ガシャーンッ
何事かと日輪が扉の方を振り向くと
桃色の髪をした青年が立っていた。
扉を力任せに開けたらしく
壁の一部と共に、扉は粉々となり
その一帯は足の踏み場もないほどの
瓦礫の山と化していた。
「あんたが日輪か…」
そう呟くと青年は日輪の元に近づいていく。
『逃げなければ』
そう頭の中で警報が鳴っているが
日輪は身動き一つ取れずに
近づいてくる青年を見つめていた。
「私に何のようですか?」
女は気丈にも男を睨みながら声を発する。
「いい目だ。
あの旦那が骨抜きになるのも頷ける」
そう言うなり男は女の顎を掴み、
唇が触れる程顔を寄せると
「あんたを犯して、滅茶苦茶にしてやるのと
あの旦那の目の前でなぶり殺しにしてやるのと
どっちが俺の渇きを潤せるかな?」
そう囁くと、狂気を灯した目で
日輪の唇に自分のそれを重ねていく。