この数日で分かったことが阿伏兎には幾つかある。
いくら身体を鎖で繋ごうとその魂までは繋ぐことはできない。
いくら恥辱を与えようと瞳に灯る蒼焔は消せはしない。
気が飛ぶ程の快楽を与え続けても、目を覚ませば噛みつく様に睨み付けてくる。
どうすればこの娘の心を汚すことができるのか?
どうすればこの娘を完全に堕とすことができるのか?
「やっぱりあのお方かねぇ…」
小さなため息一つ、阿伏兎は苦笑した。
――――――――
「団長さんよぉ…一つ言わんとならんがことがあるんだが…」
「へー何?改まって」
その日の任務も終わり、帰路につく途中のことだった。
いやに真剣に切り出す阿伏兎に神威は興味をそそられ足を止めた。
「吉原の遊廓を一つ好きに使わしてもらってますよ?」
「なんだ、そんなことか。好きに使えばいいよ。あんな所に別に興味ないし」
金にも女にも興味のない神威はあっけらかんとお気に入りの遊女でも見つけた?とケラケラ笑った。
「ええ、遊女じゃないですがね。団長も一度来ればいい。面白いモノがあるんできっと気に入る」
「だから別に興味ないってばー」
そんな神威を背に、それじゃお先ですと阿伏兎はゆらりと立ち去る。
神威は意味深に笑う阿伏兎を変だと思いながらその背を見送った。
「吉原か…退屈しのぎくらいにはなるかな」
―――――――
『悪い夢だ』
そう言われたのを神楽はぼんやり覚えている。
それは夢か幻だったのか。
夢幻であってくれともう何度願っただろうか。そして目が覚める度に現実ほど非情なものはないと神楽は思い知らされ、目の前でにやつく男を睨みつけるのだった。
「あっぅぅ…やぁっ!」
「大分柔らかくなってきたな」
胡座をかく阿伏兎の上に上半身を預ける形で神楽は四つん這いにさせられていた。その姿は一見猫を可愛がる姿に似ているが、ただ神楽は一糸纏わぬ姿で、手首には強固な手枷。
そして、妖しくにやつく阿伏兎が指を差し込むのは、神楽の後の孔。
下剤注入の腸内洗浄から始められ数日、丹念に愛撫され、可愛がられたソコは最初こそ綿棒の様な細いものでも痛がっていたが今や指を挿しこめば甘い声が漏れる立派な性感帯に生まれ変わっていた。
これでもかと言うほど潤滑剤を流し込まれたそこの滑りは申し分なく、阿伏兎のごつい指をグップリと加えこみ、阿伏兎が指を抜く度に神楽の薄紅の菊門は吸盤の様に吸い付いた。
「あっ!いっ…!!」
「おぉスマン引っ掻いたか?」
内部を軽く引っ掻かれ、ギロリと神楽が睨み付ければ、阿伏兎はニヤニヤ笑いその反応を楽しんでいる様だった。
絶対わざとだと思いながらも声を押し殺そうと神楽は歯を食い縛った。
こんな屈辱をうけるなら、いっそ暴力で痛ぶられる方がましだ。
そう思った時だった。
「ねぇ阿伏兎!面白いモノって何?」
いきなりパンッと襖が開いた。
そして現れたのは…
「にっ…!神威!」
血の気が引くとは正にこの事だ。
なんで…?とただでさえ頭の中がぐちゃぐちゃな神楽はいきなりの兄の登場に余計に心がかき乱された。
「団長…遅かったじゃないですか」
その一言で神楽は悟る。この男が呼んだのだと。しかし沸き上がる怒りより恥ずかしさのほうが大きかった。
この恥態を隠そうにも何もない。
神威を見れば此方を向いているにはいるが驚愕とも、怒りともとれないよくわからない顔をしている。神威もまさか神楽がいるとは思っていなかったのだろう。
「神楽…?」
「見るなっ!!どっか行けヨ!!」
声を荒げ精一杯の虚勢をはる神楽とは裏腹に神威は静かに口を開いた。
「どうして神楽がこんな目に?可哀想に。阿伏兎もヒドイね。神楽は一応俺の妹なんだよ?」
そのまるで“兄”の様な言葉に神楽は驚く。この人にまだこんな感情が残っていたなんてと。
その嬉しさに張りつめていた心が少し緩んでしまう。
「兄ちゃ…助けて…っ!」
藁をも掴む思い。この人にほんの一握りでも兄妹の絆が残っているならばと。
「…いいよ」
その言葉に神威は頷いた。
畳がミシと音をたてる。
そして神楽の前に座り込んだ。
「こんな中途半端じゃ神楽も辛いだろ?だから手伝ってあげる」
「え…?」
その一言に神楽は目の前が真っ暗になる。
意味が理解出来なかった。
この人は今何と言った?
