今日は朝姉上と一緒に万事屋に行った。  
神楽ちゃんは姉上と大江戸デパートのバーゲンに出かけ、僕と銀さんはスーパーで買い物。  
このところ、銀さんは妙にリッチだ。どこからお金が入ったのかは分からないけれど、滞納していた家賃は全部払ったみたいだし、  
僕にも未払いのままだった何ヶ月か分の給料をまとめて払ってくれた。  
その上神楽ちゃんにも酢昆布をあんなに沢山買ってあげて、バーゲンの軍資金だといって、5千円札を渡していた。  
5千円札だよ5千円札。500円札じゃないんだよ!   
さっきもスーパーで『10円引き』シールを貼ってない定価のいちご牛乳を買っていた。  
 
―――怪しい。絶対、怪しい。  
 
……銀さんはいったいどんな悪い仕事に手を染めたんだ……。  
金の出所を聞くのが怖くて、いや、出来ることなら知りたくなくて、僕は何も言わないでいる。  
 
「結構買っちゃいましたね」  
「あー、そうだなァ。冷蔵庫入るかコレ?」  
原付を階段の下に止めて、裂けそうなくらい詰め込んだ袋を両手に持つ。  
買い込んだせいで、結構重い。ヒィヒィ言いながら二人で階段を上がって、玄関の鍵を空けようとした……んだけど。  
万事屋の中から、声が聞こえていた。それも、女性の声が二つ。  
 
『あぁっ……ん、ゃぁっ……』  
『ダメよ、逃げちゃ……ホラ、もうおツユがいっぱい……』  
『だ……だって、あぁっ……すごすぎる……ッ』  
『クリトリスがこんなに充血してるわ……なにもしなくてもお顔出してるのね、フフ……いやらしい子』  
『ッ、言わないでッ……』  
というような声が。  
 
「……銀さん、この声って……」恐る恐る銀さんに声をかけると、銀さんの顔面はとっくに蒼白になっていた。  
「やばい……新八……コレ……やばいぞ」  
魔女っ子メグのノンみたいな顔色の銀さんは、ガタガタ震えていた。  
「なにか心当たりでもあるんですか? 銀さん」  
「……もしかしたらお妙と神楽がとっくに帰ってて、もしかしたら俺が冷凍庫の雪見大福の箱に隠しておいた  
『結野アナ&花野アナ激似!? いいえ違います今度は絶対ホントの本人!』の  
レズもののエロDVDを見つけて、もしかしたら鑑賞会を開いてるのかもしれないぞぉぉぉぉっっ!!!」  
「アンタなんて場所になんてものを隠してるんですかぁぁっ!! それ以前になんつうDVD買ってるんですかっっ!!」  
「だって仕方ねえだろッッ!! 神楽に押入れ上半分占領されてっからッ!! 隠す場所が限られてるんだよッッ!!   
それにあのDVDは激似じゃなくて絶ッッ対本人だッッ!! このカシオミニを賭けてもいいッッ!!  
あれはテレビ局の女子更衣室でレズってる、正真正銘結野アナと花野アナ本人の隠し撮りだッッ!!」  
「どういう根拠ですかッッ!! そもそもここは動物のお医者さんじゃありませんッッ!!   
第一そんなもんよく似た髪形と背格好と隠し撮り特有の画像の悪さでなんとでもいえますよッッ!!」  
 
「いいや違う! 俺の結野アナセンサーが反応したんだ!! いつもは謙虚な銀さんジュニアがピンコ立ちしたから  
あれは絶対結野アナだ! バツイチになった寂しさを、後輩アナとのレズプレイで埋めようとしてるんだ! あぁっ結野アナ!!   
俺のところに来れば幾らでも埋めて差し上げるっていうのにぃっ!!」  
「知りませんよアンタの下半身事情なんてッッ! っていうかいつまでここで揉めてても仕方ないでしょう!!」  
「おお、そうだ! 早くDVDを奪還せねば! 神楽がケータイ小説の主人公まっしぐらになっちまう!!」  
よく分からない言い争いの後、転がるように僕と銀さんは万事屋の中に入った。  
 
「違うんだお妙ぇぇ!! 早まるな神楽ぁぁぁ!!」  
「目を閉じてくださいッ! 姉上、神楽ちゃんッ!」  
 
襖を開けた僕たちの目に飛び込んできたのは……。  
 
「あら、銀さんに新八君。お帰りなさい」  
「邪魔しているぞ」  
 
姉上と神楽ちゃんじゃなくて。  
さっちゃんさんと九兵衛さんでした。  
それも、素っ裸の。  
しかも、僕らが出かける前には確かに畳んで部屋の隅に片付けておいた銀さんの布団を部屋のど真ん中に広げてその上で。  
いわゆる、シックスナインの体勢の。  
 
