夜兎の血ゆえに時々自分を見失う神楽がその夜出会ったのは兄神威の側近である阿伏兎であった。
どうやら兄の代わりに一人で吉原に来たらしく声をかけてきたのも阿伏兎であった。
「お前…、名前何だったアルか?」
「……」
おいおい知らねえのかよ、と心の中で呟いて数分後…。
二人はラブホテルの一室にいた。
「本当に同族であるお前とやれば馬鹿兄貴が元に戻るアルか?」
チャイナドレス姿の神楽がベッドに腰を降ろして阿伏兎を睨んだ。
「嘘付いたら私のあそこでお前のナニちょん切ってやるアル!」
どうやら関係を持つ事に合意は得られたので阿伏兎が側に寄った。
「可愛いねぇ」
阿伏兎の義手が神楽の胸に触れた。
「悪かったアルな!」
言う事と身体の発達の両方が貶されたみたいで神楽は拗ねた。
しかし膝の上に腰を掛ける形にされた状態で服の上から弄られるので気持ちが良いらしく鏡に映る神楽の頬は赤く染まっていた。
チャイナドレスを肌蹴させブラジャーをずらして両手で乳房を揉む。
時々親指の腹で乳首を撫でると華奢な神楽の身体が大きく反応するので面白いと思った。
「感度いいねぇ」
やがてそれらを脱がして上半身裸のスパッツ姿にする。
「お前、何するアルか?」
訝しげに神楽が訊く。
阿伏兎は神楽を抱いたまま鏡の前に寄り左手でその股間の部分を切り裂いた。
「ん〜、ただ楽しみたいだけ」
にやにやと笑いながら神楽の脚を左右に大きく拡げた。
「いきなり何見せるアル!」
鏡にはこれまで神楽本人すらも満足に見た事がない女性器がくっきり映し出されていた。
カマイタチみたいにあっさり切り裂かれたのでどこにも傷はないがこれから神楽の大事な部分が激しく傷付くのが伝わってきた。
「ほぉ、初物かい?!」
女に関しても歴戦の勇者である阿伏兎が感心して神楽の耳元で囁く。
みるみるうちに神楽の顔が真っ赤になる。
「あぐっ!」
いきなりピンク色をした神楽のあそこに指を一本入れてみた。
月の障りの時でもあてがうだけの神楽である。
生まれて初めての異物感で思わず声を上げてしまった。
「好い声で鳴くねぇ」
楽しみになってきたなと思う阿伏兎であった。
指を抜くと神楽を鏡の前に立たせる。
ねちっこい愛撫が途中で止められたので両足が震えている。
「あぁ…、はぁっ」
何の用も足さなくなったスパッツとショーツが踵まで落ちる。
「おっと、両手は鏡に付けて放すなよ」
阿伏兎に言われるがまま神楽が身体を動かすと実に官能的な姿になった。
小さな乳房の上に乗った乳首が硬く立っているだけでなく小刻みに揺れている。
突き出した丸くて形のいい尻の下には産毛も生えていない女性器が丸見えである。
きゅっと締まった肛門とピンク色の豆粒みたいな陰核の間には先程まで阿伏兎の指を美味しそうに咥えていた膣口がある。
同じくピンクの薔薇を思わせる陰唇を愛液でじわじわと濡らしている上にひくひくと動かしていた。
「実にいい眺めだな」
今度は阿伏兎がベッドに座った。
そしてこれから邪魔になるマントやら上着を脱いでいった。
「あぁぁっ…」
神楽が身を捩って善がり声を上げる。
次第に掌に汗が滲んで手が下がってゆくから腰が曲がって尻を突き出した姿になってきた。
「名前みたいに踊っているねぇ」
阿伏兎がそう思う程に神楽は女性器を見せつけているのであった。
「ふぁ、あぁ」
尻が揺れる度に膣口から愛液が滴って内股を伝ってゆく。
まだ我慢しなければいけないアルかと文句を言うのを忘れる位神楽は悶えていた。
「これなら少し位激しくやってもいいな」
そう言うなり阿伏兎は立ち上がり神楽の腰を掴んだ。
そして隆起している自分のナニを神楽の膣口にあてがうといきなり突き入れた。
「ひっ、あぁぁぁ―!!!」
後ろから阿伏兎に貫かれて絶叫する。
みちみちと音を立て阿伏兎のナニを受け入れさせられてゆくと同時に幾筋の赤い糸みたいな血を神楽は流した。
その頭の中に以前吉原で阿伏兎に負けかけた記憶が戻ってきた。
その時の悔しさのせいなのか初めて男の欲望を受け入れた痛みのせいなのか神楽は瞳から涙を溢れさせた。
「おやおや、泣き顔も可愛いねぇ」
膣口に根元まで入れて陰核を擦り付けるように腰を動かしながら阿伏兎が呟く。
「泣いたついでにいいもの見るかい?」
そう言うと阿伏兎は神楽と繋がったまま体位を変えた。
「あっ、ひぃぃ!」
鏡には開脚した自分の姿が映っている。
膣口から愛液と血液を流しながらも隆起した阿伏兎のモノをずっぽりと咥え込んだ姿…。
要するにバックで駅弁というヤツである。
「うぐ……」
痛くて苦しいはずなのにそんな自分の姿を見ていると何故か快感が湧き上がってくる。
「ふぅ、はぁっ…」
再び神楽の口から甘い喘ぎ声が上がる。
しかももっと自分を攻め立ててくれと哀願するかのようにきゅうぅと肛門を締めた。
「神楽の中は狭くて熱いな」
何もしなくてもぎゅうぎゅう締め付けて絡み付くのである。
それに神楽からの反撃が加わるとすぐに放出してしまいそうな感覚になる阿伏兎であった。
だからお返しとばかりに奥へ奥へと打ち付けてゆく。
その時阿伏兎の上半身からもじんわりと汗が滲んできた。
今までどの女とした時もこういうのはない。
「ふっ、ふぁ、あぁん」
頬を上気させて小さな乳房を振りつつ陰核を刺激する阿伏兎の指に翻弄される。
「どうやらイキそうだね」
足の指が丸まる神楽を見て阿伏兎が判断する。
指で捻るように陰核を刺激すると神楽の身体が大きく仰け反った。
シャアー!
鏡に向かって神楽が潮を吹いた。
「あっ、あぁ、ふぁ」
やってしまったという顔の神楽が鏡の中では実に淫らに悶えている。
「それじゃぁ俺もそろそろイクか…」
そう言って暫くしてから阿伏兎は神楽の中に白濁した液を膣口から溢れさせる程放出した。
そしてさらにそのままベッドまで歩いて行き二回戦を始めんとしていた。
「まだやるアルか…、えっと…」
こうなっても未だに神楽は阿伏兎の名前を知らずにいた。
「おいおい…、次にイッたらご褒美に教えてやるか」
神楽の中から抜かずにもう一発出来る程にまで回復した阿伏兎が言った。
「イカせなかったら、お前のナニを今度こそブツ切りにしてやるアルね」
思いっ切り膣口を締めてナニから精気を絞り取ろうとする神楽が笑いながら答えた。
「お〜怖い」
阿伏兎がおどけた顔をした後で口付けをした。
「んんっ、はぁっ」
舌を絡めながら激しく吸い合う。
遮光カーテンの隙間から洩れる日差しは既に朝を迎えていた。
〈おしまい〉