なんでこの人は笑っている?
「知ってる神楽?夜兎って昔は結構近親相姦が多かったんだよ」
その何でもない他愛ない話のように神威はサラッと告げた。
そしてこうとも。
「夜兎はその方がより強い子孫が残せるんだって」
「な、何言ってるネ…そんなの昔の話アル。私達兄妹ヨ?こんな事嫌アル…!」
「そうだね。昔の話だ。でも親殺しにしろ近親相姦にしろそんな血だとか兄妹だとか下らない道徳気にしてちゃ強くなんかなれないんだよ」
クスクスと神威が耳元で囁きそのまま神楽の耳を口に含む。
ねっとりと絡み付く神威の舌に神楽は震えた。
「で、どうなの阿伏兎?神楽の抱き心地は?」
「とんだ淫乱な子ウサギさんだよ」
ククッと阿伏兎は嬉しそうに喉を鳴らす。
「へーそれは面白くなりそうだね」
神威は神楽を阿伏兎から引き離すと敷かれていた布団の上に横たえる。
そしておもむろに神楽の足を割り、秘所に手をあてがった。
「いゃ…!止めろヨ!!」
「なんだ、もう充分濡れてんじゃん。そんなにイイことしてもらったの?」
「俺はこっちに連れて来てからは尻しか可愛がってやってないんですがね」
「あり?じゃあ何でかな?」
阿伏兎と神威がにやつきながら神楽を見る。その下卑た視線に耐えて神楽は2人を睨みあげた。
「神楽、もしかしてお尻を弄られただけでやらしい気分になっちゃった?」
「違っ!」
変態、と呟く神威の声は楽しそうだ。
「これが欲しかったんでしょ?」
神楽の太ももに固くなった神威の下肢の熱が伝わる。
嫌というほどその熱の意味を身を持って知らされた神楽はその熱から逃げようとする。
「…っ止めろヨ!」
「あぁ、やっぱりまだ怒ってる?あの時、神楽の事殺そうとしたけど、俺嬉しいんだよ。神楽が強くなっててくれて。阿伏兎も倒しちゃったらしいじゃん」
「それとも神楽は俺のこと…“兄ちゃん”のこと嫌い…?」
「っ…!」
こんなふざけた兄でも嫌いと即答出来なかった自分が神楽は悔しかった。
「じゃあ決まりだ」
瞬間、反転す世界に驚く暇もなく、下から突き上げられる衝撃に身が震え上がる。
数日前の阿伏兎に処女を奪われた時以来の挿入。まだその行為に慣れてない神楽のソコは、充分潤っているとはいえ痛みを伴う。
「いっ…!!」
「良かったじゃねぇか。大好きな兄ちゃんに遊んで貰えて」
「だ…れがっ…!!」
「家に居たときはまだ神楽小さくてこんな事出来なかったもんなー」
「やだっあっあっ!んぅ!やぁっ!にいちゃっ!兄ちゃんっ…!!」
嫌がっているとはいえ、先程と違い惚けた表情でよがる神楽を見て、自分が呼んだとはいえ、まるでお気に入りの玩具を取られてしまった気分になり阿伏兎は面白くない。
「兄妹だけで楽しむなんざつれねぇな。オジサンも交ぜてくれよ」
阿伏兎はゴムを装着すると神楽の尻に宛がう。今まで丹念に可愛がってきたのだ。
兄貴といえど此所を譲る訳にはいかない。
「いやっ!やめろヨ!いやぁっ!」
尻に当たる固い感触に神楽は嫌な予感がした。
「ほらあんまり暴れんじゃない。暴れて痛い思いすんのはお前さんなんだから」
暴れる神楽の尻を固定し割れ目を横に押し広げる。そして神楽の予想通り本来入れるべきではないものがニチニチと摩擦音をたてゆっくり侵入してきた。