「……あれ……」  
「……え?」  
 
玄関開けたら2分でご飯どころか。  
玄関開けたら2秒でアハンでした。  
 
「……さっちゃんお前……何してんの」  
「九兵衛さん……何してるんですか」  
 
結野アナと花野アナどころか。  
さっちゃんさんのプリプリのお尻と、九兵衛さんの花びらが丸見えでした。  
 
 
「……でっ。一から説明してもらおうか」  
僕と銀さんは、さっちゃんさんと九兵衛さん(注:流石に服は着ました)と向かい合い、  
コトのあらましについて説明を受けることになりました。  
「大体なんでおめーらはよッ!! 人んちでよッ! しかも人の布団でよッ!   
レズプレイなんて大胆なことをしてるんですかアンタらはッ!!」  
銀さんの額には青筋。  
童貞の僕は見てはいけないものを見てしまった感で一杯で、銀さんの隣で真っ赤になって俯いていた。  
「帰ってきたのが俺らだからよかったもののッッ!! お妙と神楽だったらどーすんだよコレェ!!   
気まずさ100%で真中もいちごパンツ片手に逃げ出すよッッ!!」  
「だから悪かったって言ってるじゃない、銀さん。とりあえず九兵衛さんの話を聞いてあげて」  
怒りに任せてまくし立てる銀さんと、たしなめるさっちゃんさん。  
ん? 九兵衛さんの話? 事の発端が九兵衛さんだってこと?  
「あんだって? どういう話だよあん? コラァ」  
「銀さん、アンタ完全にヤクザモードですよ……っていうか一から説明しようにも銀さんがそんなに喧嘩腰じゃ  
話したくても話せませんよ。どうやら九兵衛さんが事の発端みたいですから……」  
銀さんの耳元で小声で囁くと、銀さんはため息を一つついて、「んじゃあ、柳生さんちの九兵衛君。説明スタート」  
とめんどくさそうに言った。  
 
九兵衛さんがためらいがちに話し始めた。  
「……今朝、僕がこちらへ来たら丁度さっちゃんと玄関前で会ったんだ。  
そもそも僕がこちらへ来た理由はさっちゃんと連絡を取って欲しかったからなんだ」  
「さっちゃんさんと? どうしてですか?」  
「……理由は後で話す。で、さっちゃんと玄関前で会って、しかもさっちゃんがここの合鍵を持っていたので、  
僕とさっちゃんは勝手に上がらせてもらってことに及んでいた」  
「いやいや、それおかしいって。なんでいきなりコトに及ぶんだよッ! どちらのエロ漫画だよッ!  
つーかさっちゃん合鍵勝手に作んなっつーの!」  
「銀さんっ! また喧嘩腰ですって! 落ち着いてくださいッ」  
僕はまた喧嘩腰になった銀さんをたしなめた。全く、話が進む様で進まないよこの面子じゃ……。  
「そもそもなんで九兵衛さんとさっちゃんさんなんですか? キャバクラの件で会ったのが初めてでしょう?   
こんな仲になるほど親しかったんでしたっけ?」  
「ああ、その理由については私から話すわ」今度はさっちゃんさんが話し始めた。  
「私達が知り合ったのはキャバクラに上様がいらした時が確かに初めてだけれど、私がくのいちだから、  
九兵衛さんは私に相談したかったらしいの。知っての通り、九兵衛さんは身体は女性だけれど、心は男性……  
ということになっているのよね。けれど、それは生まれつきではなくて男性として育てられたが故のこと」  
「……あー、確かに男として育てられたんだよな。んで? それがあのレズプレイとどう関係してんだぁ?」  
 
 
「だ・か・ら。九兵衛さんは本能的な部分では”女”で、”女”として男性に抱かれたいと思ってる……ってこと」  
 
「「…………」」  
僕と銀さんは言葉を失った。  
さっちゃんさんはさらっととんでもないことを口にしたからだ。  
「僕……変なんだ」沈黙を打ち破るように、九兵衛さんが再び口を開いた。  
「このところ、夜一人で布団の中で……その……自分を自分で慰める時、見知らぬ男に抱かれる妄想でしてしまうんだ……」  
「おいおい……オブラートに包んだ言い方してるけとどのつまりオナニー話かよっ」  
銀さん、なんでオブラートをわざわざ破くんですかアンタは。  
確かにそういうことだよね。  
九兵衛さんもオナニー……するんだ。  
姉上もするのかな。  
あ。  
なんか……立ってきた。ちょっとまて僕の下半身。どういう反応の仕方だ。  
さっきのレズプレイはあんなにくっきり見えてたのに反応しなかったじゃないかッ!   
ってあれは衝撃的過ぎて反応に至らなかっただけ?  
「……そういうことだ。僕は……今迄男として育ってきて……それなのにその……男に、  
女として扱われて抱かれる妄想でないと満足できないんだ……」  
うわ……なんか……すごいことを聞いてしまったような……。  
九兵衛さんは顔を真っ赤にして下を向いてしまった。あの……恥ずかしいのは聞いてる僕も一緒なんですけど……。  
「そういうわけで、九兵衛さんは私に相談をしてきたの。自分の性癖がどうなのかを客観的に判断して欲しいって」  
それでレズプレイってわけ、とさっちゃんさんは得意げに言った。  
ってわけ、じゃないですよ……さっちゃんさん。  
確かくのいちは夜の営みに関しては豊富な知識とテクニックを持ってるんだっけ。  
相談するにはうってつけだよなぁ。まさかあの四天王に相談するわけには行かないだろうし。  
そのくのいちの知識とテクニックにコロっといっちゃった天パの人が僕の隣に座ってるんだけど。  
 
