。  
 
「……してたらどうしやす?」  
ゆっくりと指を抜いた。名残惜しそうにお通ちゃんのマンコが俺の指を放したがらなかったのは、気のせいじゃない。  
最後の最後まで指に絡み付いてた。下着には染みが漏らしたみたいについてらァ。  
「……ぅ……沖田さん……の変態ッ……」  
お通ちゃん、涙目になって俺のこと睨みつけてらぁ。  
「すいやせん。お通ちゃんがあんまり可愛いんで、ちょっとちょっかい出したくなっちまったんでね。  
そんなそそる格好見ちまうと男ってヤツぁどうにも……」  
お通ちゃんの上に陰を作ったままで、抜いた指をわざと目の前に出してやる。  
「下半身で物事考えるもんでね。……ところでこれ、何がついてんですかィ?」  
二本の指に纏わりついたお通ちゃんの白い体液。指の間で糸引いてる。  
「アイドルでも発情するんですねェ」  
わざとクン、と匂いかいで……あー、結構濃い匂いだ。で、そのまま……目の前で舐めた。……しょっぺぇ。  
「……やめてくださいっ! こんな変なことして……人呼びますよッ!」  
「呼べばいいでさァ。ここ警察だし。110番の手間は省けまさァ。ただし飛んでくるのは全員女日照りの野郎どもですぜ?  
その上お通ちゃんそんな格好で。野郎がわんさかやってきても平気ですかィ?」  
「……う……」  
「いいじゃないですかィ。どうせ初物じゃねえんでしょ?」  
「ッ……!」  
―――否定できないのは肯定と一緒ですぜィ。  
だから、俺なりに色々とリサーチ済みなんでィ。  
お通ちゃん人気再沸騰の影にプロデューサーのつんぽだかインポだかとチョメチョメ関係だなんて話は真っ先に仕入れてんだィ。  
ま、尤もこの話は一日局長にお通ちゃんをプッシュしてた山崎が仕入れてきた話だけど。  
「……と言いたい所だけど、予定もあることですからお遊びはこのくらいにして」  
態度一転。俺はあっさりとお通ちゃんの上から退いて、さっきの隊服を差し出した。  
押してもだめなら引いてみな、ってな。  
「お直しの時間もいることですし、着替えどうぞ。お通ちゃん」  
「……」  
「どうしやした? お通ちゃん」  
「……」  
お通ちゃんは身体を起こしたものの下を向いて黙ってる。  
気のせいでもなんでもなく、息が荒い。  
 
「……まさか足りないとか?」  
わざとらしく聞くと、お通ちゃんの肩がびくっと震えた。  
 
 
計 画 通 り  
 
 
……あ、やべ。思わず顔が夜神月モドキになっちまったィ。  
お通ちゃんの身体は半端に燻っちまって疼いてんだ。  
だって俺、そうなるように触ったんだから。  
「あはは……そりゃすいやせん。責任とりまさァ。そうですねェ……今からだったら……」  
俺は壁掛けの時計を見上げて、時間を計算する。  
「八時十分……いや、十五分。ってことは……小一時間は大丈夫ですぜィ? お通ちゃん」  
差し出した隊服をわざとらしくバサっと畳に落とす。  
同時にお通ちゃんが顔を上げた。荒い息、トロン、とした目。  
ホラ。やっぱり。  
 
 
「……続き、しやすかィ?」  
 
 
俺の誘いにお通ちゃんは少し考えて……頷いた。  
 
 
貰えないお手当ては何が何でも頂くのが俺のやり方でィ。  
 
 
(続く)  

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