「何の用アル糞兄貴が」
目の前にいる自分に良く似た妹が、
自分のことを睨んでいる。
昔と変わらぬ、澄んだ青色の真っ直ぐな瞳で。
「どんな糞野郎だろうと、
俺のことちゃんと兄ちゃんだと思ってくれているんだね。」
この言葉に目の前の少女は、
怒りながらも、動揺を隠せないようでいた。
目の前にいる自分に、
しっかり目をあわせられてないのがその証拠だ。
「私はそんな事が聞きたいんじゃないアル
それに、銀ちゃん達が帰ってくる前に早く出て行けヨ」
あの銀髪の名前が自分の妹の口から出てくるのを聞くと、
とても、気に触る。
昔は、自分だけの妹だと思っていたが、
あんなただの天パに妹をとられたような気がしてならない。
「あんな奴らといて楽しい?何なら兄ちゃんと一緒に来なよ。」
「銀ちゃん達の悪口言うなヨ
お前みたいなのよりは100倍ましネ」
あんな奴らをかばおうとするのが、
もっと自分をいらいらさせる。
そして、
一歩ずつ少女に近づいていく。
「俺は、神楽に会いたくて来たんだよ。
そんなに俺のことひどくいわないでよ。」
「会いたくて来たなんて、
絶対うそアル」
「うそなんかじゃないよ。」
それを言うと同時に、
自分の血の繋がった妹にすぐ目の前まで近寄り、
強引に半ば噛み付くようにして唇を奪った
「・・・・!」
少女は、最初何が起きてるのか分からないような顔をしていたが、
すぐに正気を取り戻して
すぐ目の前にいる自分の兄をめいっぱい突き飛ばした。
「何するネ!!」
「嫌だった?」
困ったような顔をしている自分の妹を見ると
もっと困らせたくなる自分がいることに、
今更ながら気付いた。
「兄妹は、こんなことしないアル」
「俺たちは夜兎だよ。人間じゃない。
このくらい大したことじゃないよ。」
目の前にいる兄が、
信じられないようなことを言ったので、
少女は怒りを超えて涙目になっていた。
「昔の、優しかった兄ちゃんに戻ってほしいネ」
少女はポツリと言った。
何故だろう、
この言葉が自分の気に触ったのか、
いまいち自分でも分からなかったが、
無意識のうちに、
かなりの力で妹のか細い手首を壁に押さえつけていた。
あまりの痛さに、
目の前の少女は顔を歪めた。
「兄ちゃんは、今だって昔と変わらず優しいよ」
そういうと、
また、
強引に妹の唇を奪った
〜つづく?〜