「で、どうだったんだよ。さっちゃんのジャッジはよォ」  
「そうね、さらっと流した感じだけど……レズもダメってことはないけど、男性にガツガツ攻められるのが好きそうね。   
女性が好きだって口では言ってるけど、満足できるのは男性の方がいいんじゃないかしら?」  
「……そうなのか。でもコイツ男苦手だろ? なんならお妙にペニバンでもつけてもらって攻」  
「なに人の姉上にさせようとしてるんですかアンタはあぁぁッッ!! 何がペニバンですか!!」  
「……今のお妙ちゃんは僕のことはそういう対象としては見てくれてはいない……ペニバンは無理だ」  
ってなんでペニバン話引きずるんですかっっ!! ペニバン前提なんですかっ!!  
「相談されて同じ女として、困っている九兵衛さんをほっとけなかったのよ。銀さん、だから  
浮気じゃないんだゾ、コレは♪」  
「あー、そう? だったらいいんだけどォ。銀さんさっちゃんがレズ浮気だったらどーしようかと思ってェ」  
「そんなわけないじゃない? でもさっちゃん、銀さんに見られるのってちょっと興奮したわ……  
あんな恥ずかしい現場……」  
「なぁんだ、いやーだったらもっとピーピングすりゃあよかったかなー隠し撮りすりゃあよかったかなぁー  
今後のプレイの時にィ、見ながらネチネチ攻められるのにさぁ」  
……のろけですかアンタら。人前で。また自分らのプレイにつなげようとするんですか。  
それで本題何処行ったんですか。イスカンダルですか。  
「でね、銀さん。モノは相談なんだけど」  
さっちゃんさんが、懐から封筒を取り出した。  
ちょ・何ですかこの分厚さっっ!ひと束確実に入ってるよ!   
「これは九兵衛さんから私が受け取った分だけれど、この半分を私から銀さんへ支払うという前提で、  
私から相談よ。九兵衛さんが本当に男性に抱かれたいのか、  
銀さんと九兵衛さんが寝て実際に確かめてみるっていうのはどう?」  
さっちゃんさんは目を細め、ふふっ、と微笑んだ。  
 
それから三十分後。  
和室にさっき畳んだ布団をまた敷いて、さっちゃんさんと九兵衛さんが着物を脱いでいる。  
僕と銀さんは入り口のあたりで正座して、スタンバイ。  
まずはさっちゃんさんと九兵衛さんがレズプレイで前戯をして、九兵衛さんの身体が  
十分受け入れOKとなったところで銀さんが挿入……ということになった。  
「……カネに目が眩みましたね、銀さん」  
「仕方ねーだろ新八……カネもそうだけど断っても引き受けても気まずさはかわらねーよ……」  
「そうですけど……」  
断ってもこの先会いづらいし引き受けても会いづらいのは確かだ。  
 
どうせなら問題解決したほうがましといえばましだ。  
けど実際に寝て確かめてみるとはとんでもない話なわけで。  
男性に触れらたら投げ飛ばしてしまう九兵衛さんも、銀さんなら手を触れても(まああの時は場合が場合だったけど)  
大丈夫だったんだから、ってことで九兵衛さんも了承してた。  
というか冒頭でレズプレイをする前にそういう話で二人の間でまとまってたらしい。  
……怖い話だ。  
しかも、寝るって言ってもそもそも九兵衛さん処女じゃないんですか? と僕が恐る恐る尋ねたところ、  
九兵衛さんはあっさりと  
『そのことなら大丈夫だ。僕は処女じゃない』と衝撃的なカミングスーン……もとい、カミングアウトをかましてくれた。  
何が来るんだカミングスーンて。シャンプー? あれはヴィダルサスーンか。  
『『なんですと!?』』 あ。銀さんとハモッちゃった。  
『武者修行の旅に出る際、野党に襲われたりしてからでは遅いということで、張り型で自分で破瓜を済ませた』  
これがその張り型、と明らかに成人男性標準よりも立派な水牛の角製の張り型を見せてくれた。  
……何で持ってきてるんだ。  
処女喪失ってすごい痛いって聞いたけどそれを自分で済ませちゃうって辺り、九兵衛さんって凄いというか  
肝が据わっているというか……。ま、済ませてるってコトは痛がる心配は要らないんだろうけど。  
銀さんに触られた九兵衛さんがまた投げ飛ばしたりする可能性がゼロともいえないんじゃないかと  
僕は不安を口にしたけど、さっちゃんさんは笑って『銀さんは挿入だけしてくれればいいのよ、  
出来るだけ触るのが少ない体位で、投げ飛ばせないくらいトロトロに蕩けてれば大丈ブイ♪  
いざとなったら私が縛っちゃうから』と。  
……そういう問題だろうか。体位ってどんな体位だ。縛るってアレか。OPでやってたアレか。  
 
 
「新八ィ、このことはお妙には内緒だぞ……いいな」  
「わかってますって……報酬の半分、寄越してくださいよ」  
「了解了解。あーあ、嫌な4時間目だなぁ……」  
姉上は夕方まで帰らないとさっき連絡が取れたから安心だ。  
……ん? 4時間目?  
「銀さん、なんで4時間目なんですか? 僕1時間目しか受けてませんけど」  
「え゛……あ、えーと……」銀さん……なんでしどろもどろなんだ? なんか変な汗かいて怪しくない?  
「……アレだ、ホラ、今昼飯前だろ? 昼飯前っつったら4時間目だろ? アハハハ……」  
「……」  
怪しい。  
ますます怪しい。  
ま、いっか……。  
 
 
ともあれそんなわけで、さっちゃんさん経由の九兵衛さん依頼は幕を開けた……。  
 
 
 
 
 
※前回までのあらすじ  
「この世に邪悪がはびこるとき、必ずや現れるという希望の闘士”聖侍士(セイント)”。  
その伝説の「聖侍士」が現代によみがえった。廻船問屋・愚裸亜怒屋の後継者として育てられたアテナ・城戸沙織。  
そこへ集う青銅聖侍士(ブロンズセイント)たち……」  
「って何の漫画のナレーションですか銀さァァァァンンッッ!!」  
 
 
人間、逃避したくなると違う世界の入り口を探すものらしい。  
……なんやかんやで、銀さんの四時間目が幕を開けた……って、もう一回言うけど何で四時間目?  
 