「あう…っ!ぁぅ…」
押し入る肉塊の質量感は指の比じゃない。その内臓を押し上げられる様な苦しさに神楽は目を見開いた。
阿伏兎は待ち望んだこの行為に舌なめずりし、抑えきれない興奮をねじりこんでいく。
「へー神楽ってお尻でエッチもできるんだ」
やっぱり変態だ。と神威がまた笑う。違うと声を出したくても激しい圧迫感で声も思うように出せない。かむりを振り、獣の様に鳴くことしかできない。
後ろ手をつき、上体を少し起こした兄の体の上に密着させられ、その上から阿伏兎が神楽の腰を押さえつける。
「ほらちゃんと全部入ったぞ」
「はっ…ハッ…ヒハッ」
結合状態こそ神楽からは見れないものの、みっちりと阿伏兎の陰茎を加えこんでいる感触は嫌でも分かる。
前も後も肉の杭で串刺しにされ、その苦しさで吐瀉物が逆流しそうになるのを必死に我慢した。
「こっちもなかなかいい塩梅じゃないか」
中は柔らかく腸壁に包みこまれ、根元はギュッと締め付けられる。
膣とはまた違う感覚に阿伏兎は感嘆の溜め息を洩らした。そしてゆっくりゆっくり神楽の中で円運動を繰り返し、異物感を馴らしていく。
神威も挿入はしたままだったがその動きを一旦止めた。俯く神楽の顎をとり、上を向かせる。
眉根を潜め、揺れる瞳は何かに耐えようと必死だ。時折漏れる弱々しい声が健気だが神威の加虐心は刺激される。
ぐりぐりと阿伏兎の陰茎で中を掻き回され、苦しいがその異物感にも慣れ、ようやく息も整い出したころだった。
神威は阿伏兎をチラリと見やる。
その視線に阿伏兎はニヤリと笑った。
「っっひ!?」
急に前後に動き出した阿伏兎に驚いた神楽は思わず神威の服をギュッと掴む。律動を繰り返す度に穴に流し込まれた潤滑剤がジュブンと音を立て、はしたなく溢れ出る。
はだけた神威の肌と神楽の胸が、動く度に擦れて滑る。
「これ結構気持ちいいかも」
固くなった神楽の胸の先端の感触を感じながら神威も再び動き出した。
前後がバラバラに動くから神楽は息も上手くつけない。
「あ、ああぁぁー!」
阿伏兎の息も荒くなり、打ちつける腰も強くなり肌と肌のぶつかり合う音も大きくなる。そして阿伏兎は息を大きくつくと動きを止め、自身を引き抜いた。
射精したコンドームの中には勿論、阿伏兎の精がとっぷりと詰まっていた。
「何?もう出ちゃったの?阿伏兎って早漏なんだ」
神威は神楽を依然突き上げながら、先に果てた阿伏兎をケラケラと笑った。
「うるせー。アンタが絶倫すぎんでしょうに!……そういえばまだ舐めたことなかったよなぁ?」
ふと何か思いついたのか阿伏兎はコンドームを外すと自分の手の平にその溜まった精液をボトボトと垂れ流す。
「これから知っておかないといけない味だからな。ちゃんと綺麗に舐めとれよ?」
まだ虚ろな神楽の目の前にずいと出されたドロリとした半透明の液体。膠にも似た鼻をツンとつく独特の臭いがし、お世辞にも美味そうには思えない。それをこの男は舐め取れと言うのだ。
「い…やアル!誰…がそんなもの!」
「神楽、兄ちゃん物聞きの悪い子は嫌いだよ?」
神威は神楽の尻たぶをつねった。