 
全裸になった九兵衛さんとさっちゃんさんが布団の上、膝立ちになって向かい合う。  
ちょっと貧乳気味で小柄の九兵衛さんと、大柄で胸もお尻もボン!のさっちゃんさん。  
さっちゃんさんの裸を見るのは二度目だけど、……やらしい身体してるよなあの人……。男好きするっていうか。  
九兵衛さんの身体はまだ大人になりきってないっていうんだろうか。  
幼さが残っててそれがまたいけなさを感じさせて……って僕は評論家か。  
「ところで銀さん、なんで僕までいなきゃいけないんですかっ。僕何もしないんだから関係ないでしょっ」  
「……新八ィ、男に必要なのはなァ、ズバリ悪友と共犯者だ」  
「僕、共犯者なんですね……」  
「わかってんなら黙って正座しとけ。ティッシュが切れたら買いに走る位の雑用はしてもらうだろうからよっ。  
それに……この重たい空気がわからんお前じゃないだろう? この空気、俺の心臓には負担が掛かりすぎる……  
今の俺の心臓は三杉君の心臓並みにやばいんだ」  
「大丈夫です三杉君の心臓は治りましたから」  
「マジでか」  
確かに銀さん一人でこの中でいるのが苦しいのは分かる。  
僕も口止め料としてお金を貰うわけだから、いなきゃいけないだろっていうのは分かる気もするんだ  
 
「じゃあ、始めるわね。銀さんの出番になったら呼ぶわ」  
さっちゃんさんがこちらに目配せをして、レズプレイが始まった……。  
「ん、」  
「……ン」  
わ。二人がキスしてる。当たり前の様に。しかも何だよあれ確実に舌入ってるよ。  
大人のキスだよ。慣れてるよ九兵衛さんも。  
キスしながらお互いに胸を弄り合ってる。さっちゃんさんの掌にすっぽり収まる九兵衛さんの小さな胸。  
九兵衛さんの手に余るさっちゃんさんの胸。  
「おー、こりゃすげぇな……DVDよりすげえよ。やっぱアイツも女だったんだなぁ」  
「九兵衛さんですか? そうですね……」  
頭では九兵衛さんが女だって分かってた筈なのに、女性らしい格好も見たことがあるのになぁ。  
女の体つき。明らかに男とは違う。穢れたバベルの塔もない。  
ん、なんて甘ったるい声もやっぱり女の人の声だ。普段の声は意識して低めに話してるんだろうな。  
二人の胸を弄り合うつきが段々やらしくなってくる。  
「ぁ、ァ、…」「ッ、……う」  
声が乱れてきた。キスだけでメロメロですか。  
先に我慢できなくなったのはさっちゃんさんだ。  
さっちゃんさんは枕元のローションのボトル(※九兵衛さん持参)を開け、九兵衛さんの腕に、胸に、垂らす。  
そしてその腕に跨って腰を前後に……。  
「あ、あ、ア、気持ちい、アぁ……!」  
さっちゃんさん、善がってます。すんごい善がってます。  
「昔姉上が登り棒から降りるときによくあんな顔してたような気が……」  
「お前そりゃーお妙は登り棒が気持ちよかったんだよ。性的な意味で」  
そうなのか……アレは姉上の感じてる顔だったのか。言わなきゃ良かった。  
さっちゃんさんは善がりながらローション塗れの九兵衛さんの乳首をつまんでいじいじしてる。  
そしたら九兵衛さんも「あ、ぅ……あっ……!」って。  
さっちゃんさんの腰つきはやらしくて、どんどん激しくなっていく。  
グチグチ、ローションだか愛液だかがまじった粘った音がしてる。  
その上九兵衛さんの胸への攻めも激しくなっていく。  
流石くのいち、慣れた手つきで九兵衛さんの小さな胸を愛撫している。  
「覚えとけ新八ぃ、胸は小さめのほうが感度はいいらしいぞ」  
「そうなんですか?」  
「ああ、小さめのほうが母乳もよく出るらしい。まぁさっちゃんはでっかくても感度グンバツだけどぉ」  
だから最後はのろけかよっ。グンバツって古っ。  
「やぁ、ん、あ、あ、」  
「ッあ……ああ、は、」  
まさかいきなりこのまま二人ともイっちゃう?って思ったら、二人はどちらからともなく布団に倒れこんだ。  
さっちゃんさんがすぐさま上になって、九兵衛さんの胸に吸い付く。  
ぢゅ、って音をさせながら吸い上げてる。  
「ふぁあ、あ、あん、」  
九兵衛さんが喘いでる。小さいほうが感じる、か……なるほど。  
さっちゃんさんはローション塗れの九兵衛さんの身体に自分の胸を押し当てて、おっぱいマッサージだ。  
「わ……すご……」  
腰を激しくくねらせながら、九兵衛さんの身体を上下に動く。  
……この間のさっちゃんさんの胸の感触を思い出す。  
すんごく柔らかくて気持ちよかったっけ。あれで全身マッサージ、しかもローションでヌルヌルとか……。  
……僕もちょっとやって欲しかったり……羨ましかったり……ラジバンダリ……。  
「ぁうっ…、あ、い、……」  
「んふ、気持ちいい? 九兵衛さん」  
「……い……いい、」  
やがてさっちゃんさんの片手が九兵衛さんの股に。……こないだ僕や銀さんがやったみたいに、  
くちくち、九兵衛さんのアソコを指でいじってる。  
「アソコ触ってますね」  
「新八ぃ、今時アソコとか言うんじゃねえよ。お前中学生か? 男ならストレートにマンコといえマンコと。  
恥ずかしいならぼかしてマンコカパックと言え」  
「いやぼかしてませんけどそれ……」  
 
聞き覚えのある音がする。九兵衛さんのマン……もとい、膣口(この言葉を忘れてた)から愛液が溢れてるんだ。  
「ひッ・あ、いや……ぁあッ、すご……んやぁッ…!」  
九兵衛さんはかぶりを振りながら感じて喘いでのけぞってる。  
「パッつぁんよぉ、すんげーなあオイ……」  
「ですね……僕、レズってもうちょっとこー、お花畑でお姉様アハハウフフ的なぽんわりしたものを想像してたんですが」  
「そら違ぇよ。カラオケのイメージ映像じゃねえんだぞお前。女ってのはよぉ、  
男と違って形のあるものを出したらそれで終わりじゃないからな。  
何回でもイけるし、それ以前に男より深く感じる。どこまでも貪欲な生き物だよ。ましてやそれが二人絡み合ってみろ」  
「はぁ」  
大きく開いた九兵衛さんの女性器。さっちゃんさんより毛は薄めでっていうか殆ど生えてない?   
わ。だから全部丸見えだ。  
「んふ、九兵衛さんってやらしいのね。さっきも思ったわ。なにもしてないのクリちゃんこーんなになってるんだもの、ほぉら」  
僕たちに見えるように、さっちゃんさんが脇に移動して九兵衛さんのそれを開いた。  
なんかすごいヌラヌラしてる……蠢いてる。さっちゃんさんよりちょっと色は薄いかな?   
「おーおー、でけークリトリスしてんなぁお前」思わず銀さんが身を乗り出して言った。野次ってるおっさんですか。  
「ッ、言うなッ……!」九兵衛さんはすごく恥ずかしそうだ。  
銀さんが、「新八ィアレ見てみろ、剥いてないのに顔出してんぞ」と指差す。  
「え、そうなんですか」  
あ、確かに。しかもこの間のさっちゃんさんのより、明らかに大きい。  
「やらしーねぇ、お前。自分でいッつも剥いてしょっちゅういじってんだろ? だからそんなにでっかくなるんだよ」  
銀さんがニヤニヤしながら言うと、九兵衛さんは顔を真っ赤にしてかぶりを振った。  
「いっ……いつもじゃないッ……時々、だ」  
「へぇ、剥いてんのは否定しねーんだ」  
「……ッ、」  
わ。銀さんのやらしい誘導尋問成功だ。  
「ダメよ銀さん、いじめちゃあ。折角感じてるのに」  
さっちゃんさんは、その……むき出しのクリトリスに……顔を近づけ、長い舌でぺろッと舐めた。  
「アッ・アアアアッ!!!」  
九兵衛さんがビクっと跳ねた。あんな小さい場所なのに、そんな感じるんだ。……改めてすごい場所だ。  
さっちゃんさんは舐め方を色々と変えながら、九兵衛さんのクリトリスに執着する。  
たまにさっちゃんさんの舌が膣口に入り、軽くいじめてからまたクリトリスに戻る。  
さっちゃんさんは僕らにその光景が見えるようにわざと少し顔をずらしてやっている。  
見られているってことに九兵衛さんはどんな気分なんだろう。いつも自分ひとりでやるのとは……絶対、違うよな……。  
「クリにフェラしてるみたいじゃねえか、さっちゃん」  
「だって、こんな舐め甲斐があるのってあんまりないんだもの」  
さっちゃさんは九兵衛さんを攻めながらも、自分のマンコカ……違う、女性器もいじっている。  
 
――やらしい。すんごいやらしい光景だ。  
 
逃げなくて良かった、とちょっと思ったり……銀さんありがとうって感謝したり……  
「ラジバンダリ」  
「銀さん僕の心の中勝手に読まないで下さい」  
……などとしょうも無いやり取りをしていたら。  
 
 
「さ、そろそろ大丈夫かしら」  
さっちゃんさんが九兵衛さんの上から退いた。  
布団の上の九兵衛さんはハッ、ハッ、と走った後の犬みたいに荒い呼吸をしている。  
「今にもイきそうよ、九兵衛さん。銀さんの手間は最小限にしたし、これだけ限界ギリギリなら、  
投げ飛ばすことも無いと思うわ」  
 