「いたっ!」
「お兄さんは容赦ないねぇ」
「ハハッ躾だよ。ほら神楽?」
「嫌!嫌アル!」
「強情だなぁ。誰に似たの?ここまでされないと分からない?」
「…っぁ!きああぁっ!ぁっやぁっ!!ごめ…なさいっ!ごめんなさいぃっっ!」
尻たぶだけでなく萌え出た赤い芽も強く摘まみ上げられる。その強い刺激と痛みは身体中を駆け抜け、神楽は堪らず謝った。
「じゃあどうすればいいか分かるよね?」
「あっ…あっ…うっ」
そして観念した子猫の舌が阿伏兎の手の平を滑っていく。
「ほらよく味わって食べな」
今すぐにでも吐き出したいそれを言われるがまま咀嚼する。
咀嚼を必要とする食感などないそれはニチャニチャとして生臭い。
ままよと飲み込めば、もったりと喉に絡み付き、なかなか滑り落ちてくれない。
不味くて臭くて気持ち悪い。
神楽は今すぐにでも吐き出したい思いだった。
「ゲホッ…カハッ!」
「やればできるじゃないか」
むせる神楽に良くできましたとばかりに阿伏兎は頭を撫でてやった。
神楽もこの数日で分かったことがある。この阿伏兎という男はどこまでも丁寧ということだ。決して無茶苦茶で相手の身体に傷がついてしまうような行為や乱暴をふるわない。
ゆっくり、じっくり、しつこい程の愛撫を施してくる。だから厄介なのだ。嫌でも体が反応してしまう。快楽を覚えてしまう。
「神楽、俺とも遊んでよ」
「ひゃっ…ぁ!」
神威は上半身を起こすと密着していた神楽を布団の上に仰向けにさせた。
膨れた乳房、絞まった腰、まだ幼さの残る秘所…神楽の全身が包み隠されることなく男達の前に晒される形になってしまった。
恐怖と嫌悪、近づく神威に神楽の身体は強張る。
「まだちっちゃいね」
艶やかだが小さな乳房は掴むと柔らかさよりはまだ成長期特有の張りが目立つ。
それをほぐすように揉みこむとまだ若い青さの残る乳房は痛いほど敏感にその刺激を感じとる。
まるで触って欲しいと言わんばかりの甘そうな桃色に色づき、ピンと起った胸の頂を神威はギュリと捻りあげる。
「痛いっ痛っ痛いアル!!」
その反応が面白くて神威は更に力を込めてやれば神楽は白い首をむき出しにさせる。
「駄目だよ神楽、夜兎であろう者が急所を晒すなんて」
その無防備な首に吸い付きかぶり付けば赤い歯形がくっきり残り、面白くなった神威は肩や二の腕にも噛みつく。
その痛みもさることながら、依然としてつねりあげられたままの乳房の先端への刺激に快感と痛みの間で激しく揺さぶられる。
叫べばこの男達が喜ぶのは分かっていたがそれでも黙って我慢出来なかった。
「ふ…んぁぁっ…!!強くしないでぇっ…!」
だったらと、神威はパッと手を離した。すっかり赤く腫れ上がりヒリヒリと痛むソコに神威は唾液を垂らし、舌で円を描きながら伸ばし広げ、乳輪と乳房の境目を何度も舌で辿った。
こそばゆさと、核心に触れないそのもどかしさに神楽は切ない声を上げ、それを見計らうかの様に今度は吸い上げる。先程と打って変わって、もどかしくも優しい愛撫は不覚にも本当に気持ちいいと神楽は思ってしまう。
「こっちも舐めて欲しい?」
「やっ…ん…い、いらないっ」
耳元で甘やかに囁く神威の声は思わず頷いてしまいたくなるほど魅惑的で神楽を官能へ誘う。
神威の手が神楽のごくごく淡い茂みをゆったりとまさぐり、その奧にそっと触れた。
ゾクリと神楽が微かに震えるが、しかし、
「阿伏兎舐めてあげてよ」
その優しかった手は無理矢理神楽の足を広げ、抱き抱える。
「やっ…いやっ!いや!兄ちゃんやめてヨ!」
その格好は稚児が人の手を借り用を足す時のそれ。
「全くお兄さんはエグいね」
言いながらも剥き出しにされた秘所を阿伏兎は食い入るように見た。
血色の良いそこはトロトロと溢れる愛液が止めどなく滴り落ちる。男の性欲を強く駆り立てる妖しく淫猥な光景にすぐにでも手を出したかったが、阿伏兎はふと冷静になった。
「でもさっきまで団長のナニが突っ込まれてましたよね。しかもナマで」
「もー阿伏兎は仕方ないなあ。綺麗にすればいいんでしょ」
面倒臭そうに神威は床に置かれた潤滑剤のボトルに手を伸ばすとそれを神楽の恥丘にトロトロと垂らし始めた。
「っあ!」
恥丘から膣の入口へとゆっくり垂れ落ちていくムズムズと擽ったい感覚から神楽は逃げようと腰をくねらせた。
「ちゃんと中まで綺麗にして下さいよ」
阿伏兎は神楽の膣に両方の指を挿入し入口を拡張させる。
そこに神威が先程より強い勢いで潤滑剤を流し込んでいく。
「ひっっ!!」
それは前回、阿伏兎に射精された感覚に近く、それを思い出してしまった神楽は潤滑剤の冷たさも相まって身震いしてしまう。
そして阿伏兎によって開かれたままの穴に神威は指を挿し込み激しくかき回す。
体液とも潤滑剤ともとれない、とろんだ液体がゴポと音を立てて掻き出されていく。
「あぁっいやアルっ!いやぁっ!」
「ほらこれでいいでしょ?」
拒む理由もなくなり、返事の代わりに阿伏兎の欲情した赤い舌がヒチャリと張り付いた。
そしてそのまま割れ目を下から上へと舐めあげる。
その度に阿伏兎の尖った髭がチクチクと柔い肌を刺した。
その刺激を知ってか知らずか阿伏兎は顎を押しつける。
チロチロと細かく動く舌先は陰核を刺激し溢れてくる愛液を媚肉ごと口に含みジュルジュルと音を立てて啜る。
「あ、あぁっあ…!!やらぁっ…!」
「充分阿伏兎もエグいじゃん」
舌で攻め立てられ、敏感になりすぎた陰核に噛みつかれ、引くことのない快感の波に妹は兄の手の中でガクガクと震え、兄は妹の恥態を見下ろし楽しむ。
「銀ちゃ…しんぱち…」
無意識に小さく呟いた2人の名前に神威は反応した。
「何?まだあいつらのこと気になる?なんなら今度、最中のビデオレターでも送る?私は元気ですって。きっと悦ぶと思うよ」
神威は愉快だと笑った。
この男なら本当にやりかねない、神楽はそれを想像しただけで寒気がした。
「でも…今はこっちに集中しなよ」
「ひっ…ぎ…っあぁ…!!」
下肢の鈍い痛みが神楽を現実に引き戻す。その足を広げられた格好のまま再び神威の陰茎が捻り込まれていた。
グリグリと音がしそうなほど掻き回され、牡丹の花びらの様なヒダが突かれる度にひしゃげ、赤く震えた。
自分の中を行き来している熱の塊が濃厚な痛みの火花を飛ばす。
そして喉はとっくにカラカラなはずなのに不思議な程に濡れた声がでる。