聞き覚えのある音がする。九兵衛さんのマン……もとい、膣口(この言葉を忘れてた)から愛液が溢れてるんだ。  
「ひッ・あ、いや……ぁあッ、すご……んやぁッ…!」  
九兵衛さんはかぶりを振りながら感じて喘いでのけぞってる。  
「パッつぁんよぉ、すんげーなあオイ……」  
「ですね……僕、レズってもうちょっとこー、お花畑でお姉様アハハウフフ的なぽんわりしたものを想像してたんですが」  
「そら違ぇよ。カラオケのイメージ映像じゃねえんだぞお前。女ってのはよぉ、  
男と違って形のあるものを出したらそれで終わりじゃないからな。  
何回でもイけるし、それ以前に男より深く感じる。どこまでも貪欲な生き物だよ。ましてやそれが二人絡み合ってみろ」  
「はぁ」  
大きく開いた九兵衛さんの女性器。さっちゃんさんより毛は薄めでっていうか殆ど生えてない?   
わ。だから全部丸見えだ。  
「んふ、九兵衛さんってやらしいのね。さっきも思ったわ。なにもしてないのクリちゃんこーんなになってるんだもの、ほぉら」  
僕たちに見えるように、さっちゃんさんが脇に移動して九兵衛さんのそれを開いた。  
なんかすごいヌラヌラしてる……蠢いてる。さっちゃんさんよりちょっと色は薄いかな?   
「おーおー、でけークリトリスしてんなぁお前」思わず銀さんが身を乗り出して言った。野次ってるおっさんですか。  
「ッ、言うなッ……!」九兵衛さんはすごく恥ずかしそうだ。  
銀さんが、「新八ィアレ見てみろ、剥いてないのに顔出してんぞ」と指差す。  
「え、そうなんですか」  
あ、確かに。しかもこの間のさっちゃんさんのより、明らかに大きい。  
「やらしーねぇ、お前。自分でいッつも剥いてしょっちゅういじってんだろ? だからそんなにでっかくなるんだよ」  
銀さんがニヤニヤしながら言うと、九兵衛さんは顔を真っ赤にしてかぶりを振った。  
「いっ……いつもじゃないッ……時々、だ」  
「へぇ、剥いてんのは否定しねーんだ」  
「……ッ、」  
わ。銀さんのやらしい誘導尋問成功だ。  
「ダメよ銀さん、いじめちゃあ。折角感じてるのに」  
さっちゃんさんは、その……むき出しのクリトリスに……顔を近づけ、長い舌でぺろッと舐めた。  
「アッ・アアアアッ!!!」  
九兵衛さんがビクっと跳ねた。あんな小さい場所なのに、そんな感じるんだ。……改めてすごい場所だ。  
さっちゃんさんは舐め方を色々と変えながら、九兵衛さんのクリトリスに執着する。  
たまにさっちゃんさんの舌が膣口に入り、軽くいじめてからまたクリトリスに戻る。  
さっちゃんさんは僕らにその光景が見えるようにわざと少し顔をずらしてやっている。  
見られているってことに九兵衛さんはどんな気分なんだろう。いつも自分ひとりでやるのとは……絶対、違うよな……。  
「クリにフェラしてるみたいじゃねえか、さっちゃん」  
「だって、こんな舐め甲斐があるのってあんまりないんだもの」  
さっちゃさんは九兵衛さんを攻めながらも、自分のマンコカ……違う、女性器もいじっている。  
 
――やらしい。すんごいやらしい光景だ。  
 
逃げなくて良かった、とちょっと思ったり……銀さんありがとうって感謝したり……  
「ラジバンダリ」  
「銀さん僕の心の中勝手に読まないで下さい」  
……などとしょうも無いやり取りをしていたら。  
 
 
「さ、そろそろ大丈夫かしら」  
さっちゃんさんが九兵衛さんの上から退いた。  
布団の上の九兵衛さんはハッ、ハッ、と走った後の犬みたいに荒い呼吸をしている。  
「今にもイきそうよ、九兵衛さん。銀さんの手間は最小限にしたし、これだけ限界ギリギリなら、  
投げ飛ばすことも無いと思うわ」  
「……いい光景ね」  
気がつくと、さっちゃんさんが僕の隣に座ってた。全裸で。  
「あ、そ、そうですね……」  
「新八君、食い入るように見てるわね。どぉ? 感想は」  
 
さっちゃんさんは九兵衛さんの身体を裏返し、正座したまま前に倒れこんだような体勢にさせる。  
お尻が自然と少し浮き上がる。最後にさっちゃんさんは九兵衛さんの両手を腰紐で縛った。  
「横からのアングルがいいかしら? 新八君、これでいい?」  
さっちゃんさんは僕に見えるようにと布団ごと九十度回転させる。  
……もうショーですよこれ。  
「んーじゃあ俺ちょっと行ってくるわ、パッっあん」  
銀さんはだるそうに言うと、戸棚からコンドームの箱を出してきて一つとり、包装を破った。  
ごそごそとズボンから(しかもしっかりと勃起した)バベルの塔を取り出す。  
「流石に生はやばいだろ? ホラ新八、付け方実演してやるから見ろ。こー、精液溜まりをつまんでだな」  
「……いや、見たくないんでいいです」  
なに人の目の前でチンチンにコンドームつける実演してんだよこの人は!  
「付け方くらい覚えとけ、いつ本番する羽目になるかわかんねえんだからよ」  
「いや、暫くその予定はないからいいです……僕の初めてはお通ちゃんって決めてますから」  
「………」  
銀さんは何故か哀れむような顔になった。可哀想なものを見るような目? なにその顔。  
「……新八ぃ、悪いこたぁ言わねぇからそういう夢は捨てちまえ……」  
「ひっ、人の夢にケチつけないで下さいッ。糖分王になる夢よりましですっ」  
なんなんだよあの人っ。自分だってお通ちゃんの同人誌オカズにしたり、結野アナの下着のラインが見えたとか  
喜んだりあんなDVD買ったりしたくせにっ。  
 