「あっ…んぁっあっ!!も…やめっ!!」
「可愛い鳴き声聞くのも堪らんのだがやっぱりこっちを処理してもらわんとなぁ」
眼前に突き出された阿伏兎のその逞しくもグロテスクな物体がどういう意味を持つのか知識としてだけぼんやり知っていた神楽は顔を背ける。
「ちゃんと言うこと聞かないとヒドイよ?今度はどう躾られたい?」
その神威の言葉に神楽は恐怖を感じる。
太ももを掴む神威の手に少しだけ力を込められた。
「間違えても歯なんか立てるんじゃないぞ?俺もあんまり手荒な真似はしたくないんでね」
と言っても、半ば無理矢理に口へ押し込まれてしまったそれを吐き出そうにも、頭を捕まれそうはさせてくれないばかりか、吐き出そうすればするほど奥へ奥へ入り込んでくる。どうすればいいかも分からない、もう泣いているのか喘いでいるのかも分からなくなる。
垂れる涎もそのままに、2人の男に施される劇薬の様な愛撫は神楽の理性を確実に焦がしていく。
負けちゃ駄目だと思ってもどうしようもなく心は折れそうになる。
そんな時に思い出すのはあの万事屋での日々。
かけがえのない友人
どこか憎めない腐れ縁
信頼できる仲間
騒がしくも、とても美しかったあの日々
(銀…ちゃん)
「神楽はもう戻れないんだよ?」
そんな時に神威が発したその絶望的な一言は神楽の折れそうな心を更に滅茶苦茶にかき乱す。そこで初めてボロボロと流れ落ちていく珠の様な涙を神威は舐めとり、あやす様にそっと頭を撫でてやるが、続ける言葉はその優しい行為とは裏腹に残酷だった。
「こんなになっちゃったお前が元に戻れると思ってるの?可哀想に。神楽はもう戻れない。もうここでしか生きられない」
何度も、何度も暗示をかける様に神威は言うのだった。
呻きながら神楽は首を横に振る。
しかしそんな必死に抗おうとする神楽を神威は嘲笑う。
「早く堕ちちゃえよ」
(本当に酷い兄貴だ…)
阿伏兎はそう思ったが、涙で濡れる神楽の泣き顔に興奮している自分も大概人の事は言えないかと一人苦笑した。
「ねえ阿伏兎、神楽はどっちの子供産むと思う?」
「そりゃ俺でしょう。最初に出したのは俺ですし」
「じゃ、阿伏兎なんかに負けない強い精子を沢山出さなきゃね、神楽」
「う…うぅーっ!!」
(イヤ!止めて!止めてヨ!!)
神楽の叫びは届かない。
子宮口が突き破られてしまいそうな程の強い衝撃で神威は動く。
「んぅぅ!んんんんんっ!!」
激しい脈動と共に上も下も熱い奔流が勢いよく神楽の中に注ぎ込まれていく。
そして神楽は自分の失ってはいけない何か大切なものがフツリと切れる音を聞いた気がしたが、それもすぐにどうでも良くなってしまった。
神楽の中から引き抜かれる音もどこか遠くに感じた。
「兄ちゃぁ…あぶとぉ…」
溶けた砂糖を流し込んだ様な甘ったるい声が部屋にポツリと響いた。
「も…と…ちょーだい」
口に付いた残精を舐めとり、とろんと蕩けた瞳で神楽はねだる。先程の抵抗がまるで嘘かのように。
力なく伸ばされた手を神威は握ってやった。
「おかえり神楽」
そんな神楽を見て神威は穏やかに微笑むのだった。
もう変えれないこの現実を。
もう帰れないあの場所へ。
(了)