「んじゃ、4時間目始めるぞ。『男の身体』、スタート」  
銀さんはそう言うと、九兵衛さんの上に覆いかぶさった。  
「おっし、入れちまうからな。張り型と本物とどっちが良いか、自分の身体で判断しろよ?」  
「……わかった……」  
銀さん、あんなに面倒くさそうにしてたのに、三杉君の心臓なんていってたのに、いざとなったらやる気満々じゃないか。  
「ッ・あ・あ……!!」  
九兵衛さんがのけぞった。  
「お、入った入った。入ってるの分かるか? ン?」  
「わ、わかるッ」  
……合併しちゃいました。銀さんと九兵衛さん。そして銀さんは腰を動かし始める。  
最初はゆっくり、段々激しくなっていって、またゆっくりでまた激しく……。メリハリをつけて。  
「……あれが……本番」  
僕は思わず唾を飲み込んだ。九兵衛さんは  
「ハァッ、アッ、あっ、あ、あ、」  
と銀さんが腰を打ち付けるたびに可愛らしい声を上げている。  
パン、パンて、打ち付ける音がする。音がするって本当だったんだ。  
「どーだ、本物は? お前アレ……あの張り型でしょっちゅう一人上手やってたんだろ?  
ぶっちゃけアレとコレとどっちがいい?」  
聞いてるよ銀さん。完全に悪い大人モードだよ。  
「してた……してたけどっ、…こっち……が、いい……あ、あ゛、ッ」  
「そっか、そりゃ光栄だ。どうだコレ? お前の妄想の通りだろ? 野郎に組み敷かれて女扱いされてんだぜ?  
ちっさいおっぱい可愛かったぜ? 気持ちいいだろ?」  
「……ぁあ゛……っ、いいっ、きもち…い、いいいっ!!」  
九兵衛さんの隻眼から涙がこぼれてる。  
「俺もお前の中、すんげー気持ちいい。やらしいマンコしてんなぁ、キュウキュウ締め付けてくるじゃねえか」  
「……うぅ……ぅ、こっちがいい……こっち、こっちが……ぁああっ……」  
九兵衛さんも不自由な体勢のまま、腰をくねらせてる。  
 
「……いい光景ね」  
気がつくと、さっちゃんさんが僕の隣に座ってた。全裸で。  
「あ、そ、そうですね……」  
「新八君、食い入るように見てるわね。どぉ? 感想は」  
「え……あの、なんていうか……すごいですよね……」  
「そうね、すごいわね。やっぱり九兵衛さん、男の人がいいみたいね。身体は正直だわ……あんなによがってる」  
僕らの目の前では、銀さんと九兵衛さんが合併真っ最中だ。  
九兵衛さんは呂律が回ってない。完全に感じてトロトロになっちゃってるんだあれ。  
「いいなぁ」  
さっちゃんさんが僕の手をそっと取る。  
え。ちょっと。あの。  
「さっちゃん、満足してないんだぞ?」  
耳元でその。ちょっとハスキーかかった声で囁くとか。僕の腕におっぱいを押し付けるとか。  
耳朶を齧るとか。  
「目の前であんなにしてたら、当てられちゃうんだぞ」  
「ッ……当てられるって……どういう……」  
「どういうって、こういうことよ。大丈夫。銀さんには了解済みよ、新八君。童貞なのよね?」  
「わ、」  
僕はいきなり、さっちゃんさんに押し倒された。畳に押し付けられる。  
「ほーら、ここはもうガッチガチ。あら、袴に我慢汁染みてるわ?」  
え、嘘。マジっすか。  
「コレつけて、しましょ♪」  
さっちゃんさんが僕の目の前に差し出したのは、……コンドーム。  
銀さんの言葉がいきなり現実になりました。  
嘘。お通ちゃん。僕の童貞はお通ちゃんに捧げるつもりでいたのに。嘘ォォォォォォ!!!!  
「新八君の童貞、始末屋さっちゃんが頂戴仕りまーす」  
あっさり、袴と下着を下ろされ、ガッチガチの僕のバベルの塔にさっちゃんさんが手際よくコンドームを被せた。  
そしてさっちゃんさんが跨って……  
「お・お・…ぉ」  
何コレ。この締め付け。何この暖かさ。柔らかさ。何ですかコレ。  
これが……女性の……中……。  
さっちゃんさんがゆっくりと腰を落として……。  
「……お……」  
「ん、硬いわ……新八君」  
「お・お・…………おおおおおおおおおおおおお…………オスマン……サンコン……」  
いや。何言ってるんだ僕。  
「……入っちゃった」  
僕のバベルの塔、さっちゃんさんのマンコカパックの中に入っちゃいました。  
 
その後のことはよく覚えてない。  
さっちゃんさんが僕の上でひたすら腰を振ってた。おっぱいが目の前で揺れてた。触ってって言われて、  
思いっきり揉んで、吸って、顔埋めて、パフパフしてもらった。  
さっちゃんさんは一人で三回くらい、僕の上でイっちゃってた。  
僕も気がついたら、出してた。  
 
 
 
「……何コレ……なんで僕……童貞喪失しちゃってんの……」  
 
 
拝啓、姉上様。  
僕、童貞喪失しちゃいました。  
 
 
……頭がボーっとする。  
畳の上でバベルの塔丸出しで仰向けになったまま、僕は定まらない思考をなんとかしようと呻いた。  
「あれ、もうこんな時間……」壁の時計はとっくに昼過ぎを指してた。  
首を動かすと、部屋の隅で銀さんとさっちゃんさんが「ああん、銀さん、激しいッ」「ほら、もっと腰使えよ」とか  
いいながらバックでやってた。  
……何やってんだあの二人。結局自分らのプレイも織り込んでるじゃないか。  
「九兵衛さん……は?」  
重だるい身体をやっとの思いで起こすと、布団の上で全裸でうつぶせになっている九兵衛さんが視界に入った。  
「九兵衛さん、大丈夫ですか……」  
バベルの塔を仕舞って、僕は九兵衛さんに声を掛けた。  
まだ九兵衛さんの息は荒い。全身に汗をかいてる。  
「しん……新八君、……このことはお妙ちゃんには、……内緒だぞ」  
「分かってますって、お風呂、今沸かしてきますから、あの二人はほっといて身体綺麗にしてください」  
枕元には中身が入って口を括った使用済みコンドームが……ってオイ。ちょっとまてあの天パ。  
この個数。何回九兵衛さんとヤったんだ。  
「……随分やったんですね……」  
「ああ、……僕は5回目までしか覚えていないけどな……でも、これでわかったし、満足もした。  
無理な願いを聞いてくれて、本当にありがとう……」  
「そうですか、いえ……僕はただ傍でいただけですから。九兵衛さんの悩みが解決できたのなら何よりです」  
「僕はやっぱり、女の身体だ。心も、女の部分が自分で思っているよりも沢山ある」  
九兵衛さんがフッと微笑んだ。  
「時に、新八君」  
「はい」  
九兵衛さんが、僕の目の前に何かを差し出し……ってこれコンドームゥゥゥゥゥゥ!!!  
「……しないか?」  
「え゛」  
「こんな機会も滅多にない。いい記念だ。聞けばついさっき、さっちゃん相手に童貞喪失したそうじゃないか」  
「いや、あの」  
「大丈夫だ、投げ飛ばしたりはしない。ほら、自分でつけるんだ」  
「そーいうんじゃなくてッ! ちょ、待っ、待ってよコレェェェェ!!!」  
 
 
――僕、九兵衛さんともやりました。  
 
 
コンドーム、自分で付けられました。  
今度はバックでやりました。  
小さいおっぱいを揉みました。  
銀さん真似してちょっと言葉でも攻めてみました。  
まるで犯してるみたいですんごくゾクゾクしました。  
最後はコンドームずっぽ抜けて、九兵衛さんのお尻の上に思いっきり出しました……。  
 
「あー、茶が旨い」  
「ほんと、日本人はお茶ですね……」  
三時近くになって、漸く遅い昼ごはん。四人でお弁当を買って応接間で食べた。  
……賢者タイムとはよく言ったもので、心にはズーン、と「俺やっちゃったよーやっちまったよー」的な重いものがある。  
でもそれを乗り越えてこそ大人だ、一人前だ、と銀さんはあまりあてにならない励まし方をしてくれる。  
本当姉上ごめんなさい……武家の跡取り息子ともあろうものが、こんなただれた童貞喪失をしてしまうなんて……。  
しかも九兵衛さんともやっちゃいました……。姉上にばれたら多分殺される……。  
ああ……お通ちゃんもごめんなさい……。  
まだ何も知らないうぶなお通ちゃんとちょっとだけ知ってる僕でうぶな二人エッチ童貞処女喪失をしたかったのに……。  
「そういえば、銀さん。私、ちょっと聞きたいんだけれど」  
「あん? 何だよさっちゃん」  
さっちゃんさんは湯飲みをテーブルに置くと、改まった。  
「ねえ、どうしてさっき銀さん、四時間目って言ったの? どこで二時間目と三時間目を済ませてきたのかしら?」  
「え゛っ」  
「……あ。そういえばそれ、僕も気になってました」  
僕も湯飲みを置いた。  
そうそう。あれ、気になってたんだよな。なんで四時間目なんだろうって。  
「いや、だからあの、ホラ昼飯前だったからさ、昼飯前っつったら四時間目なんだよ、うん、な?」  
銀さん、あきらかになんか隠してる。汗ダラダラかいてるよ。言い訳がましいよ。  
「ねぇ銀さん? なんでそんなに落ち着かないのかしら?」  
さっちゃんさん……手にクナイが握られてる。あ。目が笑ってない。  
「じゃあ僕はそろそろ失礼する。今日はありがとう」  
「ちょ、待てよ! 俺を助けろよ!」  
「九兵衛さん、お気をつけて。万事屋銀ちゃんのご利用ありがとうございましたー」  
「お疲れ様九兵衛さん。また始末屋さっちゃんも利用してね」  
「ああ、わかった。お妙ちゃんにも宜しく。では」  
「ちょぉっ! お前俺を助けろぉぉぉ!」  
九兵衛さんは不穏な空気を感じ取って、すがりつく銀さんを払いのけさっさと帰ってしまった。  
「ね、銀さん? 助けろって、助けられなきゃいけないような理由でもあるの?」  
「僕も聞きたいです、銀さん」  
「はい新八君。クナイ。4つでいいかしら」  
「あ、どうもです。さっちゃんさん」  
二人で、銀さんの前に立つ。  
さーて。日頃の鬱憤もついでに晴らさせてもらおうか。  
 
 
「んなもん言えるわけねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!! 誰か助けてェェェェ!!!!!!!!」  
 
 
(END)